女勇者「女の子と思ってた聖女が実は男の娘だった」

クラッベ

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前編


勇者が魔王を倒した。
その知らせは世界中に知れ渡り、人々は歓喜に満ち溢れた。

そして勇者とその仲間たちは王都へ帰還し、国中でお祝いのパーティが開かれ、夜まで続いた。

「ふぅ…さすがに疲れたなぁ」

そんなお祝いムードを城のバルコニーから見下ろし、私はため息をついた。

私の名前はカンナ。どこにでもいる普通の村娘だったが、ある日村はずれにある洞窟で発見した聖剣を引き抜いた瞬間、勇者に選ばれてしまった。

最初は驚いたし、剣の腕には自信があるとはいえ村娘の私が勇者だなんて不安しかなかったけれど、仲間たちの支えもあって見事魔王を討伐することが出来たのだ。

「カンナ様、こちらにいらしたのですね」

今までの冒険を思い返していると、自分を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ってみると、綺麗な金髪が特徴的な可愛いくて、可憐な女の子がいた。

彼女はユーリ。この国の王女様で、聖光魔法を扱える聖女様だ。そして私の旅をサポートしてくれた仲間の一人である。

「お疲れですか?」

「うん、こんな盛大なパレードやパーティなんて初めてだからさ」

「ふふ、お父様もみんな喜んでましたね」

「そうだね」

ユーリが隣に並んで花火の上がる夜空を見上げる。
ユーリにはこの旅で色々と助けられた。聖光魔法でケガとか治してくれたことはもちろん、こんな私が勇者なんてやれるのかなって不安になった時も「一人で抱え込まないで、私も皆もいます。貴方の力になります」って励ましてくれた。
それと儚くて守ってあげたくなるような見た目に反して、戦闘では意外とアグレッシブで、後方支援が主な職業であるにもかかわらず、最前線で魔物相手に肉弾戦で挑んでいたこともあった。

そんな彼女には何度も助けられた。正直、ユーリと一緒にいると心強くて安心できる。
…きっと将来ユーリと結婚する旦那様は幸せなんだろうなぁ。

「カンナ様、もしよかったら私の部屋で飲みなおしませんか?国に戻ってからお父様たちの相手でお疲れでしょうし」

「え、いいの?」

「はい、この調子だとお父様たちはまだまだ騒いでいるでしょうし。それに二人っきりでゆっくりお話ししたいんです」

そう言ってユーリはふんわりと、花のように笑った。
あぁ、可愛いなぁ…私なんかとは大違いだ。

「そこまで言うならお邪魔しようかな」

「はい!とびきりのお茶を用意します」

こうして私はユーリに誘われ、彼女の部屋へと行くことになった。

――――――

ユーリの部屋

「へぇ、ユーリの部屋ってこんな感じなんだ」

「あまり見ても面白いものはないですよ」

初めて入る王女様の部屋に、私はついキョロキョロと見渡してしまう。
なんていうか…思ってたよりもシンプルだな。王女様の部屋ってもっとこう、キラキラしてるもんだとばかり…

「どうぞ」

「ありがとう」

ユーリに紅茶を淹れてもらい、私たちは今までの冒険で起こったことを語り合った。

初めて出会った時の事、立ち寄った村で騒動に巻き込まれた時の事、エルフの里に足を踏み入れてピンチに陥った時の事、海の街で人魚に出会った時の事、そして魔王との戦いの事…

まるで昨日の事のように起こった冒険の数々、話しても話しても全然足りなくて、もっとおしゃべりしていたいのに、気が付いたらもう遅い時間になっていた。

「いいの?私もユーリのベッドを使っちゃって」

「はい、もちろんです!カンナ様だけ特別ですよ」

そろそろ就寝しようと提案するとユーリが「それなら私のベッドを使ってください。一緒に寝ましょう!」と、言ってくれたのでありがたく使わせてもらうことになった。
さすがお姫様のベッドだ。村や宿屋のベッドとは比較にならないくらいフカフカしているし、二人寝ても余裕があるくらい広くて大きい。

「……カンナ様」

私が王族のベッドの心地よさに感動していると、ユーリがつぶやくように声をかけてきた。

「なに?」

「あの…実は、ずっとお伝えしたいことがありまして…」

同じ布団に入り、横になっているユーリはもじもじと、やがて意を決した顔になる。

「私、カンナ様の事をお慕いしています。どうか、私と結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」

…なんとなく、ユーリが私に好意を寄せていたことには気が付いていた。
そりゃ、長いこと一緒に旅をしていたら分かる。私だってそこまで鈍感じゃない……だけど

「ごめん…それは無理」

「…それは、何故ですか?」

「ユーリの事は良い仲間としか見ていないし、私、確かに男勝りだし、腕だってそこら辺の男よりかは自信あるけど…女の子を恋愛対象としては見れないんだ」

自分で言うのもなんだが、私は昔から女の子にモテる。村の幼馴染から始まり、旅の途中で出会ったエルフの女戦士とか、港町で出会った人魚のお姫様とか、挙句の果てには魔王の娘からも告白を受けたことがあったりするのだ。
だが、同性愛を否定するつもりはないのだけれど、私はどうしても女の子を恋愛対象として見ることはできなかったのだ。

「それって、私が男だったら付き合ってくれるということでしょうか」

「え?……うーん、ユーリが男だったら?」

唐突な話にきょとんとしてしまったが、とりあえず答える。

「そうね。ユーリは優しいし頼りがいがあるから、もし男だったら好きになってたかも」

「よかったぁ」

急に安心したように息を吐くユーリ。すると何故かいきなり服を脱ぎだしたのだ。

「え、え!?いきなりなに?私そういうことはしないよ!?」

「いえ、実はもう一つ告白したいことがありまして…実は私、男なんです!」

「…………え?」

私は今日、何回「え?」って言ったんだろう。思わぬカミングアウトに呆然としている間にユーリは衣服を全て脱ぎ去っていた。

全てをさらけ出したユーリの身体は女の子特有の、柔らかい胸が見当たらない。
代わりに引き締まった、筋肉質な上半身…そして、足の間には女の子にはないはずの、それはそれは見事なご立派様が鎮座していて…

「へ、え?」

「えへへ、カンナ様」

理解が追いつかず、呆然としている私を組みしき、ユーリは嬉しそうに笑っていた。

「大好きです。今日はいっぱい楽しみましょうね」
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