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アイネズを救出し、スコールがメイデンの体を得てから数日後。
フィオとキキョウは中央政庁のトラブルサポートフロアを訪れていた。
砂潜りは一般的な市民からは、好きな時に寝て好きな時に働く気楽な稼業と思われている節がある。
確かにそういった一面もあるが、多くの砂潜りは目減りしていく貯蓄に怯えつつ、何とか収入を得ようと躍起になっているのだ。
好きな時に寝起きする自堕落な生活など、あっと言う間に干上がってしまうだけだ。
定期的な給与が出ない恐ろしさと、砂潜り達は日々戦っている。
そんな砂潜り達にとってトラブルサポートフロアに持ち込まれる各種の依頼は、ありがたい収入源である。
砂潜りの本来の役割は資源回収であるが、それだけで食っていくにはタウン48の周辺は漁り尽くされている。
多くの砂潜り達は、今日も今日とてトラブルサポートフロアの掲示板を確認に来るのであった。
「居ませんね……」
フロアのベンチを見回し、キキョウは呟いた。
「バンとスコール?」
「はい」
フロアには多くの砂潜り達が屯していたが、大柄な金魚鉢兄弟と小さなその相棒の姿は見当たらない。
キキョウはリンクを結んだスコールの事を妹分として気に掛けている。
「爺さんの手伝いでもしてるんじゃないかな?」
宿無しのバンはヘイゲン老の厚意により、仮眠室を格安で貸してもらっていた。
図らずも妹分の初体験を丸々覗き見する羽目になってしまったキキョウが、ヘイゲン老を強硬に非難した結果である。
覗かれていた事を知らないバン主従は風雨をしのげる拠点を安価に得られ大いに喜んだのだが、フィオは彼らの笑顔を直視できずにそっと目を反らしたのであった。
「……部屋が手に入ったんだし、延々お楽しみという可能性が」
「いえ、いくらなんでもそれはないでしょう」
「リンク通信で確認してみる? タウン内だから通じるんじゃない?」
「……!」
無言で虚空を見つめたキキョウは、頬をわずかに染めて目を伏せた。
「どうかした?」
「……今忙しいから、と通話を切られました」
「忙しいってアレだよね? 間違いなくお楽しみで忙しいんだよね?」
そんなレベルではなかった。
通話の頭からほとんど悲鳴のような切羽詰まった嬌声だけで、その挙げ句にぷつんと切れてしまったという事実をキキョウは妹分の体面を慮って隠匿した。
おそらく、通話の向こうのスコールは潤滑液をまき散らして、派手にシャットダウンしている。
「……バンさんは、あの子をどうするおつもりなんでしょう」
「メ、メイデンを手に入れてすぐの猿モードなだけだから、そのうち落ち着くって……」
「確かに私たちには性交の機能がありますが、メイデンはそれだけの存在ではないのです。
何も知らない子に、夜伽の手管ばかり教え込むなんて……」
嘆かわしいと言わんばかりにキキョウは首を振る。
フィオの方は乾いた笑いを浮かべるしかない。
彼自身、キキョウを受け継いだ直後は数日に渡って猿と化してしまったのだから。
「ま、まあ、バン達が居たら一緒に仕事でもと思ったけど、居ないならしょうがないよ。
僕らだけで何か仕事を探そう」
フィオは誤魔化すように言うと、レトロなデザインの掲示板に目を向けた。
依頼の記入されたメモがピンで複数留められている。
「さて、何かめぼしい物は……!」
緩んだフィオの顔面が不意に引き締まる。
フィオは猛禽のような目で一枚の依頼書を睨みつけると、掲示板から毟りとった。
そのまま、受付カウンターへと向かう。
「マスター?」
「……確認しないと」
いぶかしげなキキョウに言葉少なく答えたフィオは、開いているカウンターに依頼書を持ち込んだ。
「すみません、こちらの依頼書なんですけど!」
「はい、承ります。 ……タウン69での資源回収依頼ですね?」
受付メイデンが告げたタウンの名に、キキョウはアメジストの瞳を見開いた。
タウン69、ゼンクが死んだ地だ。
百年ほど前にタウン48との抗争の末に滅ぼされたタウン69は、年月を経て砂潜りにとって手頃な回収地と化していた。
ブレイカー盆地に比べると一段難易度の高い地域と見なされてはいたが、それでも若手向けの回収地には変わりない。
キキョウをメンテナンスに出していながらゼンクがタウン69を訪れたのは、彼ほどの技量の持ち主であれば全く危険がないはずであったからなのだ。
だが、彼は死んだ。
逃げ帰ったフィオの証言から、彼を殺害したのはレーザー攻撃を行う防衛機械であると推察された。
タウン69はレーザー兵器の基幹部品の工場を所有しており、かつての抗争の際もレーザーを装備したメイデンやマペットがタウン48側の戦力を苦しめたものである。
戦後の徹底した資材回収により、最早レーザー兵器を装備した防衛機械など残っていないと思われていたのだが、そのレアな生き残りがゼンクを殺したのであった。
「タウン69は立ち入り禁止になったと聞いてるんですが」
フィオの疑問に受け付けメイデンは頷いた。
「はい、先日アーミーによる再調査が完了し、安全であると判断されました」
「……そうですか」
アーミーが安全と判断した以上、ゼンクを殺したガーディアンはアーミーによって破壊されたのだろう。
兄貴の仇を自分が取れなかったのは、無念としか言いようがない。
カウンターで唇を噛んで黙り込むフィオを、受付メイデンは不思議そうに眺めていたが、不意にリンク通信を受けて頷く。
「ああ、あなたはランク5砂潜りのフィオさんですね。
亡くなられたゼンクさんの件については残念ですけど、気を落とさずに職務に励んで欲しいと、マザーからの伝言です」
「え、シヤ様から?」
「はい、たった今マザーから連絡がありまして」
マザーがランク5の下っ端を全てチェックしているはずもない。
これは自分がゼンクの弟子であったからだろう。
亡き師の名を汚すわけにはいかない。 フィオはシヤからの伝言に襟を正す思いであった。
「……師の名に恥じぬよう、砂潜りとして勤めますと、シヤ様にお伝えください」
「はい! それで、こちらの依頼はどうされます?」
フィオは逡巡した。
ブレイカー盆地ほどではないにせよ、長年漁られ続けた回収地なのでそれほどの利益は見込めない。
だが、師を失った場所へ再度訪れ、心中の葛藤を精算するには良い機会かもしれない。
「受けましょう」
タウン69はタウン48に比べると小規模なタウンだ。
レーザー兵器の工場とガバメント、そしてかつて住人が暮らしていた多層居住区。
狭い区画に大型の三つの建造物が立ち並んでいる。
地上30階地下10階の規模を持つ多層居住区は巨大な建物だが、ここに住んでいた人数がタウン住人の全てであったと考えれば、城塞都市と化したタウン48とは大きなマンパワーの差がある。
百年前の抗争でタウン69が敗北したのは無理からぬ事であった。
破壊されたコンクリート外壁の隙間からタウン内に侵入したフィオは、三つの大きな建物のうち工場を目指して三輪バイクを走らせた。
「あそこで、兄貴が……」
知らず唇を噛む。
三輪バイクの荷台に横座りした乙種装備のキキョウは、背後から主の頬を撫でた。
「気負わずに。 ゼンク様も仰られてたでしょう、無駄な緊張は禁物であると」
「そうだけど……。
キキョウさんは、思う所はないの? あそこで兄貴は……」
言いさし、フィオは口ごもった。
兄貴分の死への言及は、常に彼の胸中に自責の念を掻き起こす。
あの時、自分が適切に動ければゼンクは死ななかったのではないかと。
ゼンクの伴侶であったキキョウに主の死について問えば、そこを追求されるかもしれない。
それはフィオにとって逃れようのない恐怖であり、その問いを誘発するような言葉を噤んでしまったのは、彼の弱さと臆病さ故であった。
キキョウはアメジストの瞳を細め、頬を撫でていた手を若き主の頭頂に移す。
跳ねた黒髪を撫でつけながら、諭すように言う。
「あの方の事はメモリーの中に。
どんな人物であろうと死を覆す事はできません。
粛々と受け入れるのみです」
少年マスターは体を強ばらせながら、メイデンが続ける言葉を聞く。
「貴方があの方の事を忘れないのであれば、かつて仕えた物として喜ばしく思います。
マスター、過去の主と私との事を気にする必要はないのですよ。
この身は今の主に尽くすための物なのですから」
「……そう」
フィオの体の強ばりは消えない。
文字通り機械のような、システマティックな発言。
だが、フィオは彼女たちメイデンがシステムに縛られつつも、己の意思を持つと確信している。
システムとは関係のない所で、彼女の意思はどう思っているのだろうか。
だが、そこを無理に明らかにするのは、たとえマスターであってもやってはいけない事であろう。
フィオは胸中の暗雲を治めきれないまま、三輪バイクを停めた。
ゼンクが死んだ工場は目の前だ。
「行こう、キキョウさん」
「ええ、マスター」
かつて駐車場であったと思しき広場に三輪バイクを停めると、主従は工場外壁の破砕口から侵入を開始した。
フィオ主従が工場へ侵入して数十分後。
工場の敷地内に新たな車両の一団が到着してた。
砂塵にまみれた軽トラ、ジープ、バギー、ワゴン。
四台の車の中から、不揃いな武装を身につけた男達が降りてくる。
全般的に薄汚れ、荒んだ雰囲気が強い。
タウン外にて生活する者達、タウンの居住者からは山賊と蔑称される男達である。
「うーい……。着いたかぁ」
幌の着いた軽トラの荷台から降りてきた禿頭の男は、一際異彩を放っていた。
身長は2mを遙かに超え、230㎝にも及んでいる。
長身でありながら総身には筋肉の鎧を厳重に纏った力士体型であり、一見すると巨大な肉の塊のようだった。
巨漢は大あくびをすると、禿頭をぴしゃりと叩いた。
「おぅし、お前ら、並べぇ」
「あいよぅ、ヴァトーさん」
ヴァトーと呼ばれた巨漢の指示で、男たちは横一列に並ぶ。 その数8人。
並ぶと言っても軍隊のような規律は一切なく、姿勢はだらけきっており、あくびをする者、ガムを噛む者、シケモクをくわえる者と好き放題であった。
ヴァトーはグローブのような手をパンパンと叩いて一同の視線を集める。
「あー、まあ、あれだ。
本命のガバメント跡の方はドクが調査に行ってるから、こっちはおまけだ。
気楽に行こうぜ」
「でもよぉヴァトーさん、先客が居るみたいだぜぇ?」
並んだ男の一人が広場の隅を指さす。
防塵用のシートで簡単な偽装を施された三輪バイクが停まっていた。
フィオの三輪バイクである。
ヴァトーは大雑把な作りの顔をにたりとほころばせた。
「ほぉう、いいじゃねえか。
退屈なゴミ漁りに楽しみができるってもんだ。
お前ら、ポンチョはしっかり被っとけよ!」
ヴァトーの指示で男達は独特なポンチョを取り出した。
アイネズを捕獲した一党が装備していた物と同じカモフラージュポンチョである。
「さぁて……ハンティングの開始だな!」
工場内に侵入したフィオとキキョウは、拍子抜けするほどスムーズに探索を進めていた。
アーミーの調査直後という事は、罠も障害物も根こそぎ排除された後という事である。
めぼしい物は軒並みアーミーに持ち去られているが、危険も何もない。
あっさりと、フィオは因縁の場所にたどり着いていた。
薄暗い何の変哲もないT字路。
突き当たりに差し掛かる寸前でフィオは足を止めた。
「多分ここ、だ……」
あの時のようにマルチプルゴーグルを掛けたフィオは絞り出すように呟くと、床に視線を落とす。
ゼンクが命を落とした通路には血痕のひとつもない。
レーザーに焼かれた彼の傷は焼き潰され、出血しなかったから。
「アーミーが持ってっちゃったのかな、兄貴の……」
遺体、と言葉に出したくなかった。
フィオが置き去りにしてしまったゼンクの遺体はアーミーの手により持ち運ばれていた。
ゼンクに執着するシヤの指示である。
兄貴分の仇も取れず、遺体の回収すらできない。
フィオのゼンクへの負い目はまた一段と深まっていく。
「キキョウさん、僕は……」
「マスター」
鬱々とした主の言葉を背後に控えるメイデンは遮った。
「機械である私には、貴方の葛藤を推測する事しかできません。
ですが、断言出来る事もあります」
「……何?」
「ゼンク様のために出来る事が少ないとお嘆きなのでしょうが、そもそもそれは筋違いというものです。
死者は何も望みませんし、死者に対してできる事などありません。
偲ぶことだけが、亡きあの方へ捧げられる唯一のものなのです」
キキョウの言葉にフィオは険しく顔を歪めた。
「僕には、何も出来ないって事?」
「偲ぶこと、思い出すことだけではいけませんか?」
「それじゃ、気が済まないっ!」
激昂する主に、キキョウは細い眉を下げた。
「あの方に捧げる、形有るものがないからですか?」
「そうだよっ!」
「では、かつてあの方のパートナーだったものから、お願い致します」
キキョウはふわりとフィオを抱きしめた。
豊満な胸に少年の頬が埋まる。
「立派な砂潜りになってください。
生きて、学んで、それを明日の糧に繋ぐ、そんな男に。
それがあの方の望みであったと記憶しています」
「それは……」
フィオは言葉に詰まった。
ゼンクが常々言っていた事だ。
どんな失敗をしても生きていればいい。 そこから学んで一回り大きくなる。
そう言った彼自身が不慮の死を迎えたからこそ、フィオの胸にその言葉は深く刻まれていた。
初心に返る思いがフィオの心を満たす。
「うん……。 僕は、なるよ。
兄貴の言ってた事を全部やるのは難しいけど、少しずつでもこなして、兄貴みたいな砂潜りに」
キキョウは若き主の言葉に微笑み、ぎゅっと抱きしめた。
「通路の真ん中でよぅ、いちゃつくのはやめてくんねえかなあ?」
唐突に、見知らぬ野太い声が割って入る。
同時に轟く銃声。
キキョウは左のマルチブーストアームに握った高速振動マチェットの腹を声の方向に向けながら掲げ、主を抱きしめて己の体を盾にした。
飛来した8発の拳銃弾は3発がマチェットの刀身で防がれ、1発は外れ、残り四発はキキョウの体に着弾した。
メイデンの思惑通り主には一発も当たっていない。
拳銃弾などでキキョウは止めれない。 右のマルチブーストアームに握った軽機関銃を襲撃者に向け、即座にフルオートで発射。
反撃の7.62㎜弾が狭い通路を飛翔し、襲撃者に襲いかかる。
だが。
「ふんっ!」
野太い男の気合いと共に太い腕が一閃、銃弾はバラバラとその場に落ちてしまう。
「な……」
キキョウはアメジストの瞳を見張った。
彼女のセンサーを持ってしても、敵が何をして銃弾を防いだのか、見て取れない。
そもそも、彼女のセンサーはこの近距離まで近づく一団の男たちを把握してなかったのだ。
「ウィルス弾を食らったのに動けるとは、ドクの話と違うじゃねえか。
あの野郎、いい加減なもん渡しやがって」
唸るような低音で呟く男は、天井に頭が着きそうな程の異様な巨漢。
その背後には8人の男達がいる。
彼らが、ポンチョをはだけて武器を構えているから気付けた事だ。
「そのカムフラージュポンチョにウィルス弾。 ドクという人物について聞かねばなりませんね」
キキョウはフィオを背後に庇い、男達を睨み据えた。
「ほう? うちの虎の子を知ってるって事ぁ、どっかから情報が漏れたのか?
まぁいいや、こっちこそ聞かせてもらうとするぜ、メイデンちゃんよぉ」
巨漢はうっそりと笑うと、身を屈ませる。 戦前の有名スポーツ、アメフトのタックルを思わせる構えだ。
この巨漢がどのような手段で銃弾を無効化したのか不明な以上、別種の攻撃手段を試みる必要がある
「マスター、下がって!」
キキョウは主に叫びながら高速振動マチェットを突き出し、床を蹴った。
背後に主が居るため、スラスターは吹かせない。
「はっ」
巨漢は気合いとも嘲笑ともつかない声をあげると突進する。
その顔面目指して突き込まれた高速振動マチェットの切っ先は、大きく振り回された裏拳によって弾かれた。
「なっ」
キキョウのCPUに驚愕が走る。
起動状態の高速振動マチェットは刀身全体が微細に振動して破砕能力を持っている。
刃の部分でなくても、生身で触れれば拳の方がミンチになってしかるべきなのだ。
「おらぁっ!」
キキョウの驚愕は続く。
巨体を丸めるような低い姿勢からのタックルが、高速振動マチェットを受け流され、開いたキキョウの胴に広い肩が突き刺さる。
「ぐっ……!?」
身長230㎝の巨大な肉塊が身長160㎝の女性を吹き飛ばす様は、見た目だけなら至極当然だ。
だが、実際には異常な光景である。
戦闘用メイデンであるキキョウの体重は華奢な外見とは裏腹に下手な関取以上だし、装備品の重量も加味すれば200㎏近くにも達する。
それを軽々と吹き飛ばす膂力は人間業とも思えない。
さらに。
撥ね飛ばし様に巨漢が左腕を一閃すると、ぶちりと鈍い音が響いた。
「キ、キキョウさん……」
脚部スラスターも用いた緊急バックステップで何とか距離を離したキキョウに、T字路の角まで逃げ込んだフィオが震え声を掛ける。
「なかなか堅いな、メイデンちゃん?」
にやつきながら巨漢は引きちぎった「もの」に唇で触れてキスをすると、床に放り出した。
肩口から引きちぎられた細い腕が赤黒い潤滑液を撒き散らしながら転がる。
迸る潤滑液を組織閉鎖して止めながら、キキョウは巨漢を睨みつける。
右腕を喪失したキキョウのCPUは、低下した己の戦力でこの得体の知れない敵から背後の主を守るにはどうすべきか、全力で演算していた。
フィオとキキョウは中央政庁のトラブルサポートフロアを訪れていた。
砂潜りは一般的な市民からは、好きな時に寝て好きな時に働く気楽な稼業と思われている節がある。
確かにそういった一面もあるが、多くの砂潜りは目減りしていく貯蓄に怯えつつ、何とか収入を得ようと躍起になっているのだ。
好きな時に寝起きする自堕落な生活など、あっと言う間に干上がってしまうだけだ。
定期的な給与が出ない恐ろしさと、砂潜り達は日々戦っている。
そんな砂潜り達にとってトラブルサポートフロアに持ち込まれる各種の依頼は、ありがたい収入源である。
砂潜りの本来の役割は資源回収であるが、それだけで食っていくにはタウン48の周辺は漁り尽くされている。
多くの砂潜り達は、今日も今日とてトラブルサポートフロアの掲示板を確認に来るのであった。
「居ませんね……」
フロアのベンチを見回し、キキョウは呟いた。
「バンとスコール?」
「はい」
フロアには多くの砂潜り達が屯していたが、大柄な金魚鉢兄弟と小さなその相棒の姿は見当たらない。
キキョウはリンクを結んだスコールの事を妹分として気に掛けている。
「爺さんの手伝いでもしてるんじゃないかな?」
宿無しのバンはヘイゲン老の厚意により、仮眠室を格安で貸してもらっていた。
図らずも妹分の初体験を丸々覗き見する羽目になってしまったキキョウが、ヘイゲン老を強硬に非難した結果である。
覗かれていた事を知らないバン主従は風雨をしのげる拠点を安価に得られ大いに喜んだのだが、フィオは彼らの笑顔を直視できずにそっと目を反らしたのであった。
「……部屋が手に入ったんだし、延々お楽しみという可能性が」
「いえ、いくらなんでもそれはないでしょう」
「リンク通信で確認してみる? タウン内だから通じるんじゃない?」
「……!」
無言で虚空を見つめたキキョウは、頬をわずかに染めて目を伏せた。
「どうかした?」
「……今忙しいから、と通話を切られました」
「忙しいってアレだよね? 間違いなくお楽しみで忙しいんだよね?」
そんなレベルではなかった。
通話の頭からほとんど悲鳴のような切羽詰まった嬌声だけで、その挙げ句にぷつんと切れてしまったという事実をキキョウは妹分の体面を慮って隠匿した。
おそらく、通話の向こうのスコールは潤滑液をまき散らして、派手にシャットダウンしている。
「……バンさんは、あの子をどうするおつもりなんでしょう」
「メ、メイデンを手に入れてすぐの猿モードなだけだから、そのうち落ち着くって……」
「確かに私たちには性交の機能がありますが、メイデンはそれだけの存在ではないのです。
何も知らない子に、夜伽の手管ばかり教え込むなんて……」
嘆かわしいと言わんばかりにキキョウは首を振る。
フィオの方は乾いた笑いを浮かべるしかない。
彼自身、キキョウを受け継いだ直後は数日に渡って猿と化してしまったのだから。
「ま、まあ、バン達が居たら一緒に仕事でもと思ったけど、居ないならしょうがないよ。
僕らだけで何か仕事を探そう」
フィオは誤魔化すように言うと、レトロなデザインの掲示板に目を向けた。
依頼の記入されたメモがピンで複数留められている。
「さて、何かめぼしい物は……!」
緩んだフィオの顔面が不意に引き締まる。
フィオは猛禽のような目で一枚の依頼書を睨みつけると、掲示板から毟りとった。
そのまま、受付カウンターへと向かう。
「マスター?」
「……確認しないと」
いぶかしげなキキョウに言葉少なく答えたフィオは、開いているカウンターに依頼書を持ち込んだ。
「すみません、こちらの依頼書なんですけど!」
「はい、承ります。 ……タウン69での資源回収依頼ですね?」
受付メイデンが告げたタウンの名に、キキョウはアメジストの瞳を見開いた。
タウン69、ゼンクが死んだ地だ。
百年ほど前にタウン48との抗争の末に滅ぼされたタウン69は、年月を経て砂潜りにとって手頃な回収地と化していた。
ブレイカー盆地に比べると一段難易度の高い地域と見なされてはいたが、それでも若手向けの回収地には変わりない。
キキョウをメンテナンスに出していながらゼンクがタウン69を訪れたのは、彼ほどの技量の持ち主であれば全く危険がないはずであったからなのだ。
だが、彼は死んだ。
逃げ帰ったフィオの証言から、彼を殺害したのはレーザー攻撃を行う防衛機械であると推察された。
タウン69はレーザー兵器の基幹部品の工場を所有しており、かつての抗争の際もレーザーを装備したメイデンやマペットがタウン48側の戦力を苦しめたものである。
戦後の徹底した資材回収により、最早レーザー兵器を装備した防衛機械など残っていないと思われていたのだが、そのレアな生き残りがゼンクを殺したのであった。
「タウン69は立ち入り禁止になったと聞いてるんですが」
フィオの疑問に受け付けメイデンは頷いた。
「はい、先日アーミーによる再調査が完了し、安全であると判断されました」
「……そうですか」
アーミーが安全と判断した以上、ゼンクを殺したガーディアンはアーミーによって破壊されたのだろう。
兄貴の仇を自分が取れなかったのは、無念としか言いようがない。
カウンターで唇を噛んで黙り込むフィオを、受付メイデンは不思議そうに眺めていたが、不意にリンク通信を受けて頷く。
「ああ、あなたはランク5砂潜りのフィオさんですね。
亡くなられたゼンクさんの件については残念ですけど、気を落とさずに職務に励んで欲しいと、マザーからの伝言です」
「え、シヤ様から?」
「はい、たった今マザーから連絡がありまして」
マザーがランク5の下っ端を全てチェックしているはずもない。
これは自分がゼンクの弟子であったからだろう。
亡き師の名を汚すわけにはいかない。 フィオはシヤからの伝言に襟を正す思いであった。
「……師の名に恥じぬよう、砂潜りとして勤めますと、シヤ様にお伝えください」
「はい! それで、こちらの依頼はどうされます?」
フィオは逡巡した。
ブレイカー盆地ほどではないにせよ、長年漁られ続けた回収地なのでそれほどの利益は見込めない。
だが、師を失った場所へ再度訪れ、心中の葛藤を精算するには良い機会かもしれない。
「受けましょう」
タウン69はタウン48に比べると小規模なタウンだ。
レーザー兵器の工場とガバメント、そしてかつて住人が暮らしていた多層居住区。
狭い区画に大型の三つの建造物が立ち並んでいる。
地上30階地下10階の規模を持つ多層居住区は巨大な建物だが、ここに住んでいた人数がタウン住人の全てであったと考えれば、城塞都市と化したタウン48とは大きなマンパワーの差がある。
百年前の抗争でタウン69が敗北したのは無理からぬ事であった。
破壊されたコンクリート外壁の隙間からタウン内に侵入したフィオは、三つの大きな建物のうち工場を目指して三輪バイクを走らせた。
「あそこで、兄貴が……」
知らず唇を噛む。
三輪バイクの荷台に横座りした乙種装備のキキョウは、背後から主の頬を撫でた。
「気負わずに。 ゼンク様も仰られてたでしょう、無駄な緊張は禁物であると」
「そうだけど……。
キキョウさんは、思う所はないの? あそこで兄貴は……」
言いさし、フィオは口ごもった。
兄貴分の死への言及は、常に彼の胸中に自責の念を掻き起こす。
あの時、自分が適切に動ければゼンクは死ななかったのではないかと。
ゼンクの伴侶であったキキョウに主の死について問えば、そこを追求されるかもしれない。
それはフィオにとって逃れようのない恐怖であり、その問いを誘発するような言葉を噤んでしまったのは、彼の弱さと臆病さ故であった。
キキョウはアメジストの瞳を細め、頬を撫でていた手を若き主の頭頂に移す。
跳ねた黒髪を撫でつけながら、諭すように言う。
「あの方の事はメモリーの中に。
どんな人物であろうと死を覆す事はできません。
粛々と受け入れるのみです」
少年マスターは体を強ばらせながら、メイデンが続ける言葉を聞く。
「貴方があの方の事を忘れないのであれば、かつて仕えた物として喜ばしく思います。
マスター、過去の主と私との事を気にする必要はないのですよ。
この身は今の主に尽くすための物なのですから」
「……そう」
フィオの体の強ばりは消えない。
文字通り機械のような、システマティックな発言。
だが、フィオは彼女たちメイデンがシステムに縛られつつも、己の意思を持つと確信している。
システムとは関係のない所で、彼女の意思はどう思っているのだろうか。
だが、そこを無理に明らかにするのは、たとえマスターであってもやってはいけない事であろう。
フィオは胸中の暗雲を治めきれないまま、三輪バイクを停めた。
ゼンクが死んだ工場は目の前だ。
「行こう、キキョウさん」
「ええ、マスター」
かつて駐車場であったと思しき広場に三輪バイクを停めると、主従は工場外壁の破砕口から侵入を開始した。
フィオ主従が工場へ侵入して数十分後。
工場の敷地内に新たな車両の一団が到着してた。
砂塵にまみれた軽トラ、ジープ、バギー、ワゴン。
四台の車の中から、不揃いな武装を身につけた男達が降りてくる。
全般的に薄汚れ、荒んだ雰囲気が強い。
タウン外にて生活する者達、タウンの居住者からは山賊と蔑称される男達である。
「うーい……。着いたかぁ」
幌の着いた軽トラの荷台から降りてきた禿頭の男は、一際異彩を放っていた。
身長は2mを遙かに超え、230㎝にも及んでいる。
長身でありながら総身には筋肉の鎧を厳重に纏った力士体型であり、一見すると巨大な肉の塊のようだった。
巨漢は大あくびをすると、禿頭をぴしゃりと叩いた。
「おぅし、お前ら、並べぇ」
「あいよぅ、ヴァトーさん」
ヴァトーと呼ばれた巨漢の指示で、男たちは横一列に並ぶ。 その数8人。
並ぶと言っても軍隊のような規律は一切なく、姿勢はだらけきっており、あくびをする者、ガムを噛む者、シケモクをくわえる者と好き放題であった。
ヴァトーはグローブのような手をパンパンと叩いて一同の視線を集める。
「あー、まあ、あれだ。
本命のガバメント跡の方はドクが調査に行ってるから、こっちはおまけだ。
気楽に行こうぜ」
「でもよぉヴァトーさん、先客が居るみたいだぜぇ?」
並んだ男の一人が広場の隅を指さす。
防塵用のシートで簡単な偽装を施された三輪バイクが停まっていた。
フィオの三輪バイクである。
ヴァトーは大雑把な作りの顔をにたりとほころばせた。
「ほぉう、いいじゃねえか。
退屈なゴミ漁りに楽しみができるってもんだ。
お前ら、ポンチョはしっかり被っとけよ!」
ヴァトーの指示で男達は独特なポンチョを取り出した。
アイネズを捕獲した一党が装備していた物と同じカモフラージュポンチョである。
「さぁて……ハンティングの開始だな!」
工場内に侵入したフィオとキキョウは、拍子抜けするほどスムーズに探索を進めていた。
アーミーの調査直後という事は、罠も障害物も根こそぎ排除された後という事である。
めぼしい物は軒並みアーミーに持ち去られているが、危険も何もない。
あっさりと、フィオは因縁の場所にたどり着いていた。
薄暗い何の変哲もないT字路。
突き当たりに差し掛かる寸前でフィオは足を止めた。
「多分ここ、だ……」
あの時のようにマルチプルゴーグルを掛けたフィオは絞り出すように呟くと、床に視線を落とす。
ゼンクが命を落とした通路には血痕のひとつもない。
レーザーに焼かれた彼の傷は焼き潰され、出血しなかったから。
「アーミーが持ってっちゃったのかな、兄貴の……」
遺体、と言葉に出したくなかった。
フィオが置き去りにしてしまったゼンクの遺体はアーミーの手により持ち運ばれていた。
ゼンクに執着するシヤの指示である。
兄貴分の仇も取れず、遺体の回収すらできない。
フィオのゼンクへの負い目はまた一段と深まっていく。
「キキョウさん、僕は……」
「マスター」
鬱々とした主の言葉を背後に控えるメイデンは遮った。
「機械である私には、貴方の葛藤を推測する事しかできません。
ですが、断言出来る事もあります」
「……何?」
「ゼンク様のために出来る事が少ないとお嘆きなのでしょうが、そもそもそれは筋違いというものです。
死者は何も望みませんし、死者に対してできる事などありません。
偲ぶことだけが、亡きあの方へ捧げられる唯一のものなのです」
キキョウの言葉にフィオは険しく顔を歪めた。
「僕には、何も出来ないって事?」
「偲ぶこと、思い出すことだけではいけませんか?」
「それじゃ、気が済まないっ!」
激昂する主に、キキョウは細い眉を下げた。
「あの方に捧げる、形有るものがないからですか?」
「そうだよっ!」
「では、かつてあの方のパートナーだったものから、お願い致します」
キキョウはふわりとフィオを抱きしめた。
豊満な胸に少年の頬が埋まる。
「立派な砂潜りになってください。
生きて、学んで、それを明日の糧に繋ぐ、そんな男に。
それがあの方の望みであったと記憶しています」
「それは……」
フィオは言葉に詰まった。
ゼンクが常々言っていた事だ。
どんな失敗をしても生きていればいい。 そこから学んで一回り大きくなる。
そう言った彼自身が不慮の死を迎えたからこそ、フィオの胸にその言葉は深く刻まれていた。
初心に返る思いがフィオの心を満たす。
「うん……。 僕は、なるよ。
兄貴の言ってた事を全部やるのは難しいけど、少しずつでもこなして、兄貴みたいな砂潜りに」
キキョウは若き主の言葉に微笑み、ぎゅっと抱きしめた。
「通路の真ん中でよぅ、いちゃつくのはやめてくんねえかなあ?」
唐突に、見知らぬ野太い声が割って入る。
同時に轟く銃声。
キキョウは左のマルチブーストアームに握った高速振動マチェットの腹を声の方向に向けながら掲げ、主を抱きしめて己の体を盾にした。
飛来した8発の拳銃弾は3発がマチェットの刀身で防がれ、1発は外れ、残り四発はキキョウの体に着弾した。
メイデンの思惑通り主には一発も当たっていない。
拳銃弾などでキキョウは止めれない。 右のマルチブーストアームに握った軽機関銃を襲撃者に向け、即座にフルオートで発射。
反撃の7.62㎜弾が狭い通路を飛翔し、襲撃者に襲いかかる。
だが。
「ふんっ!」
野太い男の気合いと共に太い腕が一閃、銃弾はバラバラとその場に落ちてしまう。
「な……」
キキョウはアメジストの瞳を見張った。
彼女のセンサーを持ってしても、敵が何をして銃弾を防いだのか、見て取れない。
そもそも、彼女のセンサーはこの近距離まで近づく一団の男たちを把握してなかったのだ。
「ウィルス弾を食らったのに動けるとは、ドクの話と違うじゃねえか。
あの野郎、いい加減なもん渡しやがって」
唸るような低音で呟く男は、天井に頭が着きそうな程の異様な巨漢。
その背後には8人の男達がいる。
彼らが、ポンチョをはだけて武器を構えているから気付けた事だ。
「そのカムフラージュポンチョにウィルス弾。 ドクという人物について聞かねばなりませんね」
キキョウはフィオを背後に庇い、男達を睨み据えた。
「ほう? うちの虎の子を知ってるって事ぁ、どっかから情報が漏れたのか?
まぁいいや、こっちこそ聞かせてもらうとするぜ、メイデンちゃんよぉ」
巨漢はうっそりと笑うと、身を屈ませる。 戦前の有名スポーツ、アメフトのタックルを思わせる構えだ。
この巨漢がどのような手段で銃弾を無効化したのか不明な以上、別種の攻撃手段を試みる必要がある
「マスター、下がって!」
キキョウは主に叫びながら高速振動マチェットを突き出し、床を蹴った。
背後に主が居るため、スラスターは吹かせない。
「はっ」
巨漢は気合いとも嘲笑ともつかない声をあげると突進する。
その顔面目指して突き込まれた高速振動マチェットの切っ先は、大きく振り回された裏拳によって弾かれた。
「なっ」
キキョウのCPUに驚愕が走る。
起動状態の高速振動マチェットは刀身全体が微細に振動して破砕能力を持っている。
刃の部分でなくても、生身で触れれば拳の方がミンチになってしかるべきなのだ。
「おらぁっ!」
キキョウの驚愕は続く。
巨体を丸めるような低い姿勢からのタックルが、高速振動マチェットを受け流され、開いたキキョウの胴に広い肩が突き刺さる。
「ぐっ……!?」
身長230㎝の巨大な肉塊が身長160㎝の女性を吹き飛ばす様は、見た目だけなら至極当然だ。
だが、実際には異常な光景である。
戦闘用メイデンであるキキョウの体重は華奢な外見とは裏腹に下手な関取以上だし、装備品の重量も加味すれば200㎏近くにも達する。
それを軽々と吹き飛ばす膂力は人間業とも思えない。
さらに。
撥ね飛ばし様に巨漢が左腕を一閃すると、ぶちりと鈍い音が響いた。
「キ、キキョウさん……」
脚部スラスターも用いた緊急バックステップで何とか距離を離したキキョウに、T字路の角まで逃げ込んだフィオが震え声を掛ける。
「なかなか堅いな、メイデンちゃん?」
にやつきながら巨漢は引きちぎった「もの」に唇で触れてキスをすると、床に放り出した。
肩口から引きちぎられた細い腕が赤黒い潤滑液を撒き散らしながら転がる。
迸る潤滑液を組織閉鎖して止めながら、キキョウは巨漢を睨みつける。
右腕を喪失したキキョウのCPUは、低下した己の戦力でこの得体の知れない敵から背後の主を守るにはどうすべきか、全力で演算していた。
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