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バルファ旅行記すりー前編
すりー前編25
しおりを挟む「…オミ、触られなかったか」
「…身体検査なんだから当然だろ。というかそう言うってことはそっちもか。セイナも人気だな」
男同士とかに偏見は薄いようだが、好みはわからんな。
「…飢えてんだろ。…我慢すべき時でなければ潰してる」
目が怖い。よほど、嫌だったんだろう。同じだから分かるけどな。気持ち悪すぎる。まあ、気持ち悪さを無理矢理忘れ本来の目的を思い出す。
前を歩く人に合わせて歩いていくと、商品を見せる場所だろう開けた場所と少し高い位置に席があった。俺達は端の通路に面した席に腰を降ろす。
ここまで来たからには表情には出せないが憂鬱だ。犯罪に関わるななら当然だが、こういった悪い状況も見ないといけないんだな。
頭を下げていたら、頭を撫でられた。
「…セイナ」
「無理しなくていい」
「いや…。大丈夫だ」
憂鬱には違いないが、覚悟はしている。しっかりしないと助けられるものも助けられないからな。
席が埋まると下にある舞台に小太りのおっさんが出てきた。完全に悪役の顔だ。時代劇に出てきそうな。
客に媚びを売るような事を長々話した後に幻獣の取引が始まる。オークション形式で手を上げて合図を送るやり方だ。
連れてこられた幻獣は頑丈な檻の中に入れられ、固有能力などは魔法具などで封じられているのだとか。
どの幻獣も元気はない。最悪な気分で無表情を崩し睨みつけるが、ふと、隣の誠那はどうなのかとその表情を見る。
「…けっこう冷静だな」
抑えているというのでもないような。
「…申し訳ないが同族じゃないし、俺は人が奴隷として売られるのも見たことはあるぞ? その国自体貧しいから普通に横行していた」
衝撃の事実にこっちが固まる。人も売られるとか言ってたが、本当に見たことあるんだな。両親の教育であるのは簡単に想像できる。
ファンタジー小説とかだと奴隷はよく出てくるが、暗い話じゃないと、奴隷を一度は買ってみたいとか思わせてしまうが、現実に聞くと複雑だ。
あんまり貧しいと食べられるだけマシだと奴隷でいることを気にしないみたいだが。
「もう、終わりそうか?」
6匹の幻獣が売られ、今の1匹で終わりらしい。
「そりゃあな。幻獣は簡単に手に入るわけもない。よく集めたほうだろ。さっきから売買される幻獣はラルクスよりレアでもなく人気も高くないばすだが、かなりの高額で取引されている。今のスリフは目玉商品ってことになるが、ラルクスほどではないんじゃないか」
「…ラルクス、そんなにレアだったのか?」
城にいっぱいいたけど。
「ドラゴンほどじゃない。城にたくさんの幻獣がいるのは保護されてるからだ」
そういえばあの場所が多いんだとかメリル言ってたな。
取引が終わり、俺は何もできなかったことを悔しく思いながら席を立つ。
「オミ、少し後から行こう」
「…ああ」
誠那に腕を取られたので進みかけていた足を止める。混んでるから後にしよう、とは違う気がする。
人が少なくなってきたところで誠那は動き出す。その後を俺も追う。なんとなくだが、誠那は頭を動かさず周囲を伺っているような気がする。
嫌な予感がする。
俺達が通っている通路とは違うところに隠れている出入り口を見つける。わざと隠しているってこともなさそうで、布があるだけだ。
「ここだな…」
「おい、セイナ。まさか…?」
「ちょっと見てくる。おそらく取引が成立した連中が、幻獣の受け取りをする場所だろう。さっき1人の客だった男が入っていった。見つかっても興味があったとか言えば大丈夫だろうし」
「…それは、しかし危険は危険だろ? そこまでして得る情報があるのか?」
「買った奴の情報が欲しい。そいつらだって悪いんだ」
ああ、買われた幻獣が後にでも助け出されるようにか。
「わかった。俺も行く」
「…1人のほうが目立たないが」
「うるさい。お前1人でも目立つんだよ。それほど危険じゃないんだろ?」
「……わかった」
微妙な顔の誠那だったが、許可してくれた。実際、全体の警備の甘さや、若夫婦の話からして、興味があったんですで乗り切れそうだものな。
ここはこそこそするんでなく堂々としているほうが関係者かな?と思わせるパターンで中へと入る。俺達は堂々とするのは大得意だ。
入ったら狭い場所で何もなかったが、さらに進んでもう1つの布をめくって中に入ると、予想通り、幻獣の受け取り待ちの客がいた。堂々とその様子を見る。
どうやらその場で持って帰る場合もあるが、大抵指定の場所での受け渡しをするようだ。幻獣は主になった者以外は持っているのはおかしいから、それだけで違法の可能性が高い。そのまま持ち帰ることができるほうが驚きだ。こっそり運ぶ準備はできているのだろう。
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