8 / 10
第8話
しおりを挟む『島流しとかにしたらダメなのかなぁ?』
『それであの国の領民が納得してくれるといいんだが…』
『それで皇太子は悩んでるのかぁ、漢らしくないなぁ』
「精霊様達はなかなかに手厳しいですね。暴動を起こすくらい領民は怒っているのです。領民たちは島に流されても生活はできるでしょう。平民として生活の知恵が色々とありますから。でも、王家にいた者や貴族はそのような知恵は持ち合わせていないのです。1から自分で考えて生活していくしか生きていくことが出来ないのですが…。頭に血が上った状態の領民たちを説得することが出来ないのです」
『パールでも~?』
「パール様なら出来るかもしれませんね。あ、ドラ。どう思います?」
「パール嬢なら可能かもしれないな。ああ、そうだ!ブルハング帝国へと亡命を希望していたガイダール侯爵家の親族は悉く拒否している」
『ドラも怒ってるんだね~』
「ん?なんか聞こえたような?カエラル、通訳を頼めるか?」
「仰せのままに。『ドラも怒ってるんだね~』と、仰りました」
「そうだなぁ、都合のいい時だけ実の娘を捨てたり、王家に嫁に出したりと乱暴だからな。大体、ガイダール侯爵がキチンと育てなかったからウラルみたいな娘になったんだろ?」
『パールが4才くらいの時にガイダール侯爵が再婚した連れ子だよ』
「それにしたって侯爵の育てミスだ。甘やかしすぎたんじゃないか?」
「そうですね」
「できるなら、ガイダール侯爵も裁きたい」
『『『僕達も』』』
『『『私も!』』』
『『『俺もだ』』』
「精霊様達も裁きたいと仰っています」
近くの島だったら逃亡の危険があるし、通常の鉱夫とかだと、領民の怒りは収まりそうもないなぁ。
パール嬢がいないうちに精霊様とも相談して処罰を決めてしまいたい!
「領民たちは処刑を希望しているんだが…処刑だと痛みが一瞬なんだよなぁ。俺としては一生をかけて償うような刑にしたいのだけど…。終生鉱山夫とかにしても、鉱山に無断で領民が侵入して殺害してしまいそうな。領民が殺人者になる必要はないわけで、難しいなぁ」
「何が難しいんですか?」
「『『パール!』』」
仕方ないので、パール嬢に打ち明けた。
「そうですよね。領民の事を思うとわかります。怒っているのは領民ですもんね。やっぱり島流しが妥当かと。ついでにその島に鉱山があるといいのですが…」
「そうか!鉱山がある島か…。結構な凶悪犯が流されている場所だろうな。気高く行こうとも、センパイが厳しく指導してくれるだろうし。恩赦もないからいいかもな。ガイダール侯爵の3人に特別待遇をしないようにきつく言っておく必要はありそうだけど」
島の管理者が横領とかそんなことをしないように半年交代とかにすればいいか。今はどんな制度だ?その辺の見直しも必要だな。
「ところで、ドラ?今日はどうしたの?黒髪で黒目じゃなかったの?」
あっ、しまった!油断した。
精霊様達が笑っている。
気づいてたのに、『ドッキリ成功!してやったり』って顔でこっちを見てる。
105
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢ローズは悪役か?
瑞多美音
恋愛
「婚約を解消してくれ。貴方もわかっているだろう?」
公爵令嬢のローズは皇太子であるテオドール殿下に婚約解消を申し込まれた。
隣に令嬢をくっつけていなければそれなりの対応をしただろう。しかし、馬鹿にされて黙っているローズではない。目には目を歯には歯を。
「うちの影、優秀でしてよ?」
転ばぬ先の杖……ならぬ影。
婚約解消と貴族と平民と……どこでどう繋がっているかなんて誰にもわからないという話。
独自設定を含みます。
幸せな人生を送りたいなんて贅沢は言いませんわ。ただゆっくりお昼寝くらいは自由にしたいわね
りりん
恋愛
皇帝陛下に婚約破棄された侯爵令嬢ユーリアは、その後形ばかりの側妃として召し上げられた。公務の出来ない皇妃の代わりに公務を行うだけの為に。
皇帝に愛される事もなく、話す事すらなく、寝る時間も削ってただ公務だけを熟す日々。
そしてユーリアは、たった一人執務室の中で儚くなった。
もし生まれ変われるなら、お昼寝くらいは自由に出来るものに生まれ変わりたい。そう願いながら
頭の中が少々お花畑の子爵令嬢が朝から茶番を始めたようです
月
恋愛
ある日、伯爵令嬢のグレイスは頭の中が少しだけお花畑の子爵令嬢の茶番に付き合わされることになる。
グレイスを糾弾しているはずが、巻き込まれて過去を掘り返されていくクラスメイトたち……。
そこへグレイスの婚約者のリカルド殿下がきて……?
※10,000文字以下の短編です
【完結】婚約破棄されたら、呪いが解けました
あきゅう
恋愛
人質として他国へ送られた王女ルルベルは、その国の人たちに虐げられ、婚約者の王子からも酷い扱いを受けていた。
この物語は、そんな王女が幸せを掴むまでのお話。
あなたに何されたって驚かない
こもろう
恋愛
相手の方が爵位が下で、幼馴染で、気心が知れている。
そりゃあ、愛のない結婚相手には申し分ないわよね。
そんな訳で、私ことサラ・リーンシー男爵令嬢はブレンダン・カモローノ伯爵子息の婚約者になった。
〈完結〉姉と母の本当の思いを知った時、私達は父を捨てて旅に出ることを決めました。
江戸川ばた散歩
恋愛
「私」男爵令嬢ベリンダには三人のきょうだいがいる。だが母は年の離れた一番上の姉ローズにだけ冷たい。
幼いながらもそれに気付いていた私は、誕生日の晩、両親の言い争いを聞く。
しばらくして、ローズは誕生日によばれた菓子職人と駆け落ちしてしまう。
それから全寮制の学校に通うこともあり、家族はあまり集わなくなる。
母は離れで暮らす様になり、気鬱にもなる。
そしてローズが出ていった歳にベリンダがなった頃、突然ローズから手紙が来る。
そこにはベリンダがずっと持っていた疑問の答えがあった。
彼女(ヒロイン)は、バッドエンドが確定している
基本二度寝
恋愛
おそらく彼女(ヒロイン)は記憶持ちだった。
王族が認め、発表した「稀有な能力を覚醒させた」と、『選ばれた平民』。
彼女は侯爵令嬢の婚約者の第二王子と距離が近くなり、噂を立てられるほどになっていた。
しかし、侯爵令嬢はそれに構う余裕はなかった。
侯爵令嬢は、第二王子から急遽開催される夜会に呼び出しを受けた。
とうとう婚約破棄を言い渡されるのだろう。
平民の彼女は第二王子の婚約者から彼を奪いたいのだ。
それが、運命だと信じている。
…穏便に済めば、大事にならないかもしれない。
会場へ向かう馬車の中で侯爵令嬢は息を吐いた。
侯爵令嬢もまた記憶持ちだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる