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バルファ旅行記すりー前編
すりー前編23
しおりを挟む「…さっき辛そうな顔してた。幻獣に思い入れがあるのね。この街は資源が少なくて、巡礼の道からも少しはずれているから、旅人からもそんなに収入が得られなくて…」
「あー…」
うわー、そんな顔してたか。スパイみたく表情をコントロールすべも教えてもらわないとな。
「その、知ってる。いい事じゃないが、怖い人に逆らえないってのもあるんだろ?」
それの怖さはかなりのものだろう。ましてここは守ってくれるはずの国の人達がそもそもあまり来ないのだ。少しは警備兵がいるらしいが、そんなの金をもらってるに決まってるし。
「…賢い子ね。そんなの間違ってるって言っていいのよ。本当だもの。ワイヤはなんとかしたいと思ってるんだけどね」
「…それは止めたほうが…」
「いいのよ。人はそうして考えていないと、いつか何かあった時すぐに動けないでしょ」
この2人だったら無闇に危ないことはしないだろうか。それでもいつか、協力できることがあれば、するつもりってことか。
「なら今、動いてくれるだろうか?」
考えもせず、口にしてしまった。本当ならちゃんとは信用できるのかとか、危ないとか、考えないといけないのに、頭でなく大丈夫だと感じてしまった。
「いいわよ」
あっさりと答えたミュリシャさん。きっと俺と同じく感じとったんだろう。その笑みが頼もしく見えた。
誠那が帰ってきてから喋ったことを言い、さらに協力を願ったことを言う。
溜息を吐かれた。うう…。すまん。
「しょうがないな。夫婦に危険なことはさせたくないが、お前優先だよ」
「セイナ…!」
女が喜びそうなセリフだな。さすがだ。
「情報を話すくらいなら、たいして危険ではないだろうし、事情を話したほうが情報は得られやすいだろう」
「それで俺から話しをしておきながら、なんだが、あまりお国事情が分からないから…」
確か、この国と俺達の本拠地のある国の仲は至って良好だったとは思うが。
「ああ。うまく話そう」
ワイヤさんが帰ってきて、夕食の後に話すことになった。
「なるほど。犯罪者を取り締まる訓練中なのか。なんとなく納得。きっと幹部候補生なんだね。それで、偶然、ここの取引の情報を知り、まずは調査してみようってことだ」
「ええ。ただ、その後どうなるかは分かりません。勿論、報告はしますし、こちらの国とこの国は協定もあるので国が動く可能性は高いです」
「そりゃいい。一度だけ取り締まったところで、完全に消えるとは思えないが、たまには取り締まれられるべきだ」
ワイヤさんの言葉に俺も頷く。
「今回は偶然なので、どこまで調査すべきかまだ不確定なんですが、どうしても様子だけは見たく。そちらの危険になるような情報まではいいので、取引の情報を教えていただけませんか」
「情報くらいそんなに危険でもない。というか、黒幕とかはまださっぱり知らないんだ。偉そうにしている小太りの男はいるんだが、どう見ても下っ端に見える。それにどこから幻獣を仕入れてくるのかも分からない。もうすぐ取引があるんだから、すでにこの街に幻獣はいるはずなんだが、その場所もまったく。だから気にすることはないよ。そっちも無理する気がないなら堂々と入ればいい。警備とかそういうのまで調査する気はないんだろ?」
おお、調べているだけあって話しが早い。
「堂々と、というのは?」
そういえばなんだ?
「単純に、取引の客として入るってことだ」
「そういえば街のおばちゃんが見るだけだ、みたいなこと言ってたけど、そんなに簡単に?」
「それだけ今まで取り締まりがなかったってことさ。それでも一応決まりはある。入る為の方法みたいなものか。それを教えよう」
「ありがとうございます!」
誠那がびしりと頭を下げたので俺も遅れて下げた。ワイヤさんは笑って俺達の仲だろ?と言う。か、かっこいい夫婦だ。
それからワイヤさんの調べた限りを全部教えてくれた。ミュリシャさんもあそこに取引に関係している人が滞在しているとか、買い物中に教えてくる。俺は慌てたが、俺が取引を調べにきた人だなんて誰も思わないから大丈夫だと言う。
どういうことかと思うが、それなら取引に行く人には見えるのかと言えば、ばっちりだと言った。その根拠は分からないが地元の人がそう言うのだから、そうなんだろう。
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