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お兄ちゃんが守ってやるよ!(擬人化)
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俺はカッコウのヒナ。カッコウというのは托卵という方法で繁殖する鳥だ。
托卵というのは他の種の鳥の巣に自分の卵を産み、そこの鳥に育てさせるというものだ。
ズルイ気がするが、今、もとからあった卵を巣から落とそうとしてる俺がいえたことではない。
この巣はホオジロという小鳥のもんで、俺より小さい。だからエサをたくさん貰う為に他の奴がいては困るんだ。
何個もあってヒナの身としては大変だが、あと一つになった。他の卵より小さいからすぐだろう。
グイグイと押す。もう少しというところでコツコツという音がして卵にヒビがはいった。
マズイと急ぐが殻がどんどん剥がれていく。
「うぬーーー」
ついに頭が出てきた。だがあと一押しと力を込めようとする。
「……おにい、ちゃ…?」
舌足らずな鳴き声で、俺を馬鹿にも仲間だと思ったようだ。
思わず動きが止まってしまったが、自身の為にこいつは排除しなければならない。
「うぅーー」
動きが止まってるうちにチビヒナは殻から出てきていた。そして俺にすり寄ってくる。
「…なんだ?」
「…さむい…」
小さなヒナは、風にさらされるだけでも体温を奪われる。
…そうすえば俺も寒くなってきた気がする。
なので、フカフカのベッドに戻ることにした。チビヒナも一緒に連れてきたのは暖かいからだ。
「お兄ちゃん、あったかいねー」
ほにょほにょした無警戒な顔で俺に笑いかけるチビヒナ。
俺を兄と信じて疑わない。
兄なんかじゃないと言ってやりたいが、この先生活していくうえでは下僕がいたほうが過ごしやすいだろうし、兄だと勘違いさせておいたほうが従順だろうから、このままにしておく。
暫くしてこの巣の親鳥が戻ってきた。俺達がかえっているのを見て喜んでエサを持ってくる。
ヒナってのは目立つことで、より多くのエサが貰えるから、俺みたいにここのヒナよりも大きいと目立ち、隣にいるチビヒナなんて影に隠れて見えてないだろう。
一応、鳴いて存在を主張している。「ちょーだい、ちょーだい」って上目づかいで。
しかもエサが貰えなくて涙目になってきてるし。
その姿を見てると胸がもやもやしてくるから、あまり見てたくないが見てしまう。
結局、エサが少なかったのか、チビで地味で俺の影に埋もれたのか、親鳥はチビヒナにエサをやることなく飛び立っていった。
「…う、う、…」
悲しいのか辛いのか小さな声を発してるチビヒナ。
しかたない。下僕の面倒をみるのも主人の役目だろうから、俺は残してあったエサをチビヒナにやる。
「う、わ、…ありがと、お兄ちゃ」
「いいから、食え。ゆっくりと飲み込めよ」
「…うん…」
少しやっただけだが、チビヒナには十分な量らしく、ちまちまと食べるのに時間をかけていた。
しかし、こいつ、俺がこうしていなかったとしても、兄弟達に負けてろくにエサを食べることが出来なかったんじゃないか?
となると、あいつらは蹴落として正解だったな。
「ほら、これも」
「あーー、むっ」
小さくちぎったエサを口に直接入れてやる。ヒナにエサをやる親の気持ちってこんなのだろうか。俺もヒナだが。
まあ、気分は悪くない。
托卵というのは他の種の鳥の巣に自分の卵を産み、そこの鳥に育てさせるというものだ。
ズルイ気がするが、今、もとからあった卵を巣から落とそうとしてる俺がいえたことではない。
この巣はホオジロという小鳥のもんで、俺より小さい。だからエサをたくさん貰う為に他の奴がいては困るんだ。
何個もあってヒナの身としては大変だが、あと一つになった。他の卵より小さいからすぐだろう。
グイグイと押す。もう少しというところでコツコツという音がして卵にヒビがはいった。
マズイと急ぐが殻がどんどん剥がれていく。
「うぬーーー」
ついに頭が出てきた。だがあと一押しと力を込めようとする。
「……おにい、ちゃ…?」
舌足らずな鳴き声で、俺を馬鹿にも仲間だと思ったようだ。
思わず動きが止まってしまったが、自身の為にこいつは排除しなければならない。
「うぅーー」
動きが止まってるうちにチビヒナは殻から出てきていた。そして俺にすり寄ってくる。
「…なんだ?」
「…さむい…」
小さなヒナは、風にさらされるだけでも体温を奪われる。
…そうすえば俺も寒くなってきた気がする。
なので、フカフカのベッドに戻ることにした。チビヒナも一緒に連れてきたのは暖かいからだ。
「お兄ちゃん、あったかいねー」
ほにょほにょした無警戒な顔で俺に笑いかけるチビヒナ。
俺を兄と信じて疑わない。
兄なんかじゃないと言ってやりたいが、この先生活していくうえでは下僕がいたほうが過ごしやすいだろうし、兄だと勘違いさせておいたほうが従順だろうから、このままにしておく。
暫くしてこの巣の親鳥が戻ってきた。俺達がかえっているのを見て喜んでエサを持ってくる。
ヒナってのは目立つことで、より多くのエサが貰えるから、俺みたいにここのヒナよりも大きいと目立ち、隣にいるチビヒナなんて影に隠れて見えてないだろう。
一応、鳴いて存在を主張している。「ちょーだい、ちょーだい」って上目づかいで。
しかもエサが貰えなくて涙目になってきてるし。
その姿を見てると胸がもやもやしてくるから、あまり見てたくないが見てしまう。
結局、エサが少なかったのか、チビで地味で俺の影に埋もれたのか、親鳥はチビヒナにエサをやることなく飛び立っていった。
「…う、う、…」
悲しいのか辛いのか小さな声を発してるチビヒナ。
しかたない。下僕の面倒をみるのも主人の役目だろうから、俺は残してあったエサをチビヒナにやる。
「う、わ、…ありがと、お兄ちゃ」
「いいから、食え。ゆっくりと飲み込めよ」
「…うん…」
少しやっただけだが、チビヒナには十分な量らしく、ちまちまと食べるのに時間をかけていた。
しかし、こいつ、俺がこうしていなかったとしても、兄弟達に負けてろくにエサを食べることが出来なかったんじゃないか?
となると、あいつらは蹴落として正解だったな。
「ほら、これも」
「あーー、むっ」
小さくちぎったエサを口に直接入れてやる。ヒナにエサをやる親の気持ちってこんなのだろうか。俺もヒナだが。
まあ、気分は悪くない。
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