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リーエンの新生活
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ベッドの上で目覚めれば、見知らぬ部屋。
ぼんやりと「どうして知らない部屋にいるの?」と意識の覚醒を促し、最初に思い出したのはあの男に抱かれて達して、中に出されてしまったこと。
「……!」
目覚めたリーエンは毛布を跳ね除けて、自分が「どうなっているのか」確認した。
ナイトウェアに着替えているし、どうやら体も綺麗にしてもらったようだ。下着も、きちんとつけている。勿論、自分がつけていたものではない、見たことがないものだが、上質なものであることは確かだった。
「ここ、は」
アルフレドの城、とようやく昨日の記憶が思い出される。魔界に来たのは夕方で、それからすぐアルフレドに選ばれて、彼の城につれてこられて、犯されて……それからどれぐらい眠っていたのか、当然彼女はわかっていない。そもそも時間の概念が魔界は人間界と一緒なのか、それすら彼女は知らないのだし。
「あっ……いたっ……!」
ベッドから降りようとした瞬間、ずきんと腰に痛みを感じて、きちんと起き上がれず床にどすんと落ちた。
「あいたたた……!」
(やだ……腰も痛いし、あそこも、ちょっとだけ痛いし、体のあちこちも……こんなの、乗馬を教えてもらった時以来だわ……!)
その乗馬も三日坊主で諦めるほど、どうやら彼女には才能がなかったのだが。
なんとかベッドにしがみついて立ちあがると、転んだ音が聞こえてしまったのか、ドアをノックする音が響いた。
「リーエン様、お目覚めでしょうか」
「はっ、はい……」
「失礼いたします」
扉を開けて入ってきたのは、見た目はほぼ人間と変わりがない女中2人。年の頃は30歳ぐらいだろうか。
「おはようございます。本日からリーエン様付になりました、こちらはバーニャ、わたくしはカンナと申します。他4名は後ほどご挨拶に参ります。宜しくお願いいたします」
そういって2人は頭を下げる。自分の状況はまだ理解しかねることが多いが、おはようということは朝なのか。そして、女中の人数からそれなりの待遇だということがわかり、困惑を隠せない。いや、しかし、アルフレドはここを「城」と言っていたのだし、ならば、女中やら騎士が多くいても当然といえば当然なのだが……。
「あ……こちらこそ、宜しくお願いいたします」
「そのようなお言葉使いは不必要です。今日からリーエン様はわたくし達の主同様の立場で扱うよう言われておりますので、なんなりとお申し付けくださいませ」
「主……アルフレド様のことでしょうか」
「はい。アルフレド様は本日既に執務が始まっていらっしゃるので、リーエン様と朝食は共に出来ないと。リーエン様のご体調がよければ、午後のティータイムをご一緒したいとのお申し出がありました」
午後のティータイム。魔界にそんなものがあることも、午前や午後という概念があるということも、リーエンにとっては「そうなんだ」と、言われることすべてに驚くばかり。
「そ、そうですか。わかりました。体調は大丈夫です。その、少し体が痛いだけで……」
「かしこまりました。その旨をお伝えいたします。昼に近いお時間ですので、ブランチを用意させましょう。食の好みをお伺いしてもよろしいでしょうか」
行き届いている。そんなことまで考慮してもらえるなんて。
人間界とすべてが同じ食材ではないにせよ、同じもの、近いものも食べているようで、リーエンはあれこれを聞かれた内容のほとんどを問題なく答えることが出来た。
着替える前に体のマッサージまでしてもらい、それからブランチに赴く。果物のサラダが添えられた塩っ気のある薄いパンケーキに、酸味があるソースが添えられた焼き野菜に、種類はわからないけれどローストされた肉。小さいカップに野菜のポタージュスープ。どれも彼女に口にあったし、特にポタージュスープは毎日飲んでも良いと思えるほどだった。聞けば、仕事が忙しいアルフレドが片手間に栄養を補給する時に出しているものだと言う。
(何のお仕事をなさっているのかしら? でも、ここはお城だって言っていたから、人間界で言えば大きな領地を治めていたり、国の政務に関わっているのかしら。魔界にも国ってあるのかな……)
食事を終える頃、彼女の元に1人の魔族が現れた。
「リーエン様、失礼いたします」
「あ、はい……」
「アルフレド様より命を受けてまいりました。ジョアンと申します。アルフレド様の側近を務めておりますので、お見知りおきを」
「ジョアン様」
ジョアンは額に3つ目の瞳を持つ男性で、リーエンの目には20代前半程度の年齢に見えた。アッシュグレイの髪は額の目を避けるようにわけており、大層整った顔立ちをしている。とはいえ、やはり目が3つもある風貌は、それだけでリーエンにとっては脅威の対象となり、ついつい声が上ずってしまう
「ご実家より、何か欲しいものがあればひとつふたつお申しつけください。ただ、条件がありまして。わたしのような人型魔族が1人で持ち運べるもの、ご実家の方々に口頭で伝えてから半刻以内に渡してもらえるもの、それから、ペット等生物は禁止といたします」
「えっ……良いのですか?」
魔界召集では何も人間界から持ち込めない、また、魔界にいけば二度と人間界と接点を持てないと聞いていた。リーエンは恐る恐るジョアンを見る。
「本来許されないことですが、アルフレド様の花嫁でいらっしゃるリーエン様は特別待遇となります」
淡々と告げるジョアンからは他に何も感情を感じない。特別待遇とはどういうことだろう。アルフレドがどういう立場なのかとリーエンは不安になるがそれはひとまず置いて、必死に思いを巡らせた。
それまで、今の状況を把握しなければとひたすらそれだけ考えていた思考が、ふわっと昨日までの当たり前の日常に引き戻される。あの幸せな日々に戻ることが出来ないのだと思い当たった途端にリーエンの瞳には涙が溢れた。我慢をしていたわけではなく、めまぐるしい状況によってただ蓋をされていただけの感情が突然外側に飛び出してきて、ぽつぽつとテーブルクロスに落ちる涙に彼女自身驚いた。
魔界召集に選ばれたと聞いてショックだったが、家門のため、貴族の子女の責任として、覚悟をして魔界に来た。魔族に嫁ぐことはわかっていた。だが。
だが、転移をして半刻も立たずに、アルフレドに強引に抱かれて操を散らした。決してそんなことは家族に伝わることではないが、もし、家族が知ったらどれほど胸を痛めるだろうか。あんなに大切に育てられてきたのに、こんなあっさりと自分の純潔が汚されたなんて。自分を心底大事にしてくれていた父親に申し訳が立たない、と涙を止めることが出来ない。
(ああ……昨晩……とんでもない力でドレスを引きちぎられて……)
嫌でも楽しませてやる、と言われて、耳を嬲られて。自分ですら意思をもって触れたことがなかった乳首を執拗に刺激されて。いやらしい女だと言われて。最後にはあまりにも強すぎる快楽に何が何だかわからなくなり、恥ずかしい言葉を口走ってしまっていた。
貴族の令嬢であれば、政略結婚をする可能性はあるとずっと言い含められていた。だが、こんな形で嫁ぎ、こんな形で操を散らすなんて考えたことはなかった。魔界召集のことは知っていたが、魔界から帰って来た者は1人もいないため、魔界に行った後のことは誰も知らないことだったし、具体的に思い描くにはあまりに現実味がないことだったのだから、自分には覚悟が足りなかったのだ。
昨晩のアルフレドは優しいところもあったとはリーエンは思う。全てが乱暴だったわけではない。それでも羞恥を煽るような言葉を何度も囁き、慎み深い淑女として生きて来た自分を嘲るように辱めた。そんな初夜だったことを一気に思い出し、つい嗚咽が漏れる。
だが、ジョアンはただ静かに彼女の答えを待っている。あまり待たせてはいけないだろう、とリーエンは震える声で必死に言葉を紡ぎだす。
「お見苦しい所をお見せしました……そ、それでは……お母様の形見の指輪と、お姉さまとお揃いの手鏡が欲しいです……」
父からもらったドレスや兄からの手紙もほしかったが、ドレスはこの先それを着るような場があるのかもわからないし、手紙はあまりにも思い出が深すぎてこの先それがあることで自分の首を絞める気もした。持って行きたい、と思ったのに叶わなかったものを思い出して、その二つをなんとか答える。
「母君の形見の指輪と、姉君と揃いの手鏡ですね。かしこまりました。リーエン様、今も申し上げましたが、魔界召集で集められたご令嬢の中で、あなたは最も魔界で良い待遇をされることになりました。その旨、お忘れなきよう」
「そう、なのですか」
涙を止めなければ、という思いが強すぎて、ジョアンの言葉に正確に言葉を返すことが出来ない。
「はい。それでは、失礼いたします」
「あっ……」
任務を終えたとばかりに淡々と退出の礼をして、彼はすぐに出て行ってしまう。
なんにせよ、ほんの少しでも心が慰むものを持ってきてもらえるならそれは非常に嬉しい。それに、特別待遇といっても他の令嬢達がどんな待遇をされているのかもわからぬまま言われても、なんだかぴんとこないとリーエンは思った。目の前に置かれたブランチや、つけてもらっている女中達を見れば、彼女にとっては言われる前に既に「相当な待遇だ」と思わされてはいたのだが。
リーエンは涙を拭い、ハンカチを持ってきてくれた女中になんとか「ありがとうございます」と言ったが、声は震える。色んな感情がないまぜになって、どうにも心が落ち着かない。
それでも、今はこの良くわからない世界で生きるために、言われるがままにするしかないのだ、と改めて自分の悲しい身の上を嘆いた。
ぼんやりと「どうして知らない部屋にいるの?」と意識の覚醒を促し、最初に思い出したのはあの男に抱かれて達して、中に出されてしまったこと。
「……!」
目覚めたリーエンは毛布を跳ね除けて、自分が「どうなっているのか」確認した。
ナイトウェアに着替えているし、どうやら体も綺麗にしてもらったようだ。下着も、きちんとつけている。勿論、自分がつけていたものではない、見たことがないものだが、上質なものであることは確かだった。
「ここ、は」
アルフレドの城、とようやく昨日の記憶が思い出される。魔界に来たのは夕方で、それからすぐアルフレドに選ばれて、彼の城につれてこられて、犯されて……それからどれぐらい眠っていたのか、当然彼女はわかっていない。そもそも時間の概念が魔界は人間界と一緒なのか、それすら彼女は知らないのだし。
「あっ……いたっ……!」
ベッドから降りようとした瞬間、ずきんと腰に痛みを感じて、きちんと起き上がれず床にどすんと落ちた。
「あいたたた……!」
(やだ……腰も痛いし、あそこも、ちょっとだけ痛いし、体のあちこちも……こんなの、乗馬を教えてもらった時以来だわ……!)
その乗馬も三日坊主で諦めるほど、どうやら彼女には才能がなかったのだが。
なんとかベッドにしがみついて立ちあがると、転んだ音が聞こえてしまったのか、ドアをノックする音が響いた。
「リーエン様、お目覚めでしょうか」
「はっ、はい……」
「失礼いたします」
扉を開けて入ってきたのは、見た目はほぼ人間と変わりがない女中2人。年の頃は30歳ぐらいだろうか。
「おはようございます。本日からリーエン様付になりました、こちらはバーニャ、わたくしはカンナと申します。他4名は後ほどご挨拶に参ります。宜しくお願いいたします」
そういって2人は頭を下げる。自分の状況はまだ理解しかねることが多いが、おはようということは朝なのか。そして、女中の人数からそれなりの待遇だということがわかり、困惑を隠せない。いや、しかし、アルフレドはここを「城」と言っていたのだし、ならば、女中やら騎士が多くいても当然といえば当然なのだが……。
「あ……こちらこそ、宜しくお願いいたします」
「そのようなお言葉使いは不必要です。今日からリーエン様はわたくし達の主同様の立場で扱うよう言われておりますので、なんなりとお申し付けくださいませ」
「主……アルフレド様のことでしょうか」
「はい。アルフレド様は本日既に執務が始まっていらっしゃるので、リーエン様と朝食は共に出来ないと。リーエン様のご体調がよければ、午後のティータイムをご一緒したいとのお申し出がありました」
午後のティータイム。魔界にそんなものがあることも、午前や午後という概念があるということも、リーエンにとっては「そうなんだ」と、言われることすべてに驚くばかり。
「そ、そうですか。わかりました。体調は大丈夫です。その、少し体が痛いだけで……」
「かしこまりました。その旨をお伝えいたします。昼に近いお時間ですので、ブランチを用意させましょう。食の好みをお伺いしてもよろしいでしょうか」
行き届いている。そんなことまで考慮してもらえるなんて。
人間界とすべてが同じ食材ではないにせよ、同じもの、近いものも食べているようで、リーエンはあれこれを聞かれた内容のほとんどを問題なく答えることが出来た。
着替える前に体のマッサージまでしてもらい、それからブランチに赴く。果物のサラダが添えられた塩っ気のある薄いパンケーキに、酸味があるソースが添えられた焼き野菜に、種類はわからないけれどローストされた肉。小さいカップに野菜のポタージュスープ。どれも彼女に口にあったし、特にポタージュスープは毎日飲んでも良いと思えるほどだった。聞けば、仕事が忙しいアルフレドが片手間に栄養を補給する時に出しているものだと言う。
(何のお仕事をなさっているのかしら? でも、ここはお城だって言っていたから、人間界で言えば大きな領地を治めていたり、国の政務に関わっているのかしら。魔界にも国ってあるのかな……)
食事を終える頃、彼女の元に1人の魔族が現れた。
「リーエン様、失礼いたします」
「あ、はい……」
「アルフレド様より命を受けてまいりました。ジョアンと申します。アルフレド様の側近を務めておりますので、お見知りおきを」
「ジョアン様」
ジョアンは額に3つ目の瞳を持つ男性で、リーエンの目には20代前半程度の年齢に見えた。アッシュグレイの髪は額の目を避けるようにわけており、大層整った顔立ちをしている。とはいえ、やはり目が3つもある風貌は、それだけでリーエンにとっては脅威の対象となり、ついつい声が上ずってしまう
「ご実家より、何か欲しいものがあればひとつふたつお申しつけください。ただ、条件がありまして。わたしのような人型魔族が1人で持ち運べるもの、ご実家の方々に口頭で伝えてから半刻以内に渡してもらえるもの、それから、ペット等生物は禁止といたします」
「えっ……良いのですか?」
魔界召集では何も人間界から持ち込めない、また、魔界にいけば二度と人間界と接点を持てないと聞いていた。リーエンは恐る恐るジョアンを見る。
「本来許されないことですが、アルフレド様の花嫁でいらっしゃるリーエン様は特別待遇となります」
淡々と告げるジョアンからは他に何も感情を感じない。特別待遇とはどういうことだろう。アルフレドがどういう立場なのかとリーエンは不安になるがそれはひとまず置いて、必死に思いを巡らせた。
それまで、今の状況を把握しなければとひたすらそれだけ考えていた思考が、ふわっと昨日までの当たり前の日常に引き戻される。あの幸せな日々に戻ることが出来ないのだと思い当たった途端にリーエンの瞳には涙が溢れた。我慢をしていたわけではなく、めまぐるしい状況によってただ蓋をされていただけの感情が突然外側に飛び出してきて、ぽつぽつとテーブルクロスに落ちる涙に彼女自身驚いた。
魔界召集に選ばれたと聞いてショックだったが、家門のため、貴族の子女の責任として、覚悟をして魔界に来た。魔族に嫁ぐことはわかっていた。だが。
だが、転移をして半刻も立たずに、アルフレドに強引に抱かれて操を散らした。決してそんなことは家族に伝わることではないが、もし、家族が知ったらどれほど胸を痛めるだろうか。あんなに大切に育てられてきたのに、こんなあっさりと自分の純潔が汚されたなんて。自分を心底大事にしてくれていた父親に申し訳が立たない、と涙を止めることが出来ない。
(ああ……昨晩……とんでもない力でドレスを引きちぎられて……)
嫌でも楽しませてやる、と言われて、耳を嬲られて。自分ですら意思をもって触れたことがなかった乳首を執拗に刺激されて。いやらしい女だと言われて。最後にはあまりにも強すぎる快楽に何が何だかわからなくなり、恥ずかしい言葉を口走ってしまっていた。
貴族の令嬢であれば、政略結婚をする可能性はあるとずっと言い含められていた。だが、こんな形で嫁ぎ、こんな形で操を散らすなんて考えたことはなかった。魔界召集のことは知っていたが、魔界から帰って来た者は1人もいないため、魔界に行った後のことは誰も知らないことだったし、具体的に思い描くにはあまりに現実味がないことだったのだから、自分には覚悟が足りなかったのだ。
昨晩のアルフレドは優しいところもあったとはリーエンは思う。全てが乱暴だったわけではない。それでも羞恥を煽るような言葉を何度も囁き、慎み深い淑女として生きて来た自分を嘲るように辱めた。そんな初夜だったことを一気に思い出し、つい嗚咽が漏れる。
だが、ジョアンはただ静かに彼女の答えを待っている。あまり待たせてはいけないだろう、とリーエンは震える声で必死に言葉を紡ぎだす。
「お見苦しい所をお見せしました……そ、それでは……お母様の形見の指輪と、お姉さまとお揃いの手鏡が欲しいです……」
父からもらったドレスや兄からの手紙もほしかったが、ドレスはこの先それを着るような場があるのかもわからないし、手紙はあまりにも思い出が深すぎてこの先それがあることで自分の首を絞める気もした。持って行きたい、と思ったのに叶わなかったものを思い出して、その二つをなんとか答える。
「母君の形見の指輪と、姉君と揃いの手鏡ですね。かしこまりました。リーエン様、今も申し上げましたが、魔界召集で集められたご令嬢の中で、あなたは最も魔界で良い待遇をされることになりました。その旨、お忘れなきよう」
「そう、なのですか」
涙を止めなければ、という思いが強すぎて、ジョアンの言葉に正確に言葉を返すことが出来ない。
「はい。それでは、失礼いたします」
「あっ……」
任務を終えたとばかりに淡々と退出の礼をして、彼はすぐに出て行ってしまう。
なんにせよ、ほんの少しでも心が慰むものを持ってきてもらえるならそれは非常に嬉しい。それに、特別待遇といっても他の令嬢達がどんな待遇をされているのかもわからぬまま言われても、なんだかぴんとこないとリーエンは思った。目の前に置かれたブランチや、つけてもらっている女中達を見れば、彼女にとっては言われる前に既に「相当な待遇だ」と思わされてはいたのだが。
リーエンは涙を拭い、ハンカチを持ってきてくれた女中になんとか「ありがとうございます」と言ったが、声は震える。色んな感情がないまぜになって、どうにも心が落ち着かない。
それでも、今はこの良くわからない世界で生きるために、言われるがままにするしかないのだ、と改めて自分の悲しい身の上を嘆いた。
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