辺境はいいところです~実家に戻りたくありません

satomi

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1.やってきた縁談話


「うちにきた、この縁談なんだけど―――辺境伯っていうのはいいのよ?あの噂がねぇ?」
「ああ、近寄ると呪いが移るとか?」
「普段ローブを被って生活しているのは、鬼のような角を隠しているのじゃないかとか?」
「毎晩のように、使用人(女)の生き血を吸って生きているかのように昼間はめったに見かけないとか?」
「「「「うーん」」」」
 酷い言いようですね。会ったこともない人をそこまで言えるのがスゴイですね。
 国王陛下にお会いする事はないけれどそのような事はないのに、やはりだからでしょうか?
「あら、こんなところにもう一人娘がいたわ。忘れてた」
「そうね、我が家も伯爵家でそれなりの爵位だけど、女所帯だからちょっと誰かが婿取りとは思ってたんだけど…」
「丁度いいから、お姉様この縁談受けてはいかが?この先お姉様に縁談話があるとは思えませんし」
 4人姉妹の3女で私だけが黒目・黒髪。他の子は‘~ブロンド’で緑眼。お母様も同じく。どうやら私は先祖返りのようで、扱いが酷いですね。使用人と同等、それ以下の扱いを受けているように思います。自我に目覚めてからも、毎日毎日……家事・洗濯・掃除と使用人がするようなことは何でもござれ。やっていました。やらざるを得なかったが正しいというのでしょうか?
 長女がアリス、次女がベティ、3女の私がキャシー、4女がドリス。アルファベット順に名前を付けたみたい。安易よね。口に出したことはないけど。


 その日から、私は辺境伯様へ嫁ぐのだからということで、普段は食べることのない肉料理やらを食べさせられましたが、そんな簡単に体が慣れていないのです。当然のようにリバースしてしまいました。もったいなかった……。
「この子に高級肉なんてもったいないわ。雑草でいいのよ!」
 胃が脂っぽいものに慣れていなかったせいです。黒髪・黒目でガリガリの体をしている私はそのように言われるのですが、「辺境伯様につき返されるのは我が家の恥よ!肉くらい食べなさいよ!」
 お母様のような体型の方ならばお肉でもなんでも体は拒否しないでしょうが、私の体は拒否するのです。長年にわたって脂っぽいものを食べていない弊害でしょうか?

 加えて、髪やら肌のケアもされました。こちらは気持ち良かったのですが、体に栄養がいっていないのが原因でしょうか?傷んだ髪を修復するだけの力がないようで、侍女さんがお手上げ状態でした。
 全ては私の栄養失調のため。

 侍女さん達は努力しているのに、母や姉妹たちに詰られ侮辱され。いっその事職場を変えることも視野に入れるべきだと進言してしまいました。全て私のせいですからね。


 翌日、早速私は辺境へと嫁ぐこととなりました。
 一刻も早く私を追い出したかったみたいです。
 私は生まれて初めて馬車に乗りました。辺境までは1週間以上かかるという事を聞きました。
 本で読みました。これが‘酔う’という事でしょうか?

 頭がガンガン痛くて吐き気までします。そのようなものだと書物で読んだことがありますが、まさか自分の身に起こる事だとは思いませんでした。
 御者の方に「酔ったみたいだ」と伝えても、何も変わらず私はただただ苦しんでいました。
 御者の方も1週間以上かけて辺境まで私を運ぶという仕事をしなければならないという事で、気が立っているのでしょう。普段でしたら、せいぜい学校の送迎などですからね。

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