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わぁ、美少女!
しおりを挟む昨日のことは夢かもしれない、そう思って返事を考えるのを放棄していた私はたった今すごく後悔している。
「昨日の返事を聞かせてほしい。」
まったく、夢じゃなかった!
「その前に、なぜ私なのでしょうか?」
「その話をしていなかったか。
3ヶ月前に行われた建国祭は覚えているだろうか。」
3ヶ月前の建国祭···。
建国祭、それは毎年建国記念日がある週に一週間行われる国をあげたお祭り。
確か店が祭りの観光客でてんやわんやだったりした記憶がある。
それがなんなのだろうか。
「よく思い出してほしい。」
そう言われて建国祭の時にとった行動を一週間分朝から順番に思い出してみる。
───ああああっ!!屋台が私を呼んでいるぅぅぅぅ!!
私は1週間ある建国祭で賑わった屋台村をハイテンションで巡っていた。
香ばしい香りがする甘じょっぱいタレにつけられた串肉、甘い香りを醸し出すクリームたっぷりクレープ、焼けたソースの匂いが堪らない麺炒め。
食べ物だけじゃない、引いて開く瞬間がドキドキの福引き、的を狙って景品獲得を目指す弓矢打ちなどなど目を引くお店がずらりと並んでいる。
私は屋台で買った猫がモチーフの面を斜めにつけ、首には首飾り、手にはクレープという出で立ちで祭りを楽しんでいた。
「どうしよう、次はどの店がいいかな?
うわっ、ごめんなさい!」
人混みの中でキョロキョロした私は少女とぶつかってしまった。
「いえ、こちらもよく見ていなかったので気にしないでください。」
わぁ、美少女!!
ペコリと頭を下げた美少女はすいすいと人混みを抜けて見えなくなってしまった。
───どんっ!
「おい、つったってんじゃねぇ!気を付けろ!」
「すみませーーん!」
ぼーっと彼女の後ろ姿を見ていた私は後ろから来たおじさんにもぶつかってしまった。
やれやれ、少し空いたスペースで休むか。
小休止を挟んだあと、私はまた屋台を巡っていた。
今度はおこづかいをくれた姐さんたちにおみやげを買うためだ。
建国祭は王都に人がたくさん集まるために娼館街も一気に忙しくなる。
本来は私も祭に来てる暇などないのだが、毎年姐さんたちがおつかいという名目でおつかいには足りすぎるおこづかいを渡して店から出してくれる。
もう16歳だし今年はみんなと仕事すると言っても、あんたはおつかいが仕事と姐さんたちは今年も祭へ行かせてくれた。
「今年は何にしようかな!」
姐さんたちの喜ぶ顔を浮かべながらおみやげを選ぶ時間が私は大好きだ。
鼻唄を歌いながら姐さんたちが好きそうなものを見つけてはうんうん悩みながら選んでいく。
「こんなものかな?そろそろ帰ろう。」
私はおみやげがたくさん入った手提げを持って屋台村から帰路についていた。
さすがに屋台村から少し離れると人が疎らになるね。
とにかく、早く帰ってみんなにおみやげを渡そうと歩調を早めようとしたとき───
「───あれ、さっきの美少女。」
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