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努力してます3
しおりを挟む「僕の家に許可なく訪問することは誰であれ国王が許してないんだよ。それでお咎めを受けることになるのは君のお父上になられるだろう」
「そんな!こと、聞いて…」
勇者とお近づきになりたいという人はいくらでもいるので、その牽制の為に国王ルドウィードが決まりを定めてあり、違反すれば罰則がある。
女性の父親が知らないはずはない。複製の鍵も父親が渡したのだろう。
「僕の家を見ててくれる巡回の兵もいるから、その人達が来る前に出たほうがいいよ」
「で、ですが」
「ほら、早くしないと大変だ」
やんわりと女性を外に押し出す。強引なのに不快感を与えないという絶妙な手際だ。
クロアが許せばいいんじゃないか。と気づかれると面倒なので追い出さねばならない。
「それじゃあ暗くなる前に帰ったほうがいいよ」
「あ、あの」
「それと僕は君と付き合うということはありえない」
穏やかな表情で、だけど瞳には力がこもってる。一般女子は、それで諦めるしかなく、あっさり閉められたドアをしょんぼり見つめた後、力なく帰っていった。
それを気配で感じたクロアは安堵する。家まで押し掛けてくるような人間は無茶言ってくることが多いのだ。
こういった好意をよせてくる人が自分に寄ってくるところをノノロリルに見せたくないクロアは、とても気をつけている。
ノノの働く店に行く時も、つけてこられないようにしている。
そうして今日もノノロリルに会いに行く。
「ノノー」
「はいはい、今日もしまりのない顔してるな」
「そう?だったらノノに会えて幸せいっぱいだからだねー」
さらに顔をふにゃふにゃにさせる。そんな顔見慣れてるノノはただ呆れてる。なんの苦労もしてなさそうに見えて、妬ましい。
ややクロアを睨みつつも、食事を用意して、一緒に食べた。
まったりとした時間、クロアは意を決して、ノノロリルに話しかける。
「ノノ、話があるんだ」
真剣そうな顔のクロアだ。
最近は、本当に真剣なのか真剣そうなのか見極められるようになってきたノノからして、この顔は真剣っぽいだけだ。訝しい。
「なに?」
「ノノ、ごめんね。3日…、いや、5日くらいかな、会えないと思う」
「それって…、大事なことすんだろ?」
自らこんなにもすすんで使命に向かおうとするなんて珍しい。
「うん。とっても大事で必要なことなんだ」
「なら、頑張れ」
「頑張るよ!でも、だから会えなくて…。ごめんね」
「なんで謝るのか分からん」
出かけるだけだ。短いし。ちょっと寂しいとか思ってたりするけど、それはそれ。
「ノノの守りはベルケンにお願いしてあるからね。それにレフェもいるから大丈夫だよ」
「ベルケンさんは一緒に行かないんだ?」
なんで団長が自分を守ろうとする、とか、レフェレクトのことは気になるが、そこはきかない。
「そういうのじゃないからね」
「色々あるんだな」
クロアが普段なにをしているか気にはなる。とはいえ面倒そうなことは聞きたくないので、それで話は終わり、
そうして次の日の朝がくる。
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