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外典 ドラゴンハンター
ep.2 白の魔導師
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「やれやれ、そう簡単には見つからねぇか…」
シグルズはそうボヤくと、酒場のカウンターに座り、浴びるように飲み始める。
しばらく経つと、隣の席に白衣の美女が座った。
「やけ酒は身体に毒ですよ。」
シグルズ「まぁ、やけ酒って訳でもないんだが…
姐さん、慰めてくれるかい?」
女「フフッ…
うっかり騙されそうな色男だけど、子連れで口説かれてもねェ…」
シグルズ「は?
……
あッ…お前、いつの間に…!」
気が付くと、メリュジーヌがシグルズの袖を掴んでいた。
「火遊びしちゃダメよ?パパ。」
女はそう言って立ち去った。
シグルズ「……
宿に居ろっつったのに…
妙な芸までしやがって…」
メリュジーヌ「なに、人間の娯楽とやらに興味があってな…
そんな事よりあの者…魔法石の気配がしておったぞ?」
シグルズ「何だって⁉︎
…そういう事は早く言ってくれ。」
メリュジーヌ「人間が大勢いたのでな。
気配はまだ遠くない。追うか?」
シグルズ「当然。」
尾行して辿り着いた先は、シグルズ達と同じ宿だった。
「ツイてるぜ。」
翌朝…何やら外が騒がしい。
メリュジーヌ「魔法石の気配はまだ動いておらぬ。
気になるなら見て来るがいい。」
騒ぎの元は隣の薬屋だった。
異形化奇病に襲われ石にされた旅人が運び込まれていたのだ。
シグルズ「これは…ラグナと同じ症状だ…」
だが、並の薬屋で治せるなら、シグルズ達も苦労はしない。
「私に診せてもらえるかしら?」
そう言って現れたのは、昨夜の美女だった。
彼女が患者に向かって手をかざすと、その手は光を放ち、同時に患者の身体から砂が溢れ落ちて石化が解けていく。
メリュジーヌ「魔法じゃな。」
シグルズ「うおッ、ビックリした!
…いきなり現れんな。」
メリュジーヌ「魔法石の気配が動いたので、追って来た。」
旅人「ありがとうございます!
貴女は命の恩人です!」
「気をつけてね。」
女魔導師は旅人を見送った後、こちらに話しかけてきた。
「さっきチラッと聞こえちゃったんだけど…お知り合いも石に?
治して差し上げましょうか?」
シグルズ「…申し出は有り難いが、あんた、魔法なんか使い続けてたら、いずれ…」
女魔導師「異形化奇病になる?」
シグルズ「…!
わかってるなら何で…?」
女魔導師「ないしょ♪」
シグルズ「…まぁいい…そんな事より、あんた、魔法石持ってんだろ?
そいつを貰い受けたい。」
そう言った途端、女の表情は曇った。
「それは出来ないわ、悪いけど。
治療が要らないなら失礼するわね。」
シグルズ「ちょッ…待てよ!」
女は逃げる様に立ち去った。
異形化奇病が徘徊する街の外へ…
シグルズ達も後を追うが見失う。
「…撒かれた?俺らが?
あの女…只者じゃねぇな。」
メリュジーヌ「魔法石の気配を辿ろう。」
荒野を徘徊する異形化奇病を討伐しつつ魔法石の気配を追い、また別の街に辿り着いた。
街の人々に聞き込みしたところ、女はどうやら魔法で病人や怪我人を治療して廻っているらしい。
そして、怪しい集団が同じ人物を探しているらしいという情報も得た。
シグルズ「魔導師ってのは、魔法石の元になった竜の力が、そのままそいつの能力になるのか?」
メリュジーヌ「その者の願望や資質にもよるが、その可能性は高い。」
シグルズ「じゃあ尚更、先越される訳にゃいかねぇな。」
メリュジーヌ「うむ。」
街を探索していると、例の女が怪しい集団に囲まれていた。
謎の男「シェイミー=ハサウェイだな?
ご同行願おう。」
シェイミー「…お断りするわ。」
謎の男「ならば実力を行使するまで。」
シグルズ「…無粋だねぇ。
俺様のナンパの邪魔しないでくれるか?」
謎の男「何だ、貴様⁉︎
邪魔立てするなら容赦せんぞ。」
シグルズ「だから、邪魔なのはアンタらだって。」
謎の男「ふざけた男だ…
殺れ!」
謎の集団と交戦になったが、返り討ちにする。
その戦闘において、メリュジーヌの力を目の当たりにしたシェイミーは大いに驚き、言った。
「その子…異形化奇病の力をコントロールできるの⁉︎」
メリュジーヌ「異形化奇病では無い。
我は竜…森羅万象の理を司る、古の種族の末裔じゃ。
そして魔法石とは、アグエル文明によって封印されし、我が眷属の魂が宿りし骸…
我はその魂を解き放ち、力を受け継ぐべく旅をしておる。」
シェイミー「驚いた…
それが本当なら、大発見だわ。」
シグルズ「そういう訳だからよ、返してやってくんねぇか?コイツに。」
シェイミーは少し考え、答えた。
「…条件があるわ。
貴方達の旅に私も同行させて。
ただし、旅先で私は私の使命を果たす…それは止めないで。」
メリュジーヌ「…使命とは、魔法で人の病や傷を癒やす事か?」
シェイミー「そうよ。
そして…もし私が異形化奇病になったら…その時は私を殺して。」
シグルズ「…なんでそうまでして、赤の他人を治療するんだ?」
シェイミー「内緒って言ったでしょ?
…償い…とだけ言っておこうかしら。」
シグルズ「償い…?」
シェイミー「この条件を飲んでくれるなら、魔法石は譲ってあげる。」
シグルズ「…いいだろう。
ただし、もしあんたと同じ能力をコイツが手に入れたら、あんたの使命とやらは、コイツに引き継がせてもらう。
構わねぇな?メリュジーヌ。」
メリュジーヌ「よかろう。」
シェイミー「わかったわ。」
メリュジーヌは、シェイミーから手渡された魔法石に向かって唱える。
「忌まわしきアグエル文明により封印されし我が眷族よ…
その戒めを今、解き放たん…」
すると魔法石は砕け散って光の粒子となり、白き蛇の姿を象った。
「我はアスクレピオン。
我が戒めを解き放てし眷族よ…
汝が力を我に示せば、盟約に従い我が力を授けん。」
シェイミー「これが…ドラゴン…⁉︎」
シグルズ「あんたは下がってな。」
「そうさせてもらうわ。」
シェイミーはそう言うと後衛で弓を構え、放った。
矢が刺さると、竜の身体が光を放つ。
シェイミー「…⁉︎
毒が塗ってあるんだけど…効いてない?」
メリュジーヌ「あの光は、汝と同等の魔法じゃ。
毒や呪術の類は効くまい。」
シグルズ「けど、アタリって事だな!
アイツの力、頂くぜ!」
かくして3人は協力し、アスクレピオンを打ち破る。
「見事なり…盟約に従い我が力を汝に授けん。」
アスクレピオンはそう言うと、砕け散って無数の光の粒子となり、メリュジーヌに吸収された。
かくして、メリュジーヌは治療魔法の力を手に入れる。
メリュジーヌ「思いのほか早く目的の力を得たな。」
シグルズ「これでラグナの奴も元に戻せる。
それと、約束通りあんたの使命とやらも引き継がせてもらう。」
シェイミー「よろしくお願いするわね。
私はシェイミー。
その子はメリュジーヌって言うのよね?
で、貴方は…」
シグルズ「シグルズだ。」
シェイミー「シグルズって…あの、革命戦の?」
シグルズ「知ってた?
いやぁ、ヒーローはツライねぇ。」
シェイミー「フフッ、頼もしい限りね。」
続く…
シグルズはそうボヤくと、酒場のカウンターに座り、浴びるように飲み始める。
しばらく経つと、隣の席に白衣の美女が座った。
「やけ酒は身体に毒ですよ。」
シグルズ「まぁ、やけ酒って訳でもないんだが…
姐さん、慰めてくれるかい?」
女「フフッ…
うっかり騙されそうな色男だけど、子連れで口説かれてもねェ…」
シグルズ「は?
……
あッ…お前、いつの間に…!」
気が付くと、メリュジーヌがシグルズの袖を掴んでいた。
「火遊びしちゃダメよ?パパ。」
女はそう言って立ち去った。
シグルズ「……
宿に居ろっつったのに…
妙な芸までしやがって…」
メリュジーヌ「なに、人間の娯楽とやらに興味があってな…
そんな事よりあの者…魔法石の気配がしておったぞ?」
シグルズ「何だって⁉︎
…そういう事は早く言ってくれ。」
メリュジーヌ「人間が大勢いたのでな。
気配はまだ遠くない。追うか?」
シグルズ「当然。」
尾行して辿り着いた先は、シグルズ達と同じ宿だった。
「ツイてるぜ。」
翌朝…何やら外が騒がしい。
メリュジーヌ「魔法石の気配はまだ動いておらぬ。
気になるなら見て来るがいい。」
騒ぎの元は隣の薬屋だった。
異形化奇病に襲われ石にされた旅人が運び込まれていたのだ。
シグルズ「これは…ラグナと同じ症状だ…」
だが、並の薬屋で治せるなら、シグルズ達も苦労はしない。
「私に診せてもらえるかしら?」
そう言って現れたのは、昨夜の美女だった。
彼女が患者に向かって手をかざすと、その手は光を放ち、同時に患者の身体から砂が溢れ落ちて石化が解けていく。
メリュジーヌ「魔法じゃな。」
シグルズ「うおッ、ビックリした!
…いきなり現れんな。」
メリュジーヌ「魔法石の気配が動いたので、追って来た。」
旅人「ありがとうございます!
貴女は命の恩人です!」
「気をつけてね。」
女魔導師は旅人を見送った後、こちらに話しかけてきた。
「さっきチラッと聞こえちゃったんだけど…お知り合いも石に?
治して差し上げましょうか?」
シグルズ「…申し出は有り難いが、あんた、魔法なんか使い続けてたら、いずれ…」
女魔導師「異形化奇病になる?」
シグルズ「…!
わかってるなら何で…?」
女魔導師「ないしょ♪」
シグルズ「…まぁいい…そんな事より、あんた、魔法石持ってんだろ?
そいつを貰い受けたい。」
そう言った途端、女の表情は曇った。
「それは出来ないわ、悪いけど。
治療が要らないなら失礼するわね。」
シグルズ「ちょッ…待てよ!」
女は逃げる様に立ち去った。
異形化奇病が徘徊する街の外へ…
シグルズ達も後を追うが見失う。
「…撒かれた?俺らが?
あの女…只者じゃねぇな。」
メリュジーヌ「魔法石の気配を辿ろう。」
荒野を徘徊する異形化奇病を討伐しつつ魔法石の気配を追い、また別の街に辿り着いた。
街の人々に聞き込みしたところ、女はどうやら魔法で病人や怪我人を治療して廻っているらしい。
そして、怪しい集団が同じ人物を探しているらしいという情報も得た。
シグルズ「魔導師ってのは、魔法石の元になった竜の力が、そのままそいつの能力になるのか?」
メリュジーヌ「その者の願望や資質にもよるが、その可能性は高い。」
シグルズ「じゃあ尚更、先越される訳にゃいかねぇな。」
メリュジーヌ「うむ。」
街を探索していると、例の女が怪しい集団に囲まれていた。
謎の男「シェイミー=ハサウェイだな?
ご同行願おう。」
シェイミー「…お断りするわ。」
謎の男「ならば実力を行使するまで。」
シグルズ「…無粋だねぇ。
俺様のナンパの邪魔しないでくれるか?」
謎の男「何だ、貴様⁉︎
邪魔立てするなら容赦せんぞ。」
シグルズ「だから、邪魔なのはアンタらだって。」
謎の男「ふざけた男だ…
殺れ!」
謎の集団と交戦になったが、返り討ちにする。
その戦闘において、メリュジーヌの力を目の当たりにしたシェイミーは大いに驚き、言った。
「その子…異形化奇病の力をコントロールできるの⁉︎」
メリュジーヌ「異形化奇病では無い。
我は竜…森羅万象の理を司る、古の種族の末裔じゃ。
そして魔法石とは、アグエル文明によって封印されし、我が眷属の魂が宿りし骸…
我はその魂を解き放ち、力を受け継ぐべく旅をしておる。」
シェイミー「驚いた…
それが本当なら、大発見だわ。」
シグルズ「そういう訳だからよ、返してやってくんねぇか?コイツに。」
シェイミーは少し考え、答えた。
「…条件があるわ。
貴方達の旅に私も同行させて。
ただし、旅先で私は私の使命を果たす…それは止めないで。」
メリュジーヌ「…使命とは、魔法で人の病や傷を癒やす事か?」
シェイミー「そうよ。
そして…もし私が異形化奇病になったら…その時は私を殺して。」
シグルズ「…なんでそうまでして、赤の他人を治療するんだ?」
シェイミー「内緒って言ったでしょ?
…償い…とだけ言っておこうかしら。」
シグルズ「償い…?」
シェイミー「この条件を飲んでくれるなら、魔法石は譲ってあげる。」
シグルズ「…いいだろう。
ただし、もしあんたと同じ能力をコイツが手に入れたら、あんたの使命とやらは、コイツに引き継がせてもらう。
構わねぇな?メリュジーヌ。」
メリュジーヌ「よかろう。」
シェイミー「わかったわ。」
メリュジーヌは、シェイミーから手渡された魔法石に向かって唱える。
「忌まわしきアグエル文明により封印されし我が眷族よ…
その戒めを今、解き放たん…」
すると魔法石は砕け散って光の粒子となり、白き蛇の姿を象った。
「我はアスクレピオン。
我が戒めを解き放てし眷族よ…
汝が力を我に示せば、盟約に従い我が力を授けん。」
シェイミー「これが…ドラゴン…⁉︎」
シグルズ「あんたは下がってな。」
「そうさせてもらうわ。」
シェイミーはそう言うと後衛で弓を構え、放った。
矢が刺さると、竜の身体が光を放つ。
シェイミー「…⁉︎
毒が塗ってあるんだけど…効いてない?」
メリュジーヌ「あの光は、汝と同等の魔法じゃ。
毒や呪術の類は効くまい。」
シグルズ「けど、アタリって事だな!
アイツの力、頂くぜ!」
かくして3人は協力し、アスクレピオンを打ち破る。
「見事なり…盟約に従い我が力を汝に授けん。」
アスクレピオンはそう言うと、砕け散って無数の光の粒子となり、メリュジーヌに吸収された。
かくして、メリュジーヌは治療魔法の力を手に入れる。
メリュジーヌ「思いのほか早く目的の力を得たな。」
シグルズ「これでラグナの奴も元に戻せる。
それと、約束通りあんたの使命とやらも引き継がせてもらう。」
シェイミー「よろしくお願いするわね。
私はシェイミー。
その子はメリュジーヌって言うのよね?
で、貴方は…」
シグルズ「シグルズだ。」
シェイミー「シグルズって…あの、革命戦の?」
シグルズ「知ってた?
いやぁ、ヒーローはツライねぇ。」
シェイミー「フフッ、頼もしい限りね。」
続く…
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