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第14話 『聖獣さまは箸で魚がほぐせない』
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レイレイは自室で耳を抑えていた。
去りきれなかった廊下で聞いた、甘い悲鳴。
あれは明らかにレンのものだったが、レイレイを威圧してきたものと違って、甘い響きを伴っていた。
師兄が、レンを抱いていたのだ。
忘れたくても、あの冷たい声と、甘い悲鳴が耳から離れない。
ドアが音もなく開いた。
入ってきたのは、師、ジャクメイだった。
「レイレイ」
ジャクメイは呆れた様子だった。
「他人の閨事なぞ、聞くもんじゃないぞ。まあ、ジルも聖獣殿も遠慮が無さすぎるが」
恥ずかしくなって、レイレイはまくし立てた。
「で、でもジャクメイ様っ!神聖な修行のこの場所で、あ、あんなことなんてっ」
ふうっ、とジャクメイは煙管を吸って煙をはいた。
「今夜は『 自由だ』と私が許可した。だいぶレン殿を虐めてしまったからな」
「う…う…」
レイレイは涙がこらえきれなかった。
好きな男が、別の人を抱いている。
レイレイも歳からそういったことを想像したことがないわけではなかった。
「師兄…師兄っ…なんでっ…」
「辛いだろうが諦めな。あれはもう、お前がが知ってるジルじゃない。狂ってる」
「狂ってる…?」
涙にまみれた顔のまま、レイレイはジャクメイを見つめた。
「自分のモノにならないなら、殺せるんだとよ。共に生きるため、命すら捧ぐそうだ。もともと自由を愛するがゆえに武仙には向かないとは思っていたがな、その自由すら捨てた」
殺せる。
その言葉に、レイレイはぞっとしたものを覚えた。
親友と肩を並べられるように強くなりたいのだ、と語って修行を重ねていた師兄と、聖獣を好きだ、と答えた師兄を思い出した。違って見えた。
「親友に生贄にされて人間不信になったり、そんな時に高潔すぎる聖獣に出会ったりして少しずつ変わってしまったんだろうな。それ自体はもう、仕方ない」
ふう、とジャクメイは器用に輪っかの形の紫煙を吐いた。
それはゆらりと漂ったあと消えた。
レイレイの涙は止まっていた。
レイレイは、気がついたら、問いかけていた。
「私は…武仙になれますか」
「ああ。修行次第だがな」
そう言ってからからとジャクメイは笑った。
「何だ。武仙にでもなって、神族になって奪い返すか?」
レイレイは首を振った。
「違います…師兄がいつか、困った時のために、強くなりたいんです。それに…武仙になって見返してやりたい」
「全くひたむきな」
ジャクメイは呆れた様子だった。
「ま、あれが困った時は私も助けてやろう。大事な弟子だしな」
「はいっ」
覚悟を決めて、レイレイは頷いた。
次の日の朝。
ジルは修行時代の名残で早く目を覚ました。
山に帰ると、いつも体が修行していた頃の習慣に従う。
朝早くから、1人で稽古していたことを思い出した。
そして、眩しく美しい日の出を独り占めして屋敷の屋根から眺めていたことも。
「レン」
ジルはそっとレンに唇を重ねた。
起こす時はキス。それが約束だった。
レンがうっすら瞳をあけ、気だるげに体を起こす。
「…ジル。まだ早くないか」
「見せたいものがある」
ジルは色んな体液でぱりぱりの寝巻きから手早くいつもの服へと着替えた。
レンも寝ぼけ眼で例のゆったりとした衣に着替える。
ジルは窓を開け放つと、上の縁を掴んでぐるりと一回転し、屋根の上へと着地した。
レンも寝ぼけたままながら同じ要領でやってくる。
そして、レンが目を見開いた。
高い山々の間から、白い光が差し込み、赤い太陽が生まれるかのようにゆっくりと登ってくる。
それはとても神々しく、美しかった。
「美しい…」
「これを見せたかった」
ゆっくりと太陽は登り、影に沈んでいた山々が徐々に光に照らされ、緑に輝いてゆく。
何度も見てきた日の出だが、この山で見るそれは神聖で、力強い命のいぶきを感じさせた。
やわらかい風が吹き、レンの銀髪を揺らす。
レンの銀色の髪も、太陽の光を受けて輝くオレンジ色に染まってゆく。
ジルのもともと太陽に近い色の髪も、赤みをまして輝く。
「俺は、ここの日の出が1番美しいと思ってる。だから、レンと一緒に見たかった」
レンは目を見開いてまばたきもせずに、目に焼きつけるように太陽が登りゆく様を見つめていた。
「…幻獣世界からでも、この世界の日の出は見られる。でも、こんなに美しいものだとは思わなかった」
聖獣なだけに、目も強いのか、じっとレンは太陽が昇る様を目で追っていた。
やがて、山々が全て緑に染ってから、ジルの方を振り向いた。
「ありがとう。こんなに美しいものを見せてくれて。…私は、受肉してよかった」
「ん」
ジルは照れて、頬をかいて笑った。
2人で日の出の美しさの余韻に無言でひたっているで、それを破るようにレイレイの声が響いた。
「師兄ー!レン様ー!朝餉ですよー!」
かんかん、とお鍋とおたまを鳴らす音が聞こえる。
「…早いな」
レンは驚いた様子だった。
「まあ、弟子はいろいろと大変なんですよ」
とジルは苦笑いした。
昨日の晩とおなじ食堂へ行くと、昨日の豪華な夕食とは違い、質素なメニューが並べられていた。
焼き魚と漬物。野菜たっぷり味噌汁と玄米ご飯。
「おはようございます、ジャクメイ様」
手を合わせてジルは礼をする。
後ろのレンは黙って頭を下げる。
にやにやと、ジャクメイはテーブルで指を組んで顎を乗せていた。
「昨日はお楽しみだったようだな。レイレイが聞いていたぞ」
「ジャクメイ様!」
レイレイは真っ赤になって叫んだ。
ジャクメイはにやにや笑いを続ける。
それに対して、レンはあくまで冷静だ。
「別に。構うことなどない」
「全く。年端の行かぬ女児をいじめるでないよ、レン殿」
「…ふん」
ふいっ、とレンはそっぽを向いた。
「全く、仲の良いことだ。ほら、朝餉が冷める。席につけ」
2人は着いた。
レンは昨日覚えた手を合わせて「いただきます」の礼をして、食べ始めようとしー
「ジル」
「何だ?」
「魚はどうやって食べればいい」
「あー、魚はこうやってだな」
聖獣レンにとって、肉体のある世界は知らないことだらけだ。
ジルはレンの皿をとって、魚を解して骨をとってやる。
それを見て、レイレイがぷっと吹き出した。
「な、何だ」
うろたえるジルに、レイレイは笑っている口元を隠しながら、
「師兄は変わらないなあと思って」
「はあ?」
レイレイはジャクメイに拾われた孤児だった。
幼い頃、食事の仕方もわからず、手づかみで食事を食べようとした彼女に、箸の使い方、魚のほぐし方を教えてくれたのは師兄だった。
たとえ、ジャクメイが師兄は狂ってしまったのだと言っても、根は変わらないのだと、レイレイは思った。
「なるほど。ジル、魚の皿を貸してくれ。今度は私がほぐしてみる」
「ほら」
…ジルの魚は、レンの手によって見事にぐちゃぐちゃになった。
それを見て、ジャクメイは豪快に笑った。
「不器用だな、レン殿!」
「…」
無言で俯いたレンに、ジャクメイは今度は優しい眼差しを向けた。
「受肉した世界はまた違うだろう。何、失敗を繰り返しながら1つずつ覚えていけばいい」
「…ああ」
こくん、とレンは頷くと再びジルの魚をつつき始めた。
ジルの方には、解してもらった自分の皿を寄せる。
「もう少し頑張りたい。ジルはこっちを食べてくれ」
「お、おう」
必死に骨取りに健闘するレンの姿は、レイレイには幼い日の自分と重なって見えた。
ジャクメイも師兄も、どんなに下手でも叱ることなく、レイレイを見守ってくれていた。
「取れた!取れたぞジル!」
魚の骨を持って無邪気にレンがはしゃぐ。
ジルはレンの頭を優しく撫でた。
「おめでとう」
レンが嬉しそうに目を細め、魚を食べ始める。
「うん、美味い」
「聖獣様は普段何食ってるんだい?」
ジャクメイの問に、レンは首を降った。
「私たちはアストラル体だから何も食べない。受肉しないと、食べるという行為自体ができない」
「そうか。じゃあ、これからジルにいっぱいうまいもの教えてもらいな」
「うむ」
玄米ご飯を口いっぱいに頬張って、レンが笑顔で頷いた。
それを眺めるジャクメイの瞳は、とても優しかった。
その後、レンは玄米ご飯と味噌汁のおかわりをしてとても満足そうだった。
「おいしかった。ええと、ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
レイレイが笑顔で頭を下げる。
あれだけ笑顔でおいしそうに食べられたら、作りがいもあるというものだ。
それに、師兄の昔と同じように優しい様子を見られて、嬉しかった。
「ご飯粒、ついてるぞ」
ジルはレンの口元に着いていたご飯粒をとると、自分の口元に運んだ。
それを見て、レイレイは真っ赤になる。
「な、な」
「こら、ジル。いたいけな妹弟子にあまり刺激的なものを見せるでない」
ジルは不満げだった。
「キスじゃあるまいに」
「純粋なのだよ、レイレイは。な?」
「わ、私だってご飯粒のひと粒や2粒!」
からかうジャクメイの言葉にレイレイは叫んで返した。
「…え?」
固まるジルの前で、引っ込みがつかなくなったレイレイは、真っ赤になって叫んだ。
「師兄よりいい男に食べてもらいます!」
それを聞いてジャクメイが吹き出す。
レンはまじめに、
「ジルよりよい男がこの世にいる訳がないだろう」
「いいえ!います!」
去りきれなかった廊下で聞いた、甘い悲鳴。
あれは明らかにレンのものだったが、レイレイを威圧してきたものと違って、甘い響きを伴っていた。
師兄が、レンを抱いていたのだ。
忘れたくても、あの冷たい声と、甘い悲鳴が耳から離れない。
ドアが音もなく開いた。
入ってきたのは、師、ジャクメイだった。
「レイレイ」
ジャクメイは呆れた様子だった。
「他人の閨事なぞ、聞くもんじゃないぞ。まあ、ジルも聖獣殿も遠慮が無さすぎるが」
恥ずかしくなって、レイレイはまくし立てた。
「で、でもジャクメイ様っ!神聖な修行のこの場所で、あ、あんなことなんてっ」
ふうっ、とジャクメイは煙管を吸って煙をはいた。
「今夜は『 自由だ』と私が許可した。だいぶレン殿を虐めてしまったからな」
「う…う…」
レイレイは涙がこらえきれなかった。
好きな男が、別の人を抱いている。
レイレイも歳からそういったことを想像したことがないわけではなかった。
「師兄…師兄っ…なんでっ…」
「辛いだろうが諦めな。あれはもう、お前がが知ってるジルじゃない。狂ってる」
「狂ってる…?」
涙にまみれた顔のまま、レイレイはジャクメイを見つめた。
「自分のモノにならないなら、殺せるんだとよ。共に生きるため、命すら捧ぐそうだ。もともと自由を愛するがゆえに武仙には向かないとは思っていたがな、その自由すら捨てた」
殺せる。
その言葉に、レイレイはぞっとしたものを覚えた。
親友と肩を並べられるように強くなりたいのだ、と語って修行を重ねていた師兄と、聖獣を好きだ、と答えた師兄を思い出した。違って見えた。
「親友に生贄にされて人間不信になったり、そんな時に高潔すぎる聖獣に出会ったりして少しずつ変わってしまったんだろうな。それ自体はもう、仕方ない」
ふう、とジャクメイは器用に輪っかの形の紫煙を吐いた。
それはゆらりと漂ったあと消えた。
レイレイの涙は止まっていた。
レイレイは、気がついたら、問いかけていた。
「私は…武仙になれますか」
「ああ。修行次第だがな」
そう言ってからからとジャクメイは笑った。
「何だ。武仙にでもなって、神族になって奪い返すか?」
レイレイは首を振った。
「違います…師兄がいつか、困った時のために、強くなりたいんです。それに…武仙になって見返してやりたい」
「全くひたむきな」
ジャクメイは呆れた様子だった。
「ま、あれが困った時は私も助けてやろう。大事な弟子だしな」
「はいっ」
覚悟を決めて、レイレイは頷いた。
次の日の朝。
ジルは修行時代の名残で早く目を覚ました。
山に帰ると、いつも体が修行していた頃の習慣に従う。
朝早くから、1人で稽古していたことを思い出した。
そして、眩しく美しい日の出を独り占めして屋敷の屋根から眺めていたことも。
「レン」
ジルはそっとレンに唇を重ねた。
起こす時はキス。それが約束だった。
レンがうっすら瞳をあけ、気だるげに体を起こす。
「…ジル。まだ早くないか」
「見せたいものがある」
ジルは色んな体液でぱりぱりの寝巻きから手早くいつもの服へと着替えた。
レンも寝ぼけ眼で例のゆったりとした衣に着替える。
ジルは窓を開け放つと、上の縁を掴んでぐるりと一回転し、屋根の上へと着地した。
レンも寝ぼけたままながら同じ要領でやってくる。
そして、レンが目を見開いた。
高い山々の間から、白い光が差し込み、赤い太陽が生まれるかのようにゆっくりと登ってくる。
それはとても神々しく、美しかった。
「美しい…」
「これを見せたかった」
ゆっくりと太陽は登り、影に沈んでいた山々が徐々に光に照らされ、緑に輝いてゆく。
何度も見てきた日の出だが、この山で見るそれは神聖で、力強い命のいぶきを感じさせた。
やわらかい風が吹き、レンの銀髪を揺らす。
レンの銀色の髪も、太陽の光を受けて輝くオレンジ色に染まってゆく。
ジルのもともと太陽に近い色の髪も、赤みをまして輝く。
「俺は、ここの日の出が1番美しいと思ってる。だから、レンと一緒に見たかった」
レンは目を見開いてまばたきもせずに、目に焼きつけるように太陽が登りゆく様を見つめていた。
「…幻獣世界からでも、この世界の日の出は見られる。でも、こんなに美しいものだとは思わなかった」
聖獣なだけに、目も強いのか、じっとレンは太陽が昇る様を目で追っていた。
やがて、山々が全て緑に染ってから、ジルの方を振り向いた。
「ありがとう。こんなに美しいものを見せてくれて。…私は、受肉してよかった」
「ん」
ジルは照れて、頬をかいて笑った。
2人で日の出の美しさの余韻に無言でひたっているで、それを破るようにレイレイの声が響いた。
「師兄ー!レン様ー!朝餉ですよー!」
かんかん、とお鍋とおたまを鳴らす音が聞こえる。
「…早いな」
レンは驚いた様子だった。
「まあ、弟子はいろいろと大変なんですよ」
とジルは苦笑いした。
昨日の晩とおなじ食堂へ行くと、昨日の豪華な夕食とは違い、質素なメニューが並べられていた。
焼き魚と漬物。野菜たっぷり味噌汁と玄米ご飯。
「おはようございます、ジャクメイ様」
手を合わせてジルは礼をする。
後ろのレンは黙って頭を下げる。
にやにやと、ジャクメイはテーブルで指を組んで顎を乗せていた。
「昨日はお楽しみだったようだな。レイレイが聞いていたぞ」
「ジャクメイ様!」
レイレイは真っ赤になって叫んだ。
ジャクメイはにやにや笑いを続ける。
それに対して、レンはあくまで冷静だ。
「別に。構うことなどない」
「全く。年端の行かぬ女児をいじめるでないよ、レン殿」
「…ふん」
ふいっ、とレンはそっぽを向いた。
「全く、仲の良いことだ。ほら、朝餉が冷める。席につけ」
2人は着いた。
レンは昨日覚えた手を合わせて「いただきます」の礼をして、食べ始めようとしー
「ジル」
「何だ?」
「魚はどうやって食べればいい」
「あー、魚はこうやってだな」
聖獣レンにとって、肉体のある世界は知らないことだらけだ。
ジルはレンの皿をとって、魚を解して骨をとってやる。
それを見て、レイレイがぷっと吹き出した。
「な、何だ」
うろたえるジルに、レイレイは笑っている口元を隠しながら、
「師兄は変わらないなあと思って」
「はあ?」
レイレイはジャクメイに拾われた孤児だった。
幼い頃、食事の仕方もわからず、手づかみで食事を食べようとした彼女に、箸の使い方、魚のほぐし方を教えてくれたのは師兄だった。
たとえ、ジャクメイが師兄は狂ってしまったのだと言っても、根は変わらないのだと、レイレイは思った。
「なるほど。ジル、魚の皿を貸してくれ。今度は私がほぐしてみる」
「ほら」
…ジルの魚は、レンの手によって見事にぐちゃぐちゃになった。
それを見て、ジャクメイは豪快に笑った。
「不器用だな、レン殿!」
「…」
無言で俯いたレンに、ジャクメイは今度は優しい眼差しを向けた。
「受肉した世界はまた違うだろう。何、失敗を繰り返しながら1つずつ覚えていけばいい」
「…ああ」
こくん、とレンは頷くと再びジルの魚をつつき始めた。
ジルの方には、解してもらった自分の皿を寄せる。
「もう少し頑張りたい。ジルはこっちを食べてくれ」
「お、おう」
必死に骨取りに健闘するレンの姿は、レイレイには幼い日の自分と重なって見えた。
ジャクメイも師兄も、どんなに下手でも叱ることなく、レイレイを見守ってくれていた。
「取れた!取れたぞジル!」
魚の骨を持って無邪気にレンがはしゃぐ。
ジルはレンの頭を優しく撫でた。
「おめでとう」
レンが嬉しそうに目を細め、魚を食べ始める。
「うん、美味い」
「聖獣様は普段何食ってるんだい?」
ジャクメイの問に、レンは首を降った。
「私たちはアストラル体だから何も食べない。受肉しないと、食べるという行為自体ができない」
「そうか。じゃあ、これからジルにいっぱいうまいもの教えてもらいな」
「うむ」
玄米ご飯を口いっぱいに頬張って、レンが笑顔で頷いた。
それを眺めるジャクメイの瞳は、とても優しかった。
その後、レンは玄米ご飯と味噌汁のおかわりをしてとても満足そうだった。
「おいしかった。ええと、ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
レイレイが笑顔で頭を下げる。
あれだけ笑顔でおいしそうに食べられたら、作りがいもあるというものだ。
それに、師兄の昔と同じように優しい様子を見られて、嬉しかった。
「ご飯粒、ついてるぞ」
ジルはレンの口元に着いていたご飯粒をとると、自分の口元に運んだ。
それを見て、レイレイは真っ赤になる。
「な、な」
「こら、ジル。いたいけな妹弟子にあまり刺激的なものを見せるでない」
ジルは不満げだった。
「キスじゃあるまいに」
「純粋なのだよ、レイレイは。な?」
「わ、私だってご飯粒のひと粒や2粒!」
からかうジャクメイの言葉にレイレイは叫んで返した。
「…え?」
固まるジルの前で、引っ込みがつかなくなったレイレイは、真っ赤になって叫んだ。
「師兄よりいい男に食べてもらいます!」
それを聞いてジャクメイが吹き出す。
レンはまじめに、
「ジルよりよい男がこの世にいる訳がないだろう」
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