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2.亡命の準備
しおりを挟む資産、家の中の調度品やら持ち運びが不可能なものを売り払い、そのお金を金貨に換えた。宝石やドレス(今後着る予定があるもの)など服飾品はそのまま持って行くことにしている。
我が家の不穏な動きは王家も把握していることだが、せいぜい王国内で引っ越しでもするんだろうと思われていた。(その方がこっちの思うつぼ)
王家からの慰謝料については全て金貨で支払いをお願いしてある。むしろ、向こうの有責による婚約破棄なのだから、コッチの要求には従ってもらう。
ベガス帝国へ共に行くことを望む使用人はそのまま雇用することとした。厨房を預かるシェフが共に行くことを望んでくれたのは正直非常に助かる。
私は一足先にベガス帝国へと行き、我々が暮らすこととなる物件を探すこととした。
条件はこれでもヴィクス王国では公爵位だったことから、ある程度というか邸であることが第一条件となるわけだけど、都合よくもそのような物件はあるのだろうか?
あ、ベガス帝国に亡命するということで、皇帝に謁見などできないだろうか?
皇帝陛下ならば、邸を用意することが可能なのでは?いや、キチンと掛かった代金は支払いますが…。
「お嬢様、皇帝陛下との謁見が可能のようです。10日後ですが…」
「できて良かった!―――それにしても、お嬢様というのはこそばゆいな、なんかいいものはないのか?リラ様で良いのだが?」
連れてきた使用人達の顔が曇ったが、私の気持ちも察してほしい。常に『猛々しさ』を意識して生活をし、『武』を極めんとしてきたというのに、『お嬢様』と呼ばれるのは何ともくすぐったい。背中がムズムズするというか、口の中が痒くなるというか…。
10日後、私は皇帝陛下と謁見できることとなった。この10日間は時間があったので、自分の武術の鍛錬に力を注いだ。
……皇帝陛下、さぞかしお強い方がなっているのだろう。お会いするのが楽しみだ。
一緒に来た侍女達は私を淑女のように仕上げようとしていたが、私は頑として断った。
今の私は騎士の格好をしている。淑女らしさはどこにもない。
「其方がヴィクス王国より亡命を希望しているポーラル公爵家の者か?」
「初めまして、ポーラル公爵家長女、リラと申します。以後お見知りおきを」
皇帝陛下は威厳の塊のようなお方だった。
片手に杖のようなものを持っていますが、あの杖は…仕込杖でしょうか?
皇帝陛下の見目は麗しく、イケオジといった感じだろうか?実年齢はわからないが。
「確か…ポーラル公爵家の長女と言えばヴィクス王国王太子の婚約者だったのでは?」
「婚約破棄をされました。私のような強い女性ではなく、庇護欲をそそるような女性がいいと、今はフィゴール伯爵令嬢と婚約をしているかと思います」
「そうか、目先の欲に負けたのだな……」
「私はこのように騎士をしていることを誇りに思っていますし、何も恥じる事とは思っていません。それが嫌ならば、婚約破棄は受け入れました。もちろん向こうの有責での婚約破棄ですので慰謝料をいただきましたけど」
「うむ。しっかりしていて、よい。我が国では男女同権を目指している。そんな中での其方のような人材は有難い。亡命を許可する」
「有難き。ついては、我が家での亡命となりますので、住居についての問題が……」
「ならば、使っていない土地に邸を建てるがよい。完成するまでは、王家の別荘での生活を許可する。何しろ武の家系である故、信用できる」
「光栄です」
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