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いち
しおりを挟む「フェリナル・シルフィード、私は貴様との婚約を破棄させてもらう。」
大勢の貴族令息嬢が集まるパーティーホールのど真ん中で私に向かって言い放ったのは金髪碧眼のこの国の皇太子殿下。
名前をアレキウス・ダンベルン。
横にはピンクブロンドに空色の目の最近転校してきた平民上がりの子爵令嬢、サンリアナ・ウェイトゥルン。
二人のまわりにはこの国の主要役職の子息たち。
面倒なので紹介は省かせていただきます。
「聞いているのか、この悪女め!!」
なんだか私は物凄く罵られている気がするわね。
「なぜ、私は貴方と婚約破棄しなければならないのですか?」
とりあえず、聞いてみる。
どうせ、私との婚約破棄などできはしないのだから。
私は持っていたグラスの淵に口をつけた。
中は、レモネード。
······レモネード···?
今、なんだか頭の中にすごい違和感を感じた。
「なぜだと···?決まっている。
お前は、このサンリアナを散々いじめ、辱しめただろう。
私たちは調べ上げて王にも証拠を提出した。
観念しろ!」
「そのような、でたらめ、私には痛くも痒くもございませんわ。
だいたい、いじめたわけではなく社交界での礼儀を教えて差し上げていただけですわ?」
まぁ、あの女をいじめたのは事実ですけれど。
私は殿下の横にいる女を軽く睨んだ。
女は怯えたように殿下の後ろに下がった。
あんなふうに殿下に引っ付いて媚びを売って恥ずかしくはないのかしら?
「皇太子殿下の言われることは誠である。」
声の方を振り向けばそこには、この国の宰相である男が立っていた。
「王は皇太子殿下からの書類を全て確認した上でフェリナル・シルフィードと皇太子殿下の婚約を破棄することを認めた。」
宰相が高らかに言った。
「···!っな、なんですって!!」
信じられない、私との婚約破棄を認めた!?
嘘だと思いたいけど、宰相が出てきたのだから事実と捉えるしかないわ。
私もそこまでバカじゃありませんもの。
でも、でもでも!
「一体どういうことなの!?
私は公爵令嬢よ!
こんなこと許されるはずありませんわ!」
「黙れ、散々サンリアナを虐めておいて公爵家も何もあるか!!
身分をかさにきて下位のものを見下す者をこの国の王妃にできるわけがないだろう!」
······そんな···。
どうして、だって私は···。
「この悪女をここから連れ出せ!!」
殿下が衛兵に叫んだ。
私は必死に暴れた。
だって私は、貴方の隣に立つためにやっていたのに。
どうして。
衛兵につかまれ、押さえ込まれる。
私は殿下の方を見た。
殿下がサンリアナを守るように、周りの者は二人を守るように立ち、私を睨んでいた。
······なんか、この光景見たことあるわね。
私がそう思ったとき、後ろから衝撃を受けて視界がシャットアウトした。
···私、なんでシャットアウトなんて言葉を知ってるのかしら···?
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