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魔女の薬 (1) 新米魔女・ネリス
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ここは、ヴォルノースの南の森。小高い丘の上に、チョット妖しい感じがする建物が一軒ありました。個人の家ではありません。そう、何か神秘的というか得体の知れないというか、トンガリ帽子の屋根が幾つもある本当に不思議な建物です。
「ネリス、本当にまかせて大丈夫? 」
四十そこそこの、品の良い女性が声をかけました。ただ服装は微妙です。建物の屋根と同じようなトンガリ帽子をかぶり(でも、大魔法使いパーパスの様な古めかしいものではありません)、背中の真ん中くらいまでしかない短めのマントを羽織っています。色は紫。この色は、彼女が高位の存在である事を示していました。
「えぇ。任せて下さい、師匠。確かに私、ここでは一番下っ端ですが、これでもれっきとしたプロですよ。ちゃんと免状も持っています。
どーんと、大船に乗ったつもりでいて下さいよ。ねっ!?」
ネリスと呼ばれた十四、五歳の少女は元気に答えました。彼女も中年女性と同じようなデザインの服装をしていますが、色はオレンジです。自分でも言っているように、彼女の位は一番下でした。
う~ん、そのどこから来るかわからない自信が不安なのよね……。
師匠と呼ばれた女性、コリスはそう思いました。でも彼女の弟子は自信満々って顔をしています。師匠の心、弟子知らずってところです。
そして……、あっ、失礼しました。ここらで彼女たちが何者なのか、今いる場所はどこなのか、そういったお話を少し致しましょう。
驚かないで下さい。実は、彼女たち”魔女”なんです。
えっ? 大きなワシ鼻をした、恐ろしい生きものかですって?
いえいえ、まるで違います。ヴォルノースの世界では、薬づくりの魔法に長けた者たちを魔女と呼ぶんですね。何故かしら、女性の方が圧倒的に多いのでそう呼ばれています。また大抵はニンゲンであり、この二人も御多分に漏れずニンゲンでした。
そしてここは、ヴォルノースの南の森に四つある魔女の薬工場の一つで、最高位魔女の称号を持つ、コリスが責任者を務めておりました。
「そりゃ、あなたに頼むのは、一番簡単な薬づくりではあるけれど……。心配だわ……」
コリスが、思わず本音を漏らします。
「師匠、そりゃないですよ。弟子を信じなさいって。言われた事はきちんと守りますから、安心して魔女会議へ行って来てくださいな」
ネリスは両手を腰に当て、エッヘンとばかりに、そっくり返りました。
実はネリスの他に、彼女の先輩にあたる魔女が一緒に薬づくりをするはずだったんですが、どうしても外せない急用が出来たとかで本日はお休みなんです。だから新米ネリスが、一人で薬を作る事になってしまったんですね。
「本当は、私がついていてあげたいんだけどねぇ……」
コリスは、困ったような顔をしてため息をつきました。彼女はこれから、定例の魔女会議に出席する予定なんです。大した議題でないのなら、欠席しても構わないのですが……。
「ネリス、本当にまかせて大丈夫? 」
四十そこそこの、品の良い女性が声をかけました。ただ服装は微妙です。建物の屋根と同じようなトンガリ帽子をかぶり(でも、大魔法使いパーパスの様な古めかしいものではありません)、背中の真ん中くらいまでしかない短めのマントを羽織っています。色は紫。この色は、彼女が高位の存在である事を示していました。
「えぇ。任せて下さい、師匠。確かに私、ここでは一番下っ端ですが、これでもれっきとしたプロですよ。ちゃんと免状も持っています。
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う~ん、そのどこから来るかわからない自信が不安なのよね……。
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「そりゃ、あなたに頼むのは、一番簡単な薬づくりではあるけれど……。心配だわ……」
コリスが、思わず本音を漏らします。
「師匠、そりゃないですよ。弟子を信じなさいって。言われた事はきちんと守りますから、安心して魔女会議へ行って来てくださいな」
ネリスは両手を腰に当て、エッヘンとばかりに、そっくり返りました。
実はネリスの他に、彼女の先輩にあたる魔女が一緒に薬づくりをするはずだったんですが、どうしても外せない急用が出来たとかで本日はお休みなんです。だから新米ネリスが、一人で薬を作る事になってしまったんですね。
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