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略奪者(ファンタジー)
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白い石柱の天井高い広間にて、俺を喜ばせようと人々が華やかな宴を繰り広げる。
男も女も着飾り流行の楽士が曲を奏で評判だという舞姫が踊る。
輝くような場所だとされているようだが、見慣れた俺には飽きて地味にしか思えない。
座る俺の周囲には選びぬいた女や男がいるが、綺麗には違いないが面白味などない。
それでもこうして久々に宴を催したのは、これが最後になるから、一応の別れだ。
この大陸には2つの大国が存在する。
他にも小さい国がいくつもあるが、ほとんどの領土は2つの大国で分けているようなものだ。
そのうちの1つの大国が俺が治めている国だ。
139代目国王、スフィルドが俺だ。
安定した大国の王として、贅沢三昧な暮らしをしているといえるんだろう。
それにとくに不満があるとも思ってはいないが、俺にはたいした意味はない。
意味は、別のところにあった。
宴は夜遅くなっても終わることなく、このまま放置しても疲れるまで続けるだろう。
俺は途中で退散させてもらった。
そして明くる日、もう一つの大国へと向かう。
国王の在位30年の祝賀に招待されたのだ。
2つの大国に力の差はほとんどなく、長くに渡って交流してきた。
友好が続いているとなっているが、腹の中はどうか知れない。
到着してからまずは国王への挨拶など面倒なことをしないといけない。
それもこれ限りだと真面目にこなし、落ち着くと与えられた部屋に戻るが、すぐに部屋を出て、あの子のもとに向かう。
「あ、スフィルド様」
ほにゃりと笑顔を向けてくれる。
「ルルハ。元気か?」
「はい。スフィルド様も元気ですか?」
「ああ」
「よかったです」
ルルハはこの国の第3王子だ。
見た目はごく普通のどこにでもいそうな少年だな。
とくに特技があるわけでもなく、ただ国王に甘やかされて育ったのだろう。
跡継ぎとして育ったわけではないので全くの苦労知らず。箱入りという言葉があてはまりそうな顔をしている。
初めてあった時、ほわほわとした温かさを感じた。
そして、苦労知らずなはずなのに、どこか微かに憂う姿を見れば、引き込まれた。
それから忘れられない。
「ルルハ」
「はい?」
まっすぐ真剣にルルハの目を見れば、ルルハは首を傾げた。
「俺の手を取ってくれるか?」
「はい」
差し出された手に、躊躇うことなく手をのせたルルハ。意味は分かってないんだろう。
それをぎゅっと、少し強めに握りしめる。これで最終決意をした。
「スフィルド様?」
「………………」
無言でルルハを連れて歩く。
ルルハは第3王子で父王は溺愛してる。男の俺に渡すとは思えない。そして同じ力の大国を征服することもできないだろう。
つまり、ルルハを手に入れるにはひそかに奪うしかない。
ルルハは俺を警戒することなくついてくる。
ルートは調べてある。
ただ2人でひっそりと城の中から消えた。
俺はその日、国王の座を捨て、ただの平凡な略奪者となった。
2013/02/02
男も女も着飾り流行の楽士が曲を奏で評判だという舞姫が踊る。
輝くような場所だとされているようだが、見慣れた俺には飽きて地味にしか思えない。
座る俺の周囲には選びぬいた女や男がいるが、綺麗には違いないが面白味などない。
それでもこうして久々に宴を催したのは、これが最後になるから、一応の別れだ。
この大陸には2つの大国が存在する。
他にも小さい国がいくつもあるが、ほとんどの領土は2つの大国で分けているようなものだ。
そのうちの1つの大国が俺が治めている国だ。
139代目国王、スフィルドが俺だ。
安定した大国の王として、贅沢三昧な暮らしをしているといえるんだろう。
それにとくに不満があるとも思ってはいないが、俺にはたいした意味はない。
意味は、別のところにあった。
宴は夜遅くなっても終わることなく、このまま放置しても疲れるまで続けるだろう。
俺は途中で退散させてもらった。
そして明くる日、もう一つの大国へと向かう。
国王の在位30年の祝賀に招待されたのだ。
2つの大国に力の差はほとんどなく、長くに渡って交流してきた。
友好が続いているとなっているが、腹の中はどうか知れない。
到着してからまずは国王への挨拶など面倒なことをしないといけない。
それもこれ限りだと真面目にこなし、落ち着くと与えられた部屋に戻るが、すぐに部屋を出て、あの子のもとに向かう。
「あ、スフィルド様」
ほにゃりと笑顔を向けてくれる。
「ルルハ。元気か?」
「はい。スフィルド様も元気ですか?」
「ああ」
「よかったです」
ルルハはこの国の第3王子だ。
見た目はごく普通のどこにでもいそうな少年だな。
とくに特技があるわけでもなく、ただ国王に甘やかされて育ったのだろう。
跡継ぎとして育ったわけではないので全くの苦労知らず。箱入りという言葉があてはまりそうな顔をしている。
初めてあった時、ほわほわとした温かさを感じた。
そして、苦労知らずなはずなのに、どこか微かに憂う姿を見れば、引き込まれた。
それから忘れられない。
「ルルハ」
「はい?」
まっすぐ真剣にルルハの目を見れば、ルルハは首を傾げた。
「俺の手を取ってくれるか?」
「はい」
差し出された手に、躊躇うことなく手をのせたルルハ。意味は分かってないんだろう。
それをぎゅっと、少し強めに握りしめる。これで最終決意をした。
「スフィルド様?」
「………………」
無言でルルハを連れて歩く。
ルルハは第3王子で父王は溺愛してる。男の俺に渡すとは思えない。そして同じ力の大国を征服することもできないだろう。
つまり、ルルハを手に入れるにはひそかに奪うしかない。
ルルハは俺を警戒することなくついてくる。
ルートは調べてある。
ただ2人でひっそりと城の中から消えた。
俺はその日、国王の座を捨て、ただの平凡な略奪者となった。
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