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1話 嫁選び
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人生に対して退屈を覚え始めたのはいつ頃からだろうか。少なくとも、中学の後半からは退屈を感じ始めていたように思う。
退屈を紛らわせてくれるのはファンタジーゲームやファンタジー小説。俺はいつだってファンタジーにあこがれていた。
ファンタジー世界にはきっと退屈がない。だけど、現実は退屈で一杯だ。だから俺は、いつものように、その日もファンタジー世界への思いを馳せて、眠りについた。
「ねえー起きてよー」
目を開けると目の前に可愛い顏をした妖精。小さいくせにいっちょまえに胸があった。いやいや待て待て、あり得ないから。寝ぼけてんのか? 寝直すか。
「ちょっとー目を閉じないでよー」
声が聞こえた気がしたが、気のせいだ。気のせい。幻聴までするなんてよっぽど疲れてるんだな俺。しかし随分と可愛らしい声だな。
「ねーねーってばー」
ペチペチと額を叩かれる。恐らくはあの小さな手で一生懸命叩いているのだろう。幻覚だったとしても、なんだか無視するのは可哀想な気がしてきた。
「はいはい、なんでしょうか?」
「やーっと起きてくれたー。メアリー泣いちゃいそうだったよ」
うーん。齢19年にしてついに頭が壊れたか。思えばいろんな事があったな。里中さとなか公平こうへいとしてこの世に生まれて、イヤな事もいっぱいあったけど、楽しい事もいっぱいあった、ような気がする。お母さんお父さんごめんなさい、息子は病院生活を余儀なくされそうです。
「ねー。ねーってば!」
「ん?」
「また無視されたー! メアリー怒っちゃうよー?」
「うんうん。ごめんねー。お兄さんちょっと悲しくなってたんだ」
「そうなのー? でもねー泣くのはメアリーの話しを聞いてからにしてー」
「うんうん、わかったよー。お兄さんちゃんと聞くからねー」
「むー! なんかふざけてなーい?」
ちょっと子供扱いしすぎたかな。てか幻覚でも怒るんだな。
「ごめんごめん。それで話しって?」
「あのねー。こーへーは天使さまのミスで死んじゃったんだー」
うーん。ファンタジーとかでよくあるやつだな。とすれば、次に来るのは転生か。よっぽど現世がイヤになったみたいだな。なんかあったかな? と思ったけどいつも思ってたわ。現実なんてクソ食らえだ。
「それでねー。可哀想だからってこーへーの好きな世界に転移させるんだってー」
「へー」
「その世界で好き勝手やっていいよって天使さまが言ってた」
「そりゃ素晴らしい。どーせなら剣と魔法の世界で俺のキングダムを建設したいな。そんで可愛い女の子と一杯仲良くなりたい」
どうせ夢だ。今ぐらい好きな事を言ってもいいだろう。自分だけの国を作ってハーレムを作るっていうのは、男なら誰でも考えた事がある妄想だろう。
「オッケー。天使さまに言ってくるねー。こーへー起きたらびっくりするぞー」
「楽しみにしてる」
「ばいば~い」
そう言ってメアリーとかいう幻影は消えていった。さらばメアリー。願わくば二度と訪れるな。
1日目
そんなこんなで一夜明けた今日。俺は驚愕した。
「な、なんじゃこりゃあああああああ!」
松田優作ばりに叫んだ。そりゃ叫びたくもなる。目が覚めて部屋の扉を開けたら目の前に広がるのは荒野。どう考えたってあり得ないだろ!
「さて、明日に備えて寝るか」なんて言って寝たのんきな昨日の自分を殴りたい。
「どうしたのよー? 朝からそんなに大きな声だしてー」
後ろから聞き覚えのある声がした。昨日の今日に聞いた声だ、間違いない。メアリーだ。
「てめーメアリー! なんじゃこりゃああああああ!」
「うわー! うるさーい!」
スーイと空中を軽やかに飛んで俺の額をポカポカと叩き始めた。全然痛くなかったが、目の前をチラチラと体が動くから鬱陶しい。俺はヒラヒラ揺れるメアリーをむんずと掴んだ。
「わー! 離せー!」
「どーいう事だよ! ちゃんと一から説明せえ!」
「わかったよー! 説明するから離してー!」
ジタバタともがくメアリーを離した。いかんな、少し落ち着かねば。流石に掴むのはやり過ぎだ。
「もー。酷い事しないでよー! こーへーのばかー!」
「いや、悪い。ちょっと混乱してた」
「昨日言ったじゃない。好きな世界に転移するよって」
「まさかホントだとは思ってなかったんだよ。メアリーの言ってた事が本当だとすると俺は一度死んだのか?」
「そうよー。本当はまだ生きてるはずだったんだけど、間違って死んじゃったんだって。天使さま謝ってたよ。ごめんなさいって」
「マジかよー。まんまライトノベルの世界じゃん」
ごめんで済むなら警察いらねえよ……。でも待てよ。こういう場合なんかボーナスがあるはずだ。異世界でチートハーレムとか鉄板中の鉄板だろ。
「それでね、天使さまが手助けしてくれるってさー」
ほら来た。これさえあれば人生イージーモードだ。転移人生を楽しんでやる。
「これからこの世界で起きる事をまとめた本をプレゼントしてあげるってさ」
「うんうん。それで?」
「あ、後こーへーの容姿はこの世界の基準ですっごいイケメンなんだって」
「そうか。それは素晴らしい。他には?」
「それだけよ?」
「へ?」
すごい間抜けな声が出た。
「天使さまが手助けしてくれるのはこれだけ。後は自分で頑張りなさいだってさー」
「あ、ありえねええええええええええ」
本日二度目の叫びだった。
「もーうるさーい! チュートリアルを始めるから、ちゃんと聞いてー!」
もうわかった。わかりました。結局は自分の力で成り上がれって事だ。それじゃあ元の世界とたいして変わんねえじゃねえかよお。他のやつらよりちょっと有利なだけだ。
「いーい? 天使さまがくれたこのハウトゥーファンタジーにはこの世界の事がいーっぱい載ってるの。今巷では何が流行ってるとか、何を売ればお金になるとか。どこで戦争が起きるかとかが書いてるのね。これを渡す代わりに、言う事を1つ聞いてほしいんだって」
「なんだよそれ、おかしいじゃん? 天使のミスで死んだのに天使の勝手でこんな世界に蘇られさせて、挙句言う事を聞いてだ? なーにがごめんなさいだ。全くもって誠意を感じられないし、何より好き勝手出来ねえよ!」
「メアリーにそんな事言われたって困るわよー。あ、もう1つ天使さまに言われてたんだ」
「なんだよ。言ってみろ」
俺は若干ふてくされた口調で、全く期待していなかったが一応聞いた。
「あのね。嫁を育てて世界を救えだってさー」
「な、なんだってー(棒)」
俺は最早こんな言葉にはだまされない。が、嫁という単語にちょっとだけワクワクしてしまったのは内緒だ。
「うん。最初に1人お嫁さんプレゼントしてあげるからその娘を育てて頑張って」
「それだよ! そういうのを俺は待ち望んでたんだ! どんな娘?」
「えっとね。貧乏お姫様にレベル1の女騎士、お料理作るのが上手な村娘、隠れるのが下手なくノ一、信徒の少ない巫女に尽くす人がいないと死んじゃう戦乙女。他にも何かあったかなー?」
なんなんだよその残念なラインナップは。どこまでも天使は俺にチートを使わせる気がないみたいだな。悲しくなってきたよ。こういうの嫌がらせっていうんだよ?
「どれも訳ありじゃないか」
「それはそうよ。最初から最強のお嫁さんなんて貰える訳ないじゃない。自分好みに育てていくんだもの」
「今は最弱でも今後最強になる可能性があるって事か」
全ては俺次第ってか。なんという事だ。ぐーたらな人生から一変し過ぎだろ。でも大丈夫。こういう時のためにゲームやラノベで経験値積んでますから。
「それでー? 誰を選ぶのー?」
将来も見据えて考えていこう。まずは貧乏お姫様。この娘を選ぶメリットは一重にどれだけしょぼいかはわからないが、国が1つ付いてくるって事だろう。正直それはすごく魅力的に感じられる。だけど、お姫様って戦闘出来ないよな?
レベル1の女騎士はきっと優秀だ。RPGなんかには欠かせない存在だし、大抵は最後まで一線で戦ってくれる。問題はレベル1って事だ。この世界におけるレベル1の存在がわからない以上安易に選ぶのは危険か?
お料理作るのが上手な村娘。これは正直論外だろう。料理作るのが上手いからどうしたというのか。同様に隠れるのが下手なくノ一もだ。隠れられないくノ一とか切れない包丁並に役に立たない。
信徒の少ない巫女。これは文字通りただの巫女だろう。信徒が多かったら色々と便利なんだろうけど、初期段階ではそのメリットもないみたいだしなあ。
尽くす人がいないと死んじゃう戦乙女。これが一番気になる。他の娘に比べてダメ要素が少なそうだ。女騎士同様に戦闘スキルも充実しているはずだから、万が一戦闘になった際に頼りになる、と思う。
よし! 決めた!
「戦乙女がいい!」
「ホントにいいの―?」
「おう!」
「ホントのホントー?」
「な、なんだよ。やけに聞いてくるな。不安になるじゃないか」
「チュートリアルはやり直せないからねー。一応確認したの」
「そっか。大丈夫だ。とりあえずは戦乙女ちゃんとやってみるさ」
「わかったわー。それじゃあ……んしょっと」
メアリーはどこからかハウトゥーファンタジーを取り出して読み始めた。
「戦乙女に出会うには……ここから東のスフィーダ王国へ向かいましょう。そこで会えるらしいわ」
「え……?」
「どうしたのよー? 固まっちゃって」
「もっとこう、ジュワン! みたいな感じで召喚でもされるんじゃないの……?」
「無理よー。だって私は召喚士じゃないもの」
あ、ありえねえ……。がっくりと肩を落としてしまった。そうですか。基本的に俺が動かないといけないんですね、わかります。
「安心して。これから行くスフィーダ王国は小さな国よ」
「そんな事は心配してないんだよ……」
おにーさんあまりにも先行きが不安だよ。だけど大丈夫。こういうのってきっと最初さえ乗り越えれば色々と上手くいくはずだから。いくはずだから! そんな自己暗示をかけながら、俺はスフィーダ王国へ向かうのだった。
「あ、戸締まりは忘れない方がいいわよー。せっかくのものが盗られちゃうかも」
「ふっ……」
20分も歩いてから言うのはやめてほしい。
退屈を紛らわせてくれるのはファンタジーゲームやファンタジー小説。俺はいつだってファンタジーにあこがれていた。
ファンタジー世界にはきっと退屈がない。だけど、現実は退屈で一杯だ。だから俺は、いつものように、その日もファンタジー世界への思いを馳せて、眠りについた。
「ねえー起きてよー」
目を開けると目の前に可愛い顏をした妖精。小さいくせにいっちょまえに胸があった。いやいや待て待て、あり得ないから。寝ぼけてんのか? 寝直すか。
「ちょっとー目を閉じないでよー」
声が聞こえた気がしたが、気のせいだ。気のせい。幻聴までするなんてよっぽど疲れてるんだな俺。しかし随分と可愛らしい声だな。
「ねーねーってばー」
ペチペチと額を叩かれる。恐らくはあの小さな手で一生懸命叩いているのだろう。幻覚だったとしても、なんだか無視するのは可哀想な気がしてきた。
「はいはい、なんでしょうか?」
「やーっと起きてくれたー。メアリー泣いちゃいそうだったよ」
うーん。齢19年にしてついに頭が壊れたか。思えばいろんな事があったな。里中さとなか公平こうへいとしてこの世に生まれて、イヤな事もいっぱいあったけど、楽しい事もいっぱいあった、ような気がする。お母さんお父さんごめんなさい、息子は病院生活を余儀なくされそうです。
「ねー。ねーってば!」
「ん?」
「また無視されたー! メアリー怒っちゃうよー?」
「うんうん。ごめんねー。お兄さんちょっと悲しくなってたんだ」
「そうなのー? でもねー泣くのはメアリーの話しを聞いてからにしてー」
「うんうん、わかったよー。お兄さんちゃんと聞くからねー」
「むー! なんかふざけてなーい?」
ちょっと子供扱いしすぎたかな。てか幻覚でも怒るんだな。
「ごめんごめん。それで話しって?」
「あのねー。こーへーは天使さまのミスで死んじゃったんだー」
うーん。ファンタジーとかでよくあるやつだな。とすれば、次に来るのは転生か。よっぽど現世がイヤになったみたいだな。なんかあったかな? と思ったけどいつも思ってたわ。現実なんてクソ食らえだ。
「それでねー。可哀想だからってこーへーの好きな世界に転移させるんだってー」
「へー」
「その世界で好き勝手やっていいよって天使さまが言ってた」
「そりゃ素晴らしい。どーせなら剣と魔法の世界で俺のキングダムを建設したいな。そんで可愛い女の子と一杯仲良くなりたい」
どうせ夢だ。今ぐらい好きな事を言ってもいいだろう。自分だけの国を作ってハーレムを作るっていうのは、男なら誰でも考えた事がある妄想だろう。
「オッケー。天使さまに言ってくるねー。こーへー起きたらびっくりするぞー」
「楽しみにしてる」
「ばいば~い」
そう言ってメアリーとかいう幻影は消えていった。さらばメアリー。願わくば二度と訪れるな。
1日目
そんなこんなで一夜明けた今日。俺は驚愕した。
「な、なんじゃこりゃあああああああ!」
松田優作ばりに叫んだ。そりゃ叫びたくもなる。目が覚めて部屋の扉を開けたら目の前に広がるのは荒野。どう考えたってあり得ないだろ!
「さて、明日に備えて寝るか」なんて言って寝たのんきな昨日の自分を殴りたい。
「どうしたのよー? 朝からそんなに大きな声だしてー」
後ろから聞き覚えのある声がした。昨日の今日に聞いた声だ、間違いない。メアリーだ。
「てめーメアリー! なんじゃこりゃああああああ!」
「うわー! うるさーい!」
スーイと空中を軽やかに飛んで俺の額をポカポカと叩き始めた。全然痛くなかったが、目の前をチラチラと体が動くから鬱陶しい。俺はヒラヒラ揺れるメアリーをむんずと掴んだ。
「わー! 離せー!」
「どーいう事だよ! ちゃんと一から説明せえ!」
「わかったよー! 説明するから離してー!」
ジタバタともがくメアリーを離した。いかんな、少し落ち着かねば。流石に掴むのはやり過ぎだ。
「もー。酷い事しないでよー! こーへーのばかー!」
「いや、悪い。ちょっと混乱してた」
「昨日言ったじゃない。好きな世界に転移するよって」
「まさかホントだとは思ってなかったんだよ。メアリーの言ってた事が本当だとすると俺は一度死んだのか?」
「そうよー。本当はまだ生きてるはずだったんだけど、間違って死んじゃったんだって。天使さま謝ってたよ。ごめんなさいって」
「マジかよー。まんまライトノベルの世界じゃん」
ごめんで済むなら警察いらねえよ……。でも待てよ。こういう場合なんかボーナスがあるはずだ。異世界でチートハーレムとか鉄板中の鉄板だろ。
「それでね、天使さまが手助けしてくれるってさー」
ほら来た。これさえあれば人生イージーモードだ。転移人生を楽しんでやる。
「これからこの世界で起きる事をまとめた本をプレゼントしてあげるってさ」
「うんうん。それで?」
「あ、後こーへーの容姿はこの世界の基準ですっごいイケメンなんだって」
「そうか。それは素晴らしい。他には?」
「それだけよ?」
「へ?」
すごい間抜けな声が出た。
「天使さまが手助けしてくれるのはこれだけ。後は自分で頑張りなさいだってさー」
「あ、ありえねええええええええええ」
本日二度目の叫びだった。
「もーうるさーい! チュートリアルを始めるから、ちゃんと聞いてー!」
もうわかった。わかりました。結局は自分の力で成り上がれって事だ。それじゃあ元の世界とたいして変わんねえじゃねえかよお。他のやつらよりちょっと有利なだけだ。
「いーい? 天使さまがくれたこのハウトゥーファンタジーにはこの世界の事がいーっぱい載ってるの。今巷では何が流行ってるとか、何を売ればお金になるとか。どこで戦争が起きるかとかが書いてるのね。これを渡す代わりに、言う事を1つ聞いてほしいんだって」
「なんだよそれ、おかしいじゃん? 天使のミスで死んだのに天使の勝手でこんな世界に蘇られさせて、挙句言う事を聞いてだ? なーにがごめんなさいだ。全くもって誠意を感じられないし、何より好き勝手出来ねえよ!」
「メアリーにそんな事言われたって困るわよー。あ、もう1つ天使さまに言われてたんだ」
「なんだよ。言ってみろ」
俺は若干ふてくされた口調で、全く期待していなかったが一応聞いた。
「あのね。嫁を育てて世界を救えだってさー」
「な、なんだってー(棒)」
俺は最早こんな言葉にはだまされない。が、嫁という単語にちょっとだけワクワクしてしまったのは内緒だ。
「うん。最初に1人お嫁さんプレゼントしてあげるからその娘を育てて頑張って」
「それだよ! そういうのを俺は待ち望んでたんだ! どんな娘?」
「えっとね。貧乏お姫様にレベル1の女騎士、お料理作るのが上手な村娘、隠れるのが下手なくノ一、信徒の少ない巫女に尽くす人がいないと死んじゃう戦乙女。他にも何かあったかなー?」
なんなんだよその残念なラインナップは。どこまでも天使は俺にチートを使わせる気がないみたいだな。悲しくなってきたよ。こういうの嫌がらせっていうんだよ?
「どれも訳ありじゃないか」
「それはそうよ。最初から最強のお嫁さんなんて貰える訳ないじゃない。自分好みに育てていくんだもの」
「今は最弱でも今後最強になる可能性があるって事か」
全ては俺次第ってか。なんという事だ。ぐーたらな人生から一変し過ぎだろ。でも大丈夫。こういう時のためにゲームやラノベで経験値積んでますから。
「それでー? 誰を選ぶのー?」
将来も見据えて考えていこう。まずは貧乏お姫様。この娘を選ぶメリットは一重にどれだけしょぼいかはわからないが、国が1つ付いてくるって事だろう。正直それはすごく魅力的に感じられる。だけど、お姫様って戦闘出来ないよな?
レベル1の女騎士はきっと優秀だ。RPGなんかには欠かせない存在だし、大抵は最後まで一線で戦ってくれる。問題はレベル1って事だ。この世界におけるレベル1の存在がわからない以上安易に選ぶのは危険か?
お料理作るのが上手な村娘。これは正直論外だろう。料理作るのが上手いからどうしたというのか。同様に隠れるのが下手なくノ一もだ。隠れられないくノ一とか切れない包丁並に役に立たない。
信徒の少ない巫女。これは文字通りただの巫女だろう。信徒が多かったら色々と便利なんだろうけど、初期段階ではそのメリットもないみたいだしなあ。
尽くす人がいないと死んじゃう戦乙女。これが一番気になる。他の娘に比べてダメ要素が少なそうだ。女騎士同様に戦闘スキルも充実しているはずだから、万が一戦闘になった際に頼りになる、と思う。
よし! 決めた!
「戦乙女がいい!」
「ホントにいいの―?」
「おう!」
「ホントのホントー?」
「な、なんだよ。やけに聞いてくるな。不安になるじゃないか」
「チュートリアルはやり直せないからねー。一応確認したの」
「そっか。大丈夫だ。とりあえずは戦乙女ちゃんとやってみるさ」
「わかったわー。それじゃあ……んしょっと」
メアリーはどこからかハウトゥーファンタジーを取り出して読み始めた。
「戦乙女に出会うには……ここから東のスフィーダ王国へ向かいましょう。そこで会えるらしいわ」
「え……?」
「どうしたのよー? 固まっちゃって」
「もっとこう、ジュワン! みたいな感じで召喚でもされるんじゃないの……?」
「無理よー。だって私は召喚士じゃないもの」
あ、ありえねえ……。がっくりと肩を落としてしまった。そうですか。基本的に俺が動かないといけないんですね、わかります。
「安心して。これから行くスフィーダ王国は小さな国よ」
「そんな事は心配してないんだよ……」
おにーさんあまりにも先行きが不安だよ。だけど大丈夫。こういうのってきっと最初さえ乗り越えれば色々と上手くいくはずだから。いくはずだから! そんな自己暗示をかけながら、俺はスフィーダ王国へ向かうのだった。
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