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第123話 外伝㊳ 養子話 前編
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ユキが姐として始めて1年後、ボランティア活動が実を結び、組員の中の一人を養子に迎えたいという人が現れた。
日常の仕事(八百屋)は力仕事が主で、なかなか年を取った自分では思うようにできないことが増えたからという話だった。
養子に誘われた組員は非常に喜んでいて、私も嬉しかったが、でも何かおかしいと思って私一人で探りを入れることとした。
「あんた、極道の組員を養子に迎えるって本気なのかい?」
「そんなのは口約束で冗談だよ。ハハハっ」
この段階で、ブチ切れそうだったが続きも聞くことにした。
「うちには一応店を畳めば遺産が残るだろう?その遺産は実の息子に渡るように既に弁護士さんを通しての正式な遺書として残ってるよ。ヤクザ者は、俺が死ぬまで力仕事を無料でこき使うための道具にすぎないんだよ」
「あんたはそうとうワルだねぇ」
こんな会話をしているところに大事な組員を養子に送るわけにはいかないこっちにも意地とプライドってものがある。
「では、こいつの養子についてですが弁護士を通しての正式な文書で証明してください。ご主人がなくなった後も大事に八百屋を守っていく所存でこちらはいるのですから」
「まだ年若い娘だよ?弁護士なんて偽物を用意して、文書でも作ればいいんじゃないかい?」
「そうだな」
残念なことに私を侮辱したその口を大雄さんが目撃していた。ご愁傷様。
後日、スーツを着た男と共に現れた八百屋夫妻。
「弁護士さんはどちらにいらっしゃいますか?」
「目の前の方ですが?」
「その方ですか?弁護士バッジはどうしたのですか?仕事の際は必ず身に付けているはずですが?」
「あ…ああ、今日は偶々忘れてしまったようだ。仕事に支障はないだろう?」
「大ありですよ。あのバッジがあなたが『本当に弁護士だ』という証なのですから。偽物の弁護士様かもしれない方との取引なんて恐ろしくてできません。すいませんがお引き取りください。本日はお越しいただき誠にありがとうございました。後日、改めて私どもの方で弁護士を手配し、文書を作成したいと思いますね。内容は、『正式にうちの組員を養子として迎え入れ、遺産はうちの組員に残す』というものですが、問題ないですよね?」
「あ、ああ」
「ではまた後日」
ですが、このように腹黒い八百屋のもとにうちから養子に出すのは嫌だったので、喜んでいる本人には悪いけど、ここ最近私が見聞きしてきたことを事細かく本人に伝えた。
「やっぱり、ヤクザ者なんか嫌われてるんだよな……」
はぁ、やっぱり落ち込んじゃった。
「俺も話を聞いた。うちの組員を道具にしようとしていやがった。許さん!お前もそうだろう?」
「うすっ!三代目の言う通りで。このまま大人しく引き下がっては極道の名折れ!」
ニヤッと大雄さんが笑ったのが見えた。
「極道を金儲けの道具にしようとした報いは受けてもらおうじゃないか?」
日常の仕事(八百屋)は力仕事が主で、なかなか年を取った自分では思うようにできないことが増えたからという話だった。
養子に誘われた組員は非常に喜んでいて、私も嬉しかったが、でも何かおかしいと思って私一人で探りを入れることとした。
「あんた、極道の組員を養子に迎えるって本気なのかい?」
「そんなのは口約束で冗談だよ。ハハハっ」
この段階で、ブチ切れそうだったが続きも聞くことにした。
「うちには一応店を畳めば遺産が残るだろう?その遺産は実の息子に渡るように既に弁護士さんを通しての正式な遺書として残ってるよ。ヤクザ者は、俺が死ぬまで力仕事を無料でこき使うための道具にすぎないんだよ」
「あんたはそうとうワルだねぇ」
こんな会話をしているところに大事な組員を養子に送るわけにはいかないこっちにも意地とプライドってものがある。
「では、こいつの養子についてですが弁護士を通しての正式な文書で証明してください。ご主人がなくなった後も大事に八百屋を守っていく所存でこちらはいるのですから」
「まだ年若い娘だよ?弁護士なんて偽物を用意して、文書でも作ればいいんじゃないかい?」
「そうだな」
残念なことに私を侮辱したその口を大雄さんが目撃していた。ご愁傷様。
後日、スーツを着た男と共に現れた八百屋夫妻。
「弁護士さんはどちらにいらっしゃいますか?」
「目の前の方ですが?」
「その方ですか?弁護士バッジはどうしたのですか?仕事の際は必ず身に付けているはずですが?」
「あ…ああ、今日は偶々忘れてしまったようだ。仕事に支障はないだろう?」
「大ありですよ。あのバッジがあなたが『本当に弁護士だ』という証なのですから。偽物の弁護士様かもしれない方との取引なんて恐ろしくてできません。すいませんがお引き取りください。本日はお越しいただき誠にありがとうございました。後日、改めて私どもの方で弁護士を手配し、文書を作成したいと思いますね。内容は、『正式にうちの組員を養子として迎え入れ、遺産はうちの組員に残す』というものですが、問題ないですよね?」
「あ、ああ」
「ではまた後日」
ですが、このように腹黒い八百屋のもとにうちから養子に出すのは嫌だったので、喜んでいる本人には悪いけど、ここ最近私が見聞きしてきたことを事細かく本人に伝えた。
「やっぱり、ヤクザ者なんか嫌われてるんだよな……」
はぁ、やっぱり落ち込んじゃった。
「俺も話を聞いた。うちの組員を道具にしようとしていやがった。許さん!お前もそうだろう?」
「うすっ!三代目の言う通りで。このまま大人しく引き下がっては極道の名折れ!」
ニヤッと大雄さんが笑ったのが見えた。
「極道を金儲けの道具にしようとした報いは受けてもらおうじゃないか?」
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