ネトゲ廃人が美少女とであったら人生変わった件

猫カイト

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試練と知恵

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「..きんか...起きんか!」

 綺麗な声が、ダンジョンに響き渡る。
どうやらまた俺は意識を失ってしまったようだ。
目を覚まして周りを見渡すと多くのゴブリンの死体が並んでいた。

「俺を守ってくれてたのかありがとう。」
「そ、そんなわけあるか!我もお主に死なれたら契約を果たせず困るのだ!」
 お礼にあまり慣れていないのか顔を赤くしてそう怒鳴る。
こいつにも可愛いところがあるんだなと思ってしまった。
...そういえばあの時は流れで契約をすると言ってしまったが契約の代償を聞いていなかった。

「おい、メドピア契約の代償って何なんだ?」

 それを聞いたメドピアは顔をにやかしながら

「それはの...我に悦を差し出すことじゃ!」
「悦を差し出すってまさか!」

 楽しいという感情を持っていかれてしまうのか!?
俺のレジェドラを!?
それだけは駄目だ!
レジェドラは俺の人生だ。

「そんなものいるか! 悦は我を楽しませることただそれだけじゃ!」

 メドピアは俺の考えを読み取り、怒った顔で俺を叩く。
 これは確実に心を読まれていると俺は感じた。
前回までは俺の顔に出ていたりしたが今回は俺の考えを完全に読み取っている。
これも契約の効果なのだろうか。

「そうじゃ。我とお主は最早一心同体。考えを読むなど容易いことじゃ。」
 
 やはり俺の考えを読んで、返答する。
これからは余計な事を考えないようにしなければと考える。

「何、好きな物を考えろ。お前の頭の中を読むのもなかなか楽しいからのぉ...ほぉこんなのが好みか。」

 メドピアはにやにやしながら俺の頭を読む、
悦の提供だけではなくどうやら頭の中も提供しないと行けないらしい。
 力にはそれだけの代償が伴うということか...

「そうじゃ、簡単に力が手に入ると思ったら大間違いじゃ。それより我はここにも飽きた。とっとと、行くぞ。」
 メドピアはつまらなさそうに階段を進んでいく。

「待てよメドピア!!」

 俺は急ぎメドピアの後を追う。
それは端から見れば少女を追う不審者のようだった。

「ここが出口じゃ。相変わらず趣味が悪い像じゃのー」

 そこには大きな扉があり、扉の前には女神像と言えばいいのか、綺麗な銅像がそこに立っていた。
その銅像はまるでミケランジェロの彫刻のような美しさを内包した銅像だった。
 それを趣味が悪いと切り捨てるメドピアに少しどうかと思ったが、それは疑問の前にかき消された。
「出口って降りてきたのにか?」
 
 これはまるで入り口で、出口のようにはとても見えなかった。

「これがあの●●●の悪いところじゃ。必要なのは先に進む戦士のみという心象を現しとる。」
「心象?」
「まぁ、分からなくても良い。とりあえず先に進むしかないと思っておけ。」
 
 俺はメドピアが言うならそういう物なのかと納得する。
嫌、するしかなかった。
俺よりここを熟知している彼女が言うのだ。
それは真実なのだろう。

 俺が扉の前まで移動するとどこからともなく声が聞こえてくる。

『久々に来訪者が訪れたか。おやおや、●●●●●とはまた珍しいですね、貴様が来るなど...』

 やはり何かにノイズが走る。
まるで検閲のように制限されているようだった。
 

『己に自信があるのなら進むがいい。そなたが戦士かを見極めさせて貰う。』
 
 そう言い残し、声は消える。

 「知恵か...あやつらしいのぉ。どうする?諦めてもいいのじゃぞ?」

 メドピアは俺を試すような目で俺を見てくる。
答えはとっくに決まっている。

「ここまで来て引き下がれるかよ。俺は帰ってレジェドラをやるんだ!」
 
 俺は門へと足を進める。
レジェドラのために、生きるために。

「ハッハッハ! やはりお前は面白い!ゲームのために試練を受けるものは初めてじゃ! お前となら退屈は無さそうじゃのー」

 メドピアは笑いながら俺の後を着いてくる。

 
 俺は階段を進んでいる。
その階段は暗くそして汚く、先が見えない。
その暗さが俺の恐怖を助長するように感じた。
あの声の主はそれを考えてこの階段を設計したのであれば悪趣味だなと思えた。
俺は恐怖を紛らわすためにさっき抱いた疑問をメドピアに問いかける。

「なぁ、メドピア。」
「なんじゃ?怖くなって我にすがりたくなったか?」
「ちげぇよ。お前の名前は本当にメドピアなのか?」

 そう、俺がもっとも疑問に思っていたこと。
なぜ他の固有名称には規制が入るのにメドピアだけには入らないのか。
それが気になってしょうがなかった。
 
「いい所に気づいたの、まぁ遅いと怒りたい所じゃがまぁ及第点じゃろう。確かに我のメドピアは名前ではない。」

 やはり俺の考えていた通りだった。
ならメドピアというものは何なのか?
俺は気になり、聞こうとしたとき。
階段が終わり、扉が見えた。

「ほらさっさと行くぞ。」

 メドピアが扉を開ける。
その先には多くの鳥の小さな像が並べられていた。

「何だこの像妙に生々しいというか。」
 
 俺は像に気になり、カラスの像に触れる。
その像は石の塊というには軽く、何故か生き物のような暖かさがあった。
 像を戻した所でどこから伴く声が聞こえる。

『この中から知を司る物を選び我の元に連れてこい、それが我の試練だ。』

 神殿の主はそれだけを言い残して、声は消える。

「知を司るものってどれだよ...」
 
 知を現す鳥、それを見つけるのが第一の試練のようだ。
 
「なるほどのー あやつらしいのぉ」

 メドピアは分かったようで納得している。

 「分かったのか!? それなら...」
 俺が答えをメドピアに聞こうとすると、
メドピアは指で口を押さえる。
その指は冷たく、まるで銅像のように感じた。
 
「これはお主の試練じゃ、我が口を挟むことは許されぬ。ここで死にたいというのなら話は別じゃがの。」
 
 死ぬ!? 
この試練という物は命をかけるほど重いものなのかと体が震える。

「 当たり前じゃ、これは●の試練。証拠に下を見てみろ。」

 下? 俺はメドピアに言われ下を見る。
下にはこの西洋風な神殿には似つかわしくない多くの砂が積もっている。
俺はその砂を触ってみる。
普通の砂とは違い、茶色くないなと感じた。

「それは砂ではない。これはこの試練を突破できなかった者達の成れの果てじゃ。」
「何だって!?これが冒険者達!?」

 俺は急いで、手にある砂を丁寧に下に戻す。
一体どれだけの時間が立てば人間という生き物が風化してしまうのだろう。
それにこの砂の量、人何百人分あるのだろう。
俺はこの試練の難しさときびしさに恐怖する。
 
「慎重に進めよ。さもなくばこやつらの仲間入りじゃ。」

 確かに慎重に進まなくては。
生きて帰るために。
俺はとりあえず鳥の像をよく見てみることにした。
 俺が雀の像を持ち上げた時。
「私が知の象徴よ!!連れていって!!」
「ワッ!」

 俺は突然の声に驚き、手が滑る。
雀の像はバラバラに砕けてしまった。

「あぁ!正解の像が!!」
 
 俺は像の欠片を集めようと、破片を手で触る。
その手には赤くどす黒いものがこべりついてきた。
この色と匂いは...

「血!?」
 俺が怪我をしたのかと手をよく見ると怪我なんてしていなかった、そうするとこの像から?
嫌、ありえない像から血が出るなんて!?
 
「あぁ、やっちまったな。この鳥殺し!でもよ、そいつは本物じゃないぜ本物は俺さ。」

 今度はカラスの像が喋り始める。
いや、それだけではない。
 
「あら、そんな汚い像が本物のわけないじゃない!私よ!」
「そんなことよりパン屑食いてぇなぁ。」
 
 多くの鳥達が喋り始める。

「何なんだよ!!何で像が喋るんだよ!?」

 俺は像が喋り出すということについていけず、叫ぶ。

「俺達は像なんかじゃねぇ。ちゃんとした生命さ。体は石だがな。」
 
 俺の疑問にカラスがそう答える。

「体が石なら生き物じゃねぇんじゃねえかよ!」
「あらそれって像差別かしら?」
「そうだそうだ。」
 
 「黙れ石うるさいぞ。」

 あまりのうるささにメドピアが鳥達にきれる。
そうすると鳥達は恐怖したかのように震えながら黙る。
 やっと冷静になれそうだ。
神殿の主は連れてこいと言ったのはこういうことだったのか。
この銅像達は生きているから持ってくるではなく連れてくる。
 魔物がいるのだから生きていても不思議ではないと心に説明し何とか納得する。
 問題はどの像かだ。
皆自分が本物だと主張している。
その中から本当の事を言っている像を見つけられるのだろうか。
俺は座って考える。

「まだかー 我はつまらんぞー」
 メドピアはここに飽きたようで俺のほっぺをつねったり、髪を弄ったり、首を傾げている。
傾げている...傾げるといえば...俺はある話を思い出す。

「この鳥は森の哲学者などと呼ばれ、ある神話では知識の象徴とされた。」

 生物学の教授の東堂博士がそんな事を言っていた。

「分かったぞ!」
 俺は一直線にある像へと向かう。
その像は...

「やっと俺を見つけれられたか。遅いぜ少年!」
 
 そうフクロウだ。
「あぁー見つけられちゃった。つまんねぇなぁ」
「ええそうねぇ。もうすこし悩んで欲しかったわねー」
「うるせぇたたき割るぞ!」

 俺はうるさい鳥達にどなる。

「あらやだ怖い怖い。とっと先に行きなさいよ。」
 
と一羽の鳥が羽を広げ扉を出現させる。
どうやらこの鳥が試験官のようだ。

「ありがとよ糞鳥。」

 俺は扉を開け前に進む。


 「良かったの?あの扉にいれて。」
「まぁ、いいんじゃない?●●●●●が居るんだからちょっとぐらい難しくても。それにフクロウさんはあいつが死んでも帰ってくるんだし。」
「そうだね。どんな死にかたするのか見れなかったのが残念だったけど...」
 
鳥が大笑いする。
 
 悪魔は様々な動物の姿をとり、近づいてくるものだ。
            小説家 ドレン・ハーヴェイ

 


 









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