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1.婚約破棄と公爵家の今後
しおりを挟む私は先祖代々武家の家門であるポーラル公爵家の長女で、一応この王国の王太子殿下の婚約者だけど…。
なに?なんでこの扱いなの?わざわざ王太子主催の夜会に参加したのだけれど?
ドレスは婚約者である殿下が数カ月前に送ってくださるものだとばかり思っていたのに、いっこうに送ってくださらないから、急ぎ仕立てて頂いたものだわ。もう、針子さんに申し訳ない。
「お前のように俺よりも強くまったく庇護欲のわかない女とは婚約を破棄する!今後はこのルーラル=フィゴール伯爵令嬢と婚約することにする!」
と、夜会の場で宣言なさった。……私の名誉を傷つけたとして慰謝料を請求しても問題はないでしょう。
そもそも、私が強いことは婚約をして当初からわかったいた事で、今更ですよね?今更喚かれても……。まして我が家は先祖代々の武家の家門ですし?
私も女性ですけど騎士として働いています。
このことを今更言われても、むしろ何で?です。
『強い女』が嫌なら最初から私と婚約しなければよかったのに、そこは公爵家だからでしょうか?王家だろうと、慰謝料は遠慮なく頂きます。
夜会で宣言なさった庇護欲がそそられる、伯爵令嬢?から金銭的援助でも受けて下さい。公爵家はもう援助をいたしません。
帰宅後お父様と今後について話し合った。
「リラ、お前王太子に婚約破棄されたらしいな」
「はい、事実です」
「そのことについてどう思う?」
「そうですね?‘私が強いから’というのは甚だおかしいですね。そんなことは婚約前からわかったたことですし、何を今更?という感じですよ」
「そうだよな。嫌なら最初から婚約しなきゃよかったわけで。それでも婚約したのは我がポーラル公爵家の財産目的としか思えない。そしてフィゴール伯爵令嬢に乗り換えたようだけど、フィゴール伯爵家には我が家ほどの財産はなくそれほどの支援は見込めないぞ?」
「そして、本当に今後の話になるのですが。あの王太子が即位をした場合。私は元・婚約者として疎まれているでしょう?すると、我が家に未来はありません。幸いなことに、我が家は領地がありません。いっそのこと、我が家が隣国ベガスへ亡命しませんか?その方がこの先に未来はあると思うのです」
「ふむ、確かにそうだな。いくら公爵家といえども王家に睨まれていてはこの国では疎まれて碌に商売もできないだろうな。やはり隣国ベガスに亡命するのが正解か…。あ、王家だろうと慰謝料は請求する権利が我々にはあるから王太子にはきっちりと払っていただこう。公爵家は全く支援をしないが」
「今後、ベガス帝国で生活するための資金にでもさせてもらいましょうか?」
「そうだな。今持っている資産は出来る限り金貨に変えてしまおう。そしてベガス帝国へと亡命するのが良策だな」
「資産も国を越えると無価値になってしまう事がありますからね」
その日の夜は満月の夜。月明かりが我が家の行く末を見守っているようだった。
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