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馬鹿にするものではない。
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「よし、今日の訓練は雪合戦だ!」
「「おおー!!」」
雪深い山に野太い男の声が響き渡る。
「コラコラ、あんまり叫ぶと、雪崩が起きるからヤメロ」
「「ぉぉー!!」」
小声で男たちは叫んだ。
ここは北部辺境第2部隊。結構前線で戦う男達の集まり。
「雪合戦っていうのはなぁ。如何にして、陣地を守りつつ敵を攻め、敵からの攻撃を素早く察知するという訓練にもなる。ついでに雪原だから遮蔽物もなくてどうする?って時の対応も実践形式で学習できる。というわけだ。わかったか?野郎ども?」
「「ぉぉー!!」」
野郎どもは小声で叫ぶ。
「はぁ、野郎どもはしばらく雪合戦に勤しむだろう。その間に…俺はこの隊に配属されている犬たちと戯れよう。さー、癒したちよ。俺を癒してくれ!」
この隊に配属している犬たちは大型犬ばかりだが、それでもこの隊長にとっては癒しだった。無類の犬好き。
「ふふふっ、隊長様。今日も犬たちと戯れようとしているのですね?犬たちは怖がっていますよ?みんな私の方に来ちゃった」
この娘は隊の家政婦をしているフラ。隊長の俺を差し置いて、犬たちに好かれている。食事などの世話をしているのだから当然と言えば当然なのだけど・・・。
「隊長はまず、纏っている空気?が怖いんですよ(人相も怖いけど)。犬は敏感ですからねぇ。怯えちゃうのかも」(多分、人相だろうな。)
「そうか、しかし纏っている空気・・・。どうすればいいんだ?解決策がわからん」
「うーん、そうだなぁ?犬におやつあげてみます?」
「俺から食べてくれるだろうか?」
「あ、隊長!毒物扱ったことあります?」
「まぁ、仕事上は・・・」
「犬は鼻が利くからダメかも。地道に犬のフンを拾う作業から始めるのがいいかと・・・」
「隊員はどっかに行っててもらおう。今日のように晴れの日は雪合戦作戦が使えるな」
「あら、雪合戦は訓練の一環ではなかったのですか?」
「一石二鳥だな。訓練になりつつ、俺は犬たちと戯れるという予定だったんだが・・・」
一方こちらは南部辺境第2部隊。こちらも前線で戦う男の集まりだが。
「野郎ども!今日は海で波乗り等をするんだ」
「「おおー!!」」
「この訓練は、海からの外敵にどんな形でも対応するという柔軟性をつける訓練でもある。心して取り組むように!」
「「おおー!!」」
深く澄み切った青い海に男共の太い叫び声が響く。
南部の隊長はここぞとばかりに屋敷の中へ入っていった。
「僕の猫ちゃん(※隊のものです)はどこでちゅか?」
「ふふふっ。隊長、赤ちゃん言葉!面白い」
赤面してしまう。仕方あるまい。
「猫たちがどこにいるのか君は知っているのか?」
「え?知りませんよ。猫は奔放ですからね。餌をとりあえず餌置き場に置きますけど、いつ食べているのか知りませんし、強要もしません」
この娘の名前はルラ。北部の娘とは双子。
どちらも普段は剣をふるう一流の部隊なのだが…。
北部の隊長は無類の犬好き。南部の隊長は無類の猫好きである。
二人の隊長の中は犬猿の仲。
そんなことは周辺諸国もよく知っている。
知っているのだが…手が出せない。
隊長はそんなでも隊としては超一流のエリート集団。
下手に手を出せば、大やけど。で済めばいいなぁ。済むのかなぁ?なので大人しくしているのです。
スパイも送られた。
北部の隊長と南部の隊長をいがみ合わせよう作戦だ。
しかし、いがみ合っているのは前からなので何の意味も成さなかった。
情報を得ようともした。
情報は出るは出るは、隊員の下着の柄まで明らかになる。
それでも、下手に手を出せば…という状態だからどうしようもない。
この二つの部隊をおとなしくできるのはフラとルラの二人だけだろう。
王都の騎士すら手が出せない。
出そうとしてヤケドをした。ヤケドですんで良かったね。
ある日王宮の近衛騎士団が北部辺境第2部隊を視察に行った。
視察という名目だが内心は「所詮、田舎者の烏合の衆だろう?エリートの俺らに比べれば。まぁ比べるほどでもないか」である。
近衛騎士団の団長が北部の隊長に言う。
「せっかくだし、チェスでもして仲を深めないか?」
北部の隊長としては、一応中央からの客なので無下にも出来ずチェスをすることとなった。
近衛騎士団の団長の思惑は「チェスのような紳士の嗜み、こんな田舎者できないだろう(笑)」だ。
「チェックメイト」と北部の隊長。
「チェックメイト」と北部の隊長
「チェックメイト」と北部の隊長
「チェックメイト」と北部の隊長
「チェックメイト」と北部の隊長
……
近衛騎士団の団長の思惑とは違い、北部の隊長の圧勝となった。
「いやぁ、強いだけじゃココは守れないんですよね。ありとあらゆる戦略がないと守れないんですよ。加えての力です。まずは戦略かなぁ?」
近衛騎士団の団長は臍を嚙む思いだった。「コンナハズデハ・・・」
頭の中で思い描いた光景は、自分の圧勝と羨望の眼差し。そして、田舎者の烏合の衆となじる自分に酔う光景があった。・・・なのに!
目の前では、自分に圧勝しそれが当然の結果だというような相手が敵味方関わらずに羨望の眼差しを受けている。しかも、もう用は済んだかと仕事に戻ろうとしている。
「あー、北部の実力を知りたくて、いやぁ近衛の最弱を相手にするよ。そちらは誰が?」
非常に面倒だと思った。仕方ないので、自分が相手することにした。
「いいなぁ。隊長の相手なんてそうそうできない。俺はもう1年は相手してもらってないなぁ」
「俺は2年位?」
「隊長の相手は順番待ちだよ!待つしかない」
等の声が北部のゴツイ隊員から聞こえた。
「相手するのは近衛の最弱だし、ケガさせない方がいいよな?1本取ればいいか?」
「そのようにしよう」
近衛騎士団の団長は思う。「チェスでは思うようにいかなかったが、今度はそういかないだろう?」と。
「始め!」と近衛騎士団の団長が審判を務めた。
一瞬で勝負が終わった。
北部の隊長の木刀が相手の首につきつけられている。
「これで、1本だよな。もう終わりか?近衛の最弱って本当に最弱だな」
北部の隊長はヤバい、しまったと思った。プライドの高い近衛騎士団の団長を刺激する発言をしてしまった。
「そうだなぁ。仕方ない。団長の私と手合わせ願おう」
俺も暇じゃないんだけどな。と思う。…が仕方あるまい。さっさと片づけてお帰り願おう。
「では、1本勝負で」
こうして、俺は近衛騎士団の団長と手合わせをした。
感想としては「こんなに弱くて中央は大丈夫なのか?」だ。
俺が勝ったのだが、早く帰ってほしい。もしくは、ここで俺の部下として鍛え直す。近衛としては弱すぎだ。それでいいのか?王宮?
近衛騎士団一行は帰って行った。ホッと一息。
さぁ、日常に戻ろう。
腹の虫が治まらないのが、近衛騎士団の団長。
「南部辺境第2部隊を視察する」
また内心は「田舎者の烏合の衆は我等のようなエリートにはかなうまい!」という思いと共に。
南部でもチェスで大敗し、手合わせで負けを喫した。
挙句「こんなに弱くて、近衛は大丈夫ですか?近衛ですよね?陛下を守ったりですよね?」
と言われる始末。
そんな中で、近衛の騎士団員も自分達は弱いから、鍛え直そうと思い始めている。
しかし、団長のプライドはズタズタになった。
近衛騎士団の団長は代々スタルリー侯爵家の嫡男が就くことになっている。
そのプライドがズタズタになった。
もはや背に腹は代えられない。なんとしてでも、北部と南部の奴らの鼻をあかしたい!
情報戦・・・いいや違う。仕えている双子、確かフラとルラがいるはずだ。
その双子を拉致するんだ。
その時には奴ら、顔色が変わるだろう。
どうせ平民だろう?ちょっとくらいキズがつこうと問題がないだろう。
あんなにチェスや手合わせで頑張っても勝てなかったというのに、双子の拉致はあっさりとできた。拍子抜けだ。どう思うだろう?楽しみだ。
その時北部では…
「はぁ?フラが拉致された?面倒な事を。目下の課題は犬の世話だな。俺はおびえられるし…。うちの隊で一番弱い奴は?そいつに世話を頼もう。俺はちょいと野暮用で王都に行ってくる。うちの馬(鍛えてる)だったら一日あれば着きそうなもんだけど?はぁ誰だよ、面倒な事をするのは!」
同時に南部では・・・
「ルラが拉致?面倒な事するやつっているんだなぁ。目前の問題は屋敷に居る猫の世話!ルラがやってたから俺はよくわからんが、わかるやついるか?お前、なんか知ってそうだな。あ、今目を逸らしただろ?見たぞ。そういうわけで、お前が世話ね。俺はちょっと王都に用が出来たから行ってくる。ここの馬は俺が鍛えたし、一日あれば着くでしょ?じゃ、あとはよろしくね。全く、面倒だなぁ」
王宮にて、いつもは絶対に会うことが無い(ように北と南の辺境の部隊に配属された)二人が顔を合わせた。
「これは北部辺境第2部隊長殿、王都とは珍しい。何か重要な用でも?」
「あなたに話すような事ではないですよ、南部辺境第2部隊長殿」
「しかしながら、このままいくと謁見の間では?」
「確かに陛下に謁見の予定ですが何か?」
「奇遇ですね。私も陛下に謁見の予定なんですよ」
「両者、面を上げよ。ああ、この二人と余は応接室に行く。ついてくるな。二人とも強く護衛騎士としては申し分ない」
「「…」」
「はー、やっと息がつく。玉座は全くもって堅苦しいよな?もう疲れる。それで、二人の用件は?だいたいわかるが?私の可愛い娘と結婚したいとか?もちろん断固反対!」
「恐れながら、陛下よりお預かりしていましたフラという娘を拉致されてしまいました」
「同じく、ルラという娘を拉致されてしまいました」
「北部の…思いっきりスルーしたな?まぁいい。二つの拉致事件は同一犯だろうな。心当たりは?」
「先日視察に南部にきました、近衛騎士団の団長でしょうか?俺の事を恨んでそうだから」
「あぁ、あいつ、南部にも行ったのか?北部で俺がけちょんけちょんにしたんだが?その怨恨?」
「フラとルラだが…。本名をフランチェスとルランチェスだ。私の娘なんだよ!解れ!!で、近衛騎士団の団長?スタルリー侯爵家の嫡男だな。が首謀者か…。はぁ、世も末だな。あいつはフラとルラを平民だと思ってるんだろう?首飛ばすか?」
「陛下、物騒です。一応呼び出しては?」
「そうですよ!ここで王家の威光を使うのですよ!」
「うむむ、こんな時だけ気が合うのが腹立たしい!しかし、尋問せねばな」
近衛騎士団の団長が陛下に招聘された。
「陛下におかれましては、ご健勝なご様子でなによりです」
「そのような話はいい。単刀直入に言うと、お前は最近若い娘を2人拉致したのではないか?」
「何を仰いますか?何か証拠でも?」
「いや、お前は非常に誇り高いからな。北部や南部の隊長にやられたとあっては何かやり返すのでは?と思ってな?」
「辺境の隊長達にしてやられたのは偶々でしょう?何をやり返すと考えたのですか?」
「そうだなぁ?余なら辺境の地で働く娘を拉致しようかと考えるな。それでお前に訊ねたのだが、違ったか?ちなみに、その娘なんだがなぁ。少々お転婆なのでお灸を据える意味もあって余が辺境に預けた余の大事な可愛い娘なんだが…最近拉致されえたようでのぅ。何か知らないか?」
近衛騎士団の団長の顔色がどんどん青くなっていく。
「御前、急用を思い出しましたので、失礼します!!」
そう言って、近衛騎士団の団長は去っていった。もちろん尾行に人員は割いている。
「陛下もなかなか意地が悪いですね」
「さて、このまま帰ってくるでしょうか?」
参った。ただの平民の娘だと思っていた娘が陛下の愛娘だったとは・・・。
なんなら求婚すべき相手なのに不覚…。しかも双子で二人いるし。
どうしよう?
フラ・「犬たちは大丈夫かしら?」
ルラ・「私のとこの猫たちは大丈夫でしょうけど心配ね」
こいつらは…いかんいかん!この方たちは自分たちの心配はしないのだろうか?
フラ・「そういえば、ルラに会うの久しぶりよねー」
ルラ・「そうねー。最後に会ったのはお父様が大激怒した時だったわね」
何をしたんだ?
フラ・「ふふふ、あれはなかなか面白かったわ」
ルラ・「私は爽快だったなー」
??いったい何を。
フラとルラ「義母のドレスを全部ズタズタに切り裂いたのよ」
…女はコワイ。
このまま、「見つけました」陛下に差し出すのも微妙だな。かといって再び辺境の地に戻すのも何か嫌だ。
そんな中で陛下の部下は優秀だった。拉致されている場所を突き止め、警備に当たっている人員の配置等まで事細かく調べつくした。
「ここからは北部のと南部のにやってもらう。ここまで事細かく調べてあるんだから、娘を傷一つつけずに救出すること。侯爵家はこのバカ息子のせいで被害を被るわけだ。ま、バカ息子の処遇は任せる」
「はぁ、こいつと一緒の任務・・・。だから王都に行くのやだったんだ」
「バカ息子の処遇かぁ。普通に考えれば王族誘拐の罪になるわけだから死罪だけど、こいつの暴走が原因だからなぁ」
「ほら、とっとと行け――――!!」
こうして俺らは拉致られている場所に行き、あっさり警備を突破、フラとルラを救出した。
「あ、手ー切っちゃった」とフラは言う。そんなの北部の犬の世話してれば日常茶飯事だろ?しかし、陛下に怒られるんだよなぁ…。
「傷一つつけずに救出してこいっていったはずだが?」
「これはフラが勝手につけた傷だし、北部で犬の世話をしてればこんなの日常茶飯事です!」
「なんと!そんなに過酷なところだったのか?私はちょっと灸を据えるくらいの気でいたが…」
ルラ・「南部もですよー。猫の世話だから、当然猫に噛まれたり引っかかれたりします」
「もう、ずっと城で生活しなさい。怪我など恐ろしい!!」
「「俺らはイイんだな」」
フラ・「私は今度は猫の世話したいから南部に行きたい!温かいのよね?」
「むしろ暑いです」
ルラ・「私は犬の世話ー。寒いって聞いた。雪がいっぱいって言ってた」
「まぁ、うんざりするほど雪ですね」
そういうノリでフラとルラをまた北部と南部の辺境の地で預かることになった。
平隊員にはフラとルラの身分は明かさないでおこう。心臓が危ない。
しかしだなぁ、フラとルラのボディーガード的な人員は割こう。あの元団長みたいのが現れると厄介だ。
もう王都に行きたくない!
あぁ、元団長だが侯爵家に勘当された。
今は平民をしている事と思う。あのプライドで平民をやっていけるのか?思うが、生きるためだし何とかするのかもしれないし、知ーらない!
了。
「「おおー!!」」
雪深い山に野太い男の声が響き渡る。
「コラコラ、あんまり叫ぶと、雪崩が起きるからヤメロ」
「「ぉぉー!!」」
小声で男たちは叫んだ。
ここは北部辺境第2部隊。結構前線で戦う男達の集まり。
「雪合戦っていうのはなぁ。如何にして、陣地を守りつつ敵を攻め、敵からの攻撃を素早く察知するという訓練にもなる。ついでに雪原だから遮蔽物もなくてどうする?って時の対応も実践形式で学習できる。というわけだ。わかったか?野郎ども?」
「「ぉぉー!!」」
野郎どもは小声で叫ぶ。
「はぁ、野郎どもはしばらく雪合戦に勤しむだろう。その間に…俺はこの隊に配属されている犬たちと戯れよう。さー、癒したちよ。俺を癒してくれ!」
この隊に配属している犬たちは大型犬ばかりだが、それでもこの隊長にとっては癒しだった。無類の犬好き。
「ふふふっ、隊長様。今日も犬たちと戯れようとしているのですね?犬たちは怖がっていますよ?みんな私の方に来ちゃった」
この娘は隊の家政婦をしているフラ。隊長の俺を差し置いて、犬たちに好かれている。食事などの世話をしているのだから当然と言えば当然なのだけど・・・。
「隊長はまず、纏っている空気?が怖いんですよ(人相も怖いけど)。犬は敏感ですからねぇ。怯えちゃうのかも」(多分、人相だろうな。)
「そうか、しかし纏っている空気・・・。どうすればいいんだ?解決策がわからん」
「うーん、そうだなぁ?犬におやつあげてみます?」
「俺から食べてくれるだろうか?」
「あ、隊長!毒物扱ったことあります?」
「まぁ、仕事上は・・・」
「犬は鼻が利くからダメかも。地道に犬のフンを拾う作業から始めるのがいいかと・・・」
「隊員はどっかに行っててもらおう。今日のように晴れの日は雪合戦作戦が使えるな」
「あら、雪合戦は訓練の一環ではなかったのですか?」
「一石二鳥だな。訓練になりつつ、俺は犬たちと戯れるという予定だったんだが・・・」
一方こちらは南部辺境第2部隊。こちらも前線で戦う男の集まりだが。
「野郎ども!今日は海で波乗り等をするんだ」
「「おおー!!」」
「この訓練は、海からの外敵にどんな形でも対応するという柔軟性をつける訓練でもある。心して取り組むように!」
「「おおー!!」」
深く澄み切った青い海に男共の太い叫び声が響く。
南部の隊長はここぞとばかりに屋敷の中へ入っていった。
「僕の猫ちゃん(※隊のものです)はどこでちゅか?」
「ふふふっ。隊長、赤ちゃん言葉!面白い」
赤面してしまう。仕方あるまい。
「猫たちがどこにいるのか君は知っているのか?」
「え?知りませんよ。猫は奔放ですからね。餌をとりあえず餌置き場に置きますけど、いつ食べているのか知りませんし、強要もしません」
この娘の名前はルラ。北部の娘とは双子。
どちらも普段は剣をふるう一流の部隊なのだが…。
北部の隊長は無類の犬好き。南部の隊長は無類の猫好きである。
二人の隊長の中は犬猿の仲。
そんなことは周辺諸国もよく知っている。
知っているのだが…手が出せない。
隊長はそんなでも隊としては超一流のエリート集団。
下手に手を出せば、大やけど。で済めばいいなぁ。済むのかなぁ?なので大人しくしているのです。
スパイも送られた。
北部の隊長と南部の隊長をいがみ合わせよう作戦だ。
しかし、いがみ合っているのは前からなので何の意味も成さなかった。
情報を得ようともした。
情報は出るは出るは、隊員の下着の柄まで明らかになる。
それでも、下手に手を出せば…という状態だからどうしようもない。
この二つの部隊をおとなしくできるのはフラとルラの二人だけだろう。
王都の騎士すら手が出せない。
出そうとしてヤケドをした。ヤケドですんで良かったね。
ある日王宮の近衛騎士団が北部辺境第2部隊を視察に行った。
視察という名目だが内心は「所詮、田舎者の烏合の衆だろう?エリートの俺らに比べれば。まぁ比べるほどでもないか」である。
近衛騎士団の団長が北部の隊長に言う。
「せっかくだし、チェスでもして仲を深めないか?」
北部の隊長としては、一応中央からの客なので無下にも出来ずチェスをすることとなった。
近衛騎士団の団長の思惑は「チェスのような紳士の嗜み、こんな田舎者できないだろう(笑)」だ。
「チェックメイト」と北部の隊長。
「チェックメイト」と北部の隊長
「チェックメイト」と北部の隊長
「チェックメイト」と北部の隊長
「チェックメイト」と北部の隊長
……
近衛騎士団の団長の思惑とは違い、北部の隊長の圧勝となった。
「いやぁ、強いだけじゃココは守れないんですよね。ありとあらゆる戦略がないと守れないんですよ。加えての力です。まずは戦略かなぁ?」
近衛騎士団の団長は臍を嚙む思いだった。「コンナハズデハ・・・」
頭の中で思い描いた光景は、自分の圧勝と羨望の眼差し。そして、田舎者の烏合の衆となじる自分に酔う光景があった。・・・なのに!
目の前では、自分に圧勝しそれが当然の結果だというような相手が敵味方関わらずに羨望の眼差しを受けている。しかも、もう用は済んだかと仕事に戻ろうとしている。
「あー、北部の実力を知りたくて、いやぁ近衛の最弱を相手にするよ。そちらは誰が?」
非常に面倒だと思った。仕方ないので、自分が相手することにした。
「いいなぁ。隊長の相手なんてそうそうできない。俺はもう1年は相手してもらってないなぁ」
「俺は2年位?」
「隊長の相手は順番待ちだよ!待つしかない」
等の声が北部のゴツイ隊員から聞こえた。
「相手するのは近衛の最弱だし、ケガさせない方がいいよな?1本取ればいいか?」
「そのようにしよう」
近衛騎士団の団長は思う。「チェスでは思うようにいかなかったが、今度はそういかないだろう?」と。
「始め!」と近衛騎士団の団長が審判を務めた。
一瞬で勝負が終わった。
北部の隊長の木刀が相手の首につきつけられている。
「これで、1本だよな。もう終わりか?近衛の最弱って本当に最弱だな」
北部の隊長はヤバい、しまったと思った。プライドの高い近衛騎士団の団長を刺激する発言をしてしまった。
「そうだなぁ。仕方ない。団長の私と手合わせ願おう」
俺も暇じゃないんだけどな。と思う。…が仕方あるまい。さっさと片づけてお帰り願おう。
「では、1本勝負で」
こうして、俺は近衛騎士団の団長と手合わせをした。
感想としては「こんなに弱くて中央は大丈夫なのか?」だ。
俺が勝ったのだが、早く帰ってほしい。もしくは、ここで俺の部下として鍛え直す。近衛としては弱すぎだ。それでいいのか?王宮?
近衛騎士団一行は帰って行った。ホッと一息。
さぁ、日常に戻ろう。
腹の虫が治まらないのが、近衛騎士団の団長。
「南部辺境第2部隊を視察する」
また内心は「田舎者の烏合の衆は我等のようなエリートにはかなうまい!」という思いと共に。
南部でもチェスで大敗し、手合わせで負けを喫した。
挙句「こんなに弱くて、近衛は大丈夫ですか?近衛ですよね?陛下を守ったりですよね?」
と言われる始末。
そんな中で、近衛の騎士団員も自分達は弱いから、鍛え直そうと思い始めている。
しかし、団長のプライドはズタズタになった。
近衛騎士団の団長は代々スタルリー侯爵家の嫡男が就くことになっている。
そのプライドがズタズタになった。
もはや背に腹は代えられない。なんとしてでも、北部と南部の奴らの鼻をあかしたい!
情報戦・・・いいや違う。仕えている双子、確かフラとルラがいるはずだ。
その双子を拉致するんだ。
その時には奴ら、顔色が変わるだろう。
どうせ平民だろう?ちょっとくらいキズがつこうと問題がないだろう。
あんなにチェスや手合わせで頑張っても勝てなかったというのに、双子の拉致はあっさりとできた。拍子抜けだ。どう思うだろう?楽しみだ。
その時北部では…
「はぁ?フラが拉致された?面倒な事を。目下の課題は犬の世話だな。俺はおびえられるし…。うちの隊で一番弱い奴は?そいつに世話を頼もう。俺はちょいと野暮用で王都に行ってくる。うちの馬(鍛えてる)だったら一日あれば着きそうなもんだけど?はぁ誰だよ、面倒な事をするのは!」
同時に南部では・・・
「ルラが拉致?面倒な事するやつっているんだなぁ。目前の問題は屋敷に居る猫の世話!ルラがやってたから俺はよくわからんが、わかるやついるか?お前、なんか知ってそうだな。あ、今目を逸らしただろ?見たぞ。そういうわけで、お前が世話ね。俺はちょっと王都に用が出来たから行ってくる。ここの馬は俺が鍛えたし、一日あれば着くでしょ?じゃ、あとはよろしくね。全く、面倒だなぁ」
王宮にて、いつもは絶対に会うことが無い(ように北と南の辺境の部隊に配属された)二人が顔を合わせた。
「これは北部辺境第2部隊長殿、王都とは珍しい。何か重要な用でも?」
「あなたに話すような事ではないですよ、南部辺境第2部隊長殿」
「しかしながら、このままいくと謁見の間では?」
「確かに陛下に謁見の予定ですが何か?」
「奇遇ですね。私も陛下に謁見の予定なんですよ」
「両者、面を上げよ。ああ、この二人と余は応接室に行く。ついてくるな。二人とも強く護衛騎士としては申し分ない」
「「…」」
「はー、やっと息がつく。玉座は全くもって堅苦しいよな?もう疲れる。それで、二人の用件は?だいたいわかるが?私の可愛い娘と結婚したいとか?もちろん断固反対!」
「恐れながら、陛下よりお預かりしていましたフラという娘を拉致されてしまいました」
「同じく、ルラという娘を拉致されてしまいました」
「北部の…思いっきりスルーしたな?まぁいい。二つの拉致事件は同一犯だろうな。心当たりは?」
「先日視察に南部にきました、近衛騎士団の団長でしょうか?俺の事を恨んでそうだから」
「あぁ、あいつ、南部にも行ったのか?北部で俺がけちょんけちょんにしたんだが?その怨恨?」
「フラとルラだが…。本名をフランチェスとルランチェスだ。私の娘なんだよ!解れ!!で、近衛騎士団の団長?スタルリー侯爵家の嫡男だな。が首謀者か…。はぁ、世も末だな。あいつはフラとルラを平民だと思ってるんだろう?首飛ばすか?」
「陛下、物騒です。一応呼び出しては?」
「そうですよ!ここで王家の威光を使うのですよ!」
「うむむ、こんな時だけ気が合うのが腹立たしい!しかし、尋問せねばな」
近衛騎士団の団長が陛下に招聘された。
「陛下におかれましては、ご健勝なご様子でなによりです」
「そのような話はいい。単刀直入に言うと、お前は最近若い娘を2人拉致したのではないか?」
「何を仰いますか?何か証拠でも?」
「いや、お前は非常に誇り高いからな。北部や南部の隊長にやられたとあっては何かやり返すのでは?と思ってな?」
「辺境の隊長達にしてやられたのは偶々でしょう?何をやり返すと考えたのですか?」
「そうだなぁ?余なら辺境の地で働く娘を拉致しようかと考えるな。それでお前に訊ねたのだが、違ったか?ちなみに、その娘なんだがなぁ。少々お転婆なのでお灸を据える意味もあって余が辺境に預けた余の大事な可愛い娘なんだが…最近拉致されえたようでのぅ。何か知らないか?」
近衛騎士団の団長の顔色がどんどん青くなっていく。
「御前、急用を思い出しましたので、失礼します!!」
そう言って、近衛騎士団の団長は去っていった。もちろん尾行に人員は割いている。
「陛下もなかなか意地が悪いですね」
「さて、このまま帰ってくるでしょうか?」
参った。ただの平民の娘だと思っていた娘が陛下の愛娘だったとは・・・。
なんなら求婚すべき相手なのに不覚…。しかも双子で二人いるし。
どうしよう?
フラ・「犬たちは大丈夫かしら?」
ルラ・「私のとこの猫たちは大丈夫でしょうけど心配ね」
こいつらは…いかんいかん!この方たちは自分たちの心配はしないのだろうか?
フラ・「そういえば、ルラに会うの久しぶりよねー」
ルラ・「そうねー。最後に会ったのはお父様が大激怒した時だったわね」
何をしたんだ?
フラ・「ふふふ、あれはなかなか面白かったわ」
ルラ・「私は爽快だったなー」
??いったい何を。
フラとルラ「義母のドレスを全部ズタズタに切り裂いたのよ」
…女はコワイ。
このまま、「見つけました」陛下に差し出すのも微妙だな。かといって再び辺境の地に戻すのも何か嫌だ。
そんな中で陛下の部下は優秀だった。拉致されている場所を突き止め、警備に当たっている人員の配置等まで事細かく調べつくした。
「ここからは北部のと南部のにやってもらう。ここまで事細かく調べてあるんだから、娘を傷一つつけずに救出すること。侯爵家はこのバカ息子のせいで被害を被るわけだ。ま、バカ息子の処遇は任せる」
「はぁ、こいつと一緒の任務・・・。だから王都に行くのやだったんだ」
「バカ息子の処遇かぁ。普通に考えれば王族誘拐の罪になるわけだから死罪だけど、こいつの暴走が原因だからなぁ」
「ほら、とっとと行け――――!!」
こうして俺らは拉致られている場所に行き、あっさり警備を突破、フラとルラを救出した。
「あ、手ー切っちゃった」とフラは言う。そんなの北部の犬の世話してれば日常茶飯事だろ?しかし、陛下に怒られるんだよなぁ…。
「傷一つつけずに救出してこいっていったはずだが?」
「これはフラが勝手につけた傷だし、北部で犬の世話をしてればこんなの日常茶飯事です!」
「なんと!そんなに過酷なところだったのか?私はちょっと灸を据えるくらいの気でいたが…」
ルラ・「南部もですよー。猫の世話だから、当然猫に噛まれたり引っかかれたりします」
「もう、ずっと城で生活しなさい。怪我など恐ろしい!!」
「「俺らはイイんだな」」
フラ・「私は今度は猫の世話したいから南部に行きたい!温かいのよね?」
「むしろ暑いです」
ルラ・「私は犬の世話ー。寒いって聞いた。雪がいっぱいって言ってた」
「まぁ、うんざりするほど雪ですね」
そういうノリでフラとルラをまた北部と南部の辺境の地で預かることになった。
平隊員にはフラとルラの身分は明かさないでおこう。心臓が危ない。
しかしだなぁ、フラとルラのボディーガード的な人員は割こう。あの元団長みたいのが現れると厄介だ。
もう王都に行きたくない!
あぁ、元団長だが侯爵家に勘当された。
今は平民をしている事と思う。あのプライドで平民をやっていけるのか?思うが、生きるためだし何とかするのかもしれないし、知ーらない!
了。
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