ツクチホSS

はるば草花

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続・お兄ちゃんが守ってやるよ!

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この巣の元からいたヒナよりも体の大きな俺は一匹で全部のエサがいるんだが、チビヒナ一匹増えるくらい問題なく暮らしていける。
親鳥も本当の子がいるんだから頑張れ。

…俺がいなければいいのだろうが。

いや、だが、やはり俺がいなければチビヒナは生きていけないだろう。

なにせこの前のような危険は多いからな。

俺が、生まれた時より倍くらいに育った頃、たっぷりとエサを食べ満足した俺達は寄り添って昼寝をしてた時に、ハンターが現れた。


「に、にいちゃん」


チビヒナの震える声で目を覚ますと、怯えるチビヒナが見え、そいつの目線を追うと鳥の天敵のヘビがすぐそこまでやってきていた。

慌てて起きて周囲を見ると、離れたところに親鳥を見つけるが、困った顔をしていても、その場から動こうとしない。

小鳥だから成鳥といってもヘビには勝てないだろうが、自分の子だろうが。
托卵してる俺が言っても説得力ないが。


「あ…、う…」


チビヒナの怯えた声にはっとする。ここは俺がなんとかするしかない。幸いか、ヘビはそれほど大きくないし、俺もだいぶ大きくなっている。

ヘビの狙いはチビヒナのようだ。俺は自らヘビへと飛びかかり、つついた。
反撃されたことに驚いたヘビを蹴飛ばし蹴飛ばし、巣から落とすことに成功。

さすが、俺。


「兄ちゃーん!!」


羽を広げて飛びついてきたチビヒナ。体はまだ震える。
あんな親より俺のほうが頼りになるだろ?チビヒナ。




俺達は二匹とも成鳥になることが出来た。チビヒナが成鳥になれたのは完全に俺のおかげだ。


「に、にいちゃん」


俺を呼ぶチビヒナ。いや、もうヒナじゃないからチビ鳥だな。

チビ鳥は羽を不器用に羽ばたかせ巣から飛ぼうと努力している。

俺のほうは何日も前に巣立っていて、エサも自分で捕ることが出来るようになっている。

チビ鳥はまだまだ無理そうだ。チビでもちゃんと成鳥にはなってるんだがな。


「うーーー、疲れた…」

「なら、食って寝ろ」


俺が捕ってきたエサを目の前に置いてやる。


「うん!」


嬉しそうに食べるチビ鳥。

巣立ちの時期になると親は子にエサをやらなくなる。怖がって巣から出ないのを促す為だ。俺はそんな前に巣立ってやったが。

親がそこまでして巣立たせようとするのは、早くエサを捕れるようにだとか色々理由はある。それが子の為なんだが、チビ鳥は俺が面倒をみてやるのだから無理することはないんだ。

巣立ちに失敗して怪我するほうが大変だろ。

こいつはチビだから俺が一生面倒みてやらないとだめだろう。
べ、べつに番うとかじゃなく、主人と下僕の関係だ。そしてあれだ。

俺が本当の兄弟を奪ったから、その贖罪の意味もある。


「チビバカは俺がいないと駄目だな」

「ん、兄ちゃん、ずっと一緒にいてね」

「…しかたないな」


成鳥になったというのにチビ鳥がすり寄ってきた。うっとうしいが、バカだからしかたない。

こいつが空を自由に飛べるようになったら、一緒にいろんなとこに行こう。


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