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しおりを挟む「これより、皇太子アレキウス・ダンベルンを廃嫡する。」
「···!?なぜですか、父上!!」
私の横でアレス様が困惑の声をあげた。
私を虐めていたフェリナル・シルフィードの婚約破棄の一件から二週間後、私ことサンリアナ・ウェイトゥルンと皇太子殿下のアレキウス・ダンベルン様は王に呼び出され、今に至る。
ちなみに、フェリナルはあの後彼女の家に王家反逆罪で一家ごと首を跳ねられた。
なんでも他国と繋がっていたらしく、いろいろな機密情報を漏らしていたとのことだった。
······はっ、ざまぁ(笑)。
と、思ったのはまあ秘密。
「一体、どうして私が廃嫡されなければならないのですか!?」
アレス様が王に説明を求める。
「お前、罪はフェリナル嬢にだけあると思っているのか?
そもそも、婚約者であった彼女を散々無下にしてきた挙げ句、別に女を作るなどお前の人間性を疑う。
彼女がサンリアナ嬢を虐めたのはお前の態度や行動に理由があるとは思わなかったのか。」
「しっ、しかし、私もあの女にことあるごとに嫌味を言われてきたのですよ!
それに、あの女の家は···」
たじろぎながらもアレス様は反論する。
「初めからそうではなかっただろう。
お前から彼女についての苦情を受けるようになったのは、お前から彼女に対する悪意が目に見えるようになってからだ。
それと、シルフィード家に関してのことだが、彼女は関係無い。」
···え、じゃあなんで彼女は殺されたの?
「とにかく、彼女がサンリアナ嬢を虐めた原因はお前にもある。
それに、サンリアナ嬢にもな。」
「はい、婚約者がおられるのに出すぎた真似をしてしまいました。」
まあだからといって、あそこまで酷い虐めをけしかけてこなくてもいいと思うけれど。
精神的にきつかったよ、いろいろ。
ヒロインって意外に大変なのよね。
?······ひろ、いん···ってなに?
「ですが、いくらなんでも廃嫡だなんて···。」
「別に良かろう。
どうせ、サンリアナ嬢とは結婚をするつもりなのだろう。
いくら男爵家の養子とはいえ下位の貴族と結婚するのであれば王族のままではいられぬ。
それに今回のことがあるからな。
調度いいだろう。
むしろ、しがらみを無くしてやったのだから感謝されてもいいくらいだが。」
王がアレス様に言った。
しかし、彼は納得がいかないみたい。
「とにかく、話はここまでだ。」
王は次の仕事があるからと部屋を退出した。
部屋には私とアレス様の二人きり。
もちろん、部屋の外に護衛はいるけれど。
「···アレス様?大丈夫ですか?」
とりあえず、空気が重いので声をかけてみる。
「···大丈夫なわけがあるか!!」
突然怒鳴られて、つい引き下がってしまった。
いつもなら、大丈夫だって言ってくれるのに。
「私が、廃嫡されるんだぞ。
皇太子にまでなれたのに···。
くそっ、何でだ、何で!!」
アレス様はぐしゃぐしゃと頭をかきむしる。
私は、アレス様と一緒にいられて嬉しいのに、彼はそうではないのかしら。
「アレス様、私は、これからアレス様と一緒にいられて、好きなところへ行けるようになることが嬉しく思いま···っきゃぁっ!」
アレス様が私を押し倒した。
そして、馬乗りになり私は身動きがとれなくなった。
「ふっ、嬉しい、だと?
何を馬鹿げたことを。」
「あ、アレス···様···?」
ヤバい、これはものすごーくヤバい!!
頭の中に警報が鳴り響く。
「···お前が、お前さえいなければ、こうはならなかったんだ。」
な、なんかぶつぶつ言いはじめたっ!
とにかく、逃げます、逃げたいので離してください。
「逃がすか、私がこうなったのはお前のせいだ。
消す。消してやるっ!!」
アレス様が振り上げた手には短剣。
───短剣!!?
「···っ、や、やめっ」
て、くれることなく私はアレス様に殺られました。
···てか、またこのパターンか!
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