5 / 22
第5話 お嬢様が私に丸投げする癖はよくないと思います。
そして応接間にはマーク殿下と旦那様・奥様・お嬢様と私が揃いました。
「で、ステフ嬢はピエトロと同一人物ということでいいんだろうか?」
うぉう、殿下!切り口が鋭いです。
「それにしては、他人度が高いんだよなぁ……」
はぁ、どこから話せばいいのやら、旦那様も奥様も思案しているご様子。
「僭越ながら、私が説明させていただきます」
私が説明するしかないでしょう。
「えー、お嬢様は…ステフお嬢様ですよ?それは美しくお生まれになりました。しかしながら、剣術に興味を持たれて、しかも才覚を現したのです」
「ほぉ、確かにステフ嬢の剣の腕は強いからな」
殿下は感心しているようだけど、大丈夫かしら?
「因みに領地経営にも興味がおありで、領地経営もお上手です」
「へぇ、それは初耳」
だって、言ってないから。
「妙齢になりましても、婚姻に興味がなく、デビュタントもせずにいました」
「学園では病弱と言っていたようだしな」
それは真っ赤な嘘なんですが。
「学園に入学するにあたってお嬢様は2つの人格をお作りになりました。一つはまぁステフお嬢様です。正式に作り出したのが、“ピエトロ”様です」
「ピエトロは完全に男性だったが?」
「それは奥様が学園に入学するにあたって渡されたブレスレットですね」
「あぁ、あれか!あれは‘曾祖母の形見’では?」
「あ、不敬にあたりますが嘘でございます。申し訳ございません!」
「いや、いいよ。事情が事情だし」
器が大きいなぁ。
「あのブレスレットは性別はもちろん着ているものも即座に変えることが出来る優れものなのです」
「ステフ、使ってみなさい。どうぞ、殿下お目汚しをお許しください」
お嬢様がブレスレットをはめるとちょっと光ってその場所にはピエトロが姿を現した。
殿下は茫然としている中言った。
「えーと、今はピエトロと呼んだ方がいいんだろうか?ステフ嬢と呼んだ方がいいんだろうか?」
混乱しているみたい。
「お嬢様、ブレスレットを外してください」
そして、ちょっと光ってその場所にお嬢様が姿を現した。
「仕組みはわからないけど、そういうことだな」
「お嬢様は剣術をしてみたかったのです。自分と他者との交流。それはここではできないことですから。できることは、せいぜい素振り?」
「さすがサラね。わかってる!」
「今後はどうするつもりだ?侯爵家のお嬢様が騎士団で訓練をしているとなれば大変だろう?」
「それは貴方様も同じです。一国の皇太子様が騎士団で訓練というのは……」
「そうか……。私は息抜きのつもりだったんだけどなぁ」
「ねぇサラ、今後はどうすればいいと思う?」
出たー!私に丸投げ!
私だって考えるんですよ?なるべく早く答えを出すようにはしてるけど、それだって限界ってものが!!
「そうですね!お嬢様は残念ながら、学園を辞めてマーク様の護衛騎士をするというのはいかがでしょうか?護衛騎士の時はピエトロ様の格好です」
「さすが、サラ!頼りになる~!!」
頼られるのは侍女冥利に尽きますが、いつも丸投げされては困ります。
「うん、それがいいかも。ピエトロの剣の腕前は私が知ってるし。父上に言っておこう。侯爵家の人間というのもポイントになるだろう。…しかし父上には本当の事を言った方がいいな。でないと不敬罪になったら後が怖い」
不敬罪……恐ろしいですね。
「父上にはピエトロの推薦と一緒にステフ嬢の事実を伝えよう。一度父上との面談…面接というのか?があるやもしれないがそれは許して欲しい」
「「殿下の言葉には従います」」
「ちょっと!マークだってば!!」
「お前は馴れ馴れしい」
お嬢様はマーク様に実際馴れ馴れしいんですが、仕方ないですよね。共に騎士団で鍛えられた仲ですし。しかし親しき中にも礼儀あり!です。相手は一国の王子ですし。
「はははっ、ステフ嬢は相変わらずだなぁ。城の中でも私と二人の時はその調子で構わない。私も一人称は“俺”にする。…ん?“なる”かな?堅苦しいんだよな。城の中って。そういうわけで私は騎士団の中に紛れ込んだ。幸いにして“マーク”って名前も珍しいものではなかったしな。はははっ」
殿下は楽しそうだけど、侯爵家は大混乱ですよ?
「マーク、その面談?の時ってステフ?ピエトロ?」
「あとで城への招待状みたいのここに送るからそこに書いておく」
「了解」
もういっそのこと、お嬢様がこのまま王家に嫁いでしまわないかなぁ?と私は思ってしまうのです。
あなたにおすすめの小説
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月 瑠々奈
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
【完結】見えてますよ!
ユユ
恋愛
【 お知らせ 】
先日、近況ボードにも
お知らせしました通り
2026年4月に
完結済みのお話の多数を
一旦closeいたします。
誤字脱字などを修正して
再掲載をするつもりですが
再掲載しない作品もあります。
再掲載の時期は決まっておりません。
表現の変更などもあり得ます。
他の作品も同様です。
ご了承いただけますようお願いいたします。
ユユ
【 お話の内容紹介 】
“何故”
私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。
美少女でもなければ醜くもなく。
優秀でもなければ出来損ないでもなく。
高貴でも無ければ下位貴族でもない。
富豪でなければ貧乏でもない。
中の中。
自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。
唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。
そしてあの言葉が聞こえてくる。
見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。
私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。
ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。
★注意★
・閑話にはR18要素を含みます。
読まなくても大丈夫です。
・作り話です。
・合わない方はご退出願います。
・完結しています。
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)
兄妹じゃないとわかったのでお兄様と結婚したら、全部仕込みでした
こじまき
恋愛
【20260401読みやすいように話を分割しました】
伯爵令嬢ヘイゼルは、兄アリステアに恋をしている。叶わないと知りながら、それでも諦めきれなかった。
しかし子ども時代の「取り違え」が発覚し、子爵令嬢ロレッタとして“正しい場所”で生き直すことに。
そして妹ではなくなった彼女に、アリステアは求婚する。
運命のねじれは正されて、望んだとおりに最愛の人と結ばれた――
けれど――その「正しい運命」は、兄アリステアによって用意されたものだった――
※「小説家になろう」にも投稿しています。
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
【完結】嘘も恋も、甘くて苦い毒だった
綾取
恋愛
伯爵令嬢エリシアは、幼いころに出会った優しい王子様との再会を夢見て、名門学園へと入学する。
しかし待ち受けていたのは、冷たくなった彼──レオンハルトと、策略を巡らせる令嬢メリッサ。
周囲に広がる噂、揺れる友情、すれ違う想い。
エリシアは、信じていた人たちから少しずつ距離を置かれていく。
ただ一人、彼女を信じて寄り添ったのは、親友リリィ。
貴族の学園は、恋と野心が交錯する舞台。
甘い言葉の裏に、罠と裏切りが潜んでいた。
奪われたのは心か、未来か、それとも──名前のない毒。