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第5話 お嬢様が私に丸投げする癖はよくないと思います。
しおりを挟むそして応接間にはマーク殿下と旦那様・奥様・お嬢様と私が揃いました。
「で、ステフ嬢はピエトロと同一人物ということでいいんだろうか?」
うぉう、殿下!切り口が鋭いです。
「それにしては、他人度が高いんだよなぁ……」
はぁ、どこから話せばいいのやら、旦那様も奥様も思案しているご様子。
「僭越ながら、私が説明させていただきます」
私が説明するしかないでしょう。
「えー、お嬢様は…ステフお嬢様ですよ?それは美しくお生まれになりました。しかしながら、剣術に興味を持たれて、しかも才覚を現したのです」
「ほぉ、確かにステフ嬢の剣の腕は強いからな」
殿下は感心しているようだけど、大丈夫かしら?
「因みに領地経営にも興味がおありで、領地経営もお上手です」
「へぇ、それは初耳」
だって、言ってないから。
「妙齢になりましても、婚姻に興味がなく、デビュタントもせずにいました」
「学園では病弱と言っていたようだしな」
それは真っ赤な嘘なんですが。
「学園に入学するにあたってお嬢様は2つの人格をお作りになりました。一つはまぁステフお嬢様です。正式に作り出したのが、“ピエトロ”様です」
「ピエトロは完全に男性だったが?」
「それは奥様が学園に入学するにあたって渡されたブレスレットですね」
「あぁ、あれか!あれは‘曾祖母の形見’では?」
「あ、不敬にあたりますが嘘でございます。申し訳ございません!」
「いや、いいよ。事情が事情だし」
器が大きいなぁ。
「あのブレスレットは性別はもちろん着ているものも即座に変えることが出来る優れものなのです」
「ステフ、使ってみなさい。どうぞ、殿下お目汚しをお許しください」
お嬢様がブレスレットをはめるとちょっと光ってその場所にはピエトロが姿を現した。
殿下は茫然としている中言った。
「えーと、今はピエトロと呼んだ方がいいんだろうか?ステフ嬢と呼んだ方がいいんだろうか?」
混乱しているみたい。
「お嬢様、ブレスレットを外してください」
そして、ちょっと光ってその場所にお嬢様が姿を現した。
「仕組みはわからないけど、そういうことだな」
「お嬢様は剣術をしてみたかったのです。自分と他者との交流。それはここではできないことですから。できることは、せいぜい素振り?」
「さすがサラね。わかってる!」
「今後はどうするつもりだ?侯爵家のお嬢様が騎士団で訓練をしているとなれば大変だろう?」
「それは貴方様も同じです。一国の皇太子様が騎士団で訓練というのは……」
「そうか……。私は息抜きのつもりだったんだけどなぁ」
「ねぇサラ、今後はどうすればいいと思う?」
出たー!私に丸投げ!
私だって考えるんですよ?なるべく早く答えを出すようにはしてるけど、それだって限界ってものが!!
「そうですね!お嬢様は残念ながら、学園を辞めてマーク様の護衛騎士をするというのはいかがでしょうか?護衛騎士の時はピエトロ様の格好です」
「さすが、サラ!頼りになる~!!」
頼られるのは侍女冥利に尽きますが、いつも丸投げされては困ります。
「うん、それがいいかも。ピエトロの剣の腕前は私が知ってるし。父上に言っておこう。侯爵家の人間というのもポイントになるだろう。…しかし父上には本当の事を言った方がいいな。でないと不敬罪になったら後が怖い」
不敬罪……恐ろしいですね。
「父上にはピエトロの推薦と一緒にステフ嬢の事実を伝えよう。一度父上との面談…面接というのか?があるやもしれないがそれは許して欲しい」
「「殿下の言葉には従います」」
「ちょっと!マークだってば!!」
「お前は馴れ馴れしい」
お嬢様はマーク様に実際馴れ馴れしいんですが、仕方ないですよね。共に騎士団で鍛えられた仲ですし。しかし親しき中にも礼儀あり!です。相手は一国の王子ですし。
「はははっ、ステフ嬢は相変わらずだなぁ。城の中でも私と二人の時はその調子で構わない。私も一人称は“俺”にする。…ん?“なる”かな?堅苦しいんだよな。城の中って。そういうわけで私は騎士団の中に紛れ込んだ。幸いにして“マーク”って名前も珍しいものではなかったしな。はははっ」
殿下は楽しそうだけど、侯爵家は大混乱ですよ?
「マーク、その面談?の時ってステフ?ピエトロ?」
「あとで城への招待状みたいのここに送るからそこに書いておく」
「了解」
もういっそのこと、お嬢様がこのまま王家に嫁いでしまわないかなぁ?と私は思ってしまうのです。
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