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バルファ旅行記
バルファ旅行記7
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「けど、厳重な取り締まりがあるのに、なんで」
だいたい、この世界の人間が手引きしないと分からないことが…、あ、こっちの悪い人間が手引きしてんのか。
「昔は緩かったらしいしな。俺はどんなに防ごうともいつかは問題は起きると思ってるからな。問題が増えたって、当たり前のことだと思うがな」
「その言い方だと問題が起きるのを黙認しているみたいですよ」
「もちろん、できるだけないにこしたことはない。…ただ、オミが落ち込むようなことじゃないと言いたいんだ」
「オミ。大丈夫?」
メリルが俺の頭を撫でてくれているが頭を上げられない。どっちにも悪い奴がいるからと言っても、落ち込む。なんというか、生々しい問題ってのはどうしてもあるものなんだな。
「そうですよ。あなたが気にするようなことではないです。あなたの世界でもいろんな問題はあるのでしょう?」
「そうだな…。ただ…、俺はこのバルファにすごく行きたくてやっとこれたから…」
できれば、きらきらと眩しい部分だけ見たかった。
「そういえば。あの場所にいたということは、ラルクスに会いに行こうとしてたんじゃないんですか?」
「そうだけど…、人に悪さされた後で会ってくれるのだろか…」
普通、動物って怖がるよな。う……、そう考えるとさらに落ち込む……。
「なに言ってんだお前…。ラルクスは警戒心強い生き物なのに、その子供に懐かれてんじゃないか」
…そういえば、ラルクスの子供はずっと俺にくっついてる。今は肩の上に乗っている。
「それなら、他のラルクスにも会えるだろうか?」
「オミなら大丈夫だよ!」
「メリルが言うなら安心かな?」
「うん!」
「…そんなに信用もできねえぞ?」
「ルーバルトの馬鹿!」
「いてっ!そっちのが馬鹿だろ。チビ」
メリルがルーバルトの頭を蹴った。そんなに痛くないだろうが、ルーバルトは子供が見たら泣きそうな顔でメリルを睨む。それがおかしくて笑った。
気持ちが落ち着いてから、さっきの場所にもう一度行ってみる。
「あーー、緊張する…」
「もうすでに会ってるんだよ?」
「そうなんだが…。違うんだ…」
腕の中にラルクスの子供がいるが。俺はずっと、ラルクスに会いたかったんだよ。子供を見てラルクスが会いたかった生き物だってはっきりしたから。
「あ、ほら」
「お、お…」
いつのまにかラルクス達が何匹もふわふわ浮いて、俺達の前にいた。
少し警戒したような目をしているようだ。
「キュキュッ」
「鳴いた!」
子ラルクスの鳴き声を初めて聞いた。
その声に答えてか、大人ラルクスが一声鳴いて、近づいてくる。
「ほらほら、オミ。触りなよ」
「いい、のか?」
恐る恐る、目の前に浮いてるラルクスを撫でてみると、気持ちよさそうに目を細めた。
「は…。うれし…」
涙出そう。
「良かったね!」
調子に乗って、撫で撫でと繰り返していれば、どっからか沸いたたくさんのラルクスに飛びつかれた。どうやら他のラルクスも触ってほしいらしい。
忙しく、全部のラルクスを撫でてやる。
「…でも、なんでオミはラルクスに会いたかったの?」
「昔、小さい頃に会ったことがあるんだ」
「へー。小さいオミ、見たかったな!」
初等部の頃、ほんの少しの間だけだが、見たんだ。ラルクスを。
それからずっと、会いたかった。
そういえば、あのラルクスはあの男がしたようにさらわれて連れてこられたラルクスだったんだろうか。
…だったら悲しいな。
「オミ?」
「いや」
俺は首を振る。今考えてもしかたない。今は、このもふもふを堪能しよう。
それから、夕方になる前に帰ることになる。
城の広場に集まり、魔法陣らしきものの上に立つ。あの男はいないので、取り調べとかされるんだろう。組織のことが分かるといい。
「うわーん!オミ行っちゃやだー」
「いや、無理だからな」
メリルが胸元に抱きついてる。嫌だと言っても強制送還される。それどころか捕まるかもしれん。
ちなみに子ラルクスもくっついてる。何故だと思うが、つっこむまい。
「えーと、香方様?そろそろ…」
「ああ…」
案内のリーンさんが困ったように話しかけてきた。そうだよな。ここの生き物ついたままじゃ魔法発動できないよな。
だいたい、この世界の人間が手引きしないと分からないことが…、あ、こっちの悪い人間が手引きしてんのか。
「昔は緩かったらしいしな。俺はどんなに防ごうともいつかは問題は起きると思ってるからな。問題が増えたって、当たり前のことだと思うがな」
「その言い方だと問題が起きるのを黙認しているみたいですよ」
「もちろん、できるだけないにこしたことはない。…ただ、オミが落ち込むようなことじゃないと言いたいんだ」
「オミ。大丈夫?」
メリルが俺の頭を撫でてくれているが頭を上げられない。どっちにも悪い奴がいるからと言っても、落ち込む。なんというか、生々しい問題ってのはどうしてもあるものなんだな。
「そうですよ。あなたが気にするようなことではないです。あなたの世界でもいろんな問題はあるのでしょう?」
「そうだな…。ただ…、俺はこのバルファにすごく行きたくてやっとこれたから…」
できれば、きらきらと眩しい部分だけ見たかった。
「そういえば。あの場所にいたということは、ラルクスに会いに行こうとしてたんじゃないんですか?」
「そうだけど…、人に悪さされた後で会ってくれるのだろか…」
普通、動物って怖がるよな。う……、そう考えるとさらに落ち込む……。
「なに言ってんだお前…。ラルクスは警戒心強い生き物なのに、その子供に懐かれてんじゃないか」
…そういえば、ラルクスの子供はずっと俺にくっついてる。今は肩の上に乗っている。
「それなら、他のラルクスにも会えるだろうか?」
「オミなら大丈夫だよ!」
「メリルが言うなら安心かな?」
「うん!」
「…そんなに信用もできねえぞ?」
「ルーバルトの馬鹿!」
「いてっ!そっちのが馬鹿だろ。チビ」
メリルがルーバルトの頭を蹴った。そんなに痛くないだろうが、ルーバルトは子供が見たら泣きそうな顔でメリルを睨む。それがおかしくて笑った。
気持ちが落ち着いてから、さっきの場所にもう一度行ってみる。
「あーー、緊張する…」
「もうすでに会ってるんだよ?」
「そうなんだが…。違うんだ…」
腕の中にラルクスの子供がいるが。俺はずっと、ラルクスに会いたかったんだよ。子供を見てラルクスが会いたかった生き物だってはっきりしたから。
「あ、ほら」
「お、お…」
いつのまにかラルクス達が何匹もふわふわ浮いて、俺達の前にいた。
少し警戒したような目をしているようだ。
「キュキュッ」
「鳴いた!」
子ラルクスの鳴き声を初めて聞いた。
その声に答えてか、大人ラルクスが一声鳴いて、近づいてくる。
「ほらほら、オミ。触りなよ」
「いい、のか?」
恐る恐る、目の前に浮いてるラルクスを撫でてみると、気持ちよさそうに目を細めた。
「は…。うれし…」
涙出そう。
「良かったね!」
調子に乗って、撫で撫でと繰り返していれば、どっからか沸いたたくさんのラルクスに飛びつかれた。どうやら他のラルクスも触ってほしいらしい。
忙しく、全部のラルクスを撫でてやる。
「…でも、なんでオミはラルクスに会いたかったの?」
「昔、小さい頃に会ったことがあるんだ」
「へー。小さいオミ、見たかったな!」
初等部の頃、ほんの少しの間だけだが、見たんだ。ラルクスを。
それからずっと、会いたかった。
そういえば、あのラルクスはあの男がしたようにさらわれて連れてこられたラルクスだったんだろうか。
…だったら悲しいな。
「オミ?」
「いや」
俺は首を振る。今考えてもしかたない。今は、このもふもふを堪能しよう。
それから、夕方になる前に帰ることになる。
城の広場に集まり、魔法陣らしきものの上に立つ。あの男はいないので、取り調べとかされるんだろう。組織のことが分かるといい。
「うわーん!オミ行っちゃやだー」
「いや、無理だからな」
メリルが胸元に抱きついてる。嫌だと言っても強制送還される。それどころか捕まるかもしれん。
ちなみに子ラルクスもくっついてる。何故だと思うが、つっこむまい。
「えーと、香方様?そろそろ…」
「ああ…」
案内のリーンさんが困ったように話しかけてきた。そうだよな。ここの生き物ついたままじゃ魔法発動できないよな。
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