9 / 52
静かな探り合い(3)
しおりを挟む
「おはようございます、ヴィルマーさん」
翌朝、宿屋の裏に行けばヴィルマーが鍛錬をしている。彼は、2日目以降シャツを着用するようになった。もしかして、それはミリアに気を使ってのことなのかとも思う。が、なんとなくそれを聞くのも自意識過剰ではないかと彼女は思い、あえて尋ねない。
「ああ、おはよう、ミリア」
「少し、お尋ねしたいことがあって」
「鍛錬の後でいいかな?」
「はい」
ヤーナックの町に来た翌日から、彼らは早朝に同じ場所で鍛錬を続けていた。互いに視界に互いが入らない配置で、ただ自分の鍛錬に集中をする。それで、彼らはどちらも何も困らなかった。彼らの鍛錬はヴィルマーの時間の方が長く、いつも彼の方が早く起きている。よって、ミリアが鍛錬を終わる頃、ちょうどヴィルマーも終わる……という感じだった。
「それで、どうしたって?」
「あの、この町に来た初日に……わたしとヘルマを襲っていた野盗についてお伺いしたくて」
「ああ、クラウスから話は聞いている。流れの商人の護衛だろう? 確かに、やつらが出てくるかもしれないな」
「あの時、ヴィルマーさんたちは彼らを追わなかったでしょう。それには何か理由があるのですか?」
そのミリアの言葉に苦笑いを見せるヴィルマー。
「ああ、いや、あそこにいたのは、一部だったんでな。あいつらを追っかけている間に、別動隊が出てくるんじゃないかと思っていたんだ」
「まあ。他にも仲間がいるのですか」
「だが、今考えてもあれは追っかけてもよかったかもなぁ。だって、君たちは強いだろう。別働隊が出て来ても、あちらの方が人数が多くても、特に問題がなかったかもしれないな」
今度はミリアの方が苦々しく笑う。
「それは買いかぶりですよ」
「いや、そうとは思わないけど」
ヴィルマーはそう言いながら、宿屋の外壁にとん、ともたれかかった。その横にミリアも同じようにもたれかかって、2人は並んで会話を続けた。
「しかし、あれが一部なのだとしたら、結構な人数ですね」
「ああ、だが、やつらの中から数人、昨日捕まったらしい」
「えっ」
「だから、そう人数は残っていないだろう。君たちの護衛で十分なんじゃないかな」
聞けば、あの野盗たちの行動範囲は広く、先日ミリアたちを襲った後に、移動をしたらしい。彼らはいくつもの拠点を持っているらしく――それがどこにあるのかは謎だが――ヤーナックから離れて、ミリアたちも通過をしたニランガの町付近で暴れ、たまたまそこを通りがかったサーレック辺境伯が雇った私兵――ヴィルマーたちと同じく傭兵のようなものだが――に捕まったのだと言う。
「あいつらも可哀相に。その私兵たちは、実績を積むのに躍起になっているところだったからな。だから、俺たちみたいに逃してくれやしなかったんだよ」
「……ヴィルマーさんの話を聞くと……やっぱり、本当は捕まえたくないように聞こえます」
「ううん、そういうわけでもないんだが」
ヴィルマーは肩を竦めて困ったように笑った。
「よくはないよ。あいつらにはこれまでの罪を償ってもらわないと、と思うが、かといってサーレック辺境伯のところに突き出しちまうと、なんていうか、こう、正式な裁きをされることになる。それはなぁ。ちょっと、あいつらには重たすぎるし、サーレック辺境伯としても困ると思うんだ」
「重たすぎる……?」
「やつらには余罪が多いから、それらをまずすべて洗いざらい吐かせる、あるいは、証拠をつかむ、被害者を探す……ってのを始めることになる。そうすると、時間がかかる。もう、あいつらは何年も野盗を続けているし、実際結構な人数が被害にあっているからな。そして、今の決まり事では、あいつらは牢屋に入れられて、そこから3年は、それらを調べる間監禁することが可能になるのさ」
「確かにそうですね……」
3年間監禁をすることを許される。それは、ミリアも知っていた。一定以上の数で徒党を組んでいた者たちに対する余罪の追及には、それぐらいの時間を使う。本来、大体のパターンでは1年もせずに余罪がすべて見つかるが、ヴィルマーの話では「ありゃ、本当に3年かかるかもしれん」ということだ。
「さらに、やつらは人数がいるからな。捕まったやつらじゃない、他のやつらがやった分も上乗せされる。責任逃れも許されなくなる。そして、調べる側のサーレック辺境伯も、それを調査するのに人員を割かなくちゃいけない。いいことがないのさ。だから、やつらは最悪の相手に掴まっちまったってこと。俺たちが捕まえとけば、まだどうにかしてヤーナックで働くように手配してやれたと思うんだが……」
「ああ、なるほど。だから、捕まえたい。だが、他の者に捕まえられてしまうのは、困るということなんですね」
「そういうこと」
「なるほど……」
ミリアは困惑の表情で、剣を持ち、鞘の先でトントンと自分の靴をつつく。それを見て、ヴィルマーは小さく笑った。
翌朝、宿屋の裏に行けばヴィルマーが鍛錬をしている。彼は、2日目以降シャツを着用するようになった。もしかして、それはミリアに気を使ってのことなのかとも思う。が、なんとなくそれを聞くのも自意識過剰ではないかと彼女は思い、あえて尋ねない。
「ああ、おはよう、ミリア」
「少し、お尋ねしたいことがあって」
「鍛錬の後でいいかな?」
「はい」
ヤーナックの町に来た翌日から、彼らは早朝に同じ場所で鍛錬を続けていた。互いに視界に互いが入らない配置で、ただ自分の鍛錬に集中をする。それで、彼らはどちらも何も困らなかった。彼らの鍛錬はヴィルマーの時間の方が長く、いつも彼の方が早く起きている。よって、ミリアが鍛錬を終わる頃、ちょうどヴィルマーも終わる……という感じだった。
「それで、どうしたって?」
「あの、この町に来た初日に……わたしとヘルマを襲っていた野盗についてお伺いしたくて」
「ああ、クラウスから話は聞いている。流れの商人の護衛だろう? 確かに、やつらが出てくるかもしれないな」
「あの時、ヴィルマーさんたちは彼らを追わなかったでしょう。それには何か理由があるのですか?」
そのミリアの言葉に苦笑いを見せるヴィルマー。
「ああ、いや、あそこにいたのは、一部だったんでな。あいつらを追っかけている間に、別動隊が出てくるんじゃないかと思っていたんだ」
「まあ。他にも仲間がいるのですか」
「だが、今考えてもあれは追っかけてもよかったかもなぁ。だって、君たちは強いだろう。別働隊が出て来ても、あちらの方が人数が多くても、特に問題がなかったかもしれないな」
今度はミリアの方が苦々しく笑う。
「それは買いかぶりですよ」
「いや、そうとは思わないけど」
ヴィルマーはそう言いながら、宿屋の外壁にとん、ともたれかかった。その横にミリアも同じようにもたれかかって、2人は並んで会話を続けた。
「しかし、あれが一部なのだとしたら、結構な人数ですね」
「ああ、だが、やつらの中から数人、昨日捕まったらしい」
「えっ」
「だから、そう人数は残っていないだろう。君たちの護衛で十分なんじゃないかな」
聞けば、あの野盗たちの行動範囲は広く、先日ミリアたちを襲った後に、移動をしたらしい。彼らはいくつもの拠点を持っているらしく――それがどこにあるのかは謎だが――ヤーナックから離れて、ミリアたちも通過をしたニランガの町付近で暴れ、たまたまそこを通りがかったサーレック辺境伯が雇った私兵――ヴィルマーたちと同じく傭兵のようなものだが――に捕まったのだと言う。
「あいつらも可哀相に。その私兵たちは、実績を積むのに躍起になっているところだったからな。だから、俺たちみたいに逃してくれやしなかったんだよ」
「……ヴィルマーさんの話を聞くと……やっぱり、本当は捕まえたくないように聞こえます」
「ううん、そういうわけでもないんだが」
ヴィルマーは肩を竦めて困ったように笑った。
「よくはないよ。あいつらにはこれまでの罪を償ってもらわないと、と思うが、かといってサーレック辺境伯のところに突き出しちまうと、なんていうか、こう、正式な裁きをされることになる。それはなぁ。ちょっと、あいつらには重たすぎるし、サーレック辺境伯としても困ると思うんだ」
「重たすぎる……?」
「やつらには余罪が多いから、それらをまずすべて洗いざらい吐かせる、あるいは、証拠をつかむ、被害者を探す……ってのを始めることになる。そうすると、時間がかかる。もう、あいつらは何年も野盗を続けているし、実際結構な人数が被害にあっているからな。そして、今の決まり事では、あいつらは牢屋に入れられて、そこから3年は、それらを調べる間監禁することが可能になるのさ」
「確かにそうですね……」
3年間監禁をすることを許される。それは、ミリアも知っていた。一定以上の数で徒党を組んでいた者たちに対する余罪の追及には、それぐらいの時間を使う。本来、大体のパターンでは1年もせずに余罪がすべて見つかるが、ヴィルマーの話では「ありゃ、本当に3年かかるかもしれん」ということだ。
「さらに、やつらは人数がいるからな。捕まったやつらじゃない、他のやつらがやった分も上乗せされる。責任逃れも許されなくなる。そして、調べる側のサーレック辺境伯も、それを調査するのに人員を割かなくちゃいけない。いいことがないのさ。だから、やつらは最悪の相手に掴まっちまったってこと。俺たちが捕まえとけば、まだどうにかしてヤーナックで働くように手配してやれたと思うんだが……」
「ああ、なるほど。だから、捕まえたい。だが、他の者に捕まえられてしまうのは、困るということなんですね」
「そういうこと」
「なるほど……」
ミリアは困惑の表情で、剣を持ち、鞘の先でトントンと自分の靴をつつく。それを見て、ヴィルマーは小さく笑った。
48
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
婚約破棄された公爵令嬢エルカミーノの、神級魔法覚醒と溺愛逆ハーレム生活
ふわふわ
恋愛
公爵令嬢エルカミーノ・ヴァレンティーナは、王太子フィオリーノとの婚約を心から大切にし、完璧な王太子妃候補として日々を過ごしていた。
しかし、学園卒業パーティーの夜、突然の公開婚約破棄。
「転入生の聖女リヴォルタこそが真実の愛だ。お前は冷たい悪役令嬢だ」との言葉とともに、周囲の貴族たちも一斉に彼女を嘲笑う。
傷心と絶望の淵で、エルカミーノは自身の体内に眠っていた「神級の古代魔法」が覚醒するのを悟る。
封印されていた万能の力――治癒、攻撃、予知、魅了耐性すべてが神の領域に達するチート能力が、ついに解放された。
さらに、婚約破棄の余波で明らかになる衝撃の事実。
リヴォルタの「聖女の力」は偽物だった。
エルカミーノの領地は異常な豊作を迎え、王国の経済を支えるまでに。
フィオリーノとリヴォルタは、次々と失脚の淵へ追い込まれていく――。
一方、覚醒したエルカミーノの周りには、運命の攻略対象たちが次々と集結する。
- 幼馴染の冷徹騎士団長キャブオール(ヤンデレ溺愛)
- 金髪強引隣国王子クーガ(ワイルド溺愛)
- 黒髪ミステリアス魔導士グランタ(知性溺愛)
- もふもふ獣人族王子コバルト(忠犬溺愛)
最初は「静かにスローライフを」と願っていたエルカミーノだったが、四人の熱烈な愛と守護に囲まれ、いつしか彼女自身も彼らを深く愛するようになる。
経済的・社会的・魔法的な「ざまぁ」を経て、
エルカミーノは新女王として即位。
異世界ルールで認められた複数婚姻により、四人と結ばれ、
愛に満ちた子宝にも恵まれる。
婚約破棄された悪役令嬢が、最強チート能力と四人の溺愛夫たちを得て、
王国を繁栄させながら永遠の幸せを手に入れる――
爽快ざまぁ&極甘逆ハーレム・ファンタジー、完結!
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
厄災烙印の令嬢は貧乏辺境伯領に嫁がされるようです
あおまる三行
恋愛
王都の洗礼式で「厄災をもたらす」という烙印を持っていることを公表された令嬢・ルーチェ。
社交界では腫れ物扱い、家族からも厄介者として距離を置かれ、心がすり減るような日々を送ってきた彼女は、家の事情で辺境伯ダリウスのもとへ嫁ぐことになる。
辺境伯領は「貧乏」で知られている、魔獣のせいで荒廃しきった領地。
冷たい仕打ちには慣れてしまっていたルーチェは抵抗することなくそこへ向かい、辺境の生活にも身を縮める覚悟をしていた。
けれど、実際に待っていたのは──想像とはまるで違う、温かくて優しい人々と、穏やかで心が満たされていくような暮らし。
そして、誰より誠実なダリウスの隣で、ルーチェは少しずつ“自分の居場所”を取り戻していく。
静かな辺境から始まる、甘く優しい逆転マリッジラブ物語。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる