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そうして話ははじまりへ
しおりを挟む執務室の中に入れば、部屋におかれたテーブル全てに書類の山が積まれていた。
そして、応接用のテーブルと一緒に置かれた3人掛けソファーに国皇は横になって寝ている。
掛けている毛布がずり落ちそうだ。
「···何ですか、この書類の山。」
「国皇様の自業自得なのでお気になさらず。」
···一体何をしたんだ、国皇。
「···うーん、···あれ、リーナじゃないか。」
私たちの声で起きたのか国皇が身を起こした。
起きたてほやほやの国皇はこれまたイケメンで肉食系女子はもちろん、草食系女子でさえがっつきそうな色っぽさがあった。
「おはようございます、国皇様。」
「あぁ、おはよう。馬小屋事件のとき以来だね。どうしたの?」
初対面の頃とはかけ離れた毛布にくるまった国皇の姿。
威厳はなく親しげなこちらが取り繕っていない本当の彼。
私が初めて知ったときは国皇は実は双子なんじゃないかと思った。
「実は、姫さまにお説教をしていただこうかと思いまして。」
「フィオのやつ、また何かしたの?」
「それが···」
私は先ほどあったことを細かく国皇に伝えた。
ガーナードさんは呆れ、国皇は顔をしかめて青筋すら立てていた。
「まったく、あの子は自分の立場を自覚していないのだから。
わかった、調度話したいこともあるし時間を取ろう。
午後から、そうだな、2時に中会議室で話そう。
フィオの専属侍女のクシュー姉妹も同行するよう伝えておいて。」
「かしこまりました。」
私は他に伝えることがないので執務室から出て来た道を引き返した。
帰りは面倒なこともなくスムーズにひだまり宮へ戻ることができた。
「お父様が了承したですって!?
しかも、今日の午後から!?」
食堂で食事をしていた姫さまは唖然とした。
まさか、私が言ったことが冗談だとでも思っていたのかな。
「はい、他にもお話があるとのことでアリアさんとマリアさんも同行するようにと仰せでした。」
「「かしこまりました。」」
「そんなことより、本当にお父様がお説教するの!?」
姫さまはテーブルに手をついて勢いよく立ち上がった。
作法とかどうでもよくなってるのかな。
お姫様が作法無視しちゃダメでしょ。
「はい、太陽宮の中会議室で。」
「そんな···、だってお祝いしただけなのに、どうして···。」
どうしてもこうしてもやり方に問題があったとは何故思わないのだろう。
すっかり元気を無くした姫さまはそのあと大人しく過ごしていた。
いつもの姫さまと比べると静か過ぎるくらいだったため私は油断して彼女の脱走を許してしまった。
しかしひだまり宮の皆さんのおかげですぐさま彼女を捕獲することができた私は、また逃げる可能性を考慮し、そのまま太陽宮の中会議室へ向かうことにした。
結果、姫さまは私に担がれ移動することになったのだった。
───そうして話ははじまりへ戻る。
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