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バルファ旅行記すりー前編
すりー前編13
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次の日は、いったん疲れを癒そうということで移動せず、同じ宿でもう一泊することにした。
「なら、観光したい!」
「…どんな?」
「別にただの散歩でも魅力的だな。そうだ。こっそりカメラで撮っていいか? …なんで今まで思いつかなかったのか…」
「こっそりならいいさ。ややこしいことにならないよう気をつけてな?」
「おう。あれ? セイナは一緒に行かないような言い方だな」
「少しな…。いくつか調べたい」
「分かった。ならさっそく行ってくる」
朝食を食べ終えた後、カメラと魔法具に、誠那に渡されたお金少々を持つ。顔が目立つのは十分分かってるので、なるべく目立たない格好にしている。ここは巡礼の道にそって街があるし、宿はその道沿いにあるから、まず迷わず帰ってこれる。
街は逃げないが、俺は足早に宿を飛び出した。そしてすぐに巡礼の人々の姿が見えたが、それより街の人々の暮らしが見てみたいので、巡礼の道からさらに奥へと進む。
「予想通り、荒れっぷりが増すな」
狭い路地の、道行く人の着ているものはいいとはいえない。今まで見てきたところより貧困の多いところのようだ。
少し広い道に出ると店が並んでいて、いろんな物を売っていた。説明役の誠那がいないとどんな物か想像するしかないな。
活気はそこそこあり、小さな子供が俺の横を走り抜けていく。説明役はいないが、俺は1人でバルファの大地の上を歩いていると思うと感慨深く思えてくる。誠那は真面目で心配性のところがあるから、1人で行動させないかと思ってた。実はちょっとびっくりしたが、俺のことをちゃんと認めてくれていると、考えてもいいのだろうか。
カメラはこっそり動画モードで撮影している。小さな麻袋の中に入れていて、かなり盗撮している気分だ。実際そうなるのだろうか…? いやっ。誠那がちゃんと許可とってきてるんだから、これは調査に違いない。
何か分からない物は写して、後で誠那に聞けばいいと分かった俺は店の商品も写していく。
飽きることなく歩いていると腹が昼を教えてくれた。
辺りを見ると屋台が出ていて客も多い。俺はどうしようかと思案したが、すぐに屋台料理の魅力に負けて頼んでみる。
椅子とかないので立ち食いだ。
器には麺のようなものが入っていてこってりしたタレがかかっている。上には野菜炒めがのっている。思ったよりは濃くないが、味は微妙だった。慣れれば美味しいかも…?という感じだ。それでもバルファのこの街の料理だと思えば幸せだ。
その後再び散策だが、そろそろ限界のようだ。
俺はしかたなく、場所を変える。広めの道から狭い道へと入った。ゆったりした時間があれば、こんな道を何も考えることなく進んでみたいものだ。と考えたりしているが、意識はしっかり後ろの気配を探っている。角を曲がったところで、
そいつらは襲ってきた。
「よー、坊ちゃん。いい服着てるな。俺にも何か恵んでくれない?」
分かりやすい悪人だな。ずっとつけられており、俺が目立つだろうことは初めから分かっていたから、警戒はしていたんだ。
悪人らはそれらしい人相で4人ほどのようだ。
「つか、美人なんだし、さらっちまおう。んでたっぷり遊んでからどっか売ればいい」
「たしかに高く売れそうだよな」
どうも会話からすると、ここを散策する前から俺のことを知ってるようだな。おそらく宿の食事処で目立ったんだろう。
「悪いがそんなに金は持ってない」
「いいって身体をもらうからよ」
「それもあげることはできない」
嫌な笑いで自分達が負けるなんて思っていない。俺はルーバルトにしっかり訓練を受けてきたんだ。前までとは違う。
バルファといえど、悪人を容赦する必要はない。それに、平和な国と違って身を守る為なら多少過度になったっていいよな?
俺は哀れな悪人達に同情しつつも口角を上げ、さっそく近くの男に向かう。
「なら、観光したい!」
「…どんな?」
「別にただの散歩でも魅力的だな。そうだ。こっそりカメラで撮っていいか? …なんで今まで思いつかなかったのか…」
「こっそりならいいさ。ややこしいことにならないよう気をつけてな?」
「おう。あれ? セイナは一緒に行かないような言い方だな」
「少しな…。いくつか調べたい」
「分かった。ならさっそく行ってくる」
朝食を食べ終えた後、カメラと魔法具に、誠那に渡されたお金少々を持つ。顔が目立つのは十分分かってるので、なるべく目立たない格好にしている。ここは巡礼の道にそって街があるし、宿はその道沿いにあるから、まず迷わず帰ってこれる。
街は逃げないが、俺は足早に宿を飛び出した。そしてすぐに巡礼の人々の姿が見えたが、それより街の人々の暮らしが見てみたいので、巡礼の道からさらに奥へと進む。
「予想通り、荒れっぷりが増すな」
狭い路地の、道行く人の着ているものはいいとはいえない。今まで見てきたところより貧困の多いところのようだ。
少し広い道に出ると店が並んでいて、いろんな物を売っていた。説明役の誠那がいないとどんな物か想像するしかないな。
活気はそこそこあり、小さな子供が俺の横を走り抜けていく。説明役はいないが、俺は1人でバルファの大地の上を歩いていると思うと感慨深く思えてくる。誠那は真面目で心配性のところがあるから、1人で行動させないかと思ってた。実はちょっとびっくりしたが、俺のことをちゃんと認めてくれていると、考えてもいいのだろうか。
カメラはこっそり動画モードで撮影している。小さな麻袋の中に入れていて、かなり盗撮している気分だ。実際そうなるのだろうか…? いやっ。誠那がちゃんと許可とってきてるんだから、これは調査に違いない。
何か分からない物は写して、後で誠那に聞けばいいと分かった俺は店の商品も写していく。
飽きることなく歩いていると腹が昼を教えてくれた。
辺りを見ると屋台が出ていて客も多い。俺はどうしようかと思案したが、すぐに屋台料理の魅力に負けて頼んでみる。
椅子とかないので立ち食いだ。
器には麺のようなものが入っていてこってりしたタレがかかっている。上には野菜炒めがのっている。思ったよりは濃くないが、味は微妙だった。慣れれば美味しいかも…?という感じだ。それでもバルファのこの街の料理だと思えば幸せだ。
その後再び散策だが、そろそろ限界のようだ。
俺はしかたなく、場所を変える。広めの道から狭い道へと入った。ゆったりした時間があれば、こんな道を何も考えることなく進んでみたいものだ。と考えたりしているが、意識はしっかり後ろの気配を探っている。角を曲がったところで、
そいつらは襲ってきた。
「よー、坊ちゃん。いい服着てるな。俺にも何か恵んでくれない?」
分かりやすい悪人だな。ずっとつけられており、俺が目立つだろうことは初めから分かっていたから、警戒はしていたんだ。
悪人らはそれらしい人相で4人ほどのようだ。
「つか、美人なんだし、さらっちまおう。んでたっぷり遊んでからどっか売ればいい」
「たしかに高く売れそうだよな」
どうも会話からすると、ここを散策する前から俺のことを知ってるようだな。おそらく宿の食事処で目立ったんだろう。
「悪いがそんなに金は持ってない」
「いいって身体をもらうからよ」
「それもあげることはできない」
嫌な笑いで自分達が負けるなんて思っていない。俺はルーバルトにしっかり訓練を受けてきたんだ。前までとは違う。
バルファといえど、悪人を容赦する必要はない。それに、平和な国と違って身を守る為なら多少過度になったっていいよな?
俺は哀れな悪人達に同情しつつも口角を上げ、さっそく近くの男に向かう。
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