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拘束3
しおりを挟む「へえ、珍しい客だな」
「他の風紀委員は?」
中には委員長である実元だけがいた。
「能力使って暴れた馬鹿が出たんで、それに向かってる奴と通常の見回りにいってる」
「能力使った者がいたなら、おまえが行かなくていいのか?」
「俺が出るほどの奴じゃねえよ。逆に俺が出ていて、もっと能力の高い奴が問題起こしたら、すぐに対応できないだろ。最近はたまにあんだよ」
「なるほど」
「で? なんの用だ」
「ああ、これを」
「書類を持ってきただけじゃないんだろ?」
「…ああ、生徒が噂していたぞ。風紀が役に立たないってな」
「それで? 馬鹿にしにわざわざ来たのか?」
実元の言葉に比坂は自分の言葉が悪かったと気づく。
「…違う。気になったんだ。今どうなってるか、俺はほとんど知らない」
「部屋にこもりっぱなしだもんな。…たしかに、完全には対処しきれているとはいえないかもしれない」
珍しく実元の弱音に、弱ったような表情。それほど現状は大変で、疲れているんだろうと比坂は思う。
「…悪い。俺は生徒会の仕事で手一杯で、他のことまでできない」
「は、こっちは風紀委員がちゃんといるんでな。問題ねえよ」
「そうか。そうだな。…だが、あまり無理はするなよ?」
自分がいえたことではないが。
「ああ、…ありがとな」
「いや…」
実元はやはり根は悪い奴じゃないのだろうと、この時比坂は思った。少しの安堵に身体が少し楽になったような気がする。
その次の日、比坂は久しぶりに寮へと戻ろうと考えた。
校舎から出て庭を進んで寮に向かうのだが、人通りの少ない場所にきたところで集団が比坂を囲んだ。
そんな突然のことにも表情を変えることはない。隠れていた場所から飛び出そうとしているのを気配で気づいていたからだ。伊達に軍事学校の生徒会長ではない。
「俺に向かってくるなんて勇気があるのか馬鹿か、どっちだ?」
集団に囲まれても余裕に不敵な笑みを見せる。風紀に不満がある人間がいるなら、生徒会に不満のある者もいるだろうし、そんな連中だろうと考えられた。これまでの鬱憤もあるだろう。
「うるせえ、こんだけ囲まれてたら逃げられねえよ!」
集団の1人の不良が吠える。
「逃げる気なんてねえよ」
不敵な笑みと声に集団は苛立ち、辺りはパリパリと電気の音が響く。集団の1人が手に電気の固まりを溜めて比坂に向かった。
比坂は、身体機能を高めて攻撃を軽く避け、ついでにその背に拳を叩き込む。
さらに次々と向かってくる男達をも上手く避けて攻撃していくが、人数がかなり多い。最初に姿を見せたのより増えていた。
連日の仕事漬けに、本人が思っているよりも身体は疲れており、身体のコントルロールをわずかに失敗し、足が止まる。そこに男の攻撃が迫る。
衝撃に身構える比坂だったが、衝撃はこず、迫ってきた男の攻撃は、風紀委員長、実元が防いでいた。
通りすがりの生徒が風紀を呼んだのだ。
「会長様はもてもてだな?」
「嬉しくないんだが…」
「こんだけ集団が襲ってきてんだ。そこまで制限かける必要はないぜ?」
「風紀がそういうなら、遠慮なく」
襲われたといっても、手加減をしていた比坂。能力を使うことはそれほど危険がともなう。しかし、そうも言ってられないので、制限していた力を使うことにする。
電気の能力で行えることは主に身体機能を上げるものと、身の周囲に電気を帯びるものとある。そうして攻撃したり、防御したりする。
それとは別に遠距離攻撃の使い方もある。実元は小さな雷を発生させて生徒に当てる。当たった生徒は叫んで気を失っていく。
比坂のほうは大気を変化させ、氷の塊を作りだし、その氷を動かし当てていく。戦闘なら刃にするところだが、今はただの塊なので打撃だ。
雷を発生させるには十分なエネルギーが必要であり、大気変化は高度な技を必要とするものである。
遠距離攻撃なんて、一般生徒からするとチートなのだが、相手は2人だけだからか、暴漢者達は2人に向かっていく。
そうしてできあがったのが、集団が倒れるているという空間である。
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