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第6章 揺れる家、つながる心
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第6章:揺れる家、つながる心
「ただいまー……」
夕暮れの光が差す玄関を開けて、相馬悠真は靴を脱ぐ。
以前ならすぐにソファに倒れ込み、スマホを手にしていた時間。
けれど今は――まっすぐ、自分の部屋へと向かう。
机の上には、英語の文法書、理科の教科書、そして使い古されたノート。
一冊、また一冊と“9周用”の参考書が積み重なり始めていた。
廊下から、母のひそやかな声が聞こえた。
「……ねえ、あの子、最近変わったよね」
「そうだな。珍しく、机に向かってるしな」
父の声が続く。
テレビの音も消して、ふたりで静かに会話している。
ドア越しでも、悠真にはそれが自分の話だと分かっていた。
(なんだよ、見てたんなら、何か言ってくれりゃいいのに)
けれど、心の中では少しだけあたたかいものが広がった。
以前は、叱られることしかなかった。
「勉強しなさい」「またテスト悪かったの?」
そんな言葉ばかりだったのに、今は――
何も言わない。ただ、見守ってくれている。
それが何より嬉しかった。
---
翌日。土曜日の午後。
図書室ではなく、校舎裏の公園近くにあるファミレスの一角。
「いや~、やっぱ図書室じゃ話しながら勉強できねーしな」
高村がドリンクバーを2杯目に注ぎながら、にやっと笑った。
テーブルには、数学の問題集とノート。
二人は期末テストに向けた勉強会をはじめていた。
「この公式さ、俺なかなか覚えられなかったんだけど、こうやるとすぐ定着するんだよ」
高村は手際よく、図を書きながら解法の流れを説明する。
「……なるほど。図にするのか。やってみるわ」
悠真は、自分でもノートに書いてみる。
できなかった問題が、ひとつずつ“できる”に変わっていく感覚。
(高村って、やっぱ頭いいだけじゃない。ちゃんと“考えて”勉強してるんだ)
「なあ、高村」
「ん?」
「お前……本気で東大、目指してるんだな」
「当たり前だろ。小4のとき、家族旅行で赤門の前通ったんだよ。“ここ、入るから”って言ったら、親も笑ってさ。そっからずっと意地よ」
そう言って笑うその目は、真剣だった。
悠真は、無意識にうなずいていた。
「俺もさ……最近ちょっとだけ、“行けるかもしれない”って思い始めた」
「おっ、それでこそ相馬。お前、地頭はいいよ。あとは“やり方と継続力”だけ」
そう言いながら、高村は英語の単語帳を渡してくる。
「次の期末、現代文だけじゃなく、英語と数学も上位狙ってこうぜ」
「……ああ、やってみる」
目標はまだ遠い。偏差値も道半ば。
だけど、支えてくれる友がいて、見守る家族がいて、自分で努力の道を見つけつつある今――
これが、自分の人生の“始まり”だと、悠真は確かに感じていた。
---
期末テストまで、あと3週間。
今度は“本気の努力”が、どこまで通用するかを試す番だ。
そしてその先には、初めての模試。
さらに広がる、全国のライバルたちとの戦いが待っていた――。
「ただいまー……」
夕暮れの光が差す玄関を開けて、相馬悠真は靴を脱ぐ。
以前ならすぐにソファに倒れ込み、スマホを手にしていた時間。
けれど今は――まっすぐ、自分の部屋へと向かう。
机の上には、英語の文法書、理科の教科書、そして使い古されたノート。
一冊、また一冊と“9周用”の参考書が積み重なり始めていた。
廊下から、母のひそやかな声が聞こえた。
「……ねえ、あの子、最近変わったよね」
「そうだな。珍しく、机に向かってるしな」
父の声が続く。
テレビの音も消して、ふたりで静かに会話している。
ドア越しでも、悠真にはそれが自分の話だと分かっていた。
(なんだよ、見てたんなら、何か言ってくれりゃいいのに)
けれど、心の中では少しだけあたたかいものが広がった。
以前は、叱られることしかなかった。
「勉強しなさい」「またテスト悪かったの?」
そんな言葉ばかりだったのに、今は――
何も言わない。ただ、見守ってくれている。
それが何より嬉しかった。
---
翌日。土曜日の午後。
図書室ではなく、校舎裏の公園近くにあるファミレスの一角。
「いや~、やっぱ図書室じゃ話しながら勉強できねーしな」
高村がドリンクバーを2杯目に注ぎながら、にやっと笑った。
テーブルには、数学の問題集とノート。
二人は期末テストに向けた勉強会をはじめていた。
「この公式さ、俺なかなか覚えられなかったんだけど、こうやるとすぐ定着するんだよ」
高村は手際よく、図を書きながら解法の流れを説明する。
「……なるほど。図にするのか。やってみるわ」
悠真は、自分でもノートに書いてみる。
できなかった問題が、ひとつずつ“できる”に変わっていく感覚。
(高村って、やっぱ頭いいだけじゃない。ちゃんと“考えて”勉強してるんだ)
「なあ、高村」
「ん?」
「お前……本気で東大、目指してるんだな」
「当たり前だろ。小4のとき、家族旅行で赤門の前通ったんだよ。“ここ、入るから”って言ったら、親も笑ってさ。そっからずっと意地よ」
そう言って笑うその目は、真剣だった。
悠真は、無意識にうなずいていた。
「俺もさ……最近ちょっとだけ、“行けるかもしれない”って思い始めた」
「おっ、それでこそ相馬。お前、地頭はいいよ。あとは“やり方と継続力”だけ」
そう言いながら、高村は英語の単語帳を渡してくる。
「次の期末、現代文だけじゃなく、英語と数学も上位狙ってこうぜ」
「……ああ、やってみる」
目標はまだ遠い。偏差値も道半ば。
だけど、支えてくれる友がいて、見守る家族がいて、自分で努力の道を見つけつつある今――
これが、自分の人生の“始まり”だと、悠真は確かに感じていた。
---
期末テストまで、あと3週間。
今度は“本気の努力”が、どこまで通用するかを試す番だ。
そしてその先には、初めての模試。
さらに広がる、全国のライバルたちとの戦いが待っていた――。
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