キャンピングカーで、異世界キャンプ旅

風来坊

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第5章 王都への道

戦いの余韻と新たな力

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奥に広がる石造りの広間。
血の匂いと魔力の残滓が漂う中、翔たちはつい先ほどの激戦を終えたばかりだった。
倒れた魔物の山はすでにブレイザーのドローンによって回収され、異次元収納に収められている。静けさが戻ったことで、張り詰めていた空気が少しずつ解けていった。



戦闘の余韻

「……ふぅ、終わったな」
翔が剣を下ろし、大きく息をついた。額には汗が光り、肩で呼吸を繰り返す。

忍がすぐ隣に歩み寄り、柔らかく微笑んだ。
「お疲れさま、翔。……やっぱり、オーガは強かったね」

「だけど、俺らも負けてないさ」
翔が笑い返すと、忍も小さく頷いた。

仲間たちも次々と集まってくる。ユリウスは盾を肩に担ぎ、まだ興奮冷めやらぬ様子で拳を握りしめていた。
「皆の連携、見事だった! これなら王都に胸を張って報告できるぞ」

カトリーナは胸の前で手を合わせ、神に感謝するように目を閉じる。
「光の導き……きっと見守ってくださったんです」

エリナは少しふらつきながらも微笑み、ヨアヒムが慌てて肩を支える。
「……だ、大丈夫? 魔力、かなり使ってたよ」
「はい……ちょっと疲れただけ。でも、皆さんを癒せて良かったです」

ブルーノは大剣を背に収め、豪快に笑った。
「はははっ! オークども、いい的だったな! もっと暴れてもよかったぜ!」

「お主はいつも元気すぎる」
ヘルマンが呆れながらも笑う。
「じゃが、その勢いに皆も助けられておる」

リーナは杖を握ったまま目を輝かせていた。
「隕石魔法……次はもっと試したいわ……」
その呟きに、翔が苦笑する。
「おいおい、今ので十分派手だったからな?」



レベルアップの実感

その時、ブレイザーの無機質ながら響き渡る声が鳴った。

《報告。全員の経験値が閾値を突破。レベルアップを確認》

「おおっ!」
仲間たちの間から歓声があがる。

《翔、忍、共にレベル30に到達。新たなスキルを覚える権利を獲得。その他メンバーも順次上昇》

翔が目を見開く。
「ついに……30か」

忍も胸に手を当て、静かに呟いた。
「私も……。何を覚えられるんだろう」

ブレイザーの声が続く。
《翔、新スキル『剣気解放』、新魔法『雷刃』を習得。忍、新スキル『リジェネレーション』を習得。時間経過による自然回復を大幅強化》

「リジェネレーション……!」
忍の目が輝く。
「これなら、戦闘中でも仲間の傷を癒せる……」

「俺も雷刃か。……試すのが楽しみだな」
翔は剣を見つめ、微かに笑った。



ブレイザーの進化

《追加報告。私もレベル25に到達。ドローン展開数が50機に増加。結界魔法の範囲、半径2キロに拡張。また新魔法『人物鑑定』を習得》

「人物鑑定?」
翔が首をかしげる。

《対象のレベル、スキル、潜在能力を解析可能。今後の戦力把握と役割分担に有効》

忍が目を丸くする。
「つまり……みんなの力を正確に把握できるってこと?」

《肯定》

ユリウスが興味深そうに頷いた。
「それは……ぜひ一度、皆の情報を確認しておきたいな」

カトリーナも目を輝かせる。
「きっと、皆さんがどんな力を持っているのか知ることで、連携も取りやすくなるはずです!」

ミアは少し不安げに口を開いた。
「あ、あの……私みたいな非戦闘員でも、わかっちゃうんですか?」

《勿論》

「ひゃっ……」
ミアが小さく声を上げ、仲間たちが笑った。



安全な場所へ

翔が周囲を見回し、真剣な声で言った。
「けど、今はまだダンジョンの奥だ。ここでじっくり話すのは危険だな」

「そうだね」忍が頷く。
「一度、安全な場所に戻ってからにしよう」

《了解。周囲二キロ圏内に敵影なし。近くに安全地帯を確認》

ヘルマンが杖をつきながら提案する。
「ではそこへ移動し、腰を落ち着けてから鑑定会を開くとしよう」

ヨアヒムが嬉しそうに笑った。
「俺も新しい薬草を試したいしな!」

ブルーノが肩を回し、豪快に笑う。
「よーし! 俺の強くなった姿、見せつけてやるぜ!」

リーナも杖を抱きしめながら頷いた。
「私も……力を確かめたいわ」

ミアはまだ少し緊張気味に胸の前で手を握りしめていたが、それでも笑顔を浮かべた。
「じゃあ……ギルドへの報告のためにも、私も一緒に」


次なる展開へ

こうして一行は、安全地帯へと歩みを進めた。
胸には新たな力を得た興奮と、互いの真の実力を知ることへの期待が渦巻いている。

誰もが心の中で思った。
――この旅は、ますます面白くなってきた


ダンジョン休憩所 ― 鑑定会

ブレイザーが設置した簡易結界の中。
淡い光に包まれた休憩所は静かで、戦闘の余韻と共に安堵の空気が漂っていた。

翔が胸元の通信機を軽く叩きながら口を開いた。
「よし、戦闘も一区切りついたし……ここでレベルとスキルを整理しよう。ブレイザー、鑑定の準備を」

《了解。鑑定魔法【人物解析】起動》
ブレイザーの声と共に、結界内に光のスクリーンが浮かび上がる。



◆ 翔・忍

最初に二人のデータが表示される。

【翔 レベル29 → 30】
・新スキル:《身体強化・改》《剣技強化》《戦闘直感》
・新魔法:《雷槍》《火炎剣》

【忍 レベル29 → 30】
・新スキル:《リジェネレーション(再生)》
・新魔法:《氷壁》《治癒魔力強化》

「おぉ……やっぱり翔、魔法まで増えてるじゃないか」
ユリウスが感嘆の声を上げる。

忍は腕を組んで小さく頷いた。
「私は《リジェネレーション》……持続回復系ね。これなら長期戦でも回復を任せられるわ」

カトリーナが驚きに目を見開いた。
「すごい……! それ、聖堂に伝わる大回復術と同格ですわ!」



◆ ユリウス・カトリーナ・エリナ

次に王子と聖女候補組。

【ユリウス レベル24 → 25】
・新スキル:《戦術眼》《号令》
「ふむ……軍指揮向けだな。ますます王子らしい能力だ」

【カトリーナ レベル21 → 22】
・新魔法:《聖光壁》
「防御魔法……! これならみんなを守れる」

【エリナ レベル18 → 19】
・新スキル:《祈祷強化》
「……補佐役らしい力です。お役に立てるよう努力します!」

ユリウスが肩を叩き、優しく微笑む。
「エリナ、君の支えは何より心強いぞ」



◆ ガルド・リーナ・ヨアヒム

【ガルド レベル28 → 29】
・新スキル:《鍛冶神の加護(小)》
「ふははっ! やはり鍛冶屋は戦っても鍛冶が伸びるんだな!」

【リーナ レベル23 → 24】
・新魔法:《雷撃》
「これで攻撃の幅が広がりました。雷……試したいですね」

【ヨアヒム レベル20 → 21】
・新スキル:《薬効増幅》
「調合した薬の効果が上がる……これはありがたい!」

忍が横からにっこり笑って声をかける。
「ヨアヒム、今度は私の研究と組み合わせて、新しい治療薬を作りましょう」
「……それは楽しみですな!」



◆ ブルーノ・ヘルマン

【ブルーノ レベル26 → 27】
・新スキル:《戦士の咆哮》

【ヘルマン レベル19 → 20】
・新魔法:《古代知識の伝達》
「……戦闘中でも情報共有が可能になったぞ」

ブルーノが大声で笑った。
「オレは力押しのままだが、声で鼓舞できるなら悪くねぇ!」



◆ ミア(ギルド職員)

最後にミア。
彼女は少し緊張しながら胸に手を当て、鑑定結果が表示された。

【ミア・シュタイン 20歳 ギルド職員】
・レベル:14 → 15
・職業:交渉人(初級)
・スキル:《交渉術》《文書管理》《簡易鑑定》
・新スキル:《対人魅了(軽)》

「……えっ、私、こんなの……!」
頬を赤く染めて驚くミア。

ユリウスが笑って声を掛ける。
「ふむ、立派な力だ。道中での交渉役にうってつけだろう」

カトリーナもうなずき、手を握った。
「ミア、頼りにしてますわ。あなたがいてくれるだけで心強いのです」



ブレイザーの声が結界内に響く。
《以上が今回の戦闘による成長結果だ。全員、順調に力を伸ばしている》

翔がみんなを見回し、にやりと笑った。
「これで、この先の階層も安心して進めるな」

忍も隣で静かに頷きながら囁く。
「ええ……ダンジョン攻略がますます楽しみになってきたわ」

結界内には仲間たちの笑みと期待が広がっていた。
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