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「そろそろ行ったか……?」
銃撃戦の最中、一人離脱し7層へ逃げ込んだスマッグはカモフラージュポンチョにくるまったまま聞き耳を立てていた。
上位組織所属の凄い科学者が作ったとかいうこのポンチョは、どういう素材かは知らないがメイデンのセンサーすら騙すことができる。
こいつを被って身を隠していれば、そうそう見つかることもない。
「まあ、長い付き合いの連中だったが、命には代えられんしな」
ガレットらを見捨てた事に対して、スマッグに罪悪感はない。
そもそも、飛び込んできた敵メイデンを見た瞬間に判断すべき事なのだ。
こちらが有していたメイデン、アイネズを遙かに凌駕する巨乳、つまり大型ジェネレーターを搭載した純戦闘型のメイデンだ。
ジェネレーター出力で大幅に劣る上、寸前までセックスさせられていたせいで半端な装備で迎撃に出たアイネズに、勝ち目がある訳もない。
スマッグは瞬時に状況を見切ると、メイデンの銃撃から逃げまどう振りをしてそのまま下層へ転がり込んだのだった。
「まあ、丸一日も経ったんだし、向こうも引き上げた頃だろう」
スマッグは十分に警戒しながら6層のホールへ向かう。
足音を上手く殺した彼の忍び足は、熟練砂潜りにも匹敵するような見事なものだ。
この男、山賊にしては目端の利く有能な人物であった。
どうしようもない性癖の持ち主だが。
ちなみに、細面のなかなかの美男でもある。
美形が行うだけに、彼の変態行為は余計に見苦しいものになっているのだが。
「……やはり、立ち去ったようだな」
物陰に隠れつつ覗いたホールにはすでに人影はなかった。
テントに近づくと、撃たれた姿勢のまま放置された四体の死体がある。
スマッグは四人の死体をホールの隅に寄せると、手を合わせた。
「ナムナム、ジョウブツしろよー」
昔、誰かに教わった死者へのまじないを唱えて簡素極まりない葬儀を完了する。
フロアの床は固くて穴も掘れないし、地上まで四人の死体を抱えていくような余裕もない。
誰かに死後が安らかであるようにとのまじないを唱えてもらえるだけマシであろう。
スマッグは四人の事を意識から切り離すと、テントの中の遺留品を漁った。
「カモフラージュポンチョとウィルス弾は持ってかれてるか、流石に抜け目ないな」
予想通りではある。
襲撃者の中に、アイネズの元のマスターも居た。
メイデンが一撃で倒された状況下で、回収に色気も出さずに逃走へ移れる男だ。
抜け目などあるはずもない。
スマッグは名も知らぬ中年男を敵ながら高く評価していた。
「他の荷物はそのままか……まあ、金目の物なんかないしな」
残されていたのは携帯食料に小型コンロ、簡易テントなど、タウンに住んでいるなら駆け出し砂潜りでも簡単に手に入る品物ばかりだ。
襲撃者も二束三文の物品を無理に回収したりしなかったらしい。
これから砂漠を渡らなければならないスマッグにとってはありがたい話である。
「さて、これで何とかなりそうだが……。 報告、面倒だな」
荷物をまとめたスマッグは憂鬱そうにため息を吐いた。
上位組織への報告だのといった面倒事は亡きガレットの担当であった。
「あの人たち、滅茶苦茶だからな。 報告中にキレて殴られたら堪ったものではないぞ」
ぶつぶつ言いながら、スマッグは上層へと歩み出す。
どの道、一人きりで生きていけるほど砂漠は甘くはない。
理不尽な相手であろうと、上位組織と合流しない事には未来はないのだった。
中央政庁とはその名の通りタウンの中枢である。
そしてタウンの中枢に座するものといえば、マザーコンピュータだ。
中央政庁の中でも、タウンの支配者たるマザーの近辺は格別の警護が為される最重要区画であった。
「明らかに、僕らが居るには場違いな場所なんだけどなあ……」
中央政庁中枢の応接室にて、柔らかなソファに座ったフィオはひきつった声で呟いた。
彼の金魚鉢兄弟バンは、その隣でソファに沈み込んだまま硬直している。
寛いでいるのか緊張しているのか、よく判らない風情だ。
足下にお座りした戦闘用マペットのスコールは、励ますかのように主の臑に頭を擦りつけている。
「あちらからお呼びが掛かったんだ、ドンと構えてろよ」
ガチガチになっている新米二人に、対面に座ったロスは苦笑した。
流石にこちらは余裕の態度で、出されたコーヒーの香りを楽しんでいる。
「マザーからのお呼びだしとか聞いてねぇスよ、こんなの……」
ソファに埋もれるような姿勢のバンは情けない声を出した。
ブレイカー盆地遺跡にてアイネズを回収し山賊たちを一蹴した一行は、タウン48へ帰還していた。
トラブルサポートフロアの受付で報告を行った所そのまま待つように言われ、すぐに中枢エリアへ招き入れられた。
「無料でアイネズのメンテもやってくれるって言うんだから、俺としては嬉しい限りだがね」
四肢を破損した上、ウィルス弾の影響がどれほど残っているか判らないアイネズは中央政庁直轄のファクトリーに送られ、フルメンテナンス中だ。
「メイデンを一発でダウンさせるようなウィルスだ。
放置してはおけんし、一発食らったアイネズは格好のサンプルなんだろうよ」
「ならロスさんだけでいいじゃないスか、なんで俺とフィオまで……」
「マザー直々に面会したいとか、胃が痛いってレベルじゃないんですけど」
新米砂潜りたちにとって、マザーなど雲の上の存在だ。
マザーが居るからこそタウンが成り立っているという知識はあれど、自分らに直接関わる事などないと思っていたのに。
「うぅ、粗相したらどうしよう……」
「マスター、背中を伸ばして。 しゃんとしてください」
ソファの上で丸まりかけたフィオを、脇に控えたキキョウがたしなめる。
「キキョウさぁん、もう帰りたいよぅ……」
「マザーに面会していただくなど、誉れではないですか」
「誉れすぎて畏れ多いよぅ……。 キキョウさんはマザーに会った事ある?」
「いいえ。 私たちメイデンもマザーにお会いした事があるのは極一部の者だけでしょう」
「ロスさん、落ち着いてるけど、マザーに会った事あるんスか?」
「あるよ」
コーヒーを啜りながらのんびりと言うロスに、全員の視線が集まる。
「ど、どんな人なんです?」
「うーん……」
ロスはカップをソーサーに戻し腕を組んだ。
真剣な目を向けてくるフィオとバンの顔を見回し、にやりと笑う。
「いや、やめとこう。 どうせすぐに来られるんだ、俺が変な先入観を吹き込む事もあるまい」
「そりゃないスよ!」
「こ、心の準備ってもんがあるじゃないですか!」
「私、心の準備が必要な相手なのでしょうか」
フィオとバンは、背後から響いた聞き覚えのない声に硬直した。
ロスはすっと立ち上がると、思いも寄らないほど優雅な仕草で一礼する。
「ご無沙汰しております、マザー」
「はい、お久しぶりです、ロス。 それで、この子たちが?」
「はい、フィオとバンです。 おい、お前ら、マザーに失礼だぞ」
「は、はいぃ!」
フィオとバンはロスの言葉に跳ね上がるように起立し、直立不動になった。
背後で鈴を転がすような笑い声が響き、側面へ移動する。
亜麻色の髪を短く整えた小柄な少女がそこに居た。
「私は、このタウン48を預かるマザーコンピューターの端末です。 シヤ、とお呼びくださいな」
マザーの端末を名乗った少女はSSフレームの小型のメイデンであった。
ただし、その胸部だけは異様に膨らんでおり、メートル単位は確実のサイズ。
背丈と胸囲の釣り合わなさに、フィオは瞬きをして上から下まで見回してしまった。
キキョウら戦闘用メイデンが身につけるものと同タイプのボディスーツの上から、巫女の装束である千早にも似た上着を纏っている。
ボディスーツの色は緋色、上着は純白でありコントラストが目にも鮮やかだ。
小柄な割にむっちりと肉感的な足は太股までの赤いハイソックスに覆われている。
色素の薄い髪や白い肌、淑やかな美貌と儚げな要素が詰まっているのに、過積載な胸部の印象ですべてを塗りつぶしてしまうメイデンであった。
「あ、あの、マザー!」
「シヤです」
「シヤ様! 質問よろしいでしょうか!」
「はい、どうぞ、フィオ」
「ジェネレーター出力、どれくらいあるんでしょうか!」
フィオが口に出した瞬間、ロスはギョッとし、バンは呆れとも尊敬ともつかない眼差しを金魚鉢兄弟へ向けた。
「マスター、あなたという人は……!
マザー、申し訳ありません、後できつく言って聞かせますので……」
「痛い、痛いよ、キキョウさん!」
後ろからフィオの後頭部を鷲掴みにしたキキョウに対して、シヤはころころと笑う。
笑い声にあわせて豊かすぎる胸部がふるふると揺れた。
「よいのですよ、キキョウ。 男の子ですもの、気になりますよね。
この胸はジェネレーターではなく、サブの記憶媒体なのです。
私はいざという時のため、本体のバックアップも兼ねておりますから」
「ははぁ、記憶媒体……。つまり、英知の結晶であるおっぱい……あ、キキョウさん、頭割れちゃう、割れちゃうから!」
キキョウのアイアンクローがさらに食い込み、かなり切羽詰まった悲鳴をあげるフィオ。
「キキョウ、その辺で。 さ、座ってお話しましょう」
シヤの取り成しが入り、キキョウは渋々といった様子で手を離した。
「……後でお説教しますからね」
「はぁい……」
シヤは上座のソファに腰を下ろし、一同も改めて着席する。
「ロス、今回はご苦労様でした」
シヤはロスに頭を下げ、労った。
「い、いえ! マザーに頭を下げていただく程では……」
「いいえ、当タウンの今後にも関わりかねない重要事ですので」
顔を上げたシヤは毅然とした口調で続ける。
「知っての通り、このタウン48はメイデンの戦力に大きく依存したタウンです」
タウン48はメイデンを製造可能な工場を有している。
かつての戦火で多くのファクトリーやプラントが失われた中、現役で稼働し続けるファクトリーの存在はタウン48の権勢の礎と言っていい。
タウン内に数多く配置されたメイデンはタウン48の力を如実に表している。
「貴方たちが回収してきたウィルス弾は、メイデンを簡単に無力化してしまうものです。
メイデンのセンサーをも欺くカモフラージュポンチョと組み合わせれば、並の歩兵部隊が恐るべき対メイデン部隊となってしまうでしょう」
シヤは目を閉じ、小さく首を振る。 そのわずかな動作で大きく揺れる巨大な質量にフィオとバンの目は奪われ、ロスはそっと額を押さえた。
「このような恐ろしい装備があると、早々に知れたのは僥倖でした。
早急にウィルス弾を解析し、各メイデンのセキュリティ機能のアップデートを行います」
「もう、ウィルス弾は効かなくなるんですか?」
「少なくとも同タイプの物は。
メイデンのセキュリティ機能の穴を狙うタイプでしたので、バージョンアップを行えば一切影響を受ける事はありません」
しかし、とシヤは顔を曇らせる。
「この弾丸を開発した者は恐ろしい相手です。
最終戦争からすでに数百年、このようなコンピュータウィルスを新規に開発するものなど絶えて久しかったというのに……」
「山賊たちは『ドク』という相手から入手したと話していました」
「『ドク』、博士と名乗るだけの事はある技術力の持ち主ですね……。
タウン48はウィルス弾を作り出した『ドク』に賞金を掛けます。 どんな情報であれ入手すれば即座に通報してください」
シヤの言葉に砂潜り達は頷いた。
タウン最高権力者からの指示だ、否やがあるはずもない。
真顔で頷く砂潜り達にシヤは頷き返すと、にっこり笑って大きく手を叩いた。
「さて、厄介な相手のことはともかく、貴方がたはよくやってくれました。
ですから、私からお駄賃をあげましょう!」
シヤの言葉と共に応接室にメイド服のメイデンが入室してくる。
お盆の上に乗せた高額クレッドを砂潜り達の前に置いた。
バンは思わず下品な口笛を吹く。
「マザー、俺はもらえませんよ、アイネズのメンテもしてもらってるってのに」
「アイネズのメンテナンスは、データ取りの側面もあるから気にする事はありません。
いいから取っておきなさいな」
シヤは大きな胸を揺らしながらそう言うと、渋るロスにもお駄賃を押しつけたのだった。
工場に送られたアイネズはウィルス感染を警戒した隔離フロアに運ばれていた。
メンテナンスモードに入り意識を失った所で、パーツ単位に分解される。
ロボットアームがCPUブロックを取り出し、丹念な精査を実行。
ウィルスの影響が完全に除去されている事が確認された所で製造ラインに戻された。
製造ラインでは、元のアイネズと同じ構成で再生産された機体が用意されている。
CPUが新機体に移植されると、アイネズは新しい体を手に入れて復活した。
中央政庁中枢にあるシヤの執務室は、部屋一面にホログラフモニターを映し出せるよう半球のドームのような作りになっていた。
部屋の中央に立ったシヤは周囲に映し出される無数のモニターの情報を読みとっていく。
きらめくモニターが乱舞する様は、どこかプラネタリウムにも似ていた。
この部屋には椅子はない。 メイデンであるシヤは立ちっぱなしでも疲労を覚えたりはしないのだ。
ホログラフモニターのひとつに、ファクトリーから出てきたアイネズがロスに抱きしめられている様子が映っている。
アイネズの小さな頭がロスのゴツい手でぐりぐりと乱暴に撫で回され、アイネズは髪が乱れるのも構わず微笑んでいた。
ロスはきょろきょろと周囲を見回し、そっとアイネズと唇を合わせる。
シヤは目を細めてその様子を見届けると、モニターを消去した。
「これ以上は覗きになります。
娘の一人と言えど、プライバシーは重要でしょう」
後はロスとアイネズの問題だ。
そこにシヤが気にかけるべき要素はない。 出歯亀根性以外は。
「さて、あの子を襲った不埒者の方ですが……」
独り言は独裁者の習い性。
呟きながら別のホログラフモニターを手元に引き寄せる。
アンプルのようなケースに納められた白い液体と、複数の波形データが並ぶ画面が現れた。
アイネズの旧機体の子宮ユニットから回収した、山賊たちの精液の情報だ。
「遺伝子情報はタウン268系列……。
十四年前に余所とぶつかって没落した所ですね。
タウンを見捨てて山賊になる住人が居るなんて、恥ずかしいマザーも居たものですねぇ」
楽しげな笑い声には露骨な毒がある。
同盟関係にもない余所のタウンのマザーコンピュータなど、敵でしかない。 敵の失態はあざ笑って然るべき。
究極的に言うのならば、同盟関係にあろうとも余所のタウンなど潜在的な敵だ。
そう割り切って警戒せねば、過酷な世の中で生き残れはしない。
「……『兆候』の類は一切なし、と。
仮に兆候があればタウン268を滅ぼしてでも情報入手の必要がありましたが、無駄な戦力消費をしなくて良さそうですね」
目指すべき「兆候」が無かった事にシヤはため息を吐く。
腕を一振りして画面を消すと、シヤは新たな画面を呼び出した。
そろそろ壮年に差し掛かりそうな、脂の乗った年頃の男が腕組みをして映っている。
今は亡きゼンクのポートレートだ。
「貴方こそが私の望んだ殿方だと思っていたのですが……。
貴方ほどの男にも『兆候』はなかった。
どういう事なのでしょう……」
独裁者の疑問に答えるものは居ない。
モニターの中の在りし日のゼンクは不敵な微笑みを浮かべるのみだ。
ゼンクの死はシヤに大きな衝撃を与えていた。
ランク1砂潜りであり、タウン48成立以来最高の天才とすら言えるその才覚は、シヤに待ち望んだ男の到来を期待させたのだ。
その彼が、メイデンをメンテナンスに出していたという詰まらない理由で、ちゃちな遺跡で頓死した。
一時はキキョウを手に入れようとしたフィオが師を罠に掛けたのではないかと勘ぐった程である。
密かに調査を行い、彼の死が全く偶発的な不運によるものと確信した時、マザーコンピュータ本体が数秒処理落ちするほどの憤りを感じたものであった。
タウンを預かるシヤはいつまでも一人の男に拘ってはいられない。 待ち望んだ「兆候」を持つ殿方でもない限り。
ゼンクの死はすでに記録にカテゴライズされるデータだ。
思い出の男のポートレートを消して感傷を断ち切ると、新たなポートレートを呼び出した。
フィオ、バン、ルース……さらにもっと幼げな風貌の少年達。
タウン48の明日を担う若者たちのポートレートが、ドーム状の執務室の内部にドミノのように浮かび上がっていく。
「たとえゼンクがそうでなかったとしても、彼の弟子や、彼に続く子供たちの中からきっと現れてくれるでしょう。
待っていますよ、私の愛し子たち。
私の夢見る高みに、いつか貴方たちが到達する日を」
シヤは無数に広がるポートレートの海の中で、慈母の笑みを浮かべた。
ランク2砂潜りであるロスの住居はランク5のフィオとは一線を画すレベルのマンションだ。
高いセキュリティ機能を備え、快適な生活をサポートする各種機器が備わっている。
その一方で、雑多に散らかった雑誌や銃器、ツール類といった物品はフィオの部屋と大差ない辺り、砂潜りという職業はどこまで行ってもでかいガキンチョに過ぎないのかもしれない。
バスローブに身を包んだロスはベッドに腰掛けてサイドテーブルに置いた拳銃を分解整備して時間を潰していた。
すでに何百回となく行ってきた、指が覚えている作業だ。
バラバラの部品を組み合わせて再び拳銃の姿にしながらも、ロスの神経はすべて耳に集中していた。
シャワールームの水音が、止まる。
やがて、バスローブを羽織ったアイネズが現れた。
湯上がりの肌は、ほのかに上気している。
ロスの手から、組み掛けの拳銃が滑り落ちた。
老廃物に縁のないメイデンにとってシャワーは埃や汚れを落とすためのものでしかない。
ファクトリーから出たばかりのアイネズの体にそのようなものはまだ付着しておらず、本来シャワーを浴びる必要などはない。
だが、アイネズは強固に望んだのだ。
新たに生まれ直したこの身を、もっとも良い状態に仕上げたいと。
洗い髪を背に流したアイネズは、意を決するとバスローブを落とした。
白く、細い裸身が露わになる。
アイネズはベッドの上で、金縛りにあったかのように目を見開いて硬直しているロスに、微笑んだ。
「もう一度、貴方をマスターと呼ばせてください。
この身に貴方を刻んでくださいますか?」
銃撃戦の最中、一人離脱し7層へ逃げ込んだスマッグはカモフラージュポンチョにくるまったまま聞き耳を立てていた。
上位組織所属の凄い科学者が作ったとかいうこのポンチョは、どういう素材かは知らないがメイデンのセンサーすら騙すことができる。
こいつを被って身を隠していれば、そうそう見つかることもない。
「まあ、長い付き合いの連中だったが、命には代えられんしな」
ガレットらを見捨てた事に対して、スマッグに罪悪感はない。
そもそも、飛び込んできた敵メイデンを見た瞬間に判断すべき事なのだ。
こちらが有していたメイデン、アイネズを遙かに凌駕する巨乳、つまり大型ジェネレーターを搭載した純戦闘型のメイデンだ。
ジェネレーター出力で大幅に劣る上、寸前までセックスさせられていたせいで半端な装備で迎撃に出たアイネズに、勝ち目がある訳もない。
スマッグは瞬時に状況を見切ると、メイデンの銃撃から逃げまどう振りをしてそのまま下層へ転がり込んだのだった。
「まあ、丸一日も経ったんだし、向こうも引き上げた頃だろう」
スマッグは十分に警戒しながら6層のホールへ向かう。
足音を上手く殺した彼の忍び足は、熟練砂潜りにも匹敵するような見事なものだ。
この男、山賊にしては目端の利く有能な人物であった。
どうしようもない性癖の持ち主だが。
ちなみに、細面のなかなかの美男でもある。
美形が行うだけに、彼の変態行為は余計に見苦しいものになっているのだが。
「……やはり、立ち去ったようだな」
物陰に隠れつつ覗いたホールにはすでに人影はなかった。
テントに近づくと、撃たれた姿勢のまま放置された四体の死体がある。
スマッグは四人の死体をホールの隅に寄せると、手を合わせた。
「ナムナム、ジョウブツしろよー」
昔、誰かに教わった死者へのまじないを唱えて簡素極まりない葬儀を完了する。
フロアの床は固くて穴も掘れないし、地上まで四人の死体を抱えていくような余裕もない。
誰かに死後が安らかであるようにとのまじないを唱えてもらえるだけマシであろう。
スマッグは四人の事を意識から切り離すと、テントの中の遺留品を漁った。
「カモフラージュポンチョとウィルス弾は持ってかれてるか、流石に抜け目ないな」
予想通りではある。
襲撃者の中に、アイネズの元のマスターも居た。
メイデンが一撃で倒された状況下で、回収に色気も出さずに逃走へ移れる男だ。
抜け目などあるはずもない。
スマッグは名も知らぬ中年男を敵ながら高く評価していた。
「他の荷物はそのままか……まあ、金目の物なんかないしな」
残されていたのは携帯食料に小型コンロ、簡易テントなど、タウンに住んでいるなら駆け出し砂潜りでも簡単に手に入る品物ばかりだ。
襲撃者も二束三文の物品を無理に回収したりしなかったらしい。
これから砂漠を渡らなければならないスマッグにとってはありがたい話である。
「さて、これで何とかなりそうだが……。 報告、面倒だな」
荷物をまとめたスマッグは憂鬱そうにため息を吐いた。
上位組織への報告だのといった面倒事は亡きガレットの担当であった。
「あの人たち、滅茶苦茶だからな。 報告中にキレて殴られたら堪ったものではないぞ」
ぶつぶつ言いながら、スマッグは上層へと歩み出す。
どの道、一人きりで生きていけるほど砂漠は甘くはない。
理不尽な相手であろうと、上位組織と合流しない事には未来はないのだった。
中央政庁とはその名の通りタウンの中枢である。
そしてタウンの中枢に座するものといえば、マザーコンピュータだ。
中央政庁の中でも、タウンの支配者たるマザーの近辺は格別の警護が為される最重要区画であった。
「明らかに、僕らが居るには場違いな場所なんだけどなあ……」
中央政庁中枢の応接室にて、柔らかなソファに座ったフィオはひきつった声で呟いた。
彼の金魚鉢兄弟バンは、その隣でソファに沈み込んだまま硬直している。
寛いでいるのか緊張しているのか、よく判らない風情だ。
足下にお座りした戦闘用マペットのスコールは、励ますかのように主の臑に頭を擦りつけている。
「あちらからお呼びが掛かったんだ、ドンと構えてろよ」
ガチガチになっている新米二人に、対面に座ったロスは苦笑した。
流石にこちらは余裕の態度で、出されたコーヒーの香りを楽しんでいる。
「マザーからのお呼びだしとか聞いてねぇスよ、こんなの……」
ソファに埋もれるような姿勢のバンは情けない声を出した。
ブレイカー盆地遺跡にてアイネズを回収し山賊たちを一蹴した一行は、タウン48へ帰還していた。
トラブルサポートフロアの受付で報告を行った所そのまま待つように言われ、すぐに中枢エリアへ招き入れられた。
「無料でアイネズのメンテもやってくれるって言うんだから、俺としては嬉しい限りだがね」
四肢を破損した上、ウィルス弾の影響がどれほど残っているか判らないアイネズは中央政庁直轄のファクトリーに送られ、フルメンテナンス中だ。
「メイデンを一発でダウンさせるようなウィルスだ。
放置してはおけんし、一発食らったアイネズは格好のサンプルなんだろうよ」
「ならロスさんだけでいいじゃないスか、なんで俺とフィオまで……」
「マザー直々に面会したいとか、胃が痛いってレベルじゃないんですけど」
新米砂潜りたちにとって、マザーなど雲の上の存在だ。
マザーが居るからこそタウンが成り立っているという知識はあれど、自分らに直接関わる事などないと思っていたのに。
「うぅ、粗相したらどうしよう……」
「マスター、背中を伸ばして。 しゃんとしてください」
ソファの上で丸まりかけたフィオを、脇に控えたキキョウがたしなめる。
「キキョウさぁん、もう帰りたいよぅ……」
「マザーに面会していただくなど、誉れではないですか」
「誉れすぎて畏れ多いよぅ……。 キキョウさんはマザーに会った事ある?」
「いいえ。 私たちメイデンもマザーにお会いした事があるのは極一部の者だけでしょう」
「ロスさん、落ち着いてるけど、マザーに会った事あるんスか?」
「あるよ」
コーヒーを啜りながらのんびりと言うロスに、全員の視線が集まる。
「ど、どんな人なんです?」
「うーん……」
ロスはカップをソーサーに戻し腕を組んだ。
真剣な目を向けてくるフィオとバンの顔を見回し、にやりと笑う。
「いや、やめとこう。 どうせすぐに来られるんだ、俺が変な先入観を吹き込む事もあるまい」
「そりゃないスよ!」
「こ、心の準備ってもんがあるじゃないですか!」
「私、心の準備が必要な相手なのでしょうか」
フィオとバンは、背後から響いた聞き覚えのない声に硬直した。
ロスはすっと立ち上がると、思いも寄らないほど優雅な仕草で一礼する。
「ご無沙汰しております、マザー」
「はい、お久しぶりです、ロス。 それで、この子たちが?」
「はい、フィオとバンです。 おい、お前ら、マザーに失礼だぞ」
「は、はいぃ!」
フィオとバンはロスの言葉に跳ね上がるように起立し、直立不動になった。
背後で鈴を転がすような笑い声が響き、側面へ移動する。
亜麻色の髪を短く整えた小柄な少女がそこに居た。
「私は、このタウン48を預かるマザーコンピューターの端末です。 シヤ、とお呼びくださいな」
マザーの端末を名乗った少女はSSフレームの小型のメイデンであった。
ただし、その胸部だけは異様に膨らんでおり、メートル単位は確実のサイズ。
背丈と胸囲の釣り合わなさに、フィオは瞬きをして上から下まで見回してしまった。
キキョウら戦闘用メイデンが身につけるものと同タイプのボディスーツの上から、巫女の装束である千早にも似た上着を纏っている。
ボディスーツの色は緋色、上着は純白でありコントラストが目にも鮮やかだ。
小柄な割にむっちりと肉感的な足は太股までの赤いハイソックスに覆われている。
色素の薄い髪や白い肌、淑やかな美貌と儚げな要素が詰まっているのに、過積載な胸部の印象ですべてを塗りつぶしてしまうメイデンであった。
「あ、あの、マザー!」
「シヤです」
「シヤ様! 質問よろしいでしょうか!」
「はい、どうぞ、フィオ」
「ジェネレーター出力、どれくらいあるんでしょうか!」
フィオが口に出した瞬間、ロスはギョッとし、バンは呆れとも尊敬ともつかない眼差しを金魚鉢兄弟へ向けた。
「マスター、あなたという人は……!
マザー、申し訳ありません、後できつく言って聞かせますので……」
「痛い、痛いよ、キキョウさん!」
後ろからフィオの後頭部を鷲掴みにしたキキョウに対して、シヤはころころと笑う。
笑い声にあわせて豊かすぎる胸部がふるふると揺れた。
「よいのですよ、キキョウ。 男の子ですもの、気になりますよね。
この胸はジェネレーターではなく、サブの記憶媒体なのです。
私はいざという時のため、本体のバックアップも兼ねておりますから」
「ははぁ、記憶媒体……。つまり、英知の結晶であるおっぱい……あ、キキョウさん、頭割れちゃう、割れちゃうから!」
キキョウのアイアンクローがさらに食い込み、かなり切羽詰まった悲鳴をあげるフィオ。
「キキョウ、その辺で。 さ、座ってお話しましょう」
シヤの取り成しが入り、キキョウは渋々といった様子で手を離した。
「……後でお説教しますからね」
「はぁい……」
シヤは上座のソファに腰を下ろし、一同も改めて着席する。
「ロス、今回はご苦労様でした」
シヤはロスに頭を下げ、労った。
「い、いえ! マザーに頭を下げていただく程では……」
「いいえ、当タウンの今後にも関わりかねない重要事ですので」
顔を上げたシヤは毅然とした口調で続ける。
「知っての通り、このタウン48はメイデンの戦力に大きく依存したタウンです」
タウン48はメイデンを製造可能な工場を有している。
かつての戦火で多くのファクトリーやプラントが失われた中、現役で稼働し続けるファクトリーの存在はタウン48の権勢の礎と言っていい。
タウン内に数多く配置されたメイデンはタウン48の力を如実に表している。
「貴方たちが回収してきたウィルス弾は、メイデンを簡単に無力化してしまうものです。
メイデンのセンサーをも欺くカモフラージュポンチョと組み合わせれば、並の歩兵部隊が恐るべき対メイデン部隊となってしまうでしょう」
シヤは目を閉じ、小さく首を振る。 そのわずかな動作で大きく揺れる巨大な質量にフィオとバンの目は奪われ、ロスはそっと額を押さえた。
「このような恐ろしい装備があると、早々に知れたのは僥倖でした。
早急にウィルス弾を解析し、各メイデンのセキュリティ機能のアップデートを行います」
「もう、ウィルス弾は効かなくなるんですか?」
「少なくとも同タイプの物は。
メイデンのセキュリティ機能の穴を狙うタイプでしたので、バージョンアップを行えば一切影響を受ける事はありません」
しかし、とシヤは顔を曇らせる。
「この弾丸を開発した者は恐ろしい相手です。
最終戦争からすでに数百年、このようなコンピュータウィルスを新規に開発するものなど絶えて久しかったというのに……」
「山賊たちは『ドク』という相手から入手したと話していました」
「『ドク』、博士と名乗るだけの事はある技術力の持ち主ですね……。
タウン48はウィルス弾を作り出した『ドク』に賞金を掛けます。 どんな情報であれ入手すれば即座に通報してください」
シヤの言葉に砂潜り達は頷いた。
タウン最高権力者からの指示だ、否やがあるはずもない。
真顔で頷く砂潜り達にシヤは頷き返すと、にっこり笑って大きく手を叩いた。
「さて、厄介な相手のことはともかく、貴方がたはよくやってくれました。
ですから、私からお駄賃をあげましょう!」
シヤの言葉と共に応接室にメイド服のメイデンが入室してくる。
お盆の上に乗せた高額クレッドを砂潜り達の前に置いた。
バンは思わず下品な口笛を吹く。
「マザー、俺はもらえませんよ、アイネズのメンテもしてもらってるってのに」
「アイネズのメンテナンスは、データ取りの側面もあるから気にする事はありません。
いいから取っておきなさいな」
シヤは大きな胸を揺らしながらそう言うと、渋るロスにもお駄賃を押しつけたのだった。
工場に送られたアイネズはウィルス感染を警戒した隔離フロアに運ばれていた。
メンテナンスモードに入り意識を失った所で、パーツ単位に分解される。
ロボットアームがCPUブロックを取り出し、丹念な精査を実行。
ウィルスの影響が完全に除去されている事が確認された所で製造ラインに戻された。
製造ラインでは、元のアイネズと同じ構成で再生産された機体が用意されている。
CPUが新機体に移植されると、アイネズは新しい体を手に入れて復活した。
中央政庁中枢にあるシヤの執務室は、部屋一面にホログラフモニターを映し出せるよう半球のドームのような作りになっていた。
部屋の中央に立ったシヤは周囲に映し出される無数のモニターの情報を読みとっていく。
きらめくモニターが乱舞する様は、どこかプラネタリウムにも似ていた。
この部屋には椅子はない。 メイデンであるシヤは立ちっぱなしでも疲労を覚えたりはしないのだ。
ホログラフモニターのひとつに、ファクトリーから出てきたアイネズがロスに抱きしめられている様子が映っている。
アイネズの小さな頭がロスのゴツい手でぐりぐりと乱暴に撫で回され、アイネズは髪が乱れるのも構わず微笑んでいた。
ロスはきょろきょろと周囲を見回し、そっとアイネズと唇を合わせる。
シヤは目を細めてその様子を見届けると、モニターを消去した。
「これ以上は覗きになります。
娘の一人と言えど、プライバシーは重要でしょう」
後はロスとアイネズの問題だ。
そこにシヤが気にかけるべき要素はない。 出歯亀根性以外は。
「さて、あの子を襲った不埒者の方ですが……」
独り言は独裁者の習い性。
呟きながら別のホログラフモニターを手元に引き寄せる。
アンプルのようなケースに納められた白い液体と、複数の波形データが並ぶ画面が現れた。
アイネズの旧機体の子宮ユニットから回収した、山賊たちの精液の情報だ。
「遺伝子情報はタウン268系列……。
十四年前に余所とぶつかって没落した所ですね。
タウンを見捨てて山賊になる住人が居るなんて、恥ずかしいマザーも居たものですねぇ」
楽しげな笑い声には露骨な毒がある。
同盟関係にもない余所のタウンのマザーコンピュータなど、敵でしかない。 敵の失態はあざ笑って然るべき。
究極的に言うのならば、同盟関係にあろうとも余所のタウンなど潜在的な敵だ。
そう割り切って警戒せねば、過酷な世の中で生き残れはしない。
「……『兆候』の類は一切なし、と。
仮に兆候があればタウン268を滅ぼしてでも情報入手の必要がありましたが、無駄な戦力消費をしなくて良さそうですね」
目指すべき「兆候」が無かった事にシヤはため息を吐く。
腕を一振りして画面を消すと、シヤは新たな画面を呼び出した。
そろそろ壮年に差し掛かりそうな、脂の乗った年頃の男が腕組みをして映っている。
今は亡きゼンクのポートレートだ。
「貴方こそが私の望んだ殿方だと思っていたのですが……。
貴方ほどの男にも『兆候』はなかった。
どういう事なのでしょう……」
独裁者の疑問に答えるものは居ない。
モニターの中の在りし日のゼンクは不敵な微笑みを浮かべるのみだ。
ゼンクの死はシヤに大きな衝撃を与えていた。
ランク1砂潜りであり、タウン48成立以来最高の天才とすら言えるその才覚は、シヤに待ち望んだ男の到来を期待させたのだ。
その彼が、メイデンをメンテナンスに出していたという詰まらない理由で、ちゃちな遺跡で頓死した。
一時はキキョウを手に入れようとしたフィオが師を罠に掛けたのではないかと勘ぐった程である。
密かに調査を行い、彼の死が全く偶発的な不運によるものと確信した時、マザーコンピュータ本体が数秒処理落ちするほどの憤りを感じたものであった。
タウンを預かるシヤはいつまでも一人の男に拘ってはいられない。 待ち望んだ「兆候」を持つ殿方でもない限り。
ゼンクの死はすでに記録にカテゴライズされるデータだ。
思い出の男のポートレートを消して感傷を断ち切ると、新たなポートレートを呼び出した。
フィオ、バン、ルース……さらにもっと幼げな風貌の少年達。
タウン48の明日を担う若者たちのポートレートが、ドーム状の執務室の内部にドミノのように浮かび上がっていく。
「たとえゼンクがそうでなかったとしても、彼の弟子や、彼に続く子供たちの中からきっと現れてくれるでしょう。
待っていますよ、私の愛し子たち。
私の夢見る高みに、いつか貴方たちが到達する日を」
シヤは無数に広がるポートレートの海の中で、慈母の笑みを浮かべた。
ランク2砂潜りであるロスの住居はランク5のフィオとは一線を画すレベルのマンションだ。
高いセキュリティ機能を備え、快適な生活をサポートする各種機器が備わっている。
その一方で、雑多に散らかった雑誌や銃器、ツール類といった物品はフィオの部屋と大差ない辺り、砂潜りという職業はどこまで行ってもでかいガキンチョに過ぎないのかもしれない。
バスローブに身を包んだロスはベッドに腰掛けてサイドテーブルに置いた拳銃を分解整備して時間を潰していた。
すでに何百回となく行ってきた、指が覚えている作業だ。
バラバラの部品を組み合わせて再び拳銃の姿にしながらも、ロスの神経はすべて耳に集中していた。
シャワールームの水音が、止まる。
やがて、バスローブを羽織ったアイネズが現れた。
湯上がりの肌は、ほのかに上気している。
ロスの手から、組み掛けの拳銃が滑り落ちた。
老廃物に縁のないメイデンにとってシャワーは埃や汚れを落とすためのものでしかない。
ファクトリーから出たばかりのアイネズの体にそのようなものはまだ付着しておらず、本来シャワーを浴びる必要などはない。
だが、アイネズは強固に望んだのだ。
新たに生まれ直したこの身を、もっとも良い状態に仕上げたいと。
洗い髪を背に流したアイネズは、意を決するとバスローブを落とした。
白く、細い裸身が露わになる。
アイネズはベッドの上で、金縛りにあったかのように目を見開いて硬直しているロスに、微笑んだ。
「もう一度、貴方をマスターと呼ばせてください。
この身に貴方を刻んでくださいますか?」
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