無双してるのに、愛されすぎて歩けません(物理) 〜12歳児、異世界でちやほやされ中〜

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第2章:『恋と信仰と学園革命』

第32話 『おにぎりを握っただけなのに、異国の王子が泣き出した件(BL濃度MAX)』

──魔法学園の中庭。

今日は他国からの留学生との「異文化交流ランチ会」だ。

ユウトは厨房から大量のおにぎりを抱えて登場した。

「みんな~、ごはんの時間だよ~!」

銀色の髪が陽に透けてきらめき、満面の笑顔が咲く。その手には、ごま塩・梅・昆布・焼き鮭・ツナマヨなど、バリエーション豊富なおにぎりがずらり。

「なにこれ……尊い……」

「米になりたい……」

「握られたい……!」

生徒たちが即死寸前で崩れ落ちるなか、ひとりだけその場から動けずにいた者がいた。

それは、北方国家“エルシュ=グランツ”の第二王子、セラフィム=レーヴェン。

白銀の長髪、氷のような瞳。無表情で有名なクールな王子である彼が、ユウトのおにぎりを一目見た瞬間──

「……あっ……」

目を潤ませ、その場に膝をついた。

「……どうして……君は、こんなにも……あたたかいんだ……」

 



ユウトはそっと差し出した。

「これ、しゃけ。あったかいうちに食べてね」

セラフィムは震える手でおにぎりを受け取ると、かじるように一口。

──ぱくっ。

炊きたてのごはん。ほんのり香る塩。中央にぎゅっと詰まった焼き鮭のほぐし身。脂がほどよくのっていて、塩味と甘みが見事に調和していた。

 

「っ──」

セラフィムの目から、一筋の涙が流れた。

 

「……こんなものを、握って……手が熱くなかったのか?」

「え? んー、ちょっと熱かったけど……それより、おいしい?」

「……ばか……君が、ばかだ……。僕の、心臓、どうしてくれる……」

 

ユウトは首をかしげた。

「おにぎりって、好き?」

「……君が作ったものなら、何でも……好きだ」

 

その瞬間、まわりの男子生徒数名が鼻血を吹いて倒れた。

「ついに……異国の王子まで……」

「だめだ……このままじゃ、世界がユウトのもとに……」

 



その日の夜。

王子セラフィムは日記帳を開いた。

『今日、僕は……初めて、“人を好きになる”という感情を知った。
君の手のぬくもりが、僕の世界を変えてしまった。』

──ページの隅には、小さく“Y”の文字が書かれていた。

 



一方そのころ。

ユウトは部屋で、みんながくれたプレゼント(※おにぎり型の抱き枕、手作りおにぎりを保存するための魔導冷蔵石、など)を前に困っていた。

「……もしかして、ぼく……ちょっと人気……?」

全然気づいていない顔だった。

 

──この日、“おにぎり外交”という言葉が新たに学園に刻まれた。

異文化も身分も関係なく、すべてを丸ごと握ってしまう少年──ユウト。

彼の手のひらには、異世界の未来と……すべての恋心が、握りこまれていた。
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