働きたくない女の子が神様に頼んでトリップして破滅するだけの話

クラッベ

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後編

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あれからどのくらい経ったのだろう。

魔法研究所ってとこで検査のために血を抜かれたり色々された。検査が終わるともう用無しってことで牢屋に戻された。

ここには何もないし、あんなに愛してくれた王子様達が、まるで人が変わったかのように暴言を吐き、暴力を振るうようになった。「魅了魔法の洗脳により、元の人格に悪影響が出てる」?「好意的な感情が解除されたことによる反動で強い憎しみに変化された」?

私を好きになるだけなのにどうしてそうなっちゃうの?魅了されてた彼らは私に貢ぐために色々とアウトなことをしちゃったらしくて、もう王子様でも時期騎士団長でもなくなったんだって…そんなの私のせいじゃないでしょ?彼らが勝手にやったことなのに。

周りは誰も助けてくれない。彼らが帰ると、怪我の治療はしてくれるけどそれだけだった。他は私の刑について話し合ってるんだって。そうして決まったのが、これまで贅沢三昧してきたツケと、婚約破棄することになっちゃった令嬢達への賠償金を払うために娼館で働かされることになったって…

なんでよ!どうして異世界に来てまで働かないといけないの!?しかも請求書を見せられたけど…こんなの払えるわけないじゃない!馬鹿じゃないの!?しかも娼館ってなに!?私知らないおっさん相手に体売らなきゃいけないの!?そんなの絶対に嫌!

どれだけ訴えても誰も聞いてくれず、私は魔法が使えなくなる封印を施されて連行される…

なんでこうなったの?私はただ、働かなくてもお金が降ってくるような楽な生活を楽しみたかっただけなのに…

「自分のやったことがまだ理解できないのか」

連行されている途中で、偉そうなおじさんが話しかけてきた。私の魔法を封印するときにいた人だ。

「その神様とやらからもらった力で王子…いや元王子たちを洗脳してこの国をめちゃくちゃにして楽しかったか?」

めちゃくちゃになんてしてないわ。ただ王子様達には私のこと好きになってもらっただけよ?

「結果人格者だった彼らは見る影もなく変わってしまった。キミをサンドバッグとして差し出すことによって普段は抑えられているが…ありゃもう駄目だ。近々廃人になるだろう」

違う。きっとあれが彼らの本性だったのよ。私のせいじゃない。

「それにキミのせいで婚約破棄となった令嬢たちの苦労が水の泡だ。特に王子の元婚約者だった公爵令嬢なんて、幼いころから遊びもせず英才教育を学んできたんだぞ。あそこまで完璧な令嬢なんてそういない。まぁ…代わりに王位を継ぐこととなった第二王子と手を取り合っていくこととなったからひとまず安心だけどな」

なにそれ?なんで女王様になるのに勉強なんているの?それに水の泡ってまるで私が悪いみたいじゃない。

「とにかく、キミのせいで負ったこの国の損害は計り知れないのだよ。キミは未だに事の重大さがわかっていないようだがね。ま、キミにはこれから文字通り体を張ってお金を稼いでもらうんだ。頑張り給え」

待って!そんなの嫌!私を助けて!

どれだけ助けを求めても聞いてはもらえず、その人は部下っぽい人に呼ばれて行っちゃった。そして私は娼館行の馬車に押し込まれて、閉じ込められて、馬車は動き出して…

やだよぉ、私はただ、働かずに楽がしたいだけだったのにどうしてこんなことに…助けて神様…

*****

「まったく、これだから転生者は」

男は…魔法研究学の最高責任者はブツブツ言いながら部下に渡されたレポートに目を通していた。実をいうと、このような事例は今回が初めてではないのだ。

身元不明、または平民の少女が不思議な力に目覚め、数々の男たちを、主に権力者たちを虜にしていく。そんな彼女たちは総じて、以前と性格が変わったことと、異世界からやってきているという共通点があった。

何故異世界の住民である彼女たちがこの世界にやってきたのか。それは彼女たちが「神様」と呼ぶ存在が関係している。これまで事情聴取を受けてきた彼女たちからの話をまとめてみると、その神様とやらは彼女たちの目の前に現れ願いを聞き、この世界へとトリップ、または転生させるらしい。その話から、研究者たちはそんな彼女たちの総称を「転生者」とした。

転生者となった少女たちは聖女のような癒しの力、または今回のような魅了魔法などを携え、今回と似たような騒動を起こしていた。そして彼女たちが捕まり、処刑、または奴隷のように売り飛ばされても…神様と呼ばれた存在は助けることはしなかった。

「随分身勝手な神もいたもんだ」

勝手に他の世界から連れ出しといて力を与えた後は放置。忌々し気に男は顔をしかめる。転生者など、男の知ってる限りでは皆ロクでもない人間ばかりだ。ここをまるで与えられたおもちゃかなんかかと勘違いしてるのか、神から与えられたという力を使って人々の心を惑わせ、崩壊へと導く。それも無自覚でだ。

しかも転生者の魂の器となってしまった少女たちの魂は…消えてしまっている。転生者を殺したとしても、彼女たちの魂は元に戻らないのだ。

百害あって一利なし。転生者など、この世界にとって害悪でしかない。

「神なんてクソだ」

転生者もそうだが彼女たちをこの世界に連れてきた神様も害悪だ。こんなのが世界を統べる支配者だなんて反吐が出る。

男はそう吐き捨て、レポートをファイルに挟んで本棚にしまった。


 

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