26 / 49
バルファ旅行記すりー前編
すりー前編3
しおりを挟む
まあ、とにかく下手に動かないのが常套だな。魔法の世界だし、すぐに俺がいないことに気づいてなんとかしてくれるだろう。
どれだけの日数がかかるかは分からないから、水と食料の確保の為に軽く探索はするか。今回は非常用に向こうの世界から持ってきた栄養たっぷりチョコレートがあるから、そこまで焦ることもないが。
『…もし、そこの方…』
まずはこの場所に戻ってこられるように、分かりやすい目印を作るか。ほどよい高さの木があるので、そこにシートをかぶせよう。
『聞こえぬかの?』
「うお?! なんか聞こえた!」
『ああ、よかった』
人なんていないと思いこんでいたので突然の声にビビった。
「ええと、あなたは…」
『驚かせて申し訳ない人の子よ』
全国のバルファふぁんの皆さん聞きましたか?
人を人の子なんてわざわざ言うなんてその人?は人じゃないってことですよね。
そうです。俺の目の前にいる存在はふわふわ浮いて透けてる人です。ホラーではないと思います。
「どういうお方なのか教えていただけないでしょうか。俺は人間でオミです」
『そうか。オミ、私は精霊というものよ』
「もしや木の精霊でしょうか」
すぐ近くに大きな木があって、根本とか寝転んで寝られそうとか思っていたんだが、その木の側で精霊さんはふわふわ浮いているんだよ。
『その通りだ。理解が早くて助かるよ』
「話かけてくれたのは友好的な意味ですか?」
『そうよの』
「では! いくつか質問があるのですがいいですか?! 見た感じ透けてはいても人と変わらない姿なのは、それは力が強いからでしょうか。それと、年齢はけっこういってるんですか。好きな食べ物とかありますか?」
精霊さんは性別はいまいち分からないがなんとなく男っぽくて、期待を裏切らない美しく儚い姿をしている。
足が地面についてなくて高い位置に浮いてるからか、衣がひらひらゆったりしていて、色合いは全体が透けてるのではっきりと分からないが、落ち着いた色ではなかろうか。
『………少し待ってくれぬか?』
「はっ! 俺の馬鹿! なにマナーの悪いファンみたいになってんだ! こういうのはひっそり見守るのが鉄則だろ! なに声かけられたくらいで調子乗ってんだ。童貞か!」
やってしまった。俺だったらそんなやつ冷めた目で見るぞ。
『ふっ。見た目と違って元気な子よ。できる限り答えてやりたいが、まずは大事な話をしよう』
「…はい。よろしくお願いします」
変な奴とは思われなかったけれど諭すような言葉から子供認定されたようだ。頬が赤くなる。雰囲気からもやっぱり長く存在している精霊だろう。
『…では少し大事な話だ。そなたがここに来た理由は、私が引き寄せた』
「あなたが?」
『うむ。不快な方法で強制的に連れてかれそうになっていたのでな』
「え、それってつまり誘拐でもされかけたんですか?」
『そういうことだろうな』
「でもなんで俺を誘拐?」
ここの世界では知り合いすら少ない。恨みは多少買ってるかもしれないが、俺だけってのも不思議だしな。手がこんだやり方から余程の理由があるはずだ。
『覚えがないのなら相手を間違えたのだろうよ』
「それなら納得できるな。もし間違いだと誘拐犯が知ったなら、俺はかなりやばかったわけか…。ありがとうございます。えっと精霊さん?」
『ウィルムという。礼には及ばぬよ。偶然近くで気づいたゆえのこと』
「いえ。ウィルムさんは命の恩人です。なにか俺にできることがあれば言ってください」
精霊の好むものってなんだろ。なにかの手伝いとかできなさそうだし、後で誠那に聞くか。
『ふふ、なら迎えが来るまで話し相手にでもなってもらおうか。世界のことは仲間から聞きもするが、なにせこのように他のところに行けぬ身ゆえ、会話には飢えておる』
「はい! 喜んで。それではさっそく………。ウィルムさんは世界のどんな情報を好むんですか?」
いかんいかん。また暴走しそうになった。恩人への恩返しなんだ。親の会社の取引相手への対応のように丁寧に。
『ふふふ。子供が大人ぶることもない。もう好きに聞いてかまわぬ』
「では! まずは写真よろしいですか?」
切り替え早っというのは自分でも分かってる。そしてさらに図々しい要望するなんてこずるいが許してくれっ。
どれだけの日数がかかるかは分からないから、水と食料の確保の為に軽く探索はするか。今回は非常用に向こうの世界から持ってきた栄養たっぷりチョコレートがあるから、そこまで焦ることもないが。
『…もし、そこの方…』
まずはこの場所に戻ってこられるように、分かりやすい目印を作るか。ほどよい高さの木があるので、そこにシートをかぶせよう。
『聞こえぬかの?』
「うお?! なんか聞こえた!」
『ああ、よかった』
人なんていないと思いこんでいたので突然の声にビビった。
「ええと、あなたは…」
『驚かせて申し訳ない人の子よ』
全国のバルファふぁんの皆さん聞きましたか?
人を人の子なんてわざわざ言うなんてその人?は人じゃないってことですよね。
そうです。俺の目の前にいる存在はふわふわ浮いて透けてる人です。ホラーではないと思います。
「どういうお方なのか教えていただけないでしょうか。俺は人間でオミです」
『そうか。オミ、私は精霊というものよ』
「もしや木の精霊でしょうか」
すぐ近くに大きな木があって、根本とか寝転んで寝られそうとか思っていたんだが、その木の側で精霊さんはふわふわ浮いているんだよ。
『その通りだ。理解が早くて助かるよ』
「話かけてくれたのは友好的な意味ですか?」
『そうよの』
「では! いくつか質問があるのですがいいですか?! 見た感じ透けてはいても人と変わらない姿なのは、それは力が強いからでしょうか。それと、年齢はけっこういってるんですか。好きな食べ物とかありますか?」
精霊さんは性別はいまいち分からないがなんとなく男っぽくて、期待を裏切らない美しく儚い姿をしている。
足が地面についてなくて高い位置に浮いてるからか、衣がひらひらゆったりしていて、色合いは全体が透けてるのではっきりと分からないが、落ち着いた色ではなかろうか。
『………少し待ってくれぬか?』
「はっ! 俺の馬鹿! なにマナーの悪いファンみたいになってんだ! こういうのはひっそり見守るのが鉄則だろ! なに声かけられたくらいで調子乗ってんだ。童貞か!」
やってしまった。俺だったらそんなやつ冷めた目で見るぞ。
『ふっ。見た目と違って元気な子よ。できる限り答えてやりたいが、まずは大事な話をしよう』
「…はい。よろしくお願いします」
変な奴とは思われなかったけれど諭すような言葉から子供認定されたようだ。頬が赤くなる。雰囲気からもやっぱり長く存在している精霊だろう。
『…では少し大事な話だ。そなたがここに来た理由は、私が引き寄せた』
「あなたが?」
『うむ。不快な方法で強制的に連れてかれそうになっていたのでな』
「え、それってつまり誘拐でもされかけたんですか?」
『そういうことだろうな』
「でもなんで俺を誘拐?」
ここの世界では知り合いすら少ない。恨みは多少買ってるかもしれないが、俺だけってのも不思議だしな。手がこんだやり方から余程の理由があるはずだ。
『覚えがないのなら相手を間違えたのだろうよ』
「それなら納得できるな。もし間違いだと誘拐犯が知ったなら、俺はかなりやばかったわけか…。ありがとうございます。えっと精霊さん?」
『ウィルムという。礼には及ばぬよ。偶然近くで気づいたゆえのこと』
「いえ。ウィルムさんは命の恩人です。なにか俺にできることがあれば言ってください」
精霊の好むものってなんだろ。なにかの手伝いとかできなさそうだし、後で誠那に聞くか。
『ふふ、なら迎えが来るまで話し相手にでもなってもらおうか。世界のことは仲間から聞きもするが、なにせこのように他のところに行けぬ身ゆえ、会話には飢えておる』
「はい! 喜んで。それではさっそく………。ウィルムさんは世界のどんな情報を好むんですか?」
いかんいかん。また暴走しそうになった。恩人への恩返しなんだ。親の会社の取引相手への対応のように丁寧に。
『ふふふ。子供が大人ぶることもない。もう好きに聞いてかまわぬ』
「では! まずは写真よろしいですか?」
切り替え早っというのは自分でも分かってる。そしてさらに図々しい要望するなんてこずるいが許してくれっ。
0
あなたにおすすめの小説
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
タトゥーの甘い檻
マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代)
どのお話も単体でお楽しみいただけます。
「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」
真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。
それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。
「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。
アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。
ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。
愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。
「……お前のわがままには、最後まで付き合う」
針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。
執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる