東大受験物語

第４７章 浪人生活開始

第47章

「英語耳——浪人生活ゼロ日目」


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■ 帰国の翌日、永井先生の声

成田空港から戻った翌日、悠真は永井塾に顔を出した。
ハワイ土産のマカダミアナッツを机に置くと、永井先生は目を細めて言った。

「で、悠真。生のハワイアン英語はどうだった？」

「……思ったより聞き取れませんでした。スピードが早くて、発音もなんか違って」
苦笑いする悠真に、先生は頷いた。

「そうだろうな。リスニングはな、知識じゃなく耳を作ることなんだ。
いきなり分かるようになる魔法はない。毎日“耳”を英語に慣らす。それだけだ」


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■ 青と黄色の本

先生は机の下から一冊の本を取り出した。
表紙は鮮やかな青色に、黄色の字で大きく『英語耳』と書かれている。

「この本、知ってるか？　タイトル通り“英語耳”を作るための参考書だ。
発音記号、音のつながり、リスニングの基礎が全部詰まってる。
予備校が始まる前に、これ一冊やり切ってみな」

ページをめくると、CDが付いていて、ネイティブの発音が何度も聞けるようになっている。


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■ 浪人生活の“ゼロ日目”

悠真は本を抱えて塾を出た。
冷たい三月の風が、南国の記憶を一気に現実へ引き戻す。

（……一年後、絶対にここから逆転する）

青と黄色のカバーが、手の中でずしりと重かった。
浪人生活のゼロ日目——その第一歩は、耳から始まった。