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レアドの苦労4
しおりを挟む「なんかいい匂いするね。高貴な香りとか?」
「…ミカルド!」
「えー、もうちょっとー」
「…だったらその首即刻身体と離してやろうか?」
二度あることは三度あったー!
「あれ?おーさまどうしたの?」
ちょっ!ミカルドは空気も読めないんですか!
「ああ?!そいつを離せよ?ミカルド」
あわー!!国王がひっくい声でおっそろしい顔になってて私は被害者なのに怖いんですが。
「むー、しょうがないなー」
「ああ?!」
国王柄悪いですよ。気持ちは分かりますけど。
「国王?!」
やっとミカルドに離してもらえたかと思ったら、国王に抱き締められた…。
「簡単に触られてるなよ。要注意人物だろ?」
「ですが、世界を破滅させるわけには…」
こういった場合、神官として身をていしてでもノノロリル殿を守りますよ。
「ああ………。こいつのは病気だな。あとでフラーナにちくっとこう」
「えええ?!それは勘弁!」
「はっ、お前なら喜ぶと思ったがな」
「そりゃフラーナは好きだけど………」
なにかあったのか、ミカルドは身体を震えさせた。
「あ、あの…」
「あ…」
ノノロリル殿が申し訳なさそうに話しかけてきた。少し忘れてました。すみません。というか、今だ私は国王に抱き締められてる…。
「国王!離してください!ノノロリル殿が見てます!」
「ん?別に気にしないよな?」
「あ、はい」
「ほらな」
「ルドウィード様そういう問題ではないです!」
「レアドはさすがに固いな…」
やっと離れてくれました。そういったことは例え恋人同士でも人前ではするものではないです。
ああ、ノノロリル殿の純粋そうな目がまともに見れない。
「国王様。大事な人なんですね」
「ああ。そういうことだ。ノノロリルは賢いな」
ちょっ、2人でなにか分かりあってる。
「違いますからねー?!」
「はいはい。じゃあな。ミカルド分かってんだろうな」
「…はーい。大丈夫だよー。まだ死にたくないしー」
「よし。じゃあな」
…なにしに来たんだ、あの人は。国王を見えなくなるまで見送るとミカルドが動いた。
「はい。ノノちゃん行こうかー」
「ミカルド殿ー?!」
こいつ分かってない。ミカルドはあろうことかノノロリル殿の手首を掴んだ。
「ノノちゃんは駄目って言われなかったし。ほらほら、俺のかっこいいとこ見てよ」
「あ、こらミカルド!」
ノノロリル殿の腰に手を回して連れていこうとする。
「レアドさん…。苦労してるんですね。前からそうじゃないかと思ってたけど」
「ノノロリル殿…。自分のことを考えてください」
のんきというか無防備というか。もてるという経験がないからかもしれない。
しかたないと、私は最終手段に出る。
「クロアフィート殿ー!!ノノロリル殿がさらわれてますー!」
貧弱な私が叫んでもたいして遠くに聞こえないだろうが、勇者は普通じゃないですからね。
「ああ!レアドそんなこと言ったら」
「ミカルドー?!」
「わっ。クロアっ」
さすがノノ溺愛、ノノの為なら魔王も使う男です。上から落ちてきました。近くに建物はないはずですが。
「ていっ」
「いだっ」
「ノノ!」
そして、ミカルドの腕に手刀をくらわせノノロリル殿を奪還、腕の中に囲います。
「ミカルド?何度も言っただろ?ノノに近づいたら許さないって」
目がマジです。仲間にも少しの容赦もない。
しかし勇者の仲間は普通でなく、ミカルドは不思議そうな顔をしているだけです。
「えー。クロアの恋人なら、俺とも仲良くなったほうがいいじゃん。ねー?」
ノノロリル殿に同意を求めるようにノノロリル殿の顔をのぞき込むミカルド。
「え、あ、そうですね」
警戒心のないノノロリル殿は簡単に答える。
「ノノ?!ミカルドはたらしなんだよ!かわいいノノは危ない!」
「仲間の恋人にまで手を出したりしないってー」
そんな軽い言い方だから信用できないんですよ。クロアフィート殿もじーーーと、ミカルドを見て真偽を調べる。
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