2 / 3
中編
「……はっ!?」
朝の陽ざしと小鳥の鳴き声で目が覚めた。ガバっと起き上がると、私の隣には全裸のユーリがスヤスヤと眠っている…さらに言うと私も全裸だ。
確か私は昨日の夜、ユーリが実は男だのなんだの聞いて頭がポカーンてなって、そうしてる間にユーリに押し倒されて、それで…
全て思い出した瞬間、私は顔が熱くなったり血の気が引いたりとするのを感じた。
そうだ私、昨日ユーリと…
「んんっ……あ、おはようございます。カンナ様」
私が頭を抱えていると、ユーリが起き上がった。
そして彼女…いや彼の体つきを見て、昨日の事が夢ではないことを証拠づけてしまった。
いや、ユーリを見なくても腰がなんか痛かったりしてるし、さらに下を見ると…もうこれ、やっちゃったね。
「お、おはよう…じゃなくて、見ないで!」
「ふふ、今更恥ずかしいんですか?昨日はあんなに乱れて…」
「わぁああああああああっ!」
昨日のことを言われた私は恥ずかしくなって布団にくるまった。
その横でユーリはくすくす笑いながらめくってくる。
「男だってことを黙っててごめんなさい。でもこれには事情があるんです」
私が布団にくるまったままユーリは説明した。
どうも代々、聖女の力を得るには女でなければいけないのだけれど、王家で生まれたのは男のユーリただ一人だけで、女の子は生まれてこなかった。
なのでユーリを女として育てた。結果聖女の力を無事に授かれたわけらしい。
「それでいいんだ聖女の力。そんなんで授かれるんだ」
「はい、それで私は体は男であっても女として育てられてきたわけですから、ずっと心は女のまま、どっちつかずの中途半端な存在として生きていくのかなって思ってたんです…あなたに会うまでは」
そういうとユーリは布団をめくってきて私に微笑んだ。その微笑みはどこからどう見ても、清楚で可憐な女の子にしか見えない。
…女なのに女らしくなくて、女ばっかりにモテちゃう男勝りな私なんかとは全然違う。
「カンナ様。あなたに出会ってから私は変わってしまいました。最初は聖女として勇者であるあなたを支えていかなければならないという義務感でそばにいましたが、一緒に過ごしていく内に、貴方を一人の女性として見るようになってたんです」
「え…」
「私はこんなんですから、女性と付き合っていくのは無理だと諦めていたんです。一時は男性を愛そうかと思った時期もありましたが、どうしても男性の方をそういう風に愛せなくて、このまま誰とも添い遂げられずに過ごすのかなって思ってました」
ユーリがそう悩んでたなんて知らなかった。いつから私の事をそういう風に見てたかなんて、というか私の事を女として見てたなんて知らなかった。
呆然としていると、ユーリは私の両手を包むように握った。改めてユーリの手を見る。その手はいつも、世界が優しく平和であるようにと神に祈っている見慣れた手だ。だけどこうして近くで触れると力強い男の人の手だということが分かる。
「ふふ、いっそ修道女として生きていこうかと考えてた時もあったのに、カンナ様のせいですよ?男として諦められなくなってしまったのは。これはもう責任を取ってもらわないと」
「あ、あの、それも無理だと思うの!だってほら!私勇者でもただの村娘だからさ!そんな私が王族と結婚なんてとても無理な話……」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。
お嬢様の悩みは…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴッドハンドで世界を変えますよ?
**********************
転生侍女シリーズ第三弾。
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!
naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。
そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。
シオンの受難は続く。
ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。
あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
料理スキルしか取り柄がない令嬢ですが、冷徹騎士団長の胃袋を掴んだら国一番の寵姫になってしまいました
さら
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢クラリッサ。
裁縫も舞踏も楽器も壊滅的、唯一の取り柄は――料理だけ。
「貴族の娘が台所仕事など恥だ」と笑われ、家からも見放され、辺境の冷徹騎士団長のもとへ“料理番”として嫁入りすることに。
恐れられる団長レオンハルトは無表情で冷徹。けれど、彼の皿はいつも空っぽで……?
温かいシチューで兵の心を癒し、香草の香りで団長の孤独を溶かす。気づけば彼の灰色の瞳は、わたしだけを見つめていた。
――料理しかできないはずの私が、いつの間にか「国一番の寵姫」と呼ばれている!?
胃袋から始まるシンデレラストーリー、ここに開幕!
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!
杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。
彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。
さあ、私どうしよう?
とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。
小説家になろう、カクヨムにも投稿中。