掌編小説まとめ

椿叶

文字の大きさ
上 下
4 / 11

朝日

しおりを挟む
 朝は嫌いだ。まだ寝ていたいとか、起きられないからとか、そういった理由ではなくて、太陽が昇るから嫌いなのだ。
 暗闇は自分という人間を隠してくれる。息をしてもいいと教えてくれる。しかし、温く心地よい闇を、太陽は掻き消していくのだ。明かりになれていない身体にはその光は強すぎて、じわりじわりと身体を灼かれていく。
 陽が登っても、自分は日陰から出ることはできない。居心地の良い陰に座り込むように、ただ太陽に背を向け続けるのだ。
しおりを挟む

処理中です...