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第2章:『恋と信仰と学園革命』
第32話 『おにぎりを握っただけなのに、異国の王子が泣き出した件(BL濃度MAX)』
──魔法学園の中庭。
今日は他国からの留学生との「異文化交流ランチ会」だ。
ユウトは厨房から大量のおにぎりを抱えて登場した。
「みんな~、ごはんの時間だよ~!」
銀色の髪が陽に透けてきらめき、満面の笑顔が咲く。その手には、ごま塩・梅・昆布・焼き鮭・ツナマヨなど、バリエーション豊富なおにぎりがずらり。
「なにこれ……尊い……」
「米になりたい……」
「握られたい……!」
生徒たちが即死寸前で崩れ落ちるなか、ひとりだけその場から動けずにいた者がいた。
それは、北方国家“エルシュ=グランツ”の第二王子、セラフィム=レーヴェン。
白銀の長髪、氷のような瞳。無表情で有名なクールな王子である彼が、ユウトのおにぎりを一目見た瞬間──
「……あっ……」
目を潤ませ、その場に膝をついた。
「……どうして……君は、こんなにも……あたたかいんだ……」
◆
ユウトはそっと差し出した。
「これ、しゃけ。あったかいうちに食べてね」
セラフィムは震える手でおにぎりを受け取ると、かじるように一口。
──ぱくっ。
炊きたてのごはん。ほんのり香る塩。中央にぎゅっと詰まった焼き鮭のほぐし身。脂がほどよくのっていて、塩味と甘みが見事に調和していた。
「っ──」
セラフィムの目から、一筋の涙が流れた。
「……こんなものを、握って……手が熱くなかったのか?」
「え? んー、ちょっと熱かったけど……それより、おいしい?」
「……ばか……君が、ばかだ……。僕の、心臓、どうしてくれる……」
ユウトは首をかしげた。
「おにぎりって、好き?」
「……君が作ったものなら、何でも……好きだ」
その瞬間、まわりの男子生徒数名が鼻血を吹いて倒れた。
「ついに……異国の王子まで……」
「だめだ……このままじゃ、世界がユウトのもとに……」
◆
その日の夜。
王子セラフィムは日記帳を開いた。
『今日、僕は……初めて、“人を好きになる”という感情を知った。
君の手のぬくもりが、僕の世界を変えてしまった。』
──ページの隅には、小さく“Y”の文字が書かれていた。
◆
一方そのころ。
ユウトは部屋で、みんながくれたプレゼント(※おにぎり型の抱き枕、手作りおにぎりを保存するための魔導冷蔵石、など)を前に困っていた。
「……もしかして、ぼく……ちょっと人気……?」
全然気づいていない顔だった。
──この日、“おにぎり外交”という言葉が新たに学園に刻まれた。
異文化も身分も関係なく、すべてを丸ごと握ってしまう少年──ユウト。
彼の手のひらには、異世界の未来と……すべての恋心が、握りこまれていた。
今日は他国からの留学生との「異文化交流ランチ会」だ。
ユウトは厨房から大量のおにぎりを抱えて登場した。
「みんな~、ごはんの時間だよ~!」
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「なにこれ……尊い……」
「米になりたい……」
「握られたい……!」
生徒たちが即死寸前で崩れ落ちるなか、ひとりだけその場から動けずにいた者がいた。
それは、北方国家“エルシュ=グランツ”の第二王子、セラフィム=レーヴェン。
白銀の長髪、氷のような瞳。無表情で有名なクールな王子である彼が、ユウトのおにぎりを一目見た瞬間──
「……あっ……」
目を潤ませ、その場に膝をついた。
「……どうして……君は、こんなにも……あたたかいんだ……」
◆
ユウトはそっと差し出した。
「これ、しゃけ。あったかいうちに食べてね」
セラフィムは震える手でおにぎりを受け取ると、かじるように一口。
──ぱくっ。
炊きたてのごはん。ほんのり香る塩。中央にぎゅっと詰まった焼き鮭のほぐし身。脂がほどよくのっていて、塩味と甘みが見事に調和していた。
「っ──」
セラフィムの目から、一筋の涙が流れた。
「……こんなものを、握って……手が熱くなかったのか?」
「え? んー、ちょっと熱かったけど……それより、おいしい?」
「……ばか……君が、ばかだ……。僕の、心臓、どうしてくれる……」
ユウトは首をかしげた。
「おにぎりって、好き?」
「……君が作ったものなら、何でも……好きだ」
その瞬間、まわりの男子生徒数名が鼻血を吹いて倒れた。
「ついに……異国の王子まで……」
「だめだ……このままじゃ、世界がユウトのもとに……」
◆
その日の夜。
王子セラフィムは日記帳を開いた。
『今日、僕は……初めて、“人を好きになる”という感情を知った。
君の手のぬくもりが、僕の世界を変えてしまった。』
──ページの隅には、小さく“Y”の文字が書かれていた。
◆
一方そのころ。
ユウトは部屋で、みんながくれたプレゼント(※おにぎり型の抱き枕、手作りおにぎりを保存するための魔導冷蔵石、など)を前に困っていた。
「……もしかして、ぼく……ちょっと人気……?」
全然気づいていない顔だった。
──この日、“おにぎり外交”という言葉が新たに学園に刻まれた。
異文化も身分も関係なく、すべてを丸ごと握ってしまう少年──ユウト。
彼の手のひらには、異世界の未来と……すべての恋心が、握りこまれていた。
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