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バルファ旅行記つー
つー3
しおりを挟む「すみません。あなたの都合もあったでしょう」
「気にしなくていい。怪しかったけども、再び訪れることができて喜んでる」
実は感謝してるなんて、ルーバルトに言うと調子乗ってシャルハが大変そうだから言わないほうがいいだろう。だから、表情もきりっとしている。
「…ありがとうございます」
シャルハは俺が気を遣ったって考えたんだろうな。
「ほら、俺がオミを選んだ理由が来たぞ」
庭に面した廊下を歩いていて、ルーバルトがしめした先を見ると、ラルクス達が集団で飛んできていた。
「おおー、もしや出迎えてくれたとか?」
そう考えてたら、近くにたくさんのラルクスが来てくれた。久しぶりのもふっと感。幸せだ。
「ラルクスは温厚だが、懐かせるのは難しい。それだけ好かれるなんて素質あるかもだろ」
「そうですね」
「えー、会長ずるい。俺まだもふもふさせてもらったことないよー」
「ふっそうかそうか」
「くっ自慢げー。…あれ?委員長も懐かれてるねー」
なんだと?!
…たしかに俺と同じくらいにラルクスが誠那の周りにいる。
「なんでだ!俺はラルクスを助けたから懐かれたんだぞ!」
「…別に…」
「なにもしていないと?!」
何故だ!
「かいちょー、落ち着いて!委員長はもともとこっちの人だから!出会う機会は会長より遙かにあるよ」
「あ、そうか。セイナはラルクスと何度も会ってんのか?」
「ああ、まあな」
「なんだ。それなら普通か。俺のほうが一回で懐いたんだからすごいよな」
「会長…」
哀れな目で見んな一十。
「そうだな。すごい。滅多にそんな人間はいないはずだ」
「そうだろう」
「…委員長がバルファの人だと知った時はびっくりしたけど、委員長は変わらず委員長だから安心するよ」
それは俺が変だと言いたいのか?お前だって特殊警察ってありえないだろ。そんな軽い警察いるのかよ。
ラルクス達と別れ、さらに進んで広い庭に来て、どういうことかと思えば、
「おおお…」
「わー…」
「このタイプは久しぶりに見るな。さすが王城か」
建物によって見えてなかったものが見えた。
竜だ。ドラゴンだ。前は見なかったがいるって言ってたな。黒緑色の肌をした、よくあるあのドラゴンの姿だ。鱗は堅そうで、大きさは、トラックくらい?翼広げるともっと大きいかもな。
「…どこかに行くのか?」
「まあな」
俺達が感動しているのに、誠那はさくっと本題に入りやがった。これだから現地の奴は…。見飽きてんのか。羨ましい。これ終わったら携帯番号アドレスなどなど、教えてもらおう。仲良くなるぞ!生態学者への道が開けたな。
「この色のドラゴンはたしか飛行能力が秀でているタイプだっけ?」
「ああ、ドラゴンはどれも飛行能力高いけどな。戦闘能力が高いなんてタイプもいるぞ、オミ」
「おお、なるほど」
一十もドラゴン知識を披露しやがってと思ってたら、ルーバルトが説明くれた。助かる。褒めないがな。
「好感度を上げようとしてるんですよ」
「だろうな」
「おい…」
シャルハの言ったことは分かってた。俺のこと美人とか言うし。
さらにドラゴンの近くまで来る。もう数メートルで触れそうだ。どうしよう。鼻血でそう。
「オミ。ドラゴンに触れてみるか?」
「…ルーバルト…」
シャルハが不安そうなとこからするに、ドラゴンはよくある設定のように、気性が荒く人にあまり懐かないんだろう。それを俺に試してる。
いいだろう。やってやる。
ドラゴンに蹴られるなんて望むところだ!
どーんとドラゴンに抱きつくように当たりにいった。大きくて堅いので跳ね返されたが。次はゆっくりと密着すれば問題なかった。ひんやりして気持ちいい。あー、もう一生このままでいい…。
「ほお。やっばり好かれやすいんだな」
ルーバルトの褒め言葉が聞こえた。そうだろそうだろ。
「でもこのドラゴンは人に慣れてるんじゃないの?そうでなかったら人が乗れないじゃん」
「あん?」
「こわっ!顔だけ動かして睨まないで!」
「たしかに慣れてるが、仕事でもないのにこんなにべったりしたら、嫌そうな態度になるぞ」
だろう。このドラゴン、少し体を寄せてきているしな。しかし、重苦しい。ドラゴンになら圧死されても…、いや、それはさすがに…。
「ほら、落ち着け。相手は小さいんだぞ?」
誠那が俺がくっついているドラゴンの体を強めに叩く。するとドラゴンが体を動かして、俺は苦しくなくなった。
「…助かる。ドラゴンにも慣れてんのか?」
一十と違って、誠那はここの人間だからな。ドラゴンと仲良しでも当然だろう。
「まあな」
くっ、普通だろ、みたいな雰囲気が気になるが、誠那はバルファだ。
バルファってことは俺のバルファ生態学の対象なんだぞ。落ち着け自分。
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