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第6話 騎士様の、不器用な独占欲
翌朝から、ガウェインが美月を部屋まで迎えに来て、手を繋いで医務室まで「護衛」するのが、キャメロット城の新しい日常の風景となった。
廊下ですれ違う騎士たちは、「よぉ、太陽の騎士様! 今日も姫君の護衛、ご苦労!」とニヤニヤしながら敬礼し、そのたびにガウェインは「当然だ! ミツキは俺が護る!」と胸を張り、美月は恥ずかしさで顔を真っ赤にするのだった。
その日も、二人は朝の中庭を、手を繋いで歩いていた。
柔らかな朝日が、彼の金色の髪をきらきらと輝かせている。
「なあ、ミツキ」
ふと、ガウェインが、真面目な声で切り出した。
「昨日の会議のことだが……。本当に、悪かったな。お前の強さ、ちゃんと分かっているつもりなんだが……」
彼が、バツの悪そうな顔で、視線を彷徨わせる。
「でも、やっぱり、お前がアーサー王や他の奴らの前で難しい顔をしてると、俺が代わりに全部やってやりてえって思っちまうんだ。……それに」
彼は、一度、言葉を切ると、少しだけ拗ねたように、続けた。
「お前が、俺以外の奴と真剣に話してると、なんか、こう……胸のあたりが、ムカムカする」
その、あまりにも正直で、子供っぽい本音。
美月は、彼の不器用な独占欲に、思わず、笑みがこぼれた。
「ガウェインさん、それって、もしかして……嫉妬、じゃないですか?」
「しっと……? なんだ、それは。美味いのか?」
真顔で聞き返す彼に、美月は、もう笑いを堪えきれなかった。
「もう、違います!」
彼女が笑いながら歩き出すと、足元の石畳のわずかな段差につまずき、体がぐらりと傾いた。
「おっと!」
その体を、ガウェインの太い腕が、咄嗟に、でも、優しく抱きとめる。
彼の胸に、すっぽりと収まる形になり、美月の心臓が、どきりと大きく跳ねた。
「危ねえだろ、ミツキ。ぼーっとして」
耳元で、彼の、悪戯っぽい声が囁く。
「……もしかして、俺のことでも、考えてたのか?」
「ち、違いますっ!」
慌てて体を離す美月の顔は、きっと、リンゴみたいに赤くなっているだろう。
ガウェインは、そんな彼女を見て、満足そうに笑うと、さらに強く、彼女の手を握り直した。
「ほらな。やっぱり、手を繋いでないと、危なくて見てられねえ」
医務室では、美月の改革が着実に実を結び始めていた。
彼女の指示の下、医務員たちが効率的に動き、負傷した兵士たちの回復も、目に見えて早くなっていた。
「ミツキ! 兵士たちが、お前のこと、戦場の天使だって、喜んでたぞ!」
ガウェインは、力仕事を手伝いながら、自分のことのように、嬉しそうに報告してくれる。彼の存在は、美月にとって、何よりの支えだった。
その日の仕事が終わり、ガウェインが、美月を部屋まで送り届けてくれた。
「じゃあな、ミツキ。また、明日、朝イチで迎えに来るからな」
名残惜しそうに、彼は、扉の前で立ち止まる。
そして、そっと、手を伸ばすと、彼女の頬にかかった一筋の髪を、指先で、優しく耳にかけた。
「……お前の髪、綺麗だな。夜空みたいで」
不意打ちの、囁き。そして、触れた指先の、熱。
美月の思考は、完全に停止した。
彼は、そんな彼女の反応を見て、満足そうににっと笑うと、「おやすみ」と言い残し、去っていった。
一人、部屋に残された美月は、まだ熱い自分の頬を、両手で、そっと押さえた。
「……あの騎士様、ズルすぎるでしょう」
子供みたいに無邪気で、太陽のように真っ直ぐで。
そして、時々、心臓が止まりそうになるくらい、男の人の顔をする。
そんな彼の、不器用な愛情表現に、現代社会で、すっかり乾ききっていたはずの美月の心は、確実に、惹かれ始めていた。
廊下ですれ違う騎士たちは、「よぉ、太陽の騎士様! 今日も姫君の護衛、ご苦労!」とニヤニヤしながら敬礼し、そのたびにガウェインは「当然だ! ミツキは俺が護る!」と胸を張り、美月は恥ずかしさで顔を真っ赤にするのだった。
その日も、二人は朝の中庭を、手を繋いで歩いていた。
柔らかな朝日が、彼の金色の髪をきらきらと輝かせている。
「なあ、ミツキ」
ふと、ガウェインが、真面目な声で切り出した。
「昨日の会議のことだが……。本当に、悪かったな。お前の強さ、ちゃんと分かっているつもりなんだが……」
彼が、バツの悪そうな顔で、視線を彷徨わせる。
「でも、やっぱり、お前がアーサー王や他の奴らの前で難しい顔をしてると、俺が代わりに全部やってやりてえって思っちまうんだ。……それに」
彼は、一度、言葉を切ると、少しだけ拗ねたように、続けた。
「お前が、俺以外の奴と真剣に話してると、なんか、こう……胸のあたりが、ムカムカする」
その、あまりにも正直で、子供っぽい本音。
美月は、彼の不器用な独占欲に、思わず、笑みがこぼれた。
「ガウェインさん、それって、もしかして……嫉妬、じゃないですか?」
「しっと……? なんだ、それは。美味いのか?」
真顔で聞き返す彼に、美月は、もう笑いを堪えきれなかった。
「もう、違います!」
彼女が笑いながら歩き出すと、足元の石畳のわずかな段差につまずき、体がぐらりと傾いた。
「おっと!」
その体を、ガウェインの太い腕が、咄嗟に、でも、優しく抱きとめる。
彼の胸に、すっぽりと収まる形になり、美月の心臓が、どきりと大きく跳ねた。
「危ねえだろ、ミツキ。ぼーっとして」
耳元で、彼の、悪戯っぽい声が囁く。
「……もしかして、俺のことでも、考えてたのか?」
「ち、違いますっ!」
慌てて体を離す美月の顔は、きっと、リンゴみたいに赤くなっているだろう。
ガウェインは、そんな彼女を見て、満足そうに笑うと、さらに強く、彼女の手を握り直した。
「ほらな。やっぱり、手を繋いでないと、危なくて見てられねえ」
医務室では、美月の改革が着実に実を結び始めていた。
彼女の指示の下、医務員たちが効率的に動き、負傷した兵士たちの回復も、目に見えて早くなっていた。
「ミツキ! 兵士たちが、お前のこと、戦場の天使だって、喜んでたぞ!」
ガウェインは、力仕事を手伝いながら、自分のことのように、嬉しそうに報告してくれる。彼の存在は、美月にとって、何よりの支えだった。
その日の仕事が終わり、ガウェインが、美月を部屋まで送り届けてくれた。
「じゃあな、ミツキ。また、明日、朝イチで迎えに来るからな」
名残惜しそうに、彼は、扉の前で立ち止まる。
そして、そっと、手を伸ばすと、彼女の頬にかかった一筋の髪を、指先で、優しく耳にかけた。
「……お前の髪、綺麗だな。夜空みたいで」
不意打ちの、囁き。そして、触れた指先の、熱。
美月の思考は、完全に停止した。
彼は、そんな彼女の反応を見て、満足そうににっと笑うと、「おやすみ」と言い残し、去っていった。
一人、部屋に残された美月は、まだ熱い自分の頬を、両手で、そっと押さえた。
「……あの騎士様、ズルすぎるでしょう」
子供みたいに無邪気で、太陽のように真っ直ぐで。
そして、時々、心臓が止まりそうになるくらい、男の人の顔をする。
そんな彼の、不器用な愛情表現に、現代社会で、すっかり乾ききっていたはずの美月の心は、確実に、惹かれ始めていた。
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