ツクヨミセキュリティ

satomi

文字の大きさ
5 / 16

第5話

しおりを挟む

 この‘ツクヨミセキュリティ’が業界トップの成績である理由はやっぱり、各種族のトップクラスが在籍していることが原因だと思う。
 ちょっとした悪魔の問題でも魔王のネロさんが出向けば納まるし、同様に、精霊でもヴァンパイアでも狼族でもその道のトップクラスがいるので、チョチョッと解決してしまうのです。

 やはり厄介なのはヒトです。

‘ツクヨミセキュリティ’に堕神父の桧山さんと巫女の私に社長がいるとはいえ、その柵(しがらみ)とか面倒です。
 堕神父とはいえ、桧山さんはキリスト教系。対して私は巫女なのでガッツリ神道系です。
 このしがらみがなんとも…。両方神様を祭っていると言えばそうなのですが、微妙に違い私は緩いのですが桧山さんはカッチカチに信仰しているようで…。堕神父様なので当たり前なのですが。


 そんな中で何故‘ツクヨミセキュリティ’に相談に来るかなぁ?天使と神様が。
 私はとりあえずお茶をお出ししたのですが、「お構いなく」と断られてしまいました。
 桧山さんは感動してお二人を拝んでいました。
 
 そんな桧山さんを見て、全く信仰心と無縁のリヒトさん・ネロさん・アウラさん・大神君の4人は「何してんだ?」という目線を送っています。


「で?なんなのよ?」
 社長は神様だろうと天使だろうと変わらずの対応ですね。
「『日本には八百万やおよろずの神様がいてどうにも暮らしにくい』という悩みがあるのです」
「でもさぁ、そんなのわかりきってたことでしょ?その上で日本にいるんでしょ?それで何が不満なのよ?」
「日本人の信仰心の薄さ」
「あー、そんなのも昔っからよ。七五三をしながらバレンタインをして、クリスマスを祝いつつ、正月にはおせちを食べる。不思議な民族性よねー。そういう民族性なんだから仕方ないじゃない?」
 社長はブレないなぁ…。


「この日本には800万も神様がいるのか?一週間に一人会っていても、100万週間…。一生かかっても無理じゃないのか?」
「あー、日本人は都合がいい時に都合のいい神様を利用するんですよ。あと、いい神様だけじゃないんです。お酒の神様もいますよ?そこら辺はどうなってるのか私もよくわからないんですよね」
「うむ、聖が言うのならそうなのだろうな。しかし800万はい過ぎじゃないのか?」
「語呂が良かったんじゃないですか?八百万って。八百屋さんみたいな。八百屋さん、別に800種類の野菜を扱っているわけじゃないでしょう?そんなもんですよ。深く考えない方がいいですよ?」


 天使は堕天使さんになってしまったようです。八百万について考えすぎて……。
 結局神様は日本に古くからいる神様と共存することは不可能という事で、他国へと行くことになりました。桧山さんが泣いて悲しんでいました。しかし、「この目で神様に出会えたこと!この桧山、死んで悔いなし!」と叫んでいました。神様に命を粗末にするのはやめろと止められていました。
 そして、この‘ツクヨミセキュリティ’に新しく堕天使のミシェルが仲間入りしました!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他

猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。 大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

高いヒールが世界を救う?!

satomi
恋愛
ハイヒールの高さがその家の家柄・財力などすべてを表すという世の中で生きる傾いた侯爵家で暮らす王太子と婚約しているロロですが、とある夜会で足首を捻挫。ハイヒールを履くなんてとてもじゃないけど無理です。ヒールも折れたようだし。そんな彼女に王太子が放った言葉。 「お前の俺を想う気持ちなんてその程度なんだろ!もうお前とは婚約破棄をする。お前の顔など見たくもない。国外追放だな」 翌日はとりあえず、いつも通っている学園に行きましたが、嫌味だらけ。 昨夜家までエスコートして下さった殿方(隣国の王太子様)の国へと国外追放されることに決めました。

妹が処刑さる……あの、あれは全て妹にあげたんです。

MME
恋愛
妹が好きだ。妹が欲しい物はみんなあげる。それであの娘が喜ぶなら何だって。それが婚約者だって。どうして皆が怒っているんだろう。お願いです妹を処刑しないで下さい。あれはあげたんです。私が我慢すればいいのです。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

処理中です...