7 / 52
静かな探り合い(1)
しおりを挟む
翌朝、早い時刻に目が覚めたミリアは、ヘルマを起こさずに着替えて部屋を出た。もともと彼女は早起きで、怪我をする前は朝食前に走っていたものだ。だが、今はそれが出来ない。走れないわけではないが、以前よりも距離を走らずとも痛くなる。仕方がないので、朝は走ることを止めて、剣の打ち込みに留めている。
(厩舎の前に広い場所があった。あそこを使わせてもらおう)
陽がようやく姿を見せ、鳥が朝を告げる頃。宿屋を出て裏手に回る。すると、そこには既に見慣れた人物がいた。ヴィルマーだ。
「……!」
ヴィルマーもまた、剣を持って素振りをしていた。剣を振るうたびに、ヒュッと音が鳴る。彼は上半身に衣類をまとっておらず、筋肉質の体がさらけ出されている。腕の各所と背中の筋肉を見て、ミリアは「騎士団でもこんなに鍛えている者はそうはいない」と驚く。そして「なるほど、あれだけ子供たちがぶら下がっても困らないわけだ」とも納得した。
(美しい剣ですね。それに、正しい刃筋。一体どこでどう剣術を学んだのやら……)
しばらくそれを見ていたら、突然ヴィルマーが振り返る。
「おはよう。そんなに見ていて楽しいもんか?」
「おはようございます。気付いていらしたんですか」
「ん。声をかけてくるまで待とうと思ったんだが、一向に声がかからなかったので、痺れを切らしちまった」
そう言って笑うヴィルマー。ミリアは壁から離れて、彼に近づいた。
「良い剣筋です。一体どこで剣術を?」
「うーん? 俺の剣が良いとわかるってことは……君もそれなりに出来るってことだろう? 昨日の戦いはやっぱりもうちょっと放置しておけばよかったかなぁ」
話をはぐらかされた、とミリアは思ったが、そこは追及をすべきことでもない。
「とはいえ、今は足を怪我しているので。助かりました」
「馬に乗っていた様子を見たら、怪我をしているようには見えなかったんだが」
「そうですね。少しは大丈夫なのですが、長時間馬に乗っていると痛んできます」
「そうか。それは難儀だな。どこで何をして怪我をしちまったんだ?」
「魔獣の討伐で」
その言葉にヴィルマーは目を大きく見開く。
「なんだ。そんなことまでやっていたのか。君は一体……」
「そういう現場には今は女性も多いですからね。ヘルマもその一人ですし。まあ、わたしはちょっと運がなかっただけのことですよ」
ミリアはそうはぐらかして、ヴィルマーから少し離れた。
「わたしもここで打ち込みをさせていただいても?」
「ああ。いくらでも。気が済むまでどうぞ」
「ありがとうございます」
そう言ってミリアは剣を構えた。ヴィルマーはそれを見て「話は終わりか」と諦めたようで、彼もまた素振りを再開する。
しばらくすると、彼は剣を置いて分銅――ロープの両先に錘をつけたもの――を手に取った。その気配に気付いて、ミリアはそちらを向く。
「狩りをするのですか」
「うん、まあ、魔獣狩りだ。これを見て、よくわかるな? さすがだ」
「わたしも使っていたので」
それは、魔獣討伐に欠かせない投擲(とうてき)武器だ。自分たちの体よりも大きい魔獣も多く、そんな相手に剣で倒せと言うのも無理な話。脳しんとうを狙って分銅を投げるのは普通の狩りのみならず、魔獣討伐でもよく使われる手法だった。
「この辺では、野生動物も魔獣も多いのでな。それに、残念ながら我々の中には魔導士はいない」
魔獣討伐には魔導士が活躍をすることを知っている、ということだろう。ミリアは騎士団長として遠征をした時に魔導士をメインとした戦術をとっていたから、彼の言葉の意味がわかる。魔導士の中でも、一匹ずつへの攻撃魔法を使うものではなく、広範囲の魔法を行使出来る者。要するに、弓兵ではその代わりにはならないのだ。
そして、魔導士と呼ばれる者はかなり珍しく、いてもみな王城付近の魔法学院に行ってしまうということも知っていた。
「なるほど。では、わたしたちもそれを購入した方がよさそうですね……」
「普通に武器屋に売っている。買うならいいやつを買った方がいい。飛び方が違うからな」
「わかりました」
それから、2人は互いが視界に入らないような位置で、それぞれの鍛錬を続けた。結果的にミリアの方が早く終え、軽く挨拶をして宿に戻っていった。
(今日の腹の探り合いはこれぐらいにしておきましょう)
それは、きっとヴィルマーの方もそうなのだろう。つい、彼に興味があったのと、探りをいれたかったため、共に鍛錬をしてしまった。だが、自分の素振りを彼に見せてしまっては、わかる者が見れば「騎士の剣」だとわかるだろう。
(厳密に言えば、身分はどうしても隠したいわけではない。でも、今はまだ早いかな……)
それに。ヴィルマーもやはり「何か」を隠しているのは明白だ。ミリアは敢えて言葉で突っ込まないが、それを肌で感じ取っていた。
(厩舎の前に広い場所があった。あそこを使わせてもらおう)
陽がようやく姿を見せ、鳥が朝を告げる頃。宿屋を出て裏手に回る。すると、そこには既に見慣れた人物がいた。ヴィルマーだ。
「……!」
ヴィルマーもまた、剣を持って素振りをしていた。剣を振るうたびに、ヒュッと音が鳴る。彼は上半身に衣類をまとっておらず、筋肉質の体がさらけ出されている。腕の各所と背中の筋肉を見て、ミリアは「騎士団でもこんなに鍛えている者はそうはいない」と驚く。そして「なるほど、あれだけ子供たちがぶら下がっても困らないわけだ」とも納得した。
(美しい剣ですね。それに、正しい刃筋。一体どこでどう剣術を学んだのやら……)
しばらくそれを見ていたら、突然ヴィルマーが振り返る。
「おはよう。そんなに見ていて楽しいもんか?」
「おはようございます。気付いていらしたんですか」
「ん。声をかけてくるまで待とうと思ったんだが、一向に声がかからなかったので、痺れを切らしちまった」
そう言って笑うヴィルマー。ミリアは壁から離れて、彼に近づいた。
「良い剣筋です。一体どこで剣術を?」
「うーん? 俺の剣が良いとわかるってことは……君もそれなりに出来るってことだろう? 昨日の戦いはやっぱりもうちょっと放置しておけばよかったかなぁ」
話をはぐらかされた、とミリアは思ったが、そこは追及をすべきことでもない。
「とはいえ、今は足を怪我しているので。助かりました」
「馬に乗っていた様子を見たら、怪我をしているようには見えなかったんだが」
「そうですね。少しは大丈夫なのですが、長時間馬に乗っていると痛んできます」
「そうか。それは難儀だな。どこで何をして怪我をしちまったんだ?」
「魔獣の討伐で」
その言葉にヴィルマーは目を大きく見開く。
「なんだ。そんなことまでやっていたのか。君は一体……」
「そういう現場には今は女性も多いですからね。ヘルマもその一人ですし。まあ、わたしはちょっと運がなかっただけのことですよ」
ミリアはそうはぐらかして、ヴィルマーから少し離れた。
「わたしもここで打ち込みをさせていただいても?」
「ああ。いくらでも。気が済むまでどうぞ」
「ありがとうございます」
そう言ってミリアは剣を構えた。ヴィルマーはそれを見て「話は終わりか」と諦めたようで、彼もまた素振りを再開する。
しばらくすると、彼は剣を置いて分銅――ロープの両先に錘をつけたもの――を手に取った。その気配に気付いて、ミリアはそちらを向く。
「狩りをするのですか」
「うん、まあ、魔獣狩りだ。これを見て、よくわかるな? さすがだ」
「わたしも使っていたので」
それは、魔獣討伐に欠かせない投擲(とうてき)武器だ。自分たちの体よりも大きい魔獣も多く、そんな相手に剣で倒せと言うのも無理な話。脳しんとうを狙って分銅を投げるのは普通の狩りのみならず、魔獣討伐でもよく使われる手法だった。
「この辺では、野生動物も魔獣も多いのでな。それに、残念ながら我々の中には魔導士はいない」
魔獣討伐には魔導士が活躍をすることを知っている、ということだろう。ミリアは騎士団長として遠征をした時に魔導士をメインとした戦術をとっていたから、彼の言葉の意味がわかる。魔導士の中でも、一匹ずつへの攻撃魔法を使うものではなく、広範囲の魔法を行使出来る者。要するに、弓兵ではその代わりにはならないのだ。
そして、魔導士と呼ばれる者はかなり珍しく、いてもみな王城付近の魔法学院に行ってしまうということも知っていた。
「なるほど。では、わたしたちもそれを購入した方がよさそうですね……」
「普通に武器屋に売っている。買うならいいやつを買った方がいい。飛び方が違うからな」
「わかりました」
それから、2人は互いが視界に入らないような位置で、それぞれの鍛錬を続けた。結果的にミリアの方が早く終え、軽く挨拶をして宿に戻っていった。
(今日の腹の探り合いはこれぐらいにしておきましょう)
それは、きっとヴィルマーの方もそうなのだろう。つい、彼に興味があったのと、探りをいれたかったため、共に鍛錬をしてしまった。だが、自分の素振りを彼に見せてしまっては、わかる者が見れば「騎士の剣」だとわかるだろう。
(厳密に言えば、身分はどうしても隠したいわけではない。でも、今はまだ早いかな……)
それに。ヴィルマーもやはり「何か」を隠しているのは明白だ。ミリアは敢えて言葉で突っ込まないが、それを肌で感じ取っていた。
61
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
婚約破棄された公爵令嬢エルカミーノの、神級魔法覚醒と溺愛逆ハーレム生活
ふわふわ
恋愛
公爵令嬢エルカミーノ・ヴァレンティーナは、王太子フィオリーノとの婚約を心から大切にし、完璧な王太子妃候補として日々を過ごしていた。
しかし、学園卒業パーティーの夜、突然の公開婚約破棄。
「転入生の聖女リヴォルタこそが真実の愛だ。お前は冷たい悪役令嬢だ」との言葉とともに、周囲の貴族たちも一斉に彼女を嘲笑う。
傷心と絶望の淵で、エルカミーノは自身の体内に眠っていた「神級の古代魔法」が覚醒するのを悟る。
封印されていた万能の力――治癒、攻撃、予知、魅了耐性すべてが神の領域に達するチート能力が、ついに解放された。
さらに、婚約破棄の余波で明らかになる衝撃の事実。
リヴォルタの「聖女の力」は偽物だった。
エルカミーノの領地は異常な豊作を迎え、王国の経済を支えるまでに。
フィオリーノとリヴォルタは、次々と失脚の淵へ追い込まれていく――。
一方、覚醒したエルカミーノの周りには、運命の攻略対象たちが次々と集結する。
- 幼馴染の冷徹騎士団長キャブオール(ヤンデレ溺愛)
- 金髪強引隣国王子クーガ(ワイルド溺愛)
- 黒髪ミステリアス魔導士グランタ(知性溺愛)
- もふもふ獣人族王子コバルト(忠犬溺愛)
最初は「静かにスローライフを」と願っていたエルカミーノだったが、四人の熱烈な愛と守護に囲まれ、いつしか彼女自身も彼らを深く愛するようになる。
経済的・社会的・魔法的な「ざまぁ」を経て、
エルカミーノは新女王として即位。
異世界ルールで認められた複数婚姻により、四人と結ばれ、
愛に満ちた子宝にも恵まれる。
婚約破棄された悪役令嬢が、最強チート能力と四人の溺愛夫たちを得て、
王国を繁栄させながら永遠の幸せを手に入れる――
爽快ざまぁ&極甘逆ハーレム・ファンタジー、完結!
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
厄災烙印の令嬢は貧乏辺境伯領に嫁がされるようです
あおまる三行
恋愛
王都の洗礼式で「厄災をもたらす」という烙印を持っていることを公表された令嬢・ルーチェ。
社交界では腫れ物扱い、家族からも厄介者として距離を置かれ、心がすり減るような日々を送ってきた彼女は、家の事情で辺境伯ダリウスのもとへ嫁ぐことになる。
辺境伯領は「貧乏」で知られている、魔獣のせいで荒廃しきった領地。
冷たい仕打ちには慣れてしまっていたルーチェは抵抗することなくそこへ向かい、辺境の生活にも身を縮める覚悟をしていた。
けれど、実際に待っていたのは──想像とはまるで違う、温かくて優しい人々と、穏やかで心が満たされていくような暮らし。
そして、誰より誠実なダリウスの隣で、ルーチェは少しずつ“自分の居場所”を取り戻していく。
静かな辺境から始まる、甘く優しい逆転マリッジラブ物語。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる