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第4章 新たな波紋
自己紹介
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食後の余韻が漂うブレイザーの車内。焼きたてのパンの香りがまだ残り、湯気を立てるスープの器がテーブルの上に並んでいた。
人々は満ち足りた表情を見せながらも、どこか緊張を帯びている。
翔が視線で忍に合図を送る。忍がうなずき、静かに口を開いた。
「皆さん、これからは協力し合わねばなりません。そのためにも……まずはお互いを知ることから始めましょう。自己紹介をしていただけますか?」
その一言で場が引き締まる。ざわつきが止み、全員の視線が一点に集まった。
最初に立ち上がったのは、背筋を正した青年だった。
「ユリウス・アルベルト。十八歳。アルベルト王家の次男だ」
凛と響く声。告げられた名に空気が震える。
「お……王族だぞ!」
「まさかこんな所に……」
「生きておられたのか!」
大人たちは驚愕し、ひざまずきそうになる。子供たちは目を輝かせ、無邪気に叫んだ。
「王子さま! 本物の王子さまだ!」
ユリウスは少し困ったように微笑み、周囲を制した。
「堅苦しいのはやめてくれ。今はただの避難民の一人だ。共に生き残ろう」
その柔らかな言葉に空気が和らぐ。
次に、彼の隣にいた少女が立ち上がる。白い手でスカートを整え、澄んだ声を響かせた。
「カトリーナ・フォン・エルンスト。十五歳。辺境伯の娘にして……聖女候補です」
その言葉が落ちた瞬間、人々は一斉に息を呑んだ。
「聖女候補……!」
「エルンスト家といえば北境を守る名門だぞ!」
彼女の幼さを残す顔立ちと「聖女候補」という重責との落差に、人々は畏敬の念を覚える。
子供たちは「聖女さまってなに?」「神さまに選ばれる人なんだ!」と口々にささやき合った。
カトリーナは小さく微笑み、ユリウスに寄り添うようにして腰を下ろした。
続いて前に出たのは、銀髪を後ろで束ねた精悍な男だった。
「ガルド・ハイン。六十八になる。ハーフドワーフの鍛冶師だ」
「六十八だと!?」
「嘘だろ、どう見ても三十そこそこにしか……」
驚きの声が広がる。だが、その名を聞いた者の一人が立ち上がり、声を張った。
「“千打ちの名工”ガルド! 伝説の武具を打ったと噂の……!」
「本物か……!」
「生きて拝めるとは……!」
感嘆の声が次々とあがる。子供たちは「武器を作れるおじさんだ!」と目を輝かせた。
ガルドは苦笑しつつ腕を組む。
「名工なんてのは言い過ぎだ。ただ、打ち続けてきただけさ」
だがその表情には確かな自負があった。
次に歩み出たのは、ローブを纏った女性。冷静な眼差しと堂々とした態度で名を告げた。
「リーナ・マルセル。宮廷魔法指南役を務めていた。魔法は上級……役に立てるだろう」
「宮廷魔法指南役!?」
「王族に魔法を教えていた方じゃないか!」
群衆がどよめく。
「リーナ様……伝説の大魔法使いに肩を並べる実力者だと聞いていた……」
「なぜこんな場所に……」
子供たちは「魔法のお姉さんだ!」と無邪気に歓声をあげ、リーナはわずかに頬を緩めた。
その次に立ったのは、まだ若い神官服の少女。
「エリナ・ローゼン、十七歳。神官見習いとして修行し、カトリーナ様の聖女候補としての務めを補佐していました」
声は震えていたが、背筋は真っ直ぐだった。
「神官見習い……」
「聖女候補の補佐か……!」
「癒しのお姉ちゃんだ!」
子供たちが無邪気に叫び、大人たちは「若いのに立派だ……」と静かに頷いた。
エリナは恥ずかしそうに顔を伏せたが、その目には強い光が宿っていた。
続いては落ち着いた青年。
「ヨアヒム・クライン。宮廷薬師を務めていた。様々な薬を開発し、王宮に納めていた」
その名にまたもざわめきが広がる。
「“千の処方の賢者”ヨアヒム!」
「地方で流行した疫病を一人で治したという伝説の……!」
「本当に……?」と子供が目を輝かせる。
ヨアヒムはわずかに微笑み、「人々を救うために薬を作る。それが私の役目です」と静かに答えた。
そして鎧の残骸をまとった大柄な男が進み出る。
「ブルーノ・ヴァイス。元冒険者だ。戦士として戦場を渡り歩いてきた」
「“鉄壁の戦鬼”ブルーノ!」
「まだ生きていたのか……!」
壮年の戦士の名に歓声があがる。子供たちは「すごいおじさんだ!」と歓声を上げ、ブルーノは照れくさそうに頭をかいた。
最後に、一人の老人が前に出る。
「ヘルマン・シュライバー。七十二歳。学者として王都魔導学院に勤めていた」
静かな声だったが、その名は雷鳴のように響いた。
「魔導理論の第一人者……!」
「“知識の殿堂”の教授!」
子供たちは「ものしりのおじいちゃんだ!」と笑い声を上げ、大人たちは深く頭を垂れた。
翔は腕を組み、少し照れくさそうに口を開いた。
「清水翔、二十八歳。仕事は……タクシードライバーだ」
「タクシー……?」と伯爵令嬢カトリーナが首を傾げる。
「それはどういうものですの?」
翔は苦笑しながら答える。
「俺の世界で人を乗せて目的地まで運ぶ乗り物だ。馬車に似てるが……馬はいらない。燃料を入れれば、自動で走る」
「馬がいらない!?」
「まるで魔導具だな……」
周囲からどよめきが起こり、ヘルマン学者は興味津々にメモを取り出した。
翔は軽く肩をすくめて続ける。
「でも、俺がこっちに来たときに乗ってたのはタクシーじゃない。……“キャンピングカー”って言ってな。家ごと走る乗り物だ」
「家が……走る!?」とユリウス王子が思わず立ち上がる。
翔はうなずく。
「ベッドも、キッチンも、風呂も付いてる。俺は、そのキャンピングカーを運転して、忍と一緒に旅行へ行く途中だったんだ。……気づいたら、この世界に来ていた」
「忍様と一緒に……」
その言葉に場がざわめく。子供たちは目を輝かせ、大人たちは信じられないものを見た顔で呟いた。
「家ごと異世界に……」
「いや、神の奇跡か……?」
翔は真っ直ぐに皆を見渡し、はっきりと言った。
「ここではもう、タクシードライバーでも旅行者でもない。……ブレイザーと忍と一緒に、この世界で出会った人たちを守り抜く。それが、今の俺の役目だ」
静まり返った空気に、ひときわ大きな拍手と歓声が沸き起こった。
忍は少し頬を赤らめながら、ゆっくりと立ち上がった。
「……わ、私は松田忍(まつだ しのぶ)、23歳です。大学院で薬学と農学を組み合わせたバイオ研究をしていました」
その瞬間、ざわめきが走る。
「ば、ばいお……?」
「薬学に農学……両方? それってどっちも専門家ってことか?」
「農学って、畑を耕すこと?」
忍は慌てて手を振りながら説明する。
「いえ、畑を耕すだけじゃありません。病気に強い作物を研究したり、新しい薬草の効能を調べたりしてました」
すかさず子供たちが声をあげる。
「じゃあ、毒消し薬も作れるの!?」
「お腹いっぱいになる草とかある!?」
「ちょ、ちょっと待って! 一気に質問しないで!」
忍がたじろぐと、大人たちも次々に口を開く。
「農作物の病気に詳しいってことは……飢饉の時に役立つんじゃないか?」
「薬学の知識もあるなら、冒険者ギルドの薬師顔負けかもしれんぞ」
「聖女候補より実用的じゃないか?」
「えっ……そ、そんな大それたものじゃ……」
忍は両手をぶんぶん振って必死に否定するが、場の熱は収まらない。
「農業と薬学……つまり『食うことと生きること』両方を支えられるってことだ!」
「まさに希望の学者様だ!」
「結婚してくれ!」
「誰が!? 誰と!?」
忍が真っ赤になって叫び、テーブルの下で翔の足を蹴る。翔は肩を震わせて笑いをこらえていた。
その時、スピーカーから低い声が響き渡った。
《……俺も名乗るとしよう》
場が一気に緊張に包まれる。
「い、今の声は……!?」
「どこから……!?」
翔が静かに告げた。
「驚くな。こいつが、俺たちの大切な仲間だ。――自己紹介してやれ、ブレイザー」
《俺の名はブレイザー。元は“キャンピングカー”と呼ばれる移動式の家だった。しかしこの世界に来て、意思と力を得た。今は翔と忍を守る砦であり、共に戦う戦友だ》
息を呑む声が広がる。
「……家がしゃべった……!」
「いや、守護者だ……!」
さらにブレイザーの声が続く。
《俺は結界を張ることができる。俺を中心に半径二十メートル、仲間と認めた者以外は侵入できん。敵対者は弾かれる》
「け、結界魔法……!?」
「そんなの、王宮の大賢者ですら使えるかどうかだぞ!」
その時、天井のパネルが開き、ドローンがふわりと浮上した。
小さな羽音を立てて旋回する黒い機体に、子供たちが目を輝かせる。
「わぁぁぁ! 鳥みたい!」
「欲しい! 僕も乗りたい!」
大人たちは逆に青ざめた。
「……小さな兵器……」
「いや、神の使いに違いない……」
《こいつらは俺の翼の兵。敵を監視し、撃ち抜く》
その威容に、王子が息を呑む。
「まさか……これほどの力を持つ迷い人と……“その守護者”が現れるとは……」
翔は腕を組み、にやりと笑った。
「俺と忍、そしてブレイザー。――二人と一台。これが、俺たちのチームだ」(戦闘モードの挿絵を入れてみました)
人々は満ち足りた表情を見せながらも、どこか緊張を帯びている。
翔が視線で忍に合図を送る。忍がうなずき、静かに口を開いた。
「皆さん、これからは協力し合わねばなりません。そのためにも……まずはお互いを知ることから始めましょう。自己紹介をしていただけますか?」
その一言で場が引き締まる。ざわつきが止み、全員の視線が一点に集まった。
最初に立ち上がったのは、背筋を正した青年だった。
「ユリウス・アルベルト。十八歳。アルベルト王家の次男だ」
凛と響く声。告げられた名に空気が震える。
「お……王族だぞ!」
「まさかこんな所に……」
「生きておられたのか!」
大人たちは驚愕し、ひざまずきそうになる。子供たちは目を輝かせ、無邪気に叫んだ。
「王子さま! 本物の王子さまだ!」
ユリウスは少し困ったように微笑み、周囲を制した。
「堅苦しいのはやめてくれ。今はただの避難民の一人だ。共に生き残ろう」
その柔らかな言葉に空気が和らぐ。
次に、彼の隣にいた少女が立ち上がる。白い手でスカートを整え、澄んだ声を響かせた。
「カトリーナ・フォン・エルンスト。十五歳。辺境伯の娘にして……聖女候補です」
その言葉が落ちた瞬間、人々は一斉に息を呑んだ。
「聖女候補……!」
「エルンスト家といえば北境を守る名門だぞ!」
彼女の幼さを残す顔立ちと「聖女候補」という重責との落差に、人々は畏敬の念を覚える。
子供たちは「聖女さまってなに?」「神さまに選ばれる人なんだ!」と口々にささやき合った。
カトリーナは小さく微笑み、ユリウスに寄り添うようにして腰を下ろした。
続いて前に出たのは、銀髪を後ろで束ねた精悍な男だった。
「ガルド・ハイン。六十八になる。ハーフドワーフの鍛冶師だ」
「六十八だと!?」
「嘘だろ、どう見ても三十そこそこにしか……」
驚きの声が広がる。だが、その名を聞いた者の一人が立ち上がり、声を張った。
「“千打ちの名工”ガルド! 伝説の武具を打ったと噂の……!」
「本物か……!」
「生きて拝めるとは……!」
感嘆の声が次々とあがる。子供たちは「武器を作れるおじさんだ!」と目を輝かせた。
ガルドは苦笑しつつ腕を組む。
「名工なんてのは言い過ぎだ。ただ、打ち続けてきただけさ」
だがその表情には確かな自負があった。
次に歩み出たのは、ローブを纏った女性。冷静な眼差しと堂々とした態度で名を告げた。
「リーナ・マルセル。宮廷魔法指南役を務めていた。魔法は上級……役に立てるだろう」
「宮廷魔法指南役!?」
「王族に魔法を教えていた方じゃないか!」
群衆がどよめく。
「リーナ様……伝説の大魔法使いに肩を並べる実力者だと聞いていた……」
「なぜこんな場所に……」
子供たちは「魔法のお姉さんだ!」と無邪気に歓声をあげ、リーナはわずかに頬を緩めた。
その次に立ったのは、まだ若い神官服の少女。
「エリナ・ローゼン、十七歳。神官見習いとして修行し、カトリーナ様の聖女候補としての務めを補佐していました」
声は震えていたが、背筋は真っ直ぐだった。
「神官見習い……」
「聖女候補の補佐か……!」
「癒しのお姉ちゃんだ!」
子供たちが無邪気に叫び、大人たちは「若いのに立派だ……」と静かに頷いた。
エリナは恥ずかしそうに顔を伏せたが、その目には強い光が宿っていた。
続いては落ち着いた青年。
「ヨアヒム・クライン。宮廷薬師を務めていた。様々な薬を開発し、王宮に納めていた」
その名にまたもざわめきが広がる。
「“千の処方の賢者”ヨアヒム!」
「地方で流行した疫病を一人で治したという伝説の……!」
「本当に……?」と子供が目を輝かせる。
ヨアヒムはわずかに微笑み、「人々を救うために薬を作る。それが私の役目です」と静かに答えた。
そして鎧の残骸をまとった大柄な男が進み出る。
「ブルーノ・ヴァイス。元冒険者だ。戦士として戦場を渡り歩いてきた」
「“鉄壁の戦鬼”ブルーノ!」
「まだ生きていたのか……!」
壮年の戦士の名に歓声があがる。子供たちは「すごいおじさんだ!」と歓声を上げ、ブルーノは照れくさそうに頭をかいた。
最後に、一人の老人が前に出る。
「ヘルマン・シュライバー。七十二歳。学者として王都魔導学院に勤めていた」
静かな声だったが、その名は雷鳴のように響いた。
「魔導理論の第一人者……!」
「“知識の殿堂”の教授!」
子供たちは「ものしりのおじいちゃんだ!」と笑い声を上げ、大人たちは深く頭を垂れた。
翔は腕を組み、少し照れくさそうに口を開いた。
「清水翔、二十八歳。仕事は……タクシードライバーだ」
「タクシー……?」と伯爵令嬢カトリーナが首を傾げる。
「それはどういうものですの?」
翔は苦笑しながら答える。
「俺の世界で人を乗せて目的地まで運ぶ乗り物だ。馬車に似てるが……馬はいらない。燃料を入れれば、自動で走る」
「馬がいらない!?」
「まるで魔導具だな……」
周囲からどよめきが起こり、ヘルマン学者は興味津々にメモを取り出した。
翔は軽く肩をすくめて続ける。
「でも、俺がこっちに来たときに乗ってたのはタクシーじゃない。……“キャンピングカー”って言ってな。家ごと走る乗り物だ」
「家が……走る!?」とユリウス王子が思わず立ち上がる。
翔はうなずく。
「ベッドも、キッチンも、風呂も付いてる。俺は、そのキャンピングカーを運転して、忍と一緒に旅行へ行く途中だったんだ。……気づいたら、この世界に来ていた」
「忍様と一緒に……」
その言葉に場がざわめく。子供たちは目を輝かせ、大人たちは信じられないものを見た顔で呟いた。
「家ごと異世界に……」
「いや、神の奇跡か……?」
翔は真っ直ぐに皆を見渡し、はっきりと言った。
「ここではもう、タクシードライバーでも旅行者でもない。……ブレイザーと忍と一緒に、この世界で出会った人たちを守り抜く。それが、今の俺の役目だ」
静まり返った空気に、ひときわ大きな拍手と歓声が沸き起こった。
忍は少し頬を赤らめながら、ゆっくりと立ち上がった。
「……わ、私は松田忍(まつだ しのぶ)、23歳です。大学院で薬学と農学を組み合わせたバイオ研究をしていました」
その瞬間、ざわめきが走る。
「ば、ばいお……?」
「薬学に農学……両方? それってどっちも専門家ってことか?」
「農学って、畑を耕すこと?」
忍は慌てて手を振りながら説明する。
「いえ、畑を耕すだけじゃありません。病気に強い作物を研究したり、新しい薬草の効能を調べたりしてました」
すかさず子供たちが声をあげる。
「じゃあ、毒消し薬も作れるの!?」
「お腹いっぱいになる草とかある!?」
「ちょ、ちょっと待って! 一気に質問しないで!」
忍がたじろぐと、大人たちも次々に口を開く。
「農作物の病気に詳しいってことは……飢饉の時に役立つんじゃないか?」
「薬学の知識もあるなら、冒険者ギルドの薬師顔負けかもしれんぞ」
「聖女候補より実用的じゃないか?」
「えっ……そ、そんな大それたものじゃ……」
忍は両手をぶんぶん振って必死に否定するが、場の熱は収まらない。
「農業と薬学……つまり『食うことと生きること』両方を支えられるってことだ!」
「まさに希望の学者様だ!」
「結婚してくれ!」
「誰が!? 誰と!?」
忍が真っ赤になって叫び、テーブルの下で翔の足を蹴る。翔は肩を震わせて笑いをこらえていた。
その時、スピーカーから低い声が響き渡った。
《……俺も名乗るとしよう》
場が一気に緊張に包まれる。
「い、今の声は……!?」
「どこから……!?」
翔が静かに告げた。
「驚くな。こいつが、俺たちの大切な仲間だ。――自己紹介してやれ、ブレイザー」
《俺の名はブレイザー。元は“キャンピングカー”と呼ばれる移動式の家だった。しかしこの世界に来て、意思と力を得た。今は翔と忍を守る砦であり、共に戦う戦友だ》
息を呑む声が広がる。
「……家がしゃべった……!」
「いや、守護者だ……!」
さらにブレイザーの声が続く。
《俺は結界を張ることができる。俺を中心に半径二十メートル、仲間と認めた者以外は侵入できん。敵対者は弾かれる》
「け、結界魔法……!?」
「そんなの、王宮の大賢者ですら使えるかどうかだぞ!」
その時、天井のパネルが開き、ドローンがふわりと浮上した。
小さな羽音を立てて旋回する黒い機体に、子供たちが目を輝かせる。
「わぁぁぁ! 鳥みたい!」
「欲しい! 僕も乗りたい!」
大人たちは逆に青ざめた。
「……小さな兵器……」
「いや、神の使いに違いない……」
《こいつらは俺の翼の兵。敵を監視し、撃ち抜く》
その威容に、王子が息を呑む。
「まさか……これほどの力を持つ迷い人と……“その守護者”が現れるとは……」
翔は腕を組み、にやりと笑った。
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