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第39話 収穫祭の夜と、新しいプロジェクト
二人が、夫婦として、結ばれてから、初めての、夏が過ぎようとしていた。
キャメロット王国は、建国以来、最も、豊かで、輝かしい、収穫の季節を、迎えていた。
美月が、導入した、新しい農法と、灌漑システムは、見事に、実を結び、どの村も、黄金色の、豊かな恵みに、満ち溢れていた。
その日、二人の館の、すぐ麓にある村では、盛大な、収穫祭が、開かれていた。
その、主賓として、招かれたのは、もちろん、レディ・ミツキと、その夫、太陽の騎士ガウェインだった。
祭りの、中心の広場で、美月は、感無量の、思いで、その光景を、眺めていた。
かつて、病で、青白い顔をしていた子供たちは、皆、りんごのように、赤い頬で、元気に、走り回っている。
広場の隅では、彼女が作った、学校の生徒たちが、村の老人たちに、覚えたての文字で、物語を、読んで聞かせていた。
かつて、彼女を「魔女」と、罵った村長が、今は、深々と、頭を下げ、その手で、収穫した、一番、見事な麦の穂を、彼女に、捧げてくる。
「……ミツキ」
隣を歩く、ガウェインが、どうしようもなく、誇らしげな声で、囁いた。
「見ろ。皆、笑っている。……全部、お前のおかげだ」
彼は、もはや、彼女を、ただ、守られるべき、か弱い姫君だとは、思っていない。この、国の未来を、その、類まれなる知恵で、切り拓いた、唯一無二の、パートナーとして、心からの、尊敬を、捧げていた。
彼は、たまらない、というように、祭りの、ど真ん中で、彼女の体を、ぎゅっと、抱きしめた。
「皆、聞いてくれ! この、豊かな恵みは、全て、この、俺の、世界一、素晴らしくて、賢い妻のおかげだ! キャメロットの太陽、レディ・ミツキに、感謝を!」
その、高らかな、愛の叫び。
村人たちは、わっと、湧き上がり、祝福の、歓声が、空高く、響き渡った。
その日の、夕暮れ。
二人は、祭りの喧騒から、少しだけ、離れて、あの、初めて、未来を語り合った、丘の上に、座っていた。
眼下には、楽しげな、音楽と、人々の、笑い声が、風に乗って、聞こえてくる。
「……一年前」
美月が、ぽつりと、呟いた。
「一年前の今頃、私は、東京の、オフィスで、一人、パソコンの画面と、睨み合っていました。……こんな、未来が、待っているなんて、想像も、できなかった」
「俺もだ」
ガウェインが、彼女の肩を、優しく、抱き寄せた。
「俺は、ただ、剣を振るうことしか、知らん、ただの騎士だった。……お前が、俺に、本当に、守るべきものの、意味を、教えてくれたんだ、ミツキ」
二人は、そっと、唇を、重ねる。
穏やかで、どこまでも、優しい、愛のキス。
やがて、唇を離した美月は、おもむろに、ガウェインの、大きな手を、取った。
そして、その手を、自分の、お腹へと、そっと、導く。
まだ、何の、変化も、現れてはいない、その、平らな、お腹へ。
彼女は、彼の、驚きに、見開かれた、青い瞳を、じっと、見つめ返した。
その、ダークブラウンの瞳には、星のような、新しい、光が、宿っていた。
「……ガウェインさん」
彼女は、最高に、幸せな、笑顔で、告げた。
「どうやら、私の、次の、『プロジェクト』が、もう、始動してしまった、みたいです」
一瞬の、沈黙。
彼は、彼女の、お腹に置かれた、自分の手と、彼女の、輝くような、笑顔を、交互に、見た。
そして、その言葉の意味を、ゆっくりと、ゆっくりと、理解する。
彼の、青い瞳が、信じられない、というように、大きく、大きく、見開かれていく。
そして、その、驚きは、やがて、今まで、彼が、見せたこともないような、爆発的な、歓喜の光へと、変わった。
彼は、叫ばなかった。ただ、その瞳から、ぽろり、ぽろりと、大粒の、涙を、こぼし始めた。
彼は、その、震える腕で、まるで、世界で、一番、壊れやすい、宝物にでも、触れるかのように、そっと、優しく、美月の体を、抱きしめた。
そして、その広い肩が、小さく、震えているのが、美月にも、伝わってきた。
「……ここに?」
彼は、ようやく、掠れた声で、囁いた。
「俺と、お前の……。赤ちゃんが、いるのか?」
「……はい」
美月が、涙の滲む、笑顔で、頷く。
その瞬間、彼の、感極まった表情が、ぱあっと、弾けた。
いつもの、あの、太陽のような、一点の曇りもない、最高の笑顔。
「やった……! やったぞ、ミツキ!」
彼は、喜びを、抑えきれない、子供のように、叫んだ。
そして、彼は、おもむろに、立ち上がると、夕日に染まる、キャメロットの城に向かって、ありったけの、大声で、叫んだ。
「おーい! 皆、聞いてくれー! 俺は、父親になるぞーっ!」
その声は、麓の村の、祭り囃子にも、負けないくらい、大きく、力強く、響き渡った。
「ガウェインさん、声が大きいです! 村まで、聞こえてしまいますよ!」
美月が、顔を赤らめて、笑いながら、言う。
「構わん! 国中に、知らせてやるんだ!」
彼は、興奮冷めやらぬ、様子で、美月の隣に、再び、屈み込んだ。
「キャメロットに、新しい、太陽が、生まれるとな!」
「まだ、太陽か、月かは、分かりませんよ?」
「どちらでもいい!」
彼は、愛おしそうに、彼女の、まだ、平らな、お腹を、そっと、撫でた。
「お前に似た、賢くて、美しい、娘か。俺に似た、強くて、たくましい、息子か。……いや、きっと、どっちにも似て、世界で、一番、可愛くて、賢くて、強い、俺たちの、宝物になるに、決まってる!」
その、あまりにも、幸せな、確信に満ちた言葉。
二人は、寄り添い、夕日が沈み、一番星が、輝き始める、その、美しい、空を、いつまでも、眺めていた。
(……一年前、私は、全てを失った)
美月は、この世界に来てからの、長い、長い、道のりを、思い返す。
孤独で、不安で、帰りたかった、あの夜。
(でも、違ったんだ。私は、失ったんじゃなくて、見つけに来たんだ)
新しい、居場所を。
新しい、生きる意味を。
そして、この、どうしようもなく、愛おしい、私の、家族を。
「……この世界に来て、本当によかった」
彼女の、静かな呟き。
ガウェインは、その体を、さらに、強く、抱き寄せた。
「俺の方こそ、お前と出会えて、世界一の、幸せ者だ」
彼は、彼女の耳元で、囁いた。
「俺の太陽。俺の妻。……そして、俺の、子供の、母。……永遠に、愛してる」
時を、超え、世界を、超え、巡り会い、結ばれた、二つの魂。
その腕の中には、今、新しい、未来の光が、確かに、宿っている。
彼らの、愛の物語は、これからも、この、キャメロットの、大地と共に、永遠に、続いていくのだ。
キャメロット王国は、建国以来、最も、豊かで、輝かしい、収穫の季節を、迎えていた。
美月が、導入した、新しい農法と、灌漑システムは、見事に、実を結び、どの村も、黄金色の、豊かな恵みに、満ち溢れていた。
その日、二人の館の、すぐ麓にある村では、盛大な、収穫祭が、開かれていた。
その、主賓として、招かれたのは、もちろん、レディ・ミツキと、その夫、太陽の騎士ガウェインだった。
祭りの、中心の広場で、美月は、感無量の、思いで、その光景を、眺めていた。
かつて、病で、青白い顔をしていた子供たちは、皆、りんごのように、赤い頬で、元気に、走り回っている。
広場の隅では、彼女が作った、学校の生徒たちが、村の老人たちに、覚えたての文字で、物語を、読んで聞かせていた。
かつて、彼女を「魔女」と、罵った村長が、今は、深々と、頭を下げ、その手で、収穫した、一番、見事な麦の穂を、彼女に、捧げてくる。
「……ミツキ」
隣を歩く、ガウェインが、どうしようもなく、誇らしげな声で、囁いた。
「見ろ。皆、笑っている。……全部、お前のおかげだ」
彼は、もはや、彼女を、ただ、守られるべき、か弱い姫君だとは、思っていない。この、国の未来を、その、類まれなる知恵で、切り拓いた、唯一無二の、パートナーとして、心からの、尊敬を、捧げていた。
彼は、たまらない、というように、祭りの、ど真ん中で、彼女の体を、ぎゅっと、抱きしめた。
「皆、聞いてくれ! この、豊かな恵みは、全て、この、俺の、世界一、素晴らしくて、賢い妻のおかげだ! キャメロットの太陽、レディ・ミツキに、感謝を!」
その、高らかな、愛の叫び。
村人たちは、わっと、湧き上がり、祝福の、歓声が、空高く、響き渡った。
その日の、夕暮れ。
二人は、祭りの喧騒から、少しだけ、離れて、あの、初めて、未来を語り合った、丘の上に、座っていた。
眼下には、楽しげな、音楽と、人々の、笑い声が、風に乗って、聞こえてくる。
「……一年前」
美月が、ぽつりと、呟いた。
「一年前の今頃、私は、東京の、オフィスで、一人、パソコンの画面と、睨み合っていました。……こんな、未来が、待っているなんて、想像も、できなかった」
「俺もだ」
ガウェインが、彼女の肩を、優しく、抱き寄せた。
「俺は、ただ、剣を振るうことしか、知らん、ただの騎士だった。……お前が、俺に、本当に、守るべきものの、意味を、教えてくれたんだ、ミツキ」
二人は、そっと、唇を、重ねる。
穏やかで、どこまでも、優しい、愛のキス。
やがて、唇を離した美月は、おもむろに、ガウェインの、大きな手を、取った。
そして、その手を、自分の、お腹へと、そっと、導く。
まだ、何の、変化も、現れてはいない、その、平らな、お腹へ。
彼女は、彼の、驚きに、見開かれた、青い瞳を、じっと、見つめ返した。
その、ダークブラウンの瞳には、星のような、新しい、光が、宿っていた。
「……ガウェインさん」
彼女は、最高に、幸せな、笑顔で、告げた。
「どうやら、私の、次の、『プロジェクト』が、もう、始動してしまった、みたいです」
一瞬の、沈黙。
彼は、彼女の、お腹に置かれた、自分の手と、彼女の、輝くような、笑顔を、交互に、見た。
そして、その言葉の意味を、ゆっくりと、ゆっくりと、理解する。
彼の、青い瞳が、信じられない、というように、大きく、大きく、見開かれていく。
そして、その、驚きは、やがて、今まで、彼が、見せたこともないような、爆発的な、歓喜の光へと、変わった。
彼は、叫ばなかった。ただ、その瞳から、ぽろり、ぽろりと、大粒の、涙を、こぼし始めた。
彼は、その、震える腕で、まるで、世界で、一番、壊れやすい、宝物にでも、触れるかのように、そっと、優しく、美月の体を、抱きしめた。
そして、その広い肩が、小さく、震えているのが、美月にも、伝わってきた。
「……ここに?」
彼は、ようやく、掠れた声で、囁いた。
「俺と、お前の……。赤ちゃんが、いるのか?」
「……はい」
美月が、涙の滲む、笑顔で、頷く。
その瞬間、彼の、感極まった表情が、ぱあっと、弾けた。
いつもの、あの、太陽のような、一点の曇りもない、最高の笑顔。
「やった……! やったぞ、ミツキ!」
彼は、喜びを、抑えきれない、子供のように、叫んだ。
そして、彼は、おもむろに、立ち上がると、夕日に染まる、キャメロットの城に向かって、ありったけの、大声で、叫んだ。
「おーい! 皆、聞いてくれー! 俺は、父親になるぞーっ!」
その声は、麓の村の、祭り囃子にも、負けないくらい、大きく、力強く、響き渡った。
「ガウェインさん、声が大きいです! 村まで、聞こえてしまいますよ!」
美月が、顔を赤らめて、笑いながら、言う。
「構わん! 国中に、知らせてやるんだ!」
彼は、興奮冷めやらぬ、様子で、美月の隣に、再び、屈み込んだ。
「キャメロットに、新しい、太陽が、生まれるとな!」
「まだ、太陽か、月かは、分かりませんよ?」
「どちらでもいい!」
彼は、愛おしそうに、彼女の、まだ、平らな、お腹を、そっと、撫でた。
「お前に似た、賢くて、美しい、娘か。俺に似た、強くて、たくましい、息子か。……いや、きっと、どっちにも似て、世界で、一番、可愛くて、賢くて、強い、俺たちの、宝物になるに、決まってる!」
その、あまりにも、幸せな、確信に満ちた言葉。
二人は、寄り添い、夕日が沈み、一番星が、輝き始める、その、美しい、空を、いつまでも、眺めていた。
(……一年前、私は、全てを失った)
美月は、この世界に来てからの、長い、長い、道のりを、思い返す。
孤独で、不安で、帰りたかった、あの夜。
(でも、違ったんだ。私は、失ったんじゃなくて、見つけに来たんだ)
新しい、居場所を。
新しい、生きる意味を。
そして、この、どうしようもなく、愛おしい、私の、家族を。
「……この世界に来て、本当によかった」
彼女の、静かな呟き。
ガウェインは、その体を、さらに、強く、抱き寄せた。
「俺の方こそ、お前と出会えて、世界一の、幸せ者だ」
彼は、彼女の耳元で、囁いた。
「俺の太陽。俺の妻。……そして、俺の、子供の、母。……永遠に、愛してる」
時を、超え、世界を、超え、巡り会い、結ばれた、二つの魂。
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