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第3章 富国強兵
第5話 武装ゴブリン
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俺は魔王城の工房に到着した。
工房前には、大量の銅とスズが積み上げられている。
「タカアキ、ガルフの訓練お疲れ様!資材が届いたし、いつでも始められるよ!」
「キシサマ、オカエリ!」
レーナと遊撃隊の仲間たちが笑顔で出迎えてくれる。
魔王軍が城の工房を利用したことはない。
そのため工房は管理されず荒廃。
『魔王城工房跡地』と呼ぶべき状態で、とても作業できる環境ではなかった。
しかし、今工房の中を覗くと、清潔感のある壁面が目に映る。
「みんな、工房の修繕をしてくれてありがとう。おかげですぐに作業に入れる」
俺がガルフの訓練を手伝う間、遊撃隊のメンバーたちは、工房を掃除し、修理してくれた。
彼らには感謝してもしきれない。
頭を下げると一人のゴブリンが足元にやって来た。
「キシサマ、オレタチニ、ブキクレル、ホントウ?」
「ああ、今から始める青銅作りが成功すればすぐにでも配ってやるぞ」
俺の返事を聞いたゴブリンたちから歓声が上がる。
自分たちも武器を持てると聞いて大興奮のようだ。
ゴブリンたちの期待は大きい。
彼らのためにも青銅製の武器を必ず作って見せる!!
◇◇◇◇◇◇◇◇
銅を9、スズを1の割合で混ぜ合わせ、工房の炉に大量の薪をくべる。
金属製の武器を作る上で最も重要なことは原材料となる金属を融解させ、液状にすることだ。
液状にできなければ、いつまで経っても金属は固体のまま。
武器や防具の形になることは絶対にない。
青銅の融点は鉄に比べて低いが、それでも約700~1000℃。
この温度を超える炎で熱しなければならない。
しばらくして青銅の表面を確認する。
まだ、融解は始まっていない。
火の温度を上げるため、惜しみなく薪をくべていく。
もう一度青銅の表面を確認する。
まだ、融解は始まらない。
見かねたレーナが声を上げた。
「私の炎魔法で手伝おうか?」
「いや、魔法の炎は瞬間的すぎる。時間をかけて金属の形を変える作業には適さない」
レーナの気持ちは嬉しいが、炉の火力で融解を起こせなければ魔王軍の武器製造に先はない。
もう一度、青銅の表面を確認する。
薪が炭化し、火は弱まりつつあった。
融解は起きる気配すらない。
火力が足りないのだ。
「やっぱり、自分たちで武器を作るなんて私たちには無理なのかな」
レーナがうつむいて呟く。
ゴブリンたちもうなだれている。
しかし、諦めるにはまだ早い。
俺は古代日本でよく使われた、高火力を産み出す燃料を知っている。
魔物といっても生物であることは間違いない。
この城にもあるはずだ!
すべての生きものから生み出される、優秀な燃料が!
「レーナ、火の様子を見ていてくれ!」
「タカアキ、どこに行くんだい⁉」
驚くレーナを置いて俺は工房を飛び出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇
数十分後、目的のブツを袋に集めた俺は工房へと戻った。
「どこに行ってたんだい?うわっ!すごいにおいだ!」
出迎えたレーナから悲鳴が上がる。
ゴブリンたちも次々に工房の隅へと下がっていった。
黒騎士の俺よりも鼻が利くのかもしれない。
俺はレーナの悲鳴や、逃げ出したゴブリンたちをあえて無視し、工房の奥に突き進む。
そして青銅を加熱する炉の前に到着すると、袋の中のブツを投げ入れた。
次の瞬間、火が激しく燃え盛り、大きな炎の上に置かれた青銅の表面が赤く染まる。
融解が始まったのだ。
レーナたちから歓声が上がる。
「すごい!今までの苦戦が嘘みたいだよ!変なにおいがしたけど、なにを入れたんだい?」
俺は一呼吸おいて答える。
「炉に入れたのは排泄物を利用した堆肥燃料。平たく言うと魔物たちのう〇こだ」
レーナの悲鳴が魔王城中に響き渡った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
この日を境に魔王軍のゴブリンたちは武器を持つようになった。
青銅製とはいえ、魔王軍が自力で武器を生産したことにエルナーゼ王国軍は大きな衝撃を受けた。
剣や胸当てを身につけたゴブリンは、武装ゴブリンと呼ばれ人間に恐れられることになる。
工房前には、大量の銅とスズが積み上げられている。
「タカアキ、ガルフの訓練お疲れ様!資材が届いたし、いつでも始められるよ!」
「キシサマ、オカエリ!」
レーナと遊撃隊の仲間たちが笑顔で出迎えてくれる。
魔王軍が城の工房を利用したことはない。
そのため工房は管理されず荒廃。
『魔王城工房跡地』と呼ぶべき状態で、とても作業できる環境ではなかった。
しかし、今工房の中を覗くと、清潔感のある壁面が目に映る。
「みんな、工房の修繕をしてくれてありがとう。おかげですぐに作業に入れる」
俺がガルフの訓練を手伝う間、遊撃隊のメンバーたちは、工房を掃除し、修理してくれた。
彼らには感謝してもしきれない。
頭を下げると一人のゴブリンが足元にやって来た。
「キシサマ、オレタチニ、ブキクレル、ホントウ?」
「ああ、今から始める青銅作りが成功すればすぐにでも配ってやるぞ」
俺の返事を聞いたゴブリンたちから歓声が上がる。
自分たちも武器を持てると聞いて大興奮のようだ。
ゴブリンたちの期待は大きい。
彼らのためにも青銅製の武器を必ず作って見せる!!
◇◇◇◇◇◇◇◇
銅を9、スズを1の割合で混ぜ合わせ、工房の炉に大量の薪をくべる。
金属製の武器を作る上で最も重要なことは原材料となる金属を融解させ、液状にすることだ。
液状にできなければ、いつまで経っても金属は固体のまま。
武器や防具の形になることは絶対にない。
青銅の融点は鉄に比べて低いが、それでも約700~1000℃。
この温度を超える炎で熱しなければならない。
しばらくして青銅の表面を確認する。
まだ、融解は始まっていない。
火の温度を上げるため、惜しみなく薪をくべていく。
もう一度青銅の表面を確認する。
まだ、融解は始まらない。
見かねたレーナが声を上げた。
「私の炎魔法で手伝おうか?」
「いや、魔法の炎は瞬間的すぎる。時間をかけて金属の形を変える作業には適さない」
レーナの気持ちは嬉しいが、炉の火力で融解を起こせなければ魔王軍の武器製造に先はない。
もう一度、青銅の表面を確認する。
薪が炭化し、火は弱まりつつあった。
融解は起きる気配すらない。
火力が足りないのだ。
「やっぱり、自分たちで武器を作るなんて私たちには無理なのかな」
レーナがうつむいて呟く。
ゴブリンたちもうなだれている。
しかし、諦めるにはまだ早い。
俺は古代日本でよく使われた、高火力を産み出す燃料を知っている。
魔物といっても生物であることは間違いない。
この城にもあるはずだ!
すべての生きものから生み出される、優秀な燃料が!
「レーナ、火の様子を見ていてくれ!」
「タカアキ、どこに行くんだい⁉」
驚くレーナを置いて俺は工房を飛び出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇
数十分後、目的のブツを袋に集めた俺は工房へと戻った。
「どこに行ってたんだい?うわっ!すごいにおいだ!」
出迎えたレーナから悲鳴が上がる。
ゴブリンたちも次々に工房の隅へと下がっていった。
黒騎士の俺よりも鼻が利くのかもしれない。
俺はレーナの悲鳴や、逃げ出したゴブリンたちをあえて無視し、工房の奥に突き進む。
そして青銅を加熱する炉の前に到着すると、袋の中のブツを投げ入れた。
次の瞬間、火が激しく燃え盛り、大きな炎の上に置かれた青銅の表面が赤く染まる。
融解が始まったのだ。
レーナたちから歓声が上がる。
「すごい!今までの苦戦が嘘みたいだよ!変なにおいがしたけど、なにを入れたんだい?」
俺は一呼吸おいて答える。
「炉に入れたのは排泄物を利用した堆肥燃料。平たく言うと魔物たちのう〇こだ」
レーナの悲鳴が魔王城中に響き渡った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
この日を境に魔王軍のゴブリンたちは武器を持つようになった。
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