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第52話 赤川より危ない男
しおりを挟む翌日、蘭さんにお願いして自白剤を二人に打った。二人の房は離れている別々の房。共謀することのないようにこっちでも色々と対策をさせてもらった。
まずは父親の方から
「あなたの名前は?」
「南トシオ」
「娘の名前は?」
「南ユキ」
「ではでは、今回白虎組に来た理由は?」
「あわよくば、ユキから金を巻き上げようと思っていた」
まだそんなこと思ってるのか!あ、ちなみに私はモニターで様子を見ている。
「今回、ここに来た黒幕は誰?」
「赤川だと名乗っていた」
赤川?だって、バラバラにしてコンクリート詰めにして海に沈めてるじゃない。いくら何でも復活しないわよ!
「赤川ねぇ。何才くらいに見えた?」
「俺よりも年上だと思った。『自分は兄の影だ』と言っていた」
赤川、双子だったの?赤川弟か……。
「どんなやつだ?」
「自称だが、兄はどちらかというと表舞台ですぐにボロを出してしまうようなタイプだが、自分は裏で影として兄を操り、兄よりも卑怯・残忍な性格をしていると思うよ。と聞いた。それを聞いてこいつに逆らうことはできないと悟った」
あのオッサン。操られてたの?巧妙ね。確かに弟の方が卑怯で残忍だわ。
次に母親にも同じ質問をしたが、返ってきた答えは父親と大して変わらなかった。あわよくば私から金を巻き上げようとしていたって。いつまで私を生活の糧にする気だったんだろ?
今は赤川弟が実権を握って赤川組を運営してるのか。陰で。兄の方が捕らえやすかったけど、弟は一筋縄じゃいかなそうね。きっと情報戦。こっちでカギになるのは大輝かしら?
この情報を組員全員で共有した。
私の両親については『死にたいなら牢から出ていけ』と言っている。房の鍵は開いてるし、屋敷から出る事もできる。ただ、赤川弟の情報を白虎に話したという事で、屋敷から出た後のことは保証しない。という事だ。
卑怯・残忍を自称する赤川弟だもの、何をするかわからない。ただ殺されるならまだいい。散々拷問の後に殺されるという事も考えられる。私の両親もそう思っているのか、全く出ていく素振りは見せない。牢の中が安全だと思っているようで、できるなら鍵をかけてほしいと思っているよう。
ん?鍵をかけてほしい?それって赤川弟の手のものがすでに白虎に入り込んでいるってこと?誰かわかるといいけど、白虎の構成員は多すぎて精査出来ないなぁ。
赤川のオッサンが死んだ直後にこの組に入った組員。それだけを精査してみようか?
「大海、組員のデータあるでしょう?赤川のオッサンが死んだ直後に組に入ってきた組員を精査してほしいの。前歴・前科など。赤川弟とつながりがあるっぽい人がいたら教えて!」
「うーん、大輝が15才の時だったっけ?赤川が一回死んだの」
「あー、1回目の時から精査するわけね。了解!」
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