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第35話:親友たちの、もう一つの恋物語
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クリスマス・イブまで、あと三日。
私の部屋の机の上には、一週間以上に及ぶ、私の血と涙(と、たくさんの愛)の結晶が、鎮座していた。
少しだけ不格好で、編み目が揃っていない、手作りのマフラー。でも、私にとっては、どんなブランド物よりも、ずっとずっと、価値のある宝物だった。
(喜んでくれる、かな……)
ラッピング用の包装紙を広げながら、私の心は、期待と不安で、いっぱいだった。
その時、スマホが、ぶぶっ、と短く震えた。
画面に表示されたのは、親友の美咲からの、切羽詰まったメッセージだった。
『助けて! 悠斗へのクリスマスプレゼント、何あげたらいいか、全然わかんない!』
私は、思わず、画面の前で噴き出してしまった。
いつもは、恋バナといえば、私のことをからかう専門の彼女が、珍しく、本気で悩んでいる。
私は、『任せなさい!』と力こぶのスタンプを送ると、放課後、駅前のファミレスで、「緊急作戦会議」を開くことにした。
「だからさー、バスケのグッズは、怜くんがもう、色々あげちゃってそうだし……」
テーブルに突っ伏して、美咲が、この世の終わりのような声で呻いている。
その、あまりにも真剣な悩みが、なんだか微笑ましくて、私は、くすくすと笑ってしまった。
「美咲はさ、悠斗の、どういうところが好きになったの?」
「えっ、な、なによ、急に!」
私の、唐突な質問に、美咲の顔が、ぼふっと真っ赤に染まる。
「い、いつもは、お調子者で、うるさいけど……。でも、本当は、すごく周りのこと、見てるっていうか。怜くんのことだって、一番、心配してたの、悠斗だし……。あと、時々、すごく、優しく笑う、から……」
最後の方は、ほとんど、消え入りそうな声だった。
でも、その言葉の一つ一つに、彼女の、悠斗への、温かい気持ちが、溢れていた。
「――じゃあ、大丈夫だよ」
私は、にっこりと笑いかけた。
「美咲が、一生懸命選んだものなら、悠斗は、絶対に、喜んでくれるよ。だって、美咲は、悠斗のこと、ちゃんと、見てるもん」
その頃、男子バスケ部の部室でも。
「……おい、悠斗。お前、さっきから、上の空だぞ」
練習後の着替え中、怜くんが、ぼんやりとスマホを眺めている悠斗に、呆れたように声をかけた。
「……うっせ。別に、なんでもねーよ」
「ふーん。……クリスマス、近いもんな」
図星を突かれた悠斗が、ギクリと体を強張らせる。
「……ばっか、お前には、関係ねーだろ! ……で、お前は、陽菜に、何やるんだよ」
怜くんは、その問いには答えず、自分のカバンの中に仕舞った、小さな、プレゼント用の箱を、そっと、確認した。その口元に、ごく、ごく、微かな、優しい笑みが浮かんでいたことを、悠斗は、まだ知らない。
ファミレスで、私のアドバイス(というより、ただ背中を押しただけだけど)を受けた美咲は、ぱっと、顔を上げた。
「そっか……。そうだよね! 私が、あげたいものを、あげれば、いいんだ!」
吹っ切れたような、晴れやかな笑顔。
彼女は、悠斗がいつも飲んでいる、少し珍しいエナジードリンクと、彼が好きだと言っていた、お笑い芸人のDVDをセットでプレゼントすることに決めたらしい。
「ありがとう、陽菜! あんたのおかげで、スッキリした!」
親友の、幸せそうな顔を見ていると、私の心まで、温かいもので、満たされていく。
私の恋物語だけじゃない。すぐ隣で、親友の、もう一つの、素敵な恋物語も、確かに、始まっていたのだ。
帰り道、私は、綺麗にラッピングされた、マフラーの入った紙袋を、ぎゅっと、胸に抱きしめた。
怜くんに、送る。
『クリスマス・イブ、楽しみにしてるね』
すぐに、返ってきた、短いメッセージ。
『俺も』
その、たった二文字だけで、私の世界は、これ以上ないくらいの、幸せな色に、染まっていた。
私の部屋の机の上には、一週間以上に及ぶ、私の血と涙(と、たくさんの愛)の結晶が、鎮座していた。
少しだけ不格好で、編み目が揃っていない、手作りのマフラー。でも、私にとっては、どんなブランド物よりも、ずっとずっと、価値のある宝物だった。
(喜んでくれる、かな……)
ラッピング用の包装紙を広げながら、私の心は、期待と不安で、いっぱいだった。
その時、スマホが、ぶぶっ、と短く震えた。
画面に表示されたのは、親友の美咲からの、切羽詰まったメッセージだった。
『助けて! 悠斗へのクリスマスプレゼント、何あげたらいいか、全然わかんない!』
私は、思わず、画面の前で噴き出してしまった。
いつもは、恋バナといえば、私のことをからかう専門の彼女が、珍しく、本気で悩んでいる。
私は、『任せなさい!』と力こぶのスタンプを送ると、放課後、駅前のファミレスで、「緊急作戦会議」を開くことにした。
「だからさー、バスケのグッズは、怜くんがもう、色々あげちゃってそうだし……」
テーブルに突っ伏して、美咲が、この世の終わりのような声で呻いている。
その、あまりにも真剣な悩みが、なんだか微笑ましくて、私は、くすくすと笑ってしまった。
「美咲はさ、悠斗の、どういうところが好きになったの?」
「えっ、な、なによ、急に!」
私の、唐突な質問に、美咲の顔が、ぼふっと真っ赤に染まる。
「い、いつもは、お調子者で、うるさいけど……。でも、本当は、すごく周りのこと、見てるっていうか。怜くんのことだって、一番、心配してたの、悠斗だし……。あと、時々、すごく、優しく笑う、から……」
最後の方は、ほとんど、消え入りそうな声だった。
でも、その言葉の一つ一つに、彼女の、悠斗への、温かい気持ちが、溢れていた。
「――じゃあ、大丈夫だよ」
私は、にっこりと笑いかけた。
「美咲が、一生懸命選んだものなら、悠斗は、絶対に、喜んでくれるよ。だって、美咲は、悠斗のこと、ちゃんと、見てるもん」
その頃、男子バスケ部の部室でも。
「……おい、悠斗。お前、さっきから、上の空だぞ」
練習後の着替え中、怜くんが、ぼんやりとスマホを眺めている悠斗に、呆れたように声をかけた。
「……うっせ。別に、なんでもねーよ」
「ふーん。……クリスマス、近いもんな」
図星を突かれた悠斗が、ギクリと体を強張らせる。
「……ばっか、お前には、関係ねーだろ! ……で、お前は、陽菜に、何やるんだよ」
怜くんは、その問いには答えず、自分のカバンの中に仕舞った、小さな、プレゼント用の箱を、そっと、確認した。その口元に、ごく、ごく、微かな、優しい笑みが浮かんでいたことを、悠斗は、まだ知らない。
ファミレスで、私のアドバイス(というより、ただ背中を押しただけだけど)を受けた美咲は、ぱっと、顔を上げた。
「そっか……。そうだよね! 私が、あげたいものを、あげれば、いいんだ!」
吹っ切れたような、晴れやかな笑顔。
彼女は、悠斗がいつも飲んでいる、少し珍しいエナジードリンクと、彼が好きだと言っていた、お笑い芸人のDVDをセットでプレゼントすることに決めたらしい。
「ありがとう、陽菜! あんたのおかげで、スッキリした!」
親友の、幸せそうな顔を見ていると、私の心まで、温かいもので、満たされていく。
私の恋物語だけじゃない。すぐ隣で、親友の、もう一つの、素敵な恋物語も、確かに、始まっていたのだ。
帰り道、私は、綺麗にラッピングされた、マフラーの入った紙袋を、ぎゅっと、胸に抱きしめた。
怜くんに、送る。
『クリスマス・イブ、楽しみにしてるね』
すぐに、返ってきた、短いメッセージ。
『俺も』
その、たった二文字だけで、私の世界は、これ以上ないくらいの、幸せな色に、染まっていた。
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