この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

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第147話 王城の影、鎖の前に立つ人

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 夜の帳が下りたころ、ボクたちは西の王城へ向かった。
 高い石壁に囲まれた巨大な城は、月明かりを浴びて不気味に光っている。
 潜入ルートは、ラウルが以前に使った排水路。
 古い格子を外し、湿った石の通路を進むと、冷たい空気が肌を刺した。

「……音を立てるな」
 ユリウスが小声で指示を出す。
 その横でカインは拳を握り、レオンは剣を抜いたまま進む。
 ノアが淡い光を灯し、足元を照らす。

 王城の地下に近づくにつれ、空気が重くなっていった。
 契約魔方陣の気配──まるで呼吸するように、一定のリズムで力が脈打っている。
 泉は、この先だ。

 ……だが、石造りの廊下の角を曲がった瞬間、その気配がさらに強くなった。
 次の瞬間、銀色の髪が月光のように揺れ、そこにアスが立っていた。

「……やっぱり、来たんだな」
 微笑みは穏やか。でも、その手の甲の刻印が赤く輝いている。
「アス……」
「ここから先は行かせない」

 鎖が音もなく宙に浮かび、蛇のようにボクたちを取り囲む。
「泉に行けば、君を救える」
「……俺は救われなくていい。お前が王に捕まらなければ、それでいい」
 その言葉は優しいのに、行動は完全に敵だった。

「ルカ、後ろに!」
 ユリウスが前に出るが、鎖が彼の剣を絡め取って弾き飛ばす。
 カインとレオンも同時に飛びかかるが、アスは最小限の動きでかわした。
 ……まるで、誰も傷つけたくないかのように。

 ボクは一歩前に出た。
「アス、ボクは逃げない。……だから、そこをどいて」
「……できない」
 瞳が揺れる。その奥に、必死に押し殺した何かがあった。

 鎖が再び動き、今度はボクを狙って伸びてくる。
 戦いが、避けられなくなった。
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