18 / 29
第5章 癒す魂と身体編
魂要塞ヒンガーデビル・そして日常へ
しおりを挟む
「魂よ、集え……!」
四者の声が重なった。
ダークの狐、ネク、ゾヨ、そして魔界第五番隊総統・ゴボス。
異なる魂が、怨嗟と欲望と恐怖の連鎖を通じて一つの異形の器へと収束していく。
その中心に現れたのは、禍々しい異形の建造物——いや、これはもう存在してはならない存在。
魂要塞《ヒンガーデビル》
「はっはっはっは! これが我らの“完全融合体”……! 魂文明の成れの果てだッ!」
全長1000メートル超、夜空を覆う巨大な顔面と触手、魂を吸い上げて生きる半生体兵器。
ヒンガーデビルの咆哮と共に、地上の草木は灰へと還り、空は割れ、雷が逆流した。
——だが、その前に一人、少年が立つ。
「……僕は、逃げない」
聖悟は洸魂形態へと変化した。
その身からは聖なる輝きが噴き上がり、リュウケンの力と魂を完全同調。身体は光そのものとなり、空中を跳躍する姿は天使の如く。
「うおおおおあああああっ!!!」
聖悟の拳が、ヒンガーデビルの外殻へと突き刺さる——だが。
ガキィィィン!!!
「っ……!? 砕けない……!?」
ヒンガーデビルは魂そのものを拒絶する存在。洸魂でさえ完全な浄化は不可能だった。
「ほざけ、特異点。貴様の光など、我らの深淵には届かぬ」
ゴボスの声が響いた瞬間、ヒンガーデビルの触手が聖悟を捕縛した。
光の鎧が剥がれ、肉体が露出し、魂が引き剥がされる痛み。
「う……ぐああああああッ!!」
聖悟は、敗れた。
洸魂形態の力をもってしても、それは**“この時点での”彼の限界**だった。
――その後の記憶は、断片的だった。
……サイレンの音。
……何かが揺れている。
……「意識ありますか?」と誰かが問いかける声。
そして——
⸻
◆ 現実
「はい、お名前わかりますか?」
「……あれ……僕、聖悟……あの、魂要塞が……リュウケンが……ヒンガーデビルが……!」
「はいはい、大丈夫ですよ。お母さんにはご連絡しました。お熱もちょっとあるみたいですしね。落ち着いて」
そこは普通の救急病院の白いベッドだった。
担ぎ込まれた場所は、魂能力のことなど何も知らない現代の精神科。
「違うんだ……本当に、僕は……っ、夢なんかじゃ……ない……!」
精神科医も看護師も、彼の話を“混乱状態にある患者の空想”としてしか扱わなかった。
「魂能力……? 魔界? 怒神? うん、全部“脳の中の現象”としてはありえますよね。落ち着いて、ゆっくりお話ししてくださいね」
処方されたのは、安定剤と眠剤。
聖悟の意識は静かに、暗闇の中へ沈んでいく。
(また、閉じ込められた……)
(僕の魂は、誰にも届かない……)
だが——その夜。
眠りに落ちた彼の夢の中に、ふたたび罪悪感の女神が現れる。
「まだ……物語は終わっていないわ」
その言葉と共に、聖悟の意識はまた、次の物語の扉を開く——
――つづく。
四者の声が重なった。
ダークの狐、ネク、ゾヨ、そして魔界第五番隊総統・ゴボス。
異なる魂が、怨嗟と欲望と恐怖の連鎖を通じて一つの異形の器へと収束していく。
その中心に現れたのは、禍々しい異形の建造物——いや、これはもう存在してはならない存在。
魂要塞《ヒンガーデビル》
「はっはっはっは! これが我らの“完全融合体”……! 魂文明の成れの果てだッ!」
全長1000メートル超、夜空を覆う巨大な顔面と触手、魂を吸い上げて生きる半生体兵器。
ヒンガーデビルの咆哮と共に、地上の草木は灰へと還り、空は割れ、雷が逆流した。
——だが、その前に一人、少年が立つ。
「……僕は、逃げない」
聖悟は洸魂形態へと変化した。
その身からは聖なる輝きが噴き上がり、リュウケンの力と魂を完全同調。身体は光そのものとなり、空中を跳躍する姿は天使の如く。
「うおおおおあああああっ!!!」
聖悟の拳が、ヒンガーデビルの外殻へと突き刺さる——だが。
ガキィィィン!!!
「っ……!? 砕けない……!?」
ヒンガーデビルは魂そのものを拒絶する存在。洸魂でさえ完全な浄化は不可能だった。
「ほざけ、特異点。貴様の光など、我らの深淵には届かぬ」
ゴボスの声が響いた瞬間、ヒンガーデビルの触手が聖悟を捕縛した。
光の鎧が剥がれ、肉体が露出し、魂が引き剥がされる痛み。
「う……ぐああああああッ!!」
聖悟は、敗れた。
洸魂形態の力をもってしても、それは**“この時点での”彼の限界**だった。
――その後の記憶は、断片的だった。
……サイレンの音。
……何かが揺れている。
……「意識ありますか?」と誰かが問いかける声。
そして——
⸻
◆ 現実
「はい、お名前わかりますか?」
「……あれ……僕、聖悟……あの、魂要塞が……リュウケンが……ヒンガーデビルが……!」
「はいはい、大丈夫ですよ。お母さんにはご連絡しました。お熱もちょっとあるみたいですしね。落ち着いて」
そこは普通の救急病院の白いベッドだった。
担ぎ込まれた場所は、魂能力のことなど何も知らない現代の精神科。
「違うんだ……本当に、僕は……っ、夢なんかじゃ……ない……!」
精神科医も看護師も、彼の話を“混乱状態にある患者の空想”としてしか扱わなかった。
「魂能力……? 魔界? 怒神? うん、全部“脳の中の現象”としてはありえますよね。落ち着いて、ゆっくりお話ししてくださいね」
処方されたのは、安定剤と眠剤。
聖悟の意識は静かに、暗闇の中へ沈んでいく。
(また、閉じ込められた……)
(僕の魂は、誰にも届かない……)
だが——その夜。
眠りに落ちた彼の夢の中に、ふたたび罪悪感の女神が現れる。
「まだ……物語は終わっていないわ」
その言葉と共に、聖悟の意識はまた、次の物語の扉を開く——
――つづく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる